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「カンブライト」は、生産者と“デリシャス缶詰”を共創し、産地から新たなバリューチェーンを作る(ICC KYOTO 2020)【文字起こし版】

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ICCサミット KYOTO 2020 CRAFTEDカタパルトに登壇いただいた、カンブライト 井上 和馬さんのプレゼンテーション動画【「カンブライト」は、生産者と“デリシャス缶詰”を共創し、産地から新たなバリューチェーンを作る】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢900名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット FUKUOKA 2021は、2021年2月15日〜2月18日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。

本セッションは、ICCサミット KYOTO 2020 プレミアム・スポンサーのLexus International Co. にサポート頂きました。

【速報】本革のものづくりに“想い“を込めて──貧困国の雇用創出に取り組む「ビジネスレザーファクトリー」がCRAFTED カタパルト優勝!(ICC KYOTO 2020)


【登壇者情報】
2020年9月1〜3日開催
ICCサミット KYOTO 2020
Session 7A
CRAFTED CATAPULT
豊かなライフスタイルの実現に向けて
Supported by Lexus International Co.

井上 和馬
株式会社カンブライト
代表取締役

ソフトウェアの受託開発、企業向けパケージソフトウェアの設計、WEBプロモーションのSEO事業マネージャと15年のIT業界を経て、2015年9月に株式会社カンブライトを設立。「日本中の豊かな食を、世界中の将来世代に。」を理念に、缶詰×テクノロジーのフードテックベンチャーとして地方創生事業に取り組む。少量多品種の高付加価値なプレミアム缶詰をアジャイル型で開発しており、こだわり食材、規格外や旬の時期に余る食材、食品加工時にでる端材、冷蔵や冷凍でしか販売できていない加工品など、全国様々な食材提供者との共創で、缶詰の商品開発に取り組んでいます。また、IoTを活用した小規模なスマート食品工場を全国に展開して産業や雇用を創出することで、地方や食品産業の活性化に貢献できる事業に取り組んでいます。


少し贅沢なひと時のための缶詰「カンナチュール」

井上 和馬さん 皆さん、こんにちは。株式会社カンブライトの井上と申します。

我々は、少し高価格ではあるのですが、プレゼント用やご自身の少し贅沢なひと時のために買っていただけるような、本当に美味しい“デリシャス缶詰”という新しい市場の開拓に取り組んでいる企業です。

実は本日、審査員の皆さんには、スライド内で左側4種類の缶詰の試食をご用意しておりますので、ぜひご賞味ください。

元システム開発エンジニアが、なぜ缶詰を作るのか

では、まず、この“デリシャス缶詰”がどのようにして生まれたのかについて、お話しさせていただきます。

実は私は15年間システム開発をしていた元 IT エンジニアで、カンボジアに長期出張した際に料理が好きなので自炊をしていて、日本食がどれだけ素晴らしいかということを実感しました。

また、カンボジアにいた当時、NHKの大河ドラマ「花燃ゆ」が放送されていて、登場人物の吉田松陰が言った「君の志はなんですか?」という言葉が、なぜか僕に向けて言われているような錯覚を覚えました。

その後、日本に帰ってきてからも、自分の人生をかけて成し遂げたいことは何だろうかと、ずっと自問自答するような日々が続きました。

「未来の子どもたちに豊かな食卓を残したい」

私は、母親の愛情を全て食事で与えられたと言っても過言ではないほど、豊かな食卓で育ててもらいました。

しかし、食品に関わる、地方の特に小規模な事業者が激減して衰退しているというニュースが多く、このままでは自分の子どもたちや孫に豊かな食卓を残せないのではないかという危機感が生まれました。

そこでこれを解決することを自分の志として、人生をかけて取り組みたいと考えるようになりました。

社会起業家募集に応募し、カンブライト設立へ

そのようなタイミングで、当社のオーナーである大籔 崇がテレビ東京系「カンブリア宮殿」に出演し社会貢献のために投資をするという話をしているのを観て、その想いに強く共感しました。

当時、偶然にも大藪が社会起業家を募集しており、これはチャンスだと思い、すぐに会いに行く手はずをつけました。

そして、少量限定生産でとても付加価値が高く、縮小していく国内市場だけではなく世界中の市場に届けられる缶詰に注目し、これを広げていく事業を考えて大藪にプレゼンしたところ、出資していただけることになりました。

そして2015年9月にカンブライトを設立し、「日本中の豊かな食を、世界中の将来世代に。」というミッションに取り組んでいます。

ちなみに、写真のプレートは会社設立当初に私の子どもが作った会社の看板です。

大ロット製造による在庫リスクを身をもって体験

最初は何の知識もなかったのでゼロから缶詰製造について勉強し、ひたすら商品開発に尽力しました。

そして翌年、「カンナチュール」という自社ブランドをどうにか立ち上げ、1万缶ほどの製造委託をし、缶詰専門店も作ってスタートしたのですが、ここから前途多難な事業となりました。

大ロット製造したのですが、もうこれは大失敗でした。

正直に申し上げると、ほとんどの缶詰を廃棄しなくてはならないような状態になり、大ロットで製造して在庫を持つリスクを改めて実感。ノウハウを蓄積しなくてはいけないと感じました。

缶詰を100個から製造して商品化

ノウハウを蓄積するため、店舗内の約5坪を使って「カンブライトラボ」という世界一小さな缶詰工場を作り、缶詰を作りたい人たちから開発受託案件を多く引き受けました。

私が特に注力したのは、缶詰を100個から製造して商品化するということです。

このようなことを行っているところがどこにもなかったので、非常に多くの皆さんから缶詰事業のご依頼をいただきました。

現在までの4年弱ほどで100名以上の事業者さんと共同商品開発をし、相当のノウハウが貯まってきたと思っています。

規格外の野菜や肉の端材で大ヒット缶詰も

では、ここで少し事例をご紹介いたします。

こちらのうつみ農園さんでは、B品(味に変わりはないが見た目が良くないもの) や規格外品のトマトやナスを缶詰にすることで、作付けを強気に行おう、新たな収益を生み出そうというチャレンジをされています。

また、しげや旅館さんは、卵を取って廃棄をしていた親アマゴ(日本特産の渓流魚の一種) や、鹿や猪の筋など、端材といわれ、なかなか使い道のない肉を使って新たな地域の産業を創りたいと、「山の宝シリーズ」という缶詰を展開されています。

千代乃家さんは、「ハーブへしこ」という非常に美味しい鯖のぬか漬けを作られていますが、冷蔵・冷凍でしか販売できていませんでした。

そこで、常温でもお土産として持って帰っていただけるよう缶詰「青春アヒージョ」を作ったところ大ヒットしました。

ハーブへしこのアヒージョ「青春アヒージョ」が大人気(カンナチュール)

「青春アヒージョ」によって「ハーブへしこ」の人気も高まり、材料が足りず缶詰が作れなくなるという、非常に嬉しい悲鳴をあげています。

このように、小ロットでの製造が可能になったことで色々な事例が出てきました。

「デリシャス缶詰市場」創成を目指し、販路開拓

ただ、この受託開発には課題があります。

基本的にお客さんである、缶詰製造の依頼主のアイデアで進んで行くため、値段が少し高めの缶詰市場というものがなかなかなく、販路開拓に苦戦するお客さんが非常に多くいらっしゃいました。

そこで、自社ブランドではなく、日本各地の生産者さんと缶詰開発をコラボレーションする「カンナチュール 」というブランドを立ち上げ、デリシャス缶詰市場を創る取り組みを始めました。現在、独自の販路開拓に非常に力を入れています。

受託開発ではなく発注側も受注側もリスクと報酬を共有する、レベニューシェア型の開発にして、私たちのノウハウを活かし商品開発をします。

デリシャス缶詰の商品共創開発サービス(カンナチュールオンライン)

「一緒に売っていきましょう」という呼びかけで、これまでなかなか共創できずにいた、様々な面白いものを作っている皆さんと非常に多くの開発をすることができています。

廃校を缶詰工場に利活用し、障害者雇用の場に

ただ、この取り組みを続けていく中で、1日何百個程度の極小ロットで作ってくれる缶詰工場が世の中になく、製造が追いつかないという次の課題に直面しました。

それならば工場を作ってしまおうと、廃校になった中学校の利活用による缶詰工場や障害者雇用の場としての缶詰工場といった、小規模な缶詰工場のプロデュースでネットワークを繋いでいく事業を、今、並行して走らせています。

業務提携、DXで日本中の美味しい食を世界へ

しかしながら、事業拡大に伴い、もはや私たちだけでは事業がなかなか追いつかない状況になってきました。

そこで、「カンナチュール」はエイチアンドダブリュー株式会社との、また、スマート缶詰工場というプロデュース事業はフクシマガリレイ株式会社とのコラボレーションにより、一気に展開していこうと体制を整えてきました。

この中でカンブライトが何をしているかと言いますと、私は元々IT システムのエンジニアなので、食品業界のDX(デジタルトランスフォーメーション)を担当しています。

日本全国に缶詰工場を展開していき、それをネットワークで繋いで、生産管理や品質管理、HACCP(ハサップ)(※) の衛生管理など全てを記録管理して小売り展開にも活用するといった、バリューチェーン全体を最適化するWebサービスのシステム開発に取り組んでいます。

▶編集注:HACCP(ハサップ)とは、食品等事業者自らが食中毒菌汚染や異物混入等の危害要因(ハザード)を把握したうえで、原材料の入荷から製品の出荷に至る全工程の中で、それらの危害要因を除去または低減させるために特に重要な工程を管理し、製品の安全性を確保しようとする衛生管理の手法のこと。(厚生労働省HP)

こちらが完成すると、日本全国の美味しいものを“その場で”缶詰にして世界中にお届けできる、新しいバリューチェーンが作られるのではないかと考え、カンブライトではこのシステム開発にこれからさらに投資をしていきます。

もうまさにクラフテッドな缶詰の代表として、このデリシャス缶詰「カンナチュール」があると思っています。

皆さん、「カンナチュール」と検索いただければECで購入できますし、また、京都の寺町京極商店街プレミアム缶詰専門店「ひとかん」という唯一の当社直営店もございます。

もしよろしければ帰りにでもお立ち寄りいただいて、このデリシャス缶詰をぜひ味わっていただきたいと思っております。

私からの発表は以上です。ありがとうございました。

▶︎実際のプレゼンテーション動画もぜひご覧ください。

(終)

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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/小林 弘美/フローゼ 祥子/戸田 秀成/中村 瑠李子

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