クラウドワークスのターニングポイントを公開しました。クラウドワークス吉田さんが5つのターニングポイントを解説しています。是非ご覧ください。
登壇者情報 2016年11月17日収録 ビジネス・ブレイクスルー大学大学院「アントレプレナーコース」 スタートアップ企業のビジネスプラン研究 第一回 「クラウドワークス」 (講師) 小林 雅 ICCパートナーズ株式会社 代表取締役 ビジネス・ブレークスルー大学大学院 教授 氏 (ゲストスピーカー) 吉田 浩一郎 株式会社クラウドワークス 代表取締役社長兼CEO (アシスタント) 小泉 陽以
前編はこちらをご覧ください:クラウドワークス成長の軌跡
吉田氏 資金調達も含めてクラウドワークスのターニングポイントをまとめました。
吉田氏 実は、これよく驚かれるんですけど、クラウドソーシングというビジネスモデルは私は自分で考えてないんですね。
当時 サイバーエージェント・ベンチャーズの田島さんが「クラウドソーシングというビジネスモデルがあるよ」ということを教えてくれたんですね。
私は2回起業して、1回目で一緒にやっていた役員が仲間と一緒に出て行って、取引先も逃げてしまって、どん底だったんです。
そこで相談したんですよ。「売上も上げれて利益も上げれたんですけど、人が出て行って事業も作れませんでした」と。「私自身に合うような事業は何かないですかね?」というお話をしたところ、私はもともと法人営業出身なもんですから、法人営業を分かってるんだったらクラウドソーシングというのがいいんじゃないか、っていうことで教えていただいたんですね。
これは逆に伺いたいんですけど、投資家の方がフラットに市場を見てると思うんですよね。起業家は自分の好きなことがやりたいみたいな。よくあるのはカフェがやりたいとか、洋服をやってみたいとかそういう人いるんですけど、それってどうですかね?
小林氏 ベンチャーキャピタルなどベンチャー投資をされている方は職業柄、今後注目されるだろう領域を調べています。ネタはいっぱいあるんですよ。
「今後はクラウドソーシングが来る」と言われたときに「これだ!」と思い込むのは実は起業家としての特徴なんだと思うんですよ。
おそらく田島さんも意図して言ったわけじゃないと思うんですよ。
他にも「シェアリングエコノミー」とかよく言われるじゃないですか。色んなものがあるんですよ。
ではなぜクラウドソーシングだったの?と言うと、法人で営業が活きるとか、自分の強みを活かせるものは何かっていうのを常に考えてたと思うんですよね。たまたまそれがクラウドソーシングだったということだと思うんです。
自分の強みは何かということを起業する時に考えると思います。
自分は何が強いんだろうなど考え、なんとなく強みは分かったが、実際に何をしたらいいか分からないというのが普通なんですね。
自分で探すのに限界があるから色んな人に会って聞くと、ポロっと出てきた言葉が、調べるとこれはいけるんじゃないか、というのがきっかけになるんですよね。
そういうのを常に心がけて、日々色んな物を見ていくというのは非常に重要かなと思いますね。
小泉氏 吉田さんもそうして見てきた中の1つがそれだった、ということなのかもしれないですね。
吉田氏 そうですね、確かにおっしゃるように教えていただいて調べるとはハマりました。これならば俺にできると。
小林氏 そもそも吉田さんの場合は、どこかに就職するという選択肢はないわけですよ。
何かを自分でやりたいという選択肢なので、転職活動している方は「どこかいい会社ないですか?」と聞くと思うんですけど、自分で起業しようとすると、いいネタないか?と聞くんですよ。
「いいネタないですか」と質問をしないと教えてもらえないじゃないですか。
自分はこういう強みがあると思うんだけど何が向いてると思いますか?という質問をするんですね。
そうすると、「あなたはこうしたらいいんじゃないか」というのを何人かに聞くと、何となく同じような答えが出てくると、もしかしたらそれが向いてるかもしれないなと。
それを丹念に調べていくと、アメリカにはoDeskという成長している会社があるとかですね、先行事例が見つかり、日本でも調べるとこんな会社があるんだと。チャンスあるぞ、とかそんなことを考えながらビジネスプランを考えていくんですよね。
小泉氏 続きましてターニングポイントの2番目は2013年卒の成田修造さん、在学中からの執行役員抜擢ということですね。
吉田氏 先程申し上げたように2012年の9月末段階でまだ3人だったわけですよね。
仲間をどうするというところで当時考えとしては、どこから人を探すか、中途か新卒かしかないわけですよね。
サイバーエージェントに当時から憧れていたので採用の方法を調べると新卒社員を早くから育てているということをしていました。
私も新卒に着目して、学生のインターンがたくさん集まるように週1日のインターンでも受け入れて、誰でも来ていいよみたいな学生が気軽に集まる場所作りを心がけてたんですね。
色んな学生が入れ替わり立ち替わり入ってくる中で出会ったのが現在の副社長の成田でした。成田は丁度別に学生ベンチャーを立ち上げていたんですよ。
小林氏 そうなんですよ、「アトコレ」という会社ですよね。
吉田氏 そうなんですよ、人材輩出の「アトコレ」です。 これまた面白い。アトコレのメンバーにはその後に「MERY」というサービスを立ち上げた中川綾太郎という方がいて、DeNAに会社を売却したような共同創業者がいたんです。その共同創業者の一人が成田でした。
その成田がアトコレというビジネスに失敗し、代表を退任した直後に出会って、私も学生時代に失敗したことがあったという話をして、「気持ち分かるよ」ということで誘ったら、そこから彼のリベンジ魂で、学生なのにめちゃくちゃ仕事するんですよ。
下手したら我々より仕事ができる。サービスにかける強い想いもありました。
社内で議論もあったんですけれど、やっぱりそういう若い力を登用していかないといけないだろうというような話をする中で、学生なんですけど執行役員として入社してもらいたいということになりました。
当時の成田は学生起業に失敗したため通常の就職活動もしていました。大手企業や大手コンサルティング会社にも内定していたのですが、大企業に行くのか、それともベンチャーにもう1回行くのか、みたいな中でクラウドワークスを選んで参画いただきました。その彼が今は取締役副社長です。
小林氏 成田さんは何歳ですか?
吉田氏 26歳です。
小林氏 CFOの佐々木さんも若いよね。
吉田氏 佐々木も31歳です。クラウドワークスに参画した当時は28歳でしたから、私と成田の年齢は15歳ほど違うんですけれど、15才下の人間が副社長ということで次の世代を育てています。
クラウドワークスの組織基盤を非常に作ったターニングポイントでした。リスクを取って執行役員にしてでも成田を採用したのが非常に大きかった。彼にはクラウドワークスを選んでいただいて本当に感謝しています。
小泉氏 それではターニングポイントの③はIVS 2012 Spring LaunchPad優勝からの3億円増資。このLaunch Padというのは小林さんがいらっしゃったインフィニティ・ベンチャーズさんが主催されているイベントのことですよね?
小林氏 はい。「Launch Pad」はスタートアップが6分間のプレゼンテーションをするコンテストです。
年2回開催していて、だいたい10社から14社が登壇します。優勝すると有名な起業家とか投資家が見ているから、Launch Padで注目を集めると資金調達が上手くいくようになると当時は言われておりました。
実際に資金調達だけじゃなく人材の確保など、PR活動にプラスになりました。テレビの取材が増えたりもしましたね。
吉田さんはそこで見事に優勝ですね。優勝して初めて涙を流す。感動的な涙の優勝でした。
小泉氏 それはどこが良かったんでしょうか?
小林氏 今振り返ると、どこがよかったのか?という議論があるんですけど、よく優勝したなと思うんですよ。起業家としての執念が審査員の方の心を動かしましたよね。
吉田氏 プレゼン資料が結構すごいですよね。
小林氏 時代を感じるんですよね。
是非過去の動画公開されているのでご覧ください
熱意が人を動かす。吉田さんは苦労されてて、応援したいという人が多かったんです。
審査員の方もすごく良いプレゼンだった、熱意を感じた、ということで点数入れて、もう1社と同点で優勝してるんです。
ぶっちぎって1位で優勝してるわけじゃなくて、やっぱり執念で、もう1つはロボットで先進性があったんですよ。恐らくロボットが優勝するんじゃないかなと思ったら意外や意外、びっくりして「まじか」と思ったんですけど、それは経営者としての努力が見えて、それを評価するっていうのが先輩の起業家なんですね。
それが非常にいい事例だったかなと思います。
吉田氏 (2012年当時の)IVSはインターネット業界最大のカンファレンスであり、そこのLaunch Padはビジネスコンテストとして(当時は)日本のNo.1のビジネスコンテストだったわけですね。
だから私としてはここしかない、みたいな感じで。その時は実はプレゼンも事前に見ていただいていて、審査の過程で、こうした方がいい、ああした方がいいっていうアドバイスをいただきました。もっとシンプルにした方がいいと。
自己紹介はいらない、もっと気持ちをダイレクトに届けたほうがいい、そんなアドバイスをいただいて、なんとか優勝を勝ち取りました。
そこからやっぱり周りの目線が全然変わったんですよね。出資の話を数多くいただけるようになって、潮目が変わったんですよね。
それがなければあそこまでの短期間で、直近まで社員3人ですから、それで3億円の調達はできなかったと思ってます。
小林氏 ラグビーのワールドカップがあったじゃないですか、五郎丸状態ですよ。いつの間にかポーズまで人気になった。そういう感じですよ。今までのラグビーはなんだったんだみたいな人が多かったと思うんですけれど、いつの間にか五郎丸の真似しちゃって、みたいなそういうレベルですよね。
吉田氏 当時は本当にそんな感じでした。1回目の起業に失敗した、あいつ何か大丈夫かなと思われてたので、そこから大分変わりましたね。
小泉氏 それでは続きましてターニングポイント④はサイバーエージェントの藤田晋さんに相談後、2013年11月に11億円を調達されたということですけれども。
吉田氏 これはその手前の3億円の調達に成功してから半年ぐらい月次ベースの成長率が10%〜20%伸びていて、非常に順調に推移していたんですけれど、やっぱり2回目の起業では不退転の覚悟で絶対にこの事業成功させてやると思っていました。
事業計画をエクセルをずっと引くと「あれ?」みたいなに思いました。このペースで10年、20年やってもこの成長カーブだとソフトバンクや楽天みたいにならないな、というので、これは何でなんだろうと。
別に月次ベースで10%〜20%確実に伸びてるというのはベンチャーの中では結構順調な方だといわれてたんですけれど、そうするとこの差は何なんだろうということで、このままの自分じゃいけないんだということで色々考えあぐねて、藤田晋さんに「このままではいけないと思ってます。ただ差がどうやったら埋まるのか、どうやったらもっと成長できるのかが分かりません」というのをざっくばらんにご相談させていただいて、
小林氏 いいですね、正直で。
吉田氏 なんせ1回目の起業失敗しましたから、全部素直でした。それで「どうすべきか分からないんですけどどうしたらいいでしょうか」と伺ったところ、それは大きく勝負をしていないからだといわれました。
何となく月次で10%〜20%成長というのは順調な線を狙ってる。もっとここまできたら大きくお金を投資していった方がいいと。
サイバーエージェントが5億円ぐらい出資するからやってみたらいいじゃないか、もっとお金をドンっと投資して、一気にスピードを上げてみなよとお言葉をいただきました。
その取締役会を経てサイバーエージェントが5億円の出資を決めていただいて、他の投資家の方も出資を決めていただいて合計11億円の出資をいただきました。
その後、大きく勝負するために赤字のままで東証マザーズ上場しました。
小泉氏 そうですね、2014年12月、赤字のまま東証マザーズに上場された。
小林氏 10億円の資金調達というのは当時は大型の調達だったんですよ。日本のベンチャー企業で10億円の調達をする事例はほとんどなかったんですよ。
その先駆けですよね。多分2013年で10億円集めた会社は何社もないですよね。
吉田氏 何社もないですね。藤田さんから、上場はもっと前倒して勝負した方がいいよともアドバイスをいただきました。
2016年9月期だったんですけどそれも前倒しをして、結局2015年9月期の第1四半期で上場しました。
それはやはりサイバーエージェントさん(藤田さん)にご出資いただき、アドバイスをいただいて、先の世界を見せてもらいました。引っ張りあげていただいた、という印象を持っています。
(続)
編集チーム:小林 雅/城山 ゆかり
続きはこちらをご覧ください:クラウドワークスの創業時のプレゼンテーション
更新情報はFacebookページのフォローをお願い致します。
コメント