▶カタパルトの結果速報、ICCサミットの最新情報は公式Xをぜひご覧ください!
▶新着記事を公式LINEで配信しています。友だち申請はこちらから!
▶過去のカタパルトライブ中継のアーカイブも見られます! ICCのYouTubeチャンネルはこちらから!
ICC FUKUOKA 2026 クラフテッド・カタパルトに登壇した、乗富鉄工所 乘冨 賢蔵さんのプレゼンテーション動画【水郷の町福岡・柳川発、水門メーカー「乗富鉄工所」が挑む、次世代につなぐものづくり】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回500名以上が登壇し、1,200名以上が参加する。そして参加者同士が真剣に議論し、学び合うためのカンファレンスです。次回ICCサミット KYOTO 2026は、2026年8月31日〜9月3日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページのアップデートをお待ちください。
本セッションのオフィシャルサポーターはAGSコンサルティングです。
▶【速報】ネクストステージ突破から下剋上! 落とし物DX「find」がカタパルト・グランプリ優勝(ICC FUKUOKA 2026)
▼
【登壇者情報】
2026年3月2〜5日開催
ICC FUKUOKA 2026
Session 8A
CRAFTED CATAPULT 豊かなライフスタイルの実現に向けて
Sponsored by J.フロント リテイリング
乘冨 賢蔵
乗富鉄工所
代表取締役
公式HP | 公式X
1985年生まれ。九州大学大学院工学府卒業後、大手造船所で生産管理を経験し2017年に家業に戻る。職人の集団離職をきっかけにITツールによる業務効率化や水門のDX、職人の働き方改革など経営改革を実施。2020年にデザイナーや大学生と職人技を生かした商品開発活動「ノリノリプロジェクト」をスタートし、機能的かつ独創的なデザインが評価され国内外のデザインアワードを受賞。地域住民と駅前焚き火イベントやものづくりをテーマにしたフェスなどの地域イベントも定期開催しており、まちづくりに関わっている。「OPEN THE GATE」をビジョンとして掲げ、長年のものづくりで培った職人技と社員のやりたいことをつなげて地域の課題を解決する、あたらしい町工場のかたちを模索中。
▲
乘冨 賢蔵さん 初めまして、水門メーカーの乗富(のりどみ)鉄工所 です。

皆さんは、水門について、考えたことはありますか?
災害大国の日本に必要不可欠な水門

水の流れをコントロールする水門は、災害大国の日本にとって、必要不可欠なインフラです。
大きなものから小さなものまで合わせますと、試算ベースで約100万門とコンビニの17倍もあるのです。

目立たないけれども、水害からまちを守ってくれているのは、水門です。

集中豪雨が増えるなか、その重要性は、ますます増しています。
私たちの会社は、川下りで有名な福岡県柳川市にございます。

張り巡らされた水路のいたるところに、水門があるのです。


深刻な職人の高齢化
半世紀以上、水門を作り続けてきましたが、9年前、私が家業に戻ってきた際は、職人の高齢化が深刻でした。


とにかく若い職人を採用しなければと、必死になって採用活動をしました。

柳川で水門職人になろうという人は、ほぼいませんでしたが、働けるのならばどこでもよいという若者たちが、どうにか入社してくれました。
しかし、仕事に魅力を感じて入社したわけではない彼らは、給料のよい会社に転職していきました。

「今の若いもんは、育てても無駄ばい」と、ベテランの職人たちも、一人また一人と、辞めていきました。

そうして気がつくと、職人の4割が離職していました。

「このまま、誰もいなくなってしまうかもしれない」――そのような状況下で、残ってくれた職人が、ぽつりと呟いた一言が、私の希望になりました。

「ものが作れるうちは、この会社におる」という一言です。

水門はひとつひとつ形が違うオーダーメイド
水門は、ひとつひとつ形が違います。
そのため、水門作りは、オーダーメイドです。

設計から作り方まで個性が反映されるため、「水門作りは、アートだ」と言う職人すらいます。
彼らは、ものづくりが大好きなのです。
工場には、水門以外にも様々な仕事で溢れています。
スライドに映っている、これらすべて、工場のいたるところに彼らの作品があります。




高い技術と独創的デザインが世界で評価される
オーダーメイドで水門を作ってきたから、いろいろ作ることができる、そして、それを楽しいと思えることが、私たちの価値なのだと気づきました。

私たちは、職人に「メタルクリエイター」という名前を付けて、水門以外のものづくりにチャレンジしました。

作って作って作りまくる、数え切れないほどの試作の果てに、キャンプ好きな「メタルクリエイター」と、水門のように頑丈で、独創的なデザインのプロダクトを作りました。


独自構造のコンパクトなメッシュ式焚き火台は、特許を取得しています。

メッシュに炎が透ける様子は、まるで炎のアクアリウムです。
“メッシュ焼き”という新しい調理法を生み出した直火専用のフライパンは、フランス料理店でも採用されています。

世界三大デザインアワードである、「iF DESIGN AWARD」や日本の「グッドデザイン賞」など、国際的なデザインアワードを多数受賞し、現在ではスイスでも販売されています。


「メタルクリエイター」の技術が、世界から評価されたのです。

「メタルクリエイター」を志す若者が増えてきた
このような取り組みは様々なメディアに紹介され、「“メタルクリエイター”になりたい」という若者たちが、毎年のように応募してくれるようになりました。


定着率は100%で、クリエイティブな若者が集まる鉄工所として、NHK番組「あさイチ」でも紹介されました。


ものづくりの魅力を伝えるために、工場を開放して、フェスも開催しました。
「メタルクリエイター」が、嬉しそうに子どもたちをもてなす姿を見て、何とも言えない気持ちになりました。
異業種とのコラボでワクワクするものが次々に誕生
作って閉ざされた門を開き、作る力を取り戻した私たちが掲げるビジョンは、「OPEN THE GATE」――作って開いて繋がって、作れるものは次々と広がっています。


キャンプアイテムに続き、一生もののプランターブランド「PLANTAS」も立ち上げました。

異業種とのコラボレーションでは、水道管の家具・いぐさの家具・照明・オブジェなど、様々なワクワクするものが生まれました。




柳川の水路で新しい水上体験、“堀床”を実現
そして、柳川の仲間たちと繋がって生まれたのは、柳川の新しい「川下り」です。


映像をご覧ください。
水に浮かぶステージ「掘床(ほりどこ)」です。
移動できて連結もできるこちらの「掘床」は、気持ちのよい朝に、ヨガをしたり、生け花教室を開いたり、お茶会もできます。


水上でギターを弾くのもよいですし、バーベキューもよいですね。
夜には焚き火もでき、使い方は無限大です。
先日、メディアや行政の方をお呼びして、お披露目を行い、柳川の新しい風景の門出となりました。

ぜひ、「うちにも欲しい」というお声を頂き、2号機の計画もスタートしています。

近い将来、柳川の水上が賑わう様子が見られるかと思います。
古民家を水がテーマの複合施設にリノベーション中
このような私たちの取り組みを知り、まちづくりプレーヤーが、水門メーカーに入社しました。

新たな仲間とともに、柳川に水をテーマにした複合施設を作ります。

場所は、川下りの終点にある、柳川観光の中心地(沖端地区)です。

空き家が増え、風情あるまち並みが失われつつあります。

そのうちの1軒を購入し、老朽化で傾いてしまって手がつけられない古民家を、「メタルクリエイター」の技術でリノベーションします。


プロジェクトに共感してくださったパートナーと計画を進めており、2027年4月にオープン予定です。

こちらを中心に、柳川の空き家を次々と蘇らせていきます。
様々な挑戦を経て、次の世代へ繋げる
一度は失われかけた、“メタルクリエイター”の作る力は、様々な挑戦を経て、今、次の世代に繋がりつつあります。
若い職人が育ち、遠方の水門を作らせていただくことも増えました。
暮らしを守る水門を次世代に繋ぐため、スマホで操作できる水門も開発しています。
こういった取り組みも、業界の外に飛び出した私たちだからできることです。
目立たない水門の裏に、このような物語があることを知っていただけましたら、嬉しいです。
数えきれないほどの失敗をしましたが、ものづくりは最高に楽しい、楽しんでいるからこそ、できることを、世界に示していきたいと思っています。
次の風景を、ともに作りたい
皆さんに、お願いがあります。
柳川の小さな町工場の物語を、ICCで、次のステージへと行かせてください。
次の風景を、ともに作りたいです。
ワクワクするものづくりで、一緒に未来を開いていきましょう。
水門メーカーの乗富鉄工所でした。
ありがとうございました。
(終)
▶カタパルトの結果速報、ICCサミットの最新情報は公式Xをぜひご覧ください!
▶新着記事を公式LINEで配信しています。友だち申請はこちらから!
▶過去のカタパルトライブ中継のアーカイブも見られます! ICCのYouTubeチャンネルはこちらから!
編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/戸田 秀成


