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ICC FUKUOKA 2025 ソーシャルグッド・カタパルトに登壇した、教育の環 鈴木 健太郎さんのプレゼンテーション動画【問題解決の力を育むSTEM教育支援で、世界と戦える子どもたちの未来をつくる「教育の環」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に学び合い、交流します。次回ICCサミット KYOTO 2025は、2025年9月1日〜9月4日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。
本セッションのオフィシャルサポーターはICCパートナーズです。
▶【速報】司法で社会の不合理を変える!“公共訴訟”に取り組む専門家集団「LEDGE」がソーシャルグッド・カタパルト優勝!(ICC FUKUOKA 2025)
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【登壇者情報】
2025年2月17〜20日開催
ICC FUKUOKA 2025
Session 11A
ソーシャルグッド・カタパルト – 社会課題の解決への挑戦 –
Sponsored by ICCパートナーズ
鈴木 健太郎
特定非営利活動法人 教育の環
代表理事
公式HP | 公式X
デジタルアートなどで世界的に活躍するチームラボに2007年に新卒一期で入社したのち独立。独立後は教育を楽しく出来る仕組みをつくる教育クリエイターとして、日本最大の数学イベント 「ロマンティック数学ナイト」「数学夏祭り」や、不登校児童生徒向けの修学旅行プラットフォーム「新世界への修学旅行」、東京学芸大学との共同研究「教育研究フェス Tokyo Education Show」など様々な企画の立ち上げを行う。世界最大のSTEM教育NPO「FIRST」の日本統括ディレクターも務め、190カ国が参加する世界最大の高校生STEM競技会「FIRST Global Challenge」の日本代表監督として世界5位を獲得。その実績と政策提言の知見を元に一般社団法人デジタル人材共創連盟 ガイドライン委員 を務める。2023年1月に開校した北海道安平町立義務教育学校早来学園の設計に携わる。
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鈴木 健太郎さん 皆さん、こんにちは。
「グローバルイノベーターアカデミー」は、どのような地域の子どもでも、生まれ育った場所を拠点に世界とつながり、未来を切り開く力が身につく、そのような社会を創るプロジェクトです。


そのために、日本全国に、地域STEM(ステム)クラブをつくり、世界最大のSTEMオリンピック「FIRST Global Challenge」(以下、FGC) で、5年で世界一を取ることを目指しています。
▶FIRST Global Challenge(青少年科学技術振興会 FIRST Japan)
世の中の問題を解決する力を養うSTEM教育
「STEM(ステム)」という言葉を、ご存知でしょうか?

「科学(Science)」「(情報)技術(Technology)」「工学(Engineering)」「数学(mathematics)」の頭文字を取った言葉で、これからの社会で、最も重要な学問領域です。


理系の勉強と思われがちですが、世の中の問題を解決する力を養います。

AIやロボットを活用する人材が活躍する時代に
今後の世の中は、AIやロボットの発展により、仕事の形が大きく変化します。

NVIDIAのジェンスン・フアンCEOは、「世界の製造業のマーケットは、約8,000兆円、そのほとんどが、AIを搭載したスマートなロボットに置き換わるだろう」と、発表しました。


つまり、AIやロボットを活用する人材は活躍し、使われる人材はチャンスを失う時代が、すぐそこまで来ているということです。

日本のSTEM人材は圧倒的に不足
だからこそ、子どもたちには、AIやロボットを活用し、世の中の問題を解決する力が必要なのです。

その力を育むのが、STEM教育です。
しかし、日本のSTEM人材は、圧倒的に不足しています。

日本では、2030年に、IT人材だけでも50万人以上が不足すると言われており、大学生のSTEM専攻率は17%と、OECD平均を大きく下回っています。
▶第2回教育未来創造会議(令和4年3月30日)資料3(内閣官房)

世界デジタル競争ランキングにおいても、日本は31位と、大きく遅れを取っています。

▶2024年世界デジタル競争力ランキング、日本は総合31位(IMD)
STEM人材の育成は国家戦略
アメリカでは、2013年に「STEM教育5カ年計画」が発表され、2015年には、STEM教育法が制定されるなど、STEM人材の育成を、国家戦略として進めています。
▶CANVAS REPORT #03 STEM/STEAM教育とは Vol.5 世界の現状(キャンバスマガジン)

そして、このSTEMの力を、世界的に競い、学び合う場が、先ほどご紹介したSTEMオリンピック、FGCです。

競い合うのはロボット競技とSTEMを活用した解決策の提案
FGCにおいて高校生たちが挑戦するのは、これから世界が確実に直面する、地球規模の課題の解決です。



過去には、未来の食料供給や二酸化炭素の回収など、様々な世界課題が提示されています。

毎年、世界課題と開催場所が発表され、半年間、2つの競技に取り組み、5日間、開催国にて本番を迎えます。

2つの競技とは、「ロボット競技」と「STEMを活用した解決策の提案」です。

未来のイノベーターが生まれる大会で世界一を目指す
世界トップの高校生が集まるFGCは、ジェフ・ベゾスやイーロン・マスクの個人財団や、MIT(マサチューセッツ工科大学)やイェール大学などがスポンサーになる、まさに、未来のイノベーターが生まれる大会です。




私たちは、この舞台で、5年で世界一を取り、日本のSTEM教育環境を、飛躍的に向上させます。


国や大人からのサポートが得られず順位が低迷
しかし、過去の日本代表の順位は、低迷しています。
なぜなら、国や大人によるサポートが、一切なかったからです。

そのような中、知り合い経由で子どもたちへの支援に関する、個人的なご相談を頂きました。
チームラボ、タイミーが支援
彼らの悩みは、(日本代表には)「大人のメンターがいない」「専用の活動場所がない」「活動資金がない」ということでした。

そのため、私は、あらゆる方に助けを求め、チームラボの猪子 寿之代表取締役より活動場所としてオフィスを、タイミーの小川 嶺代表取締役より活動資金を、ご支援いただいております。



南相馬市の飛行場が子どもたちの実験に協力
このような無理難題もありました。

こちらの無理難題に対し、私は、Twitter(現・X)において、助けを求めたところ、福島県南相馬市の飛行場(南相馬フライングクラブ片倉飛行場)がご協力くださることになり、そちらの飛行場からリフトオフ(離昇)させていただくことができました。



▶科学の国際競技会で福島の安全性を高校生日本代表が170ヶ国に発信~放射線測定小型衛星の打ち上げに南相馬市で初成功~(PR TIMES)
支援があれば日本の子どもたちは世界で十分戦える
このようなサポートを続けた結果、世界5位を獲得することができました。

日本の子どもたちは、世界で十分戦えるのです。

そのことを証明するかのように、大学生(大人)になり、自由を手にしたかつての子どもたちは、その後、火星探査機開発の国際大会「University Rover Challenge(URC)」において、日本で初めて世界大会へ出場、人工衛星の研究開発で学会にて様々な賞を受賞、アジア最大の大学ロボットコンテスト(ABU Asia-Pacific Robot Contest 2024)においてベスト4を獲得、彼らは世界で戦えるということを、自ら証明しています。


▶「ARESプロジェクト」が日本初のURC決勝進出へ( ABLab)


▶ABU Robocon 2024 Quang Ninh, VIETNAM(豊橋技術科学大学ロボコン同好会)

日本の子ども達が世界一になれる環境をつくると決意
しかしそのような彼らも、子どものときはどれほどの意欲があっても、大人のサポートがなければ活動が一切できません。

そのため私は、日本の子どもたちが世界一になれる環境をつくることを決意しました。

なぜ私はこれほどまでに、子どもたちを世界一にできると思っているのか。
それは、私が、新卒で入社した会社での体験によるものです。
新卒入社したチームラボでの体験
私は、新卒の第一期生として、チームラボに入社しました。

今でこそ、ギネス認定されたり、世界的に評価されたりしていますが、私が入社した(2007年)頃は、まだまったくの無名でした。



こちらの光るボールも手作業でつくり、深夜の公園や後輩の部室で、開発をしていました。


学生説明会において、このようなことも言われ、悔しい思いもしました。

それでも世界に行くのだと、皆で頑張り続け、世界に行くことができました。

▶︎チームラボボーダレス(東京・麻布台ヒルズ)、米TIME誌が選ぶ「世界で最も素晴らしい場所 2024」に。(PR TIMES)
目標、環境、仲間によって世界に行けた
当時、我々にあったのは、「絶対に世界に行く」という「目標(夢)」、「ものづくりに没頭できる環境」、「共に目標を目指す仲間」――これら3つでした。

サッカー日本代表が世界で勝負できる理由
日本の子どもが世界一になれる環境をつくる、しかし、今までのようなトップ層のみの強化だけでは、世界では勝つことができません。


サッカー日本代表がワールドカップで勝つことができるようになったのは、Jリーグが設立され、全国にその輪を広げ、年代ごとの育成を行い、普及・育成・強化の一貫した指導体制により、世界で勝負できるようになったからです。

5都府県に10チームを設立
我々も同様に、地域STEMクラブを全国につくる計画を立て、京都大学の川節 拓実先生が運営されている、ジュニアロボットチーム育成団体と連携し、5都府県に10チームを設立しました。



小中学生の頃からSTEMクラブの活動を開始
実際の活動の様子を、ご覧ください。
まず、この子たちは、工業高校や高等専門学校ではなく、普通科高校の生徒です。
プログラミングやロボット実験の経験も、特別あるわけではありません。
また、性別や年齢も関係なく、小中学生の頃から活動し、大会には、小中高生が一緒に出場しています。
さらに、地域STEMクラブであれば、学校に行っていなくても参加ができます。
地域STEMクラブの立ち上げを支援
我々は、このような環境を、5年で全国1,000チームへと拡大したいと考えています。

そして、この地域STEMクラブは、1チームあたり100万円で、立ち上げが可能です。

資金は、出身校・出身地域の方々によるご支援で支えられr、我々が、教育委員会などと連携して、立ち上げをサポートする、というスキームです。

立ち上げ費用には、日本代表育成費用も含まれているため、同時に、各年代の日本代表候補を育成します。


元日本代表や各界プロが子どもたちのメンターに
そして、元日本代表の大学生がメンターとなることによって、世界一を目指すコミュニティに育てます。

さらに、各分野のプロフェッショナルの方々が、強化コーチとして、続々と集まってくださっています。

部活動の地域移行というトレンド
このような流れを後押しする、大きなトレンドがあります。
それが、部活動の地域移行です。
政府は、部活を、学校から地域へ移行する方針を決定しており、全国の自治体が、その対応に追われています。
▶︎運動部活動の地域移行について(スポーツ庁)
すでに、神戸市(教育委員会)は、中学校の部活を終了することを決定し、地域移行へのロードマップを策定、その際のアンケートでは、神戸市内でSTEMを希望する小学生が、約5,000人いるとの結果が出ました。



我々は、この流れをつかみ、5年で1,000チームを実現したいと考えています。

1チーム・100万円、1,000チーム・10億円、これが実現すれば、日本の子どもたちが世界一になることができます。

子どもたちの未来を共につくる
そして、どのような地域の子どもでも、生まれ育った場所を拠点に世界とつながり、未来を切り開く力が身につく、そのような社会を共に創りたいと考えております。
子どもたちの未来をつくる、最後のピースは、皆さんの手の中にあります。


地元に、母校に、会社がある場所に、地域STEMクラブを。
未来をつくる子どもたちに、ご支援・ご協力を、よろしくお願いします。

本日、日本代表の子たちが、この会場に来ています。
彼らは、全校生徒19人の北海道の小さな学校の生徒たちで、町を出てきて、現在、世界に挑戦しています。
そのような子たちが、どのような場所でも、世界に挑戦して活躍でき、未来を切り開く力を身につけられるようにするには、皆さんの協力が必要です。
よろしくお願いいたします。
(終)
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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/小林 弘美/中村 瑠李子/戸田 秀成