「26歳の時に漫画家になる夢を断念し、起業して漫画事業に取り組むフーモア芝辻の挑戦(前編)」をぜひご覧ください。10分間プレゼンテーションの書き起しの前編です。プレゼンテーション動画も併せてご覧ください。
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登壇者情報 2016年3月24日開催 ICCカンファレンス TOKYO 2016 「カタパルト」(10分間のプレゼンテーション) (プレゼンター) 芝辻 幹也 株式会社フーモア 代表取締役社長 株式会社フーモア 代表取締役 兼 漫画家 1983年生。東京工業大学・同大学院卒業後、2009年アクセンチュア入社。 大規模システムのPMO、大手小売業のBPRのプロジェクトに参画。 その後、ルームシェアメンバーとシェアコトを創業しグルーポン系サイトを立ち上げる。同事業譲渡後、トライバルメディアハウスに入社しソーシャルメディアマーケティングを学ぶ。 2011年11月株式会社フーモアを創業し同社代表に就任。 ゲーム向けのイラスト・3DCG制作クラウドソーシングのサービスを中心に提供し、2015年3月までに株式会社マイネット、株式会社サイバーエージェント・ベンチャーズ、三菱UFJキャピタル株式会社、株式会社アカツキ、株式会社Donutsなどから総額約1億円の資金調達を実施。
芝辻幹也氏(以下、芝辻) 株式会社フーモアの芝辻が発表させていただきたいと思います。
「マンガで世界中に感動を!」とあります。今回登壇させていただいた目的なんですけれども、こういう会社がありますよということと、今後こういうことをやっていきますよということを、皆さんに発表していきたいなと思っています。
漫画家から起業家へ
まず、この絵を見て何だっていうところなんですけれども、私は昔から漫画家を目指しておりました。これはロボット系の漫画を描きました。
ピエロの漫画も描きました。
胡瓜くんと苺ちゃんみたいな漫画も描きました。鳥山明みたいな絵のテイストに星新一さんの要素を掛け合わせたみたいな漫画をひたすら描いていました。これ、鳥山明っぽくないですかね?
鳥山明さんが大好きで、そういったようなテイストの絵をたくさん描いていたんですけれども、なかなか編集者の目に留まらず、26歳のタイミングで漫画家を諦めました。
それがちょうど2009年のタイミングでした。挫折して、漫画家以外の道を歩もうということで、フラフラしてたんですけれども、漫画以外に何が自分に向いているんだろうなというところで、就職してみたり、グルーポン系の企業を作ってみたり、ベンチャー企業に入ってみたりと色々と道を探しました。
個人でもちょこちょこウェルカムボードを受託はしていたんですけれども、ある日、結婚式のために80人の似顔絵を描いてほしいというオーダーを受けて、さすがに多いなと思ったんですけれども、描いて納品をしたら新郎新婦さんにすごく喜ばれて、結婚式に来てほしいと言われました。
そして参加したら、IT系の社長さんだったんですけれども、iPadの席次表をクリックすると似顔絵があり、新郎新婦からのコメントが読める形になっていました。
私は端からそれを見ていたんですけれども、高齢者の方も若い方も、その絵を見て似てるね似ていないねというのをわいわい話されてたんです。
絵の力ってすごいんだなと思って、やはり自分には絵だなということで、貯金20万円くらいしかなかったんですけれども、その3ヵ月後の2011年、資本金2万円でこの会社を作りました。
この会社の理念・ビジョンは、「クリエイティブで世界中に感動を」です。会社を作ったときの動機をそのまま理念・ビジョンにしています。
創業ストーリーになってしまうんですが、当時お金がなかったので資本金が2万円だったんですけれども、男4人で築60年のボロ屋に家賃3万円で住んで、通勤は全て自転車で、雨の日も雪の日も中野から新橋まで。ウエハラさんのところに紹介をしていただいたんですけれども、すごく頑張っていました。
一番最初のサービスは、チープなんですけれども似顔絵のサービスをやっていまして、フーモアという会社名は、「Who is Humor」、何だろうこのユニークな似顔絵は?という意味です。私が描いた目とか鼻のパーツを組み合わせてSNSで使ってもらうみたいな、そんなものを作っていたんですけれども、見事に失敗しました。
会社は漫画のサービスをやっていこうということで試行錯誤していたんですけれども、あるタイミングで、ゲームのイラストを描かないかということで受託をしました。それが2012年で、モバイルのイラストを受託しました。
Webマーケティングとか病院のコンサルティングとかもしていて、受託で稼いでいたんですけれども、漫画のために作った会社なので、一回、漫画に力を振り切ろうということで、イラスト製作のクラウドソーシングに振り切りました。
クラウドソーシングといっても、今まで累計2,000プロジェクト以上やっています。
登録されている作家さんは4,000名以上いて、国内7割、海外3割という状況です。
今、創業して5年なんですけれども、売り上げを順調に伸ばしてきています。
クラウドソーシングといっても、実際はランサーズさんとかクラウドワークスさんみたいにマッチングしてやっているというよりは、ディレクションして行っています。お客様からの、こういう絵を描いてほしいという要望を受けて、適切な作家さんにアサインをして、上がってきたものを社内で調整をして納品するということを、大量にやっています。
大体、今、月に1,000枚くらい作っていて、1,000枚作ると進行管理が結構大変なので、これはオープンにはしていないんですけれども、進行管理ツールを導入しており、作家さんをレーティングする仕組みを持っています。
「クオリティ」は絵の見た目で分かるんですけれども、「対応力」や「スピード」や「コスト感」も、やればやるほどここにどんどん溜まっていくような仕組みを持ってやってきました。
ゲームのイラスト制作から漫画制作へ
いよいよ昨年 2015年に、このイラストのノウハウを生かして漫画製作を開始しました。いよいよ本丸ですね。
いくつか打ったんですけれども、最初はいわゆる漫画広告というのを受託しました。
漫画広告と聞くと、プレーンな漫画で説明っぽい漫画をイメージされると思うんですけれども、それは既にたくさんやられているというのと、面白いものを作っていきたいという思いがあり、広告なんですけれどもストーリー性のある、今風の絵柄のものを作ってみたら、依頼が10倍になりました。これはすごく嬉しいことなんですね。実績を認められたというところなんですけれども、
実績を認められたというところなんですけれども、今までの漫画の作り方だと、どうしても10倍の量をこなせないという課題にぶち当たりました。どうしてかというと、ちゃんと描ける漫画家さんが足りないからです。
漫画家不足といいますけれど、漫画家さんって人数は結構いるんですよね。けれども全てのスキルですね、例えばストーリーを考えたりシナリオを考えたりするスキルを全て持っている漫画家さんって、本当に数百名くらいしかいなくて、そういう方々が「ワンピース」とか「ドラゴンボール」などを出版社に連載しているような状況です。
それをどうやって解決しようかといったときに、改めて漫画の作り方の分析をしてみました。
漫画製作には大きく3つの工程があります。企画・概要を考えてキャラクターデザインをして、そこからネーム・下書きをして、ペン入れ・仕上げと今までの漫画製作は、基本的には先生と呼ばれる漫画家さんが全工程をやっていたんですね。
しかし実際はというと、ある漫画家さんはシナリオは得意だけれど絵は苦手というようなことがあるので、どうしてもスピードが遅くなってしまいます。そこで分業でやってしまおうと考えました。
弊社の場合は、編集ディレクションはイラストで持っているのと、イラストレーターさんの登録もたくさんあったので、シナリオライターとネーム創作者をうまくマッチングすればいいものができるんじゃないかというので、工程ごとに分業体制を構築しました。
これによって、クオリティ高い漫画が短期間に作れることが分かりました。
実績も結構ありまして、gumi様の「ブレイブフロンティア」も今でも担当せていただいています。
アカツキ様の「サウザンドメモリーズ」も担当しました。
ゲームのお客様が多いんですが、ナショナルクライアントさんも多く担当していまして、大幸製薬様の「正露丸くんと糖衣ちゃん」な事例があります。
広告の漫画なんですけれども、「マンガボックス」というところで結構広告を作ってたりしているんですけれども、ランキングで上位に出るといった結果も出始めました。
(続)
編集チーム:小林 雅/Froese 祥子
続きはこちらをご覧ください:スマートフォン向けのオリジナル漫画事業で世界へ フーモア芝辻の挑戦(後編)
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