Made in Japanのものづくりの復活を力強くサポートするファクトリエ山田さんのプレゼンテーションの記事をぜひご覧ください! プレゼンテーション動画も併せてご覧ください。
ICCカンファレンスでは「カタパルト」登壇企業を継続的に募集しております。スケジュールなどはぜひ募集ページをご覧ください。
登壇者情報 2016年3月24日開催 ICCカンファレンス TOKYO 2016 「カタパルト」(10分間のプレゼンテーション) 山田 敏夫 ライフスタイルアクセント株式会社 代表取締役 (サービス名「ファクトリエ」) 大学在学中、フランスへ留学しグッチ・パリ店で勤務。ソフトバンク・ヒューマンキャピタル株式会社入社。メディア事業本部営業マネージャーを経て東京ガールズコレクションの公式通販サイトを運営する「fashionwalker.com」へ。社長直轄の事業開発部にて、最先端のファッションビジネスを経験。2012年ライフスタイルアクセント株式会社を設立。2014年中小企業基盤整備機構と日経BP社との連携事業「新ジャパンメイド企画」審査員。2015年経済産業省「平成26年度製造基盤技術実態等調査事業」を受託。年間訪れるものづくりの現場は100を超える。
おはようございます、ファクトリエの山田です。よろしくお願いします。
ファクトリエは作り手と使い手を繋ぐインフラ
ファクトリエは工場直結アパレルブランドとして、全てECのみでやっており、製造工程までサイト内で紹介しています。
もしよろしければ、少し生産してるムービーをお持ちしましたのでぜひご覧ください。
ファクトリエの場合全ての商品に動画を入れてまして、この糸がどういうふうに生地になって、それがどういうふうに裁断されて、縫製されて、どんな人達が作っているのか、というのを全て見ていただけます。
こうやってジーンズが1本ができて、そして明日の発送には届きますというものがメールで届きます。
私が一つ一つ、全国各地の工場を訪れて「工場から直接販売する」。よく言われるのは、市場価格の半額くらいでファクトリエは買っていただけるんですが、実はその値段というのも工場側が決めているっていうところが特徴でして、きちんと工場側が利益を得られる形でファクトリエと一緒に取り組んでいます。
そして、エルメス本社の副社長をやっていた齋藤峰明さんにも顧問としてさまざまな意見をいただいています。
MADE IN JAPANの取り巻く厳しい環境
とはいえMADE IN JAPANというのはこの30年で10分の1まで減っており、取り巻く環境っていうのが非常に厳しいという状況を少しご説明したいと思います。
工場は現在仕事が無いのかといいますと、実はフル回転で動いてまして、フル回転で動いているけれど単価が安いから赤字になっていると。
2つ目は若手がこの20年誰も採用されていなくて、1個上の世代が40代っていうのはザラにあると。
3つ目がそれによって意欲が低下する。
ちょっと図をご覧ください。下請けだから赤字になって、若手がこなくて、意識が低下して、っていう負のサイクルができてるっていうのも日本のアパレル産業における特徴かなと思っています。
地方の持つ力を活かすには?
現在ファクトリエが提携している9割が、人口10万人以下の小さな町で行われています。
過疎地域はこれからも加速度的に増えていくという中においては、ファクトリエがやる使命というのはただ単純にいいものを作るだけじゃなくて、それが長く続く仕組みも一緒に作っていかなければいけないなと思ってやっています。
写真のような3万人ほどの瀬戸内海の町には素晴らしい技術があるのです。でも、これらの街は今後過疎化が進み、無くなっていく。それでいいのか?というとそうは思っていません。
1つ1つ工場まわってみますと、3年で500工場ぐらいになりました。ちょうど昨日も秋田に行ってました。
トレンチコートでいうとBURBERRYですとかアクアスキュータムですとか、ポロシャツでいうとラルフローレンですとかラコステですとか、世界トップブランドを作っていた工場がまだまだある。それを厳選して販売しています。
35地域全ての商品に実は工場名が入ってまして、それが大切なことだと考えています。
地元の新聞が大きく報じる。
自分たちの地元に誇れるものが見つかったとか、こういうものがあったと。これで採用が上手くいき始めてまたんですね。
実は、3年前から工場見学ツアーを始めました。ファクトリエの工場見学ツアーを何を目的に始めたかと言いますと、実はお客様満足ではなくて、工場に若い子が入っても半年ぐらいでみんな辞めるという事件が各工場で起きまして、これではファクトリエが彼等(工場)が儲かる仕組みを作ってもダメだなと思って、実際にお客さんと直接会ってもらった方が早いと思ってやりました。ぜひ工場見学ツアーの動画があるのでご覧ください。
先月は京都でしたし先々月は富山。実際半分くらいが関東のお客様が新幹線で3〜4時間かけて来て、体験して、それでまたフェースブックに上げたりツイッターに上げたり、それをまた地元のメディアが、新聞がきて、地元にこんな東京からお客さんが来てる、みたいなのがサイクルになっています。
実際に工場見学ツアーを始めてから、離職率が今まで100%半年後には辞めるということが私の中でずっと課題だったんですが、それが現在は今のところゼロで、みんな辞めていません。
その代わり僕らがやってるのは、これが終わった後に寄せ書きを書いてもらうんですね。それは各工場に届くので、工場の方がそれを食堂に飾ったりして、自分たちが作っているものが、マフラーを遠距離の彼にプレゼントしたらそれをつけて来てくれました、となっていると、それが書いてある.。
自分たちがやってるのが単純な300枚縫う作業なのか、誰かの大切な思い出になるものを作ってるのかっていうのは、全く意識が変わります。
僕らが作ってるのはファストファッションではなく、誰かの大切な思い出が詰まる器を作ってるんだ、と思って工場と話しています。
作り手と使い手が触れ合う場を作ることの価値
工場ツアーもそうなんですが、作り手と使い手がリアルに触れ合う場は必要だと思ってまして、2年前に銀座に40坪ぐらいのスペースを作りました。
ここで工場の方々と毎月イベントをやってます。大体100人ぐらいを上限にお客様を呼んでるんですが、だいたいすぐに埋まってしまいます。
丁度一昨日は学生を100人集めまして、工場を10工場ぐらい全国から集めて就活イベントを開催しました。よく工場が若手が誰もいないと言うので10工場ぐらい集めて、僕らが100人集めました。
サイクルとしてムーブメントとしてちゃんと起こさないといけないと思っているので、ゲストはクールジャパン機構の太田社長ですとか、BEAMSの遠藤副社長、オンワードホールディングスの保元社長ですとか、業界全体でMade in Japanを応援しよう、とやっています。
ファクトリエが実現していることと今後実現したいこと
ファクトリエが今実現してることを簡単にまとめました。
下請けというのを直売にして、赤字から、彼等(工場)が値段を決めますので必ず儲かるようになる。若手不在から、20年ぶりに採用が続々と決定し、意欲低下からやる気アップという流れです。
ファクトリエは工場が決めた値段の倍で売るということを決めてますので、基本的にはファクトリエの売上は大体3-400%ぐらいで年々推移しているのですが、その半分は全て工場が儲かっているという現状です。
よく聞かれる海外に関しては、今現在150ヶ国ほどからアクセスいただいてまして、100ヶ国以上に発送が完了しているの現状です。これは昨年末から始めたばかりですのでまだ3ヶ月ぐらいですが、MADE IN JAPANという部分では爆発的に増えている状況です
私たちのビジョンは、オリンピック選手団のユニフォームを作ることです。
アメリカはラルフローレン、フランスはラコステなど、各国代表するブランドが作っているため、日本各地で作られたジャケット、シャツ、スラックスでコーディネートできれば各地が盛り上がるのではと思っています。
「日本のものづくりから世界ブランドを作る」プレゼンは以上になります。ありがとうございました!
(終)
プレゼンテーション終了後は第一線で活躍する経営者やベンチャーキャピタリストの方々と積極的な質疑応答が行われました。
(コメンテーター 一覧) 伊藤忠テクノロジーベンチャーズ株式会社 パートナー 河野 純一郎 氏 株式会社エニグモ 代表取締役 須田 将啓 氏 株式会社オプトホールディング 代表取締役社長CEO 鉢嶺 登 氏 株式会社クラウドワークス 代表取締役社長 CEO 吉田 浩一郎 氏 グロービス・キャピタル・パートナーズ パートナー/Chief Strategy Officer 高宮 慎一 氏 株式会社クラシコム 代表取締役 青木 耕平 氏 株式会社ネクスト 代表取締役社長 井上 高志 氏 株式会社フリークアウト 取締役 COO 佐藤 裕介 氏 株式会社Bloom&Co. 代表取締役 彌野 泰弘 氏
新しい産業をリードするトップリーダーが参加するコミュニティ型カンファレンスの特徴を最大限に活かした「カタパルト」は素晴らしい出会いの場となります。ICCカンファレンスではスタートアップのプレゼンテーションの場「カタパルト」の登壇企業を継続的に募集しております。スケジュールなどはぜひ募集ページをご覧ください。
編集チーム:小林 雅/城山 ゆかり
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