7.シェフの技術が直接味わえる、特殊で贅沢な日本のレストランシーン | 【ICC】INDUSTRY CO-CREATION

7.シェフの技術が直接味わえる、特殊で贅沢な日本のレストランシーン

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「大人の教養シリーズ『美食』について語りつくす」(シーズン2)全9回シリーズの(その7)は、欧米のミシュラン店とは規模が異なり、世界でも特殊だという日本のレストランシーンについて語ります。欧米はレシピ、日本は技術となる理由とは? また、社会が変わった2020年のハセマコさんの活動報告もあります。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット KYOTO 2021は、2021年9月6日〜9月9日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページのアップデートをお待ちください。

本セッションは、ICCサミット FUKUOKA 2021 ダイヤモンド・スポンサーのノバセル にサポート頂きました。


【登壇者情報】
2021年2月15〜18日開催
ICC FUKUOKA 2021
Session 12B
大人の教養シリーズ 「美食」について語りつくす(シーズン2)
Supported by ノバセル

(スピーカー)

西井 敏恭
株式会社シンクロ 代表取締役 / オイシックス・ラ・大地株式会社 執行役員CMT / GROOVE X株式会社 CMO

長谷川 誠
株式会社NTTドコモ
スマートライフ推進部 マーケティング推進担当部長/シニアプロフェッショナル

舟本 恵
JR西日本SC開発株式会社
カンパニー統括本部 開発戦略室 室長

山本 憲資
株式会社サマリー
代表取締役

(モデレーター)

榊 淳
株式会社一休
代表取締役社長

大人の教養シリーズ「美食」(シーズン2)


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最初の記事
1.新たな変態美食家を迎えてパワーアップ!「美食」を語り尽くすシーズン2

1つ前の記事
6.店・料理人に好かれるには、食べ手の「心技体」を学ぶべし

▶このセッションで紹介したお店のリストをを番外編としてまとめました。よろしければぜひご活用ください。
【番外編】「大人の教養シリーズ『美食』について語りつくす」(シーズン2) 登場したお店リスト

本編

常連になるには

長谷川 最後に、常連になるためにはどうすればよいかをお話しします。

繰り返しになりますが、料理人を尊重し、店と客の関係ではなく、人と人の対等な関係になることです。

また、定期的に通って、仕入れにブレがあることを認識した上で、良い時と悪い時があることを理解しましょう。

心技体(Part.6参照)を磨くと常連客になれるので、それを目指して頑張ってください。

お店に行かせていただいているという気持ちで

山本 おっしゃる通りだと思います。

客のほうが偉いと思っている人も多いと思います。

その気持ちも分かるのですが、予約の取れないような店にとっては、客とは偉いものではありません。

店と客は対等、むしろ店のほうが上であると理解していないような振る舞いをすれば、交渉力という観点から見ると、嫌われるのは当たり前かと思います。

むしろ、そのお店に行かせていただいているという気持ちは、常連になるためというよりも、店への基本的な接し方として当然持つべきではないでしょうか。

これは、媚びるとはまた別です。

「貴重な料理を食べさせてくれて、ありがとうございます」という姿勢で臨むということで、僕にとっては普通のことだと思いますね。

長谷川 人気店にとっては特に、店が客を選ぶ時代です。

席数も限られているので、気持ち良く仕事ができる人に来てほしいと思っています。

ですから、客は偉くないというのは、山本さんのおっしゃる通りだと思いますね。

日本のレストランシーンは特殊で贅沢なもの

山本 先日、パリにある「MAISON」の渥美創太さんと、『Ring of Colour』という雑誌で対談をしました。

「MAISON」渥美創太と「Sumally」山本憲資が語る、コロナ禍のフードシーン <前編>
「MAISON」渥美創太と「Sumally」山本憲資が語る、コロナ禍のフードシーン <後編>

そこでの話題で面白かったのが、日本のレストランシーンは特殊だということです。

例えば、8席のカウンターが料理人としては最高のスタイルになっている点は、ビジネスの観点から考えると異常です。

顧客数を絞って、売上の最大化を目指すのではなく、クオリティの最大化を目指すことが最も素晴らしいとされている業界なのです。

トップレベルの料理人が8席しかないレストランを何十年も経営し続けていて、それを享受できるというのは、食べ手にとってはものすごく贅沢なことです。

欧米型の場合、ロブションデュカスのように、席数を増やして支店を増やし、シェフとしてもビジネスパーソンとしても成功させようとします。

8人に向けて作る料理と、50人用にメンバーを指揮して作る料理があれば、前者のほうが絶対に美味しいです。

日本のレストランシーンはそれが当たり前になっているので、当然レベルが高くなりますよね。

例えば、大学生が調理している日本のダイニングバーでも、アメリカでは1つ星がとれるレベルにあると思います。

これは、少ない席数のお店が多いからこそ起こっているのだと思います。

また、パリで活躍している日本人シェフは、欧米型と日本型の間をとっているようですね。

そこまで規模を大きくしたくないけれど、席数が少ないと仕入れた食材を使いきれなくて不利になるので、一定の席数を確保しながらこじんまり経営したい人が多い、と聞きました。

面白かったですね。

シェフ本人の技術が味わえるという幸せ

西井 今の話は、大事だと思います。

日本は特殊ですよね。

よく、海外のミシュランと日本のミシュラン、どちらが上かという話になりますが、論理的に考えると、絶対に日本が上です。

山本 別の競技です。

西井 そうですよね。

海外のミシュランのお店はたいてい大きい店なので、シェフが8人分の料理は作らず、100人分の料理を弟子たちと一緒に作るので、レシピ勝負なのです。

でも日本ではラッキーなことに、シェフ本人の技術が味わえます。

料理人が切磋琢磨するためには、値段もどんどん上がっていいと思います。

このガラパゴスで幸せな状態にいるにもかかわらず食べないとしたら、それはもったいないと思いますね。

シェフとの対話は海外では絶対にないわけですし、レストランの造りも、雑なものが多い気がします。

食材が良くない時期にも店に行く

舟本 料理や食材は品質が安定しているものではないですし、お肉も個体差があります。

ですから、良い時と悪い時を理解するというのは、悪い時でも楽しむということだと思うのですが….。

西井 ….….やばい質問をしましたね(笑)。

長谷川 長くなるのですが、良い時に美味しいのは当たり前だと思っています。

良い食材を仕入れてそのまま出すわけなので。

心技体で言うと、技のレベルが高いシェフは、仕入れた食材が悪くても、料理の質がブレないのです。

ですから、悪い時を理解するというのは、そのシェフのスキルを確認しに行くということですね。

シェフに「いつ行けばいいですか?」と聞く人も多いですが、「食材があまり良くない時期はありますか?」と聞いて、そのタイミングでも店に行くのです。

僕は、好きなお店には毎月行くわけではないのですが、それぞれの店に行った月はきちんとチェックしていて、どの月にも行けるような通い方をしています。

西井 長谷川さんと地方に一緒に行くのですが、たいてい、3カ月に1回くらいのペースで行きます。

同じ店でも、春夏秋冬でそれぞれ違ったものが食べられるので、これはまあ普通ですよね。

でも2周目になると、長谷川さんは微妙に月をずらすのです。

去年3月だったら、今年は2月、というふうに。

スケジュールは全て、長谷川さんが決めています。

舟本 長期的な視点で、スケジューリングをしているのですね。

長谷川 そうですね、同じ月でも前後で食材の入り方は違いますし。

ハセマコさんのおすすめ店(シーズン1で紹介)

 では、ハセマコさんおすすめのお店紹介にまいりましょう。

長谷川 こちらは、前回に出したお店です。

和食、鮨、鰻、焼肉、焼鳥の各ジャンル、定期的にリピートしているお店です。

和食だと、秋田の「日本料理たかむら」、東京の「銀座しのはら」、「日本料理 晴山」、和歌山の「召膳 無苦庵」、長野の「柚木元」、そして東京の「あらいかわ」です。

系譜もスタイルもバラバラですが、先ほどの伝統か革新か(Part.6参照)で言うと、革新的な料理が食べられるお店です。

鰻は、「炭焼き鰻 瞬」と「うな善」ですね。

今回、ICC小林(雅)さんが、昼の美食体験ランチを「うな膳」で実施してくれましたが、とても美味しいです。

焼肉は「鹿浜スタミナ苑」、焼鳥は「鳥しき」で、それぞれのジャンルの一番良い味を味わえるお店だと思います。

9.【番外編】「大人の教養シリーズ『美食』『美酒』について語りつくす」(シーズン1) 登場したお店リスト

経費でなく自腹で食べているハセマコさん

西井 長谷川さんと一緒に行くことも多いのですが、長谷川さんが他の方と明確に違うのは、彼は自腹で食べているということです。

いわゆる美食家という方々は、たいてい会社の経費で食事をしますから、「お金を払っているから、そりゃ美味しいよね」という店を挙げることが多いです。

でも長谷川さんのおすすめは、価格と味のバランスが取れている店が多いです。

長谷川 コスパだけを重視しているわけではないですが、5万円以上で通ってるのは「CHIUnE」くらいですかね。

西井 めちゃくちゃ高いお店にも行きますが、その分、厳しい採点をしています。

例えば、天ぷらが分かりやすいかな。

みかわ」は、食べログでトップ10に入っていないですよね?

長谷川 点数だけで言うと、入っていないです。

山本 僕も秋田の「みかわ」が一番好きです。

西井 おおっ!

山本 、秋田の「みかわ」は、外科医がクラフトワークをかけながら手術をしているような、ミニマルミュージックのライブのような天ぷらが食べられますよね。

長谷川 それから、現時点で完成されていない、まだまだ伸びしろがあるお店が大好きですね。

西井 天ぷらを経費で食べている人からは、他のゴージャスなお店の名前が出てくるかもしれません。

山本 高い天ぷら、ありますもんね。

長谷川 東京の天ぷらは、5~6万円します。

西井 「みかわ」が好きという人があまりいない中で、ここにいる3人が好きという…。

山本 現地に行く交通費を入れたら、ほぼ変わらないですけどね(笑)。

長谷川 同じ秋田県内の「f(エッフェ)」にも、同時に行きます(笑)。

山本 僕も「f(エッフェ)」も好きです。秋田は楽しいですよね。

昼と夜の間に、秋田県立美術館にある、藤田嗣治の『秋田の行事』を眺められますし。

 ハセマコさんは毎年1,000軒の新規開拓をしてそのうちのごくわずかしかリピートしないわけです。

そのリピート店のうち、ヘビーリピートするお店は貴重ですね

長谷川 ハセマコリピート店は8,400軒の中から見つけた答えですね(笑)。

ハセマコ直近の新規リピート店とは

西井 この1年のコロナ禍においてリピートするようになったお店もありますか?

長谷川 東京の中華「わさ」くらいですね。

ここ2年だと、「ア ドゥエ パッシ」、「炭焼き鰻 瞬」、「柚木元」です。

山本 「瞬」がおすすめしている鰻屋が、滋賀県にあります。

長谷川 「う嵐」(旧店名:う晴)ですか?

山本 そうです。

長谷川 あそこはまぁ…(笑)。

山本 僕は来月初めて行くので、楽しみにしています。

長谷川 「瞬」は、2019年の個人的なMVPです。

西井 リピート店は、毎年ずっと定番ですよね。

去年は1,000軒行って、このリストに入る店は1軒もなかったということですか?

長谷川 ヘビーリピートはしているお店はない、ということです。

山本 コロナ禍でも1,000軒行かれたのですか?

長谷川 1,000軒はあくまで目標で、いつも900軒くらいですね。

それでも、去年も900軒くらい行きました。

前回9月のICCサミットから半年経っているのに、400軒しか行けていなくて、100軒ビハインドしているのでやばいと思っています。

西井 半年で400軒行っているのが少ない、というのはよく分かりませんが……。

(続)

次の記事を読みたい方はこちら

続きは 8.美食家の心得「店と客ではなく、人と人の関係が重要」 をご覧ください。

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編集チーム:小林 雅/小林 弘美/浅郷 浩子/戸田 秀成/大塚 幸

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