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「今、アグリテックが激アツだ!」【F17-9D】セッションの書き起し記事をいよいよ公開!11回シリーズ(その6)では、アグリテックの利益の稼ぎ方について議論しました。最後の方で出てくるインドのアグリテック事情も必見です。是非御覧ください。
ICCカンファレンスは新産業のトップリーダー160名以上が登壇する日本最大級のイノベーション・カンファレンスです。次回 ICCカンファレンス KYOTO 2017は2017年9月5〜7日 京都市での開催を予定しております。
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【登壇者情報】
2017年2月21日・22日・23日開催
ICCカンファレンス FUKUOKA 2017
Session 9D
今、アグリテックが激アツだ!
(スピーカー)
岩佐 大輝
株式会社GRA
代表取締役CEO
小林 晋也
株式会社ファームノート
代表取締役
前田 一成
アグリホールディングス株式会社
代表取締役社長
安田 瑞希
株式会社ファームシップ
代表取締役
(モデレーター & スピーカー)
高島 宏平
オイシックス株式会社
代表取締役社長
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【前の記事】
【本編】
高島 食/農のビジネスをやる中で、どういう所が、皆さんが捉えている勘所で、そこにどのようなテクノロジー、どういったアプローチをすることで儲かりそうだと思っているのか?
或いは既に儲かり始めているのか?その辺をお聞きしたいのですが。
小林さんは、どのように儲けますか?
小林 今、酪農単体で8,000億円位、肉牛で7,000億円弱位、つまり牛は1.4兆円くらい農生産があります。
高島 大きいですね。
センサー管理で発情タイミングによる損失を防ぐ
小林 米は今1.4兆円なので、米と並んでいる状況です。
日本を代表する農業は米ですが、地域に人を残すためにも、つまり地方で農業を営むとなった時、厳しい環境でも取り組みできるのは「牛」という考え方で、国がその助けをしているのかなと僕は勝手に思っています。
小林 酪農8,000億円の生産がある中で、牛は子牛を生まなければ牛乳が出ませんので、分娩をさせるためにも早く妊娠をさせなければなりません。
排卵のタイミングで発情というものが起こるのですが、この発情のタイミングを逃せば逃すほど生産性が悪くなります。
このタイミングによる経済損失を僕が勝手に計算した所、年間560億円位の損失がありました。
これを1農家当たりにすると、100万円以上という純利益が年間で飛んでいることになります。
これを取り返すのであれば、弊社のセンサーを使うと効果があるのではないかということです。
このセンサーが売れるということが我々の大きな事業になります。
高島 センサーを農家さんに販売する際、定額の商品になるかと思いますが、成果報酬よりも定額にした方がビジネスとしては良いのですか?
小林 そもそも農家さんの場合、ランニングコストを取りづらいということがありますが、酪農・畜産の農家さんは、普通の畑作農家さんと比べると売上規模が圧倒的に大きいです。
例えば100頭牛を飼っているような農家さんの売上は7,000~8,000万円ほどになりますので、中小企業の社長のような感覚になります。
そのため設備投資に対して、前向きな方が多い業界だと思います。
高島 農家といっても、イメージするようなおじいちゃんおばあちゃん2人で農業をしている先というよりは、事業農家を基本的には対象としている?
小林 そうです。基本的にはそのような先が多いです。
高島 なるほど、ビジネスの会話が成り立つ人を対象としているということですね。
前田さんはどうですか?
アグリテックにはインテグレーターが必要
前田 はい。
農家がテックを使えないという事実がある中で、私としてはテックを応援したいなと思いますし、もっと生産が良くなってほしいと思っています。
元々ITをしていたということもあり、私達がインテグレーターになれば良いと思っています。
農家にITやエンジニアリングが分かる人間を送り込み、その人が受け口となってファームノートを使うだとか、他のセンサーやドローンを使い、生産改善をしていってあげれば良いのかなと考えています。
キーは人だと思っています。
非常にフラットに農協さんとも、大きな農業生産法人さんとも仕事をしていこうと思っています。
ただ重要なのは、ある程度のサイズがないと農家は生き残っていけませんので、ある程度サイズがある所に弊社からどんどん人を送り、一緒にさらに大きくする。
現在は大きい農家でも数百haの前半しかありませんが、そのサイズが一般的になったり、数百haの後半や1,000haを超えていく所を、我々がインキュベーションしていくと、アグリテックはもっと導入されていくと考えています。
高島 インキュベーターとして、テクノロジーや、ビジネスモデルを、実際に物を作る農家さんに繋ぐ役割の中で、大事な部分はどこだと思いますか?
そのことが大事であり、儲かる部分になるのかと思うのですが。
前田 大事な部分は、「地域に溶け込めるか」というとてもアナログな部分です。
やはり地域に行って、すぐに仕事をさせてもらえる訳ではありません。
そこでお困りごとにどう答えていくかということです。
生産改善で生まれる利益がエンジニアリングの価値
高島 地域への入り方もあると思いますが、提供している価値としては例えば金融の知識なのか、テクノロジーの知識なのか、ビジネスモデルなのか、マーケティングなのか?
何の価値が一番農業にプラスになっていると思いますか?
前田 入口としてはやはり販売先です。
やはり「売りますよ」ということで行くと、先方も「聞こう」ということになります。
ただ、生産改善をしないと強くならないので、入口の先はエンジニアリングだろうと思っています。
儲かる部分はまたその先にあります。
弊社はお米を扱っていますが、お米は相場がより明確に出る商材です。
生産改善をしていくと、その改善部分が全て粗利になります。
これが、すごい激アツだなと思っている部分です。
高島 そうですよね。
高島 テクノロジーは、今はリテラシーが問題となっていますが、ファームノートのようなものがあれば直感的に使えるので、あまりテクノロジーを気にしなくても使えてしまうということですね。
小林 そうですね。
前田さんのお話に加えて、僕は価値が2つあると思っています。
「ブランド」と「コミュニティー」です。
スマホで農産物流通が完結するインド・バンガロール
小林 弊社はテクノロジー会社ですが、農家さん同士の横の繋がりを作っています。
Farmnoteアンバサダーという弊社のファンを沢山増やし、アンバサダー同士は地域を飛び越えてコミュニケーションができるので、その時に連帯感が生まれます。
そこに生まれるコミュニティーの旗印の一つとして「Farmnote」というブランドがある。
「これを使うと格好良い」「なんだか明日から元気になる」というブランド価値を提供すると、製品を買ってくれるようになるのではないかと思っています。
高島 話が少し脱線してしまうのですが、先日インドのバンガロールに行ってきました。
インドには農協がありません。
農協がないのでどうするかというと、スマホが農協の役割をしていました。
農家さんは、収穫したものをアプリに入力する訳です。
同じようにスーパーのバイヤーさんも欲しいものをアプリに入力する。
その後、価格をAIが決めていました。
農協も市場もないので、競りもありません。
バンガロールは特にITが進んだ都市ですが、彼らにはテクノロジーがあるので、AIで自動的にプライスを決めているという訳です。
さらに農家さんには、「君は今たまねぎを作っているけれど、ニンジンに変えた方が多分儲かるよ」といったレコメンドが届きます。
安田 それもAIから?
高島 AIから。
農協がなかったことで、逆にテクノロジーを前提とした流通ができつつある。
元々は非常に農業が遅れていたインドが、流通形態としては日本よりも先に行き始めているのかなと思いました。
すみません、少し脱線しました。
安田さんどうお考えでしょうか? お願いします。
(続)
続きは つぶれる植物工場と「儲かる」植物工場の違いは何か? をご覧ください。
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編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/横井 一隆/鎌田 さくら
【編集部コメント】
インドではスマホが農協の役割を果たしているんですね。スマホで市場がいらなくなるのなら、築地市場の移転先も豊洲じゃなくてスマホにする方法もありますね??今のところは短絡的な考えですが、きちんと練ると意外とアリなアイデアだったりして。(横井)
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