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ICC FUKUOKA 2025 リアルテック・カタパルトに登壇した、Quastella 竹本 悠人さんのプレゼンテーション動画【目利き不要の細胞品質管理AIシステムで、再生医療を誰もが選択できる未来を目指す「Quastella」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に学び合い、交流します。次回ICCサミット KYOTO 2025は、2025年9月1日〜9月4日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページのアップデートをお待ちください。
本セッションのオフィシャルサポーターは 慶應イノベーション・イニシアティブ です。
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【登壇者情報】
2025年2月17〜20日開催
ICC FUKUOKA 2025
Session 7A
REALTECH CATAPULT リアルテック・ベンチャーが世界を変える
Sponsored by 慶應イノベーション・イニシアティブ
竹本 悠人
Quastella
代表取締役CEO
公式HP | 公式X① | 公式X②
2023年3月、名古屋大学大学院創薬科学研究科博士後期課程を修了し、博士(創薬科学)を取得。在学中から株式会社Quastellaの基盤技術である細胞画像解析や品質評価AIモデルの研究に携わり、特に再生医療分野での細胞品質管理技術の深化に貢献。同年4月、名古屋大学大学院医学系研究科特任助教に着任し、バイオインフォマティクス分野で筋萎縮性側索硬化症(ALS)の早期診断を目指したAIモデルの開発に取り組む。2022年2月、株式会社Quastella取締役CTOとして細胞品質管理AIシステム「Cytometa」の開発を主導し、2023年7月には代表取締役CEOに就任。2024年には、AICHI NEXT UNICORN LEAGUE (シーズン1)で第3位、名古屋市主催GLOW Pitchで最優秀賞とNICT賞、CNBベンチャー大賞2024で最優秀賞を受賞した。
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竹本 悠人さん 細胞製造のための品質管理AIシステム「Cytometa(サイトメタ)」を提供しております、名古屋大学発スタートアップの株式会社Quastella(クオステラ)です。

代表取締役CEOの竹本と申します。
数億人の希望を背負う「再生医療」
皆様、細胞を活用した医療である「再生医療」をご存知でしょうか?

再生医療は根本的な治療方法がない疾患を治すことが期待される、全世界で数億人の希望を背負った医療と言われています。

市場規模を見ても、今後高い成長率で伸びていくことが見込まれています。

再生医療の原料である「細胞」の作り方
そんな再生医療の原料である「細胞」を作る現場をご紹介します。

人から採取された細胞は、まず初めにこのような培養容器の中に入れられ、温度が一定に保たれる空間で培養が開始されます。


その後、培養が継続されていき、毎日顕微鏡観察を行って、目利き評価と状態の記録を行います。
お気づきの通り、最先端の医療である再生医療ですが、細胞の品質は「目利き」で評価しているのが実情です。

私たちの調査でも全ての会社が、目利き評価を採用していました。
職人技で行われる細胞の目利き評価
ここで、2つの画像をご覧ください。

2つ並べてみると、わずかに違うようにも思いますが、実は左側が高品質な細胞、右側が低品質な細胞です。
1か月後の細胞数は、1,000倍もの差がつきます。

工業製品であれば1,000倍以上収量が変わるという、大きなインパクトを持った品質の差です。
では、こういったわずかな差を、現場の方はどのようにして見極めているのでしょうか?

現場の担当者は「細胞がプリッとしていて、丸いのが多いとたくさん増えるんだよ」と教えていただきました。
まさに職人技です。
こういった目利き評価を習得するには、最低3年必要だと言われています。
では、なぜそもそも目で見て評価しなければいけないのでしょうか?

それは、目利き評価が、細胞を生きたまま評価できる最も簡易で有用な手法だからです。
他の手法でももちろん評価できますが、ほとんどが細胞を破壊して品質を評価する必要があるため、評価した細胞を製品として使えないというジレンマがありました。
再生医療のコストと細胞品質評価との関係
細胞の品質評価は属人的です。

それ故に製造原価がかなり高くなっています。
再生医療は製造原価をもとにして薬価が決められることが多いため、すでに販売されている医薬品でも、治療1回あたり1,500万円かかるものもあります。

「それでも治したい」
「これしか選択肢がない」

患者の最後の望みになっているのが、この再生医療です。
しかしながら、現在全ての患者に再生医療が届いているわけではありません。
製造過程での品質不良は、15〜30%生じると言われています。

この品質不良が生じると、患者から細胞を再採取して、製造が再開されます。
そうすると、治療が遅延することはもちろん、最悪の場合は中止となってしまって、助かる命も助かりません。

さらに、再採取によって一から製造をやり直すことになるので、製造業者は赤字となってしまいます。
そのため、現在、再生医療は、患者も製造業者も非常に苦しい思いを抱えています。
細胞画像をアップロードするだけ、自動で品質評価
この属人的な品質管理の課題を解決して、私たちは全ての患者に再生医療が届くような未来を創ろうと思い、立ち上がりました。

私たちが提供するCytometa(サイトメタ)は、細胞の画像をアップロードしていただくだけで、細胞の品質を1 STEPで評価できるウェブシステムです。

実際の動きを見てみましょう。
細胞の画像とそれに紐づく培養条件をまとめてアップロードいただくことができます。
これによって、これまで実験ノートに記録していたことや、頭の中で記憶していたノウハウが、
全てクラウド上で整理、管理されていきます。
アップロードをトリガーとして、弊社のコア技術である細胞画像を用いた品質評価が自動で実行されていきます。
ユーザーはパラメータの調整など一切不要で、レポートを見るというボタンをワンクリックするだけで、定量的なレポートを確認できます。
さらに、画像解析スペシャリストによる一気通貫なサポートであるPoCサポートも併せて提供しています。
各製造現場に合わせた最適な手法を検証し、確立し、Cytometaに実装するところまで、伴走サポートしています。

世界中の細胞の種類90%以上に対応できる解析技術
簡単なサービスにも見えますが、このサービスは私たちがこれまで約20年間、名古屋大学で研究を行ってきたことと、100施設との共同研究実績に基づいて実現できました。

よって、世界でも有数の10億画像以上の解析実績となり、再生医療分野で使用されている世界中の細胞の種類のうち90%以上に対応できる解析技術が私たちの強みとなっています。

Cytometaは月額利用料50万円から提供しており、2024年8月にローンチしてからすでに4社に導入いただき、11社にトライアル導入していただいています。

製造と目利き教育のコストを大幅削減
導入効果として、製造コストを30%削減できます。
最低24時間までのデータで、1か月後の品質不良を予測することができ、無駄になる製造を未然に防ぐことができます。

さらに、目利き教育がそもそも不要となります。

これまでかかっていた時間とコストを、大幅に削減することができます。
再生医療はすでにあり、患者に届いていないだけ
「再生医療はまだ実現しない未来の医療なんでしょう?」とよく言われます。

これは違います。
すでに素晴らしい医薬品が多く出ています。
ただ、製造が非常に難しくて、患者の手に届いていないだけなのです。
私たちのCytometaは、この製造を支えて、より多くの患者に、より確実に再生医療を届けることを行っています。

さらに、私たちが解決する属人的な品質評価は世界中で共通課題となっており、現在ISO・JISでそれを解決しようという取り組みが始まっています。

培養データで品質を担保しようというこれからのスタンダードに則った、まさに細胞画像を活用するサービスですので、今後世界中から求められることは間違いないと思っています。
私たちは、再生医療を起点として細胞を扱う事業者全体に展開していき、細胞産業全体を下支えするような品質管理インフラを築いていきたいと思っています。
細胞製品の開発製造業者24,000施設を対象としています。

本日お話ししたのは、製造工程の中の品質管理という部分でしたが、すでに培養装置とのデータ連携などを始めており、最終的には製造拠点全てを統合管理できるようなプラットフォーマーへと展開していきます。

2031年までにARR 100億円が目標
エンタープライズ展開し、2031年までには、ARR 100億円以上を突破していきます。

Quastellaには、専門的な技術開発やグローバル展開が行える心強いメンバーが集まってきています。

これまで創業者である加藤 竜司先生が20年間紡いできた技術、そして私自身、5年間研究してきた研究技術をQuastellaで社会実装し、品質管理のデファクトスタンダードを担っていきます。

今よりもっと細胞製品を身近な存在に
再生医療を誰もが選択できる医療に。

スーパーで培養肉が誰もが選べるような未来に。

今よりもっと細胞製品を身近にすることを、Quastellaが実現します。

応援のほど、よろしくお願いします。
(終)
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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/小林 弘美/正能 由佳/戸田 秀成