モバイル通信とクラウドでIoTを加速する「SORACOM(ソラコム)」のプレゼンテーションをぜひご覧ください。一部デモもございますのでプレゼンテーションの動画も併せてご覧ください。
ICCカンファレンスでは「カタパルト」登壇企業を継続的に募集しております。スケジュールなどはぜひ募集ページをご覧ください。
登壇者情報 2016年3月24日開催 ICCカンファレンス TOKYO 2016 「カタパルト」(10分間のプレゼンテーション) (プレゼンター) 玉川 憲 株式会社ソラコム 代表取締役社長 株式会社ソラコムを創業し、IoT プラットフォームのスタートアップに挑戦中。1976年大阪府生まれ。東京大学工学系大学院機械情報工学科修了。米国カーネギーメロン大学MBA(経営学修士)修了、同大学MSE(ソフトウェア工学修士)修了。AWSの可能性に魅せられ、2010年に日本市場の立ち上げにエバンジェリストとして参画。2012年より、アーキテクト、トレーニング、コンサル部隊を統括。CDPの発起人。普段の趣味は子育て、テニス、フットサル。 『Amazon Web Services クラウドデザインパターン 設計ガイド』『同 実装ガイド』『Amazon Web Servicesガイドブック』『アジャイル開発の本質とスケールアップ』他、著作翻訳多数。
ソラコムですね、特筆すべきは、私の名前と住所が同じというのがまずつかみなんですけれども。(会場笑)
まだ1年半ほどの会社ですが、既に大きな資金調達をしていて、ある意味シリコンバレー的なハードテックなスタートアップをやっております。IoT/M2M向けの通信プラットフォームを提供している会社です。
私はもともと基礎研究所あがりなんですね、IBMからAmazonに移り、直近5年はAWSの立ち上げをやっておりまして、技術統括をしていました。
そして、このソラコムの立ち上げに至ります。日本初でグローバルに通用するプラットフォームビジネスを創りたいと思ってスタートアップに挑戦しています。
テクノロジースタートアップを始めるにあたり、私が人生で出会ってきた超優秀、秀才、天才系のエンジニアばかりを集めてチームを作りました。
では、何をやっているのかというと、ここ数年で非常にクラウドが進化してきました。さらに最近、モノ系のスタートアップも盛り上がっていて、Cerevoさん、ユカイ工学さん、Akerunさんとかが出ていたと思うんですけど、今後さらに車、ドローン、それから家電や装置、街中にあるセンサーといったものは、どんどんインターネットにつながるだろうと言われています。インターネットに繋がるモノは、2020年に500億とか50億と言われているんですね。
それはいいし、IoTはすごく盛り上がると思うんですけれども、実際IoTのシステムを作ろうと思うと、皆さんインターネット接続に困るんですね。Wi-Fiもいいけど、Wi-Fiは場所が限られるし、セキュリティの設計が難しい。イーサネットケーブルで有線でつなごうとすると、工事しないといけないし、これも場所が限られる。
ということで、我々が思ったのは、スマホと同じ、3G/LTEのモバイル通信が1番いいだろう、ということです。
ただ、モバイル通信というのはヒト向けに作られてきたんですね。ガラケー、携帯向けに作られてきたから、通信スピード重視で、高機能だから、値段も合わない。モノに本当に必要な通信に特化したい、そう考えて、新しく作ることにしました。
ということで、我々は、モノ向けに特化したモバイル通信サービスということで、1日10円から使えるデータ通信SIM「SORACOM Air」というのを作りました。
Amazon.co.jpでも1枚から売っておりまして、NTTドコモの端末、もしくはSIMフリー、もしくは通信機器、Wi-Fiルーターに挿せばすぐ使えるようになっています。
「SORACOM Air」は、通信出来るのみならず、挿した後に、このような形で、ウェブの上で回線管理が出来ます。いつ通信を始める、解約する、それから1つ1つの回線の速度すら変えられるんですね。
更にですね、通信量の把握であったり、監視機能であったり、こういう色々な機能が使えるようになっています。
もう1つですね、単純な通信のインフラのみならず、プログラムでコントロール出来るようになっています。ですので、通信を止めたり速度を変えたりというのをプログラムでコントロール出来るので、付加価値がつけられるんですね。
例えば、学校向けの通信端末を出すときに、理科の実験で使ってもらうタブレットだったら、授業が開始してから通信出来るけど、授業が終わりになると止まると。休み時間にYouTubeが見られない、問題が起きない。
そういうようなことが出来るので、SORACOMの通信を使って頂くと、色んな付加価値を載せたシステムが作れます。
ですので、今のカード1枚560円で売っておりまして、基本料金1日10円、データは流した分だけ、1番安い速度帯で、1メガバイト0.2円から使える。1ギガ使ったとすると200円ですので、非常に安いです。これを使っていかようにでもビジネスして頂いていいというような考え方なんですね。
例えば、動態管理といって、流通とかの管理をするときに、トラックに乗せたりするもので、毎分、位置データを送るってなったら、大体月303円くらいですね。決済端末、毎日1000決済するとなると、大体月350円くらい。デジタルサイネージで、16MBの情報を毎晩落とすと、月396円くらいですね。モバイルワーカーで、業務端末で300MBくらいだと、480円くらい、だと。これくらいの値段で使えるということですね。
オープンでフェアでプログラマブルなモバイル通信プラットフォームで、今日から誰でも通信業者になれます。ですので、デバイスを作っている人も通信業者になれるし、クラウドのインテグレーターも通信業者になれる。もちろん、個人でも、通信業者になれるということで、アワードもたくさん頂いています。
ここ2週間でも、日経BP社のミライITアワード、ATTT、これは車のアワードですね。我々のお客さまには、車のお客さまも大分増えてきたので、こういったアワードも頂いております。
皆さん気になるのが、我々のようなITベンチャーが、どうやってモノ向け通信をやっているのか、というところなんですけれども。そもそも、通信事業っていうのは、ものすごい投資が必要なんですね。
NTTドコモさんは、基地局を数万個設置して、数兆円かけています。その後ろのデータセンターも数兆円かけています。これを我々がイチから創ることは出来ません。
そこで、非常にユニークなやり方をとっておりまして、通信事業者さんの基地局だけをお借りして、データセンター部分は、私がもともとAWS出身なので、全く投資をせずに、クラウドの上にソフトウェアでネットワークシステムの仕組みを創りました。
ですので、データのパケット交換から、顧客管理システムから決済システム、全てクラウド上でソフトウェアで手組みで作っています。ソラコムのエンジニアが半年間くらい会社にこもって、少人数で作ってきました。
これ一言で言うと、NTTドコモの基地局とAWSというマーケットリーダーのクラウドの両巨人の肩にのった、バーチャルキャリアなんですね。全く資産を持たないバーチャルキャリアです。お客さんが増えれば、その分だけクラウドの利用を増やせばいいというような、そういうような仕組みを持っています。
「SORACOM」は、モバイルとクラウドが融合したIoT向け通信プラットフォームになります。
リリース4ヶ月で、1500以上のお客さまに使って頂いておりまして、非常に大企業のキャノンさんを始め、先ほど出ていらしたAkerunのフォトシンスさんなどのスタートアップに至るまで、企業規模を問わず、色々なエリアで使って頂いております。
フォトシンス様の、Akerun Remoteも使って頂いていますし、
Safecast様、これはNPOなんですけれども、放射線センサーが入ったデバイスをボランティアに買ってもらって、ボランティアは自転車とか車とか、家のどこかに置くんですね。そして、放射線の情報と位置情報をクラウドにあげる。信頼に足るオープンデータ、放射線オープンデータを作っています。非常に社会的に意義がある。こういう複雑なIoTシステムをソラコムとクラウドを使うことによって、NPOでも実現しているんですね。
パルコ様はカメラセンサーをですね、このカメラセンサーは特殊なもので、映像データから性別と年代を把握するんですね。そのテキストデータだけ、クラウドにあげて、何時にどれぐらいの人数がどういう人が来たのかという客層分析に使っている例です。
十勝バス様、これは北海道の帯広のバス会社さんなんですけれども、バス全てにうちのSIMを入れて頂いていて、位置情報を把握しています。リアルタイムの位置情報を使って、路線案内アプリを提供するというモデルですね。これもこれまでは通信料が高くてペイしなかったんですけれども、今はやれるようになったということですね。
リクルートライフスタイル様、Airレジ、POSレジですね。カード決済も出来るPOSレジなんですけれども、1ヶ月間だけテレビ朝日さんのイベントで、屋外に店舗を出すときに、1ヶ月だけ使える決済端末として使って頂くということですね。工事とかする必要がないということです。
東急ハンズ様、これも変わった事例で、ハンズさんの店舗では、専用線を引いて、レジシステムを動かしているんですね。ただ困っていたのは専用回線が障害すると、店舗システム使えなくなると。なので、そのときのバックアップ用に専用回線をもう一本ひくのかというと、高くて合わないんですね。
それだったら、専用回線が来ている端末にUSBの差口があるのでそこにSIMが入った スティック型のデータ通信端末をバシッと挿しておけば、1ヶ月300円でバックアップ回線が出来るという使い方ですね。
これも我々は想像していなかったんですけれども、最近爆買いということで、中国台湾からものすごい旅行者が来るんですね。彼らは爆買いすると、それを写真に撮ってソーシャルにあげたりということで、インターネットにつなげるSIMが欲しいんですね。なので、短期間のSIM、訪日旅行者向けのSIMというのを、eConnect Japan様は、我々を使ってビジネスをしているという例ですね。
その他色々、様々な素晴らしいスタートアップが今SIMを使って頂いて、介護向けに特化したスタートアップ、見守りシステム、それから高齢化社会のおじいちゃんがテレビチャンネルを変えたら、孫の写真が見える端末、というようなスタートアップでもどんどん「SORACOM」を採用してもらっています。
我々は、エコシステムを非常に重視しておりまして、基本的には、通信という共通基盤を提供する会社なので、色々お客さまからIoTやりたいと言われても、デバイスもないし、インテグレーションするリソースもないんですね。
ですので、周りにパートナーさんをいっぱい集めて、どんどんどんどんIoTシステムを創っていきたいということで、こういうエコシステムを創って、認定デバイスみたいなプログラムもどんどんやっています。
お客様のフィードバックを基にどんどん開発しておりまして、リリース4ヶ月で、サービス6個、新機能発表8回、値下げ3回やっています。
モバイル通信が「SORACOM Air」というサービスで、ほかにも「SORACOM」にはすでに6つのサービスがあります。IoTに必要な、データ転送やセキュリティなどを「SORACOM」側でサポートできたら、モットIoTシステムを作るハードルが下がるなと考えて、お客様のフィードバックを受けながら、必要な機能をどんどん開発しています。見て頂いたら分かるように、ABCDEFと並べて作っています。次はGなので、ネーミングが結構大変だなと思っているんですけれども。
我々のコアセットはソフトウェアなので、これまで通信事業者っていうのはある国に出ていこうとすると、数兆円レベルで、思いっきり投資しないといけなかったんですね。それを我々はしなくていいですね。キャリアと提携すれば、どこでも持っていけるということで、今年は、グローバル展開しようということで、グローバルで「SORACOM」を使えるようにしていきます。
我々はクラウドが出来てから、たくさんのWebサービスが出来ました。「SORACOM」が出たことによって、たくさんのIoTシステムが生まれたと言われるような仕事をしていきたいと思っております。ご清聴有難うございました。
(終)
プレゼンテーション終了後は第一線で活躍する経営者やベンチャーキャピタリストの方々と積極的な質疑応答が行われました。
(コメンテーター 一覧) 株式会社アイスタイル 代表取締役社長 兼 CEO 吉松 徹郎 氏 Asia Africa Investments & Consulting Pte.Ltd. 代表取締役/CEO 椿 進 氏 East Ventures Partner 松山 太河 氏 クオンタムバイオシステムズ株式会社 代表取締役社長 CEO 本蔵 俊彦 氏 グーグル株式会社 製品開発本部長 徳生 裕人 氏 株式会社gumi 代表取締役副社長 川本 寛之 氏 グリー株式会社 取締役執行役員 荒木 英士 氏 株式会社慶應イノベーション・イニシアティブ 代表取締役社長 山岸 広太郎 氏 株式会社SHIFT 代表取締役社長 丹下 大 氏 株式会社スマートエデュケーション 代表取締役社長 池谷 大吾 氏 株式会社ディー・エヌ・エー 執行役員 原田 明典 氏 UBS証券株式会社 マネージングディレクター 武田 純人 氏
新しい産業をリードするトップリーダーが参加するコミュニティ型カンファレンスの特徴を最大限に活かした「カタパルト」は素晴らしい出会いの場となります。ICCカンファレンスではスタートアップのプレゼンテーションの場「カタパルト」の登壇企業を継続的に募集しております。スケジュールなどはぜひ募集ページをご覧ください。
編集チーム:小林 雅/藤田 温乃
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