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ICC KYOTO 2021 ソーシャルグッド・カタパルトに登壇いただいた、ADDS 竹内 弓乃さんのプレゼンテーション動画【エビデンスに基づく早期支援で、発達障害のある子どもが自分らしく学び暮らせる社会を目指す「ADDS」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢900名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミットFUKUOKA 2022は、2022年2月14日〜2月17日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。
本セッションは、ICCサミット KYOTO 2021 プラチナ・スポンサーのベクトル様にサポート頂きました。
▶【速報】子どもの好奇心に火をつける!新しい学び場「SOZOW」を提供する「Go Visions」が審査員号泣のソーシャルグッド・カタパルトで優勝!(ICC KYOTO 2021)
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【登壇者情報】
2021年9月6〜9日開催
ICC KYOTO 2021
Session 11A
ソーシャルグッド・カタパルト&ラウンドテーブル
Supported by ベクトル
竹内 弓乃
特定非営利活動法人ADDS
共同代表
1984年生まれ。香川県出身。慶應義塾大学文学部心理学専攻卒業、同大学大学院修士課程修了、横浜国立大学大学院修士課程修了。臨床心理士/公認心理師。ある自閉症児とその家族との出会いをきっかけに、学生セラピストの活動を始め、大学院にて臨床研究を重ねながら、2009年研究室の同僚とADDS設立。ミッションは「発達支援が必要なすべての人が、自分らしく学び、希望をもって生きていける社会をともに実現します」。親子向け療育プログラムや支援者研修プログラム、事業者向けカリキュラム構成システムの開発と研究を行い、その成果はH28年度国立研究開発法人科学技術振興機構研究開発成果実装支援プログラムに採択され、全国の療育機関へ実装研究を展開。誰もが一人ひとり異なる発達特性に対し、個別最適化された学びや暮らしが保障され、「発達障害」という概念が必要ない未来を目指し活動している。
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竹内 弓乃さん ADDS(エーディーディーエス)の竹内 弓乃と申します。
私は18年前、大学生1年生の時に、自閉症のある4歳の男の子に出会って、人生が変わりました。
そして今、発達支援が必要なすべての人が自分らしく学び暮らせる社会、ひいては「発達障害」という概念が必要ない社会を目指して活動しています。
ADDSは、発達障害のあるお子さんの支援現場を運営しながら、効果検証や研究開発もする、少し珍しいNPOだと思います。
今日の7分間のプレゼンのゴールを、こう設定しました。
皆さんに、楽しんで療育を知ってもらうこと、そして新しいサービスを応援してもらうこと。
共同作業をよろしくお願いします。
「発達障害」はとても身近にある障害
まず、「発達障害」という言葉を聞いたことがある方は、どのくらいいらっしゃるか、挙手いただけますか?
すごいですね、ほぼ全員です。
それもそのはずです。
文科省の調査では、公立の小中学校の通常学級には、発達障害の可能性のある児童が6.5%存在すると言われています。
▶小中学生の6.5%に発達障害の可能性 4割は支援受けず 2012年12月5日(日本経済新聞)
そして米国の調査ですが、59人に1人が自閉症であるというデータがあります。
皆さんの周りにもそんな方がきっといらっしゃるであろう、とても身近な障害です。
不注意、多動性、衝動性のある「AD/HD」、読み、書き、計算など特定の学習スキルに困難をきたす「学習障害」、そして社会的コミュニケーションの苦手さや強いこだわりが診断基準となり、その約半数が知的障害を伴うとも言われる「自閉症」。
主にこの3つの障害を総称して、「発達障害」と呼びます。
これらが単独、あるいは複合的に現れます。
早期に個別の療育支援が必要
発達障害は個性であり、異才を持っていると言われますが、その通りだと思います。
でも特性が強いことは明らかなので、その子に合った教育支援がなければ、良さを発揮する前に失敗体験を積み過ぎてしまうのです。
実際、育児不安、虐待のリスク、いじめ、不登校など、二次的な問題との関連性がすごく強いです。
公的支援はもちろんありますが、数が足りていないこともさることながら、エビデンスに基づく個別の療育支援はほとんど行われていないのが実態です。
療育支援のための課題を600以上考案
私たちADDSは、「質の高い療育支援を開発して届ける」「その担い手を育てる」「効果を調べて広める」という3つの活動を、もう10年以上も泥臭く、汗臭く、しつこく行ってきた団体です。
これは私が大学院生の時の写真ですが、私たちはずっと学生セラピストとして活動していました。
子どもたちがかわいすぎて、療育にはまりすぎて、創業メンバーで3日3晩合宿をしました。
そして海外の色々なプログラムや文献を参考に、日本でも運用可能なプログラムを作ったのです。
子どもが指差しに反応する様子、「ちょうだい」と言われて、手渡す動画をご覧ください。
(動画が流れる)
皆さん、これを見て、何でもないシーンだと思われますか?
指差しに反応できる、人に何かを手渡すことができるというのは、コミュニケーションの発達過程においてものすごく重要で、これが難しい自閉症のお子さんはたくさんいます。
このような課題を徹夜で書き上げるうちに、全部で600以上の課題となりました。
その子が、どの発達領域の力がどの水準にあるのか、どこまでできていて、次に何を教えれば発達を促進できるのかが一目瞭然で、一人一人に合った、個別の、緻密な課題構成ができるようになっています。
初めはたった5家庭への提供でしたが、これまで350家庭へ継続的な支援を行ってきました。
どのような効果があったでしょうか。
本来は細かく話したいのですが、今日は時間がないため割愛しますが、知能指数や語彙数の変化、開始月齢と変化量の相関など、同領域では他にはない規模とインパクトの研究成果が出てきています。
早期療育プログラムを全国16の療育機関に実装
是非これを、全国の既存教育機関でも実施してほしいと思い、「AI-PAC」というシステムを開発し、国の研究助成を頂きながら、全国15機関への実装を行いました。
▶ICT活用で発達障害児の早期療育、保護者支援を全国へ(科学技術振興機構)
その時の実装機関と一緒に全国ネットワーク「EDS-NETWORK」を作り、みんなで人材育成に取り組んでいます。
▶科学的根拠に基づいた発達支援を全国へ EDS-NETWORK
オンラインで発達相談ができるサービス「kikotto」を提供
ここからは、新しい挑戦について紹介させてください。
コロナ禍で、発達障害児を持つご家庭の多くは、大変な思いをされました。
外部に相談できる機会がすごく減ってしまったので、問題をますますご家庭で抱え込んでしまうようになったのです。
相談機会が減って、早期発見、早期支援の可能性が、今まで以上に低くなってしまいました。
これに対して私たちは、全国どこからでもLINEやZoomで、発達に関する相談ができるサービスを作りました。
このサービスはkikotto(キコット)と言いまして、すごいところが2つあります。
まず、相談員のスキルが非常に高いです。
ご相談者に具体的な回答をしたいので、療育支援の現場を理解していて、質の高い療育支援のスキルと知見のあるスタッフしかkikottoの相談員にはなれません。
私も、泥臭く回答しています。
2つ目のポイントは、色々な相談に対し、具体的なトレーニングの方法から地域で利用できる機関の情報提供まで、相談員それぞれが1通ずつ、手入力で回答していますが、この回答案を「ナレッジ」という共有知として蓄積できるシステムがあります。
このナレッジを引用して、同様の質問の回答に使えるのはもちろんですが、ゆくゆくは機械学習を活用し、自動的に回答案を作成し、質を担保しつつ、より多くのご相談を受け入れられるようにしていく予定です。
「kikotto」の提携企業を募集中です!
2021年4月にリリースしたばかりのこのkikottoのナレッジは300を超えていて、今この瞬間も増えていっています。
▶オンライン発達相談サービス 「kikotto(キコット)」正式提供開始 2021年4月1日(ADDS)
ところが現在、kikottoの無料会員は約300名、有料会員は40名で、これはもう少し増やせると思っています。
より多くのお子さん、ご家庭に支援を届けるため頑張らないといけないなと思っていますので、皆さん、是非応援よろしくお願いします。
企業や自治体にも導入してほしいと思っています。
生まれた地域や環境にかかわらず、誰にでも必要な支援が届く世の中にしたいです。
ぜひ、一社目の提携企業になってください!
よろしくお願いします。
(終)
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編集チーム:小林 雅/小林 弘美/浅郷 浩子/戸田 秀成/大塚 幸
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