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「今、アグリテックが激アツだ!」【F17-9D】セッションの書き起し記事をいよいよ公開!11回シリーズ(その5)ではGRA岩佐さんに、事業を始めた経緯や利益の稼ぎ方についてお話しいただきました。是非御覧ください。
ICCカンファレンスは新産業のトップリーダー160名以上が登壇する日本最大級のイノベーション・カンファレンスです。次回 ICCカンファレンス KYOTO 2017は2017年9月5〜7日 京都市での開催を予定しております。
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【登壇者情報】
2017年2月21日・22日・23日開催
ICCカンファレンス FUKUOKA 2017
Session 9D
今、アグリテックが激アツだ!
(スピーカー)
岩佐 大輝
株式会社GRA
代表取締役CEO
小林 晋也
株式会社ファームノート
代表取締役
前田 一成
アグリホールディングス株式会社
代表取締役社長
安田 瑞希
株式会社ファームシップ
代表取締役
(モデレーター & スピーカー)
高島 宏平
オイシックス株式会社
代表取締役社長
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【前の記事】
【本編】
高島 では岩佐さんお願いします。
岩佐 はい、GRAの岩佐といいます。
元々私も(ファームノートの)小林さんと同じように、ITの受託開発やソフトウェアの仕事をしていました。
30代前半の時、私の故郷である宮城県が東日本大震災の被害にあいまして、そこの特産品がイチゴでした。
イチゴ農家がほぼ100%位被害を受けてしまったので、実家に帰った時、農業というもので地域に貢献できればいいなと思いイチゴ作りを始めました。
岩佐 始めてみると、イチゴの世界はローテクで、勘と経験で作るという職人さんが沢山いて、そういう方々に支配された世界でした。
理屈がない中で水やり、肥料やり、温度管理をしているので、もう少し因果をつきつめて考えればもっと生産性が改善するのではないかと思いました。
その辺りはITやソフトウェアとの親和性が高いのではないかと思い、農業IT、アグリテックという所にお金をはり始めたのが私のスタートです。
震災をきっかけに農業×ITに目覚めたGRA岩佐さん
高島 震災からだいぶ経ち落ち着きもあると思うのですが、落ち着いたら自分の役目も終えるかもと思って取り組みしているのでしょうか?
震災はきっかけだったけれど、このアグリテックの世界で突き抜けてやるという感じなのか、どうお考えですか?
岩佐 地域復興という意味では、まだまだ地方の課題というものは多く、産業の創造が必要なので、震災とは関係なく今後もやり続けていかなければならないと思っています。
ちなみに、イチゴは株を作って収穫を終えるまで何カ月位かかると思いますか?
植えてから取り終えるまで。
会場参加者 全然分からないです。6ヶ月位ですか?
岩佐 実は20ヶ月位かかります。
震災後5年取り組みをしていますが、実はまだ数回しか繰り返すことができていない状況です。
その間に成し遂げたこととしては、単位面積当たり、例えば10aあたりの収穫量が旧来型と比べて2倍になりました。
単価も、品質を改善し2倍ちょっとに増えました。
こういったトラックレコードができてきてはいるのですが、まだ改善できるかなと思っているので、暫らくこの業界に張っていきたいと思っています。
高島 いいですね。岩佐さんは地元の神童だったんですよね。
戻って来てくれたことだけで大喜びという、スターだったんですよね。
岩佐 (苦笑)
高島 分かりました、ありがとうございます。
アグリビジネスで利益を生む勘所とは?
高島 さて、テクノロジーが激アツといわれているので、儲からなければならないと思うのですが。
どういう所が、皆さんが捉えている勘所で、そこにどのようなテクノロジー、どういったアプローチをすることで儲かりそうだと思っているのか?
或いは既に儲かり始めているのか?その辺をお聞きしたいのですが。
セッション冒頭の質問に、テクノロジーで量だけではなく質も上げていくにはどうするかというものがありましたが、もしかするとテクノロジーだけではないのかもしれませんが、どのように考えていますか?
今度は岩佐さんからお聞きしたいのですが、テクノロジーを使う部分とブランディングする部分、質と量の両方にアプローチされていますがどの辺が勘所ですか?
岩佐 アグリテックといっても、色々なテクノロジーと技術があるのですが、はっきりさせておいた方が良いなと思うのは、その技術を使うことで量が増える、或いは質が上がるというどちらかの感度があるかどうかということです。
数百のセンサーが設置されているGRAイチゴワールド(宮城県山元町)(写真提供:GRA)
「投資をしても特に収穫が増えることはないけれど、すごいテクノロジーだよ」というようなものがあります。
そういったものにはあまり投資すべきではないと思っています。
例えばイチゴでいうと、収穫をしてパッキングをするコストが、イチゴの製造原価の約50%になります。
例えばロボティクスに投資をして、収穫を自動化するだけでだいぶ生産性が改善するということがあります。
環境では、例えば湿度と、日射量の関係性は極めて感度が高いので、その辺りを改善することで糖度や、品質が上がります。
品質が安定するとブランドを作ることができ、価格も高く設定できるようになる。
そういった感度重視で投資をしている状況です。
高島 なるほど。
コストと価格の話がありましたが、コストの話は農作物そのものではなく、農作業のうち農作物を作っている以外の部分を改善することで、インパクトがあるということですか?
岩佐 収穫にかかる費用も製造原価の一部だと我々は捉えているので、ロボットを使うことで製造原価の50%にメスを入れられるということになります。
高島 なるほど。ただ、物が出来上がった後工程についてですよね?
岩佐 確かにそうですね。
コストの部分は後工程で、品質の部分はイチゴを育てている工程でどれだけ環境をコントロールできるかということですね。
高島 なるほど、面白いですね。
1粒1,000円!GRAの「ミガキイチゴ」
高島 ちなみに、イチゴを1,000円で売っていますよね?
あれ、すごいですね。
岩佐 一粒1,000円のですね。
ただ、あの一粒1,000円のイチゴは全体の2%位しか採れないものなので。
小林 少ないですね。
岩佐 本当に少ししか採れないので、その量を増やしていくことが非常に重要です。
ただ、ブランドは本当に凄い商品が1個あると、その下のセカンドブランドも引っ張られて値段が上がっていくので、そういったブランド効果を狙っているということもあります。
高島 それは実際どうですか?
ミガキイチゴ(MIGAKI-ICHIGO)以外、残りの98%のイチゴに引き上げ効果が出ていますか?
岩佐 そうですね。
弊社で扱う全てのイチゴの価格の平均は、一般に流通しているイチゴの2.4倍になっています。
ブランディングは今の所上手くいっていると思います。
高島 なるほど、素晴らしいですね。
安田 一つ質問しても良いですか?
2%のイチゴが「ミガキイチゴ」ブランドになるということですが、それ以外の商品もミガキイチゴブランドで統一されているのですか?
岩佐 そうですね。
プラチナ、ゴールド、シルバー、レギュラーという商品展開になります。
その他にも普通のイチゴがあり、それはノンラベルで市場にそのまま流しています。
安田 なるほど。
高島 この等級をつけて販売するというやり方は、夕張メロンや松坂牛といった、農業の世界でも農協さんが指導をかなりしっかりされてきたような所とブランディングの考え方は近いですね。
ありがとうございます。
(続)
続きは アグリテックの「儲け」のポイントはどこか? をご覧ください。
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編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/横井 一隆/鎌田 さくら
【編集部コメント】
1粒1000円のイチゴ、写真からも美味しそうな感じが伝わってきますね。僕がこの記事を編集した分の給料で”?個”買えます!(横井)
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