小型人工衛星の研究を続ける方法が起業だった(アクセルスペース中村)【F17-5D #4】 – 【ICC】INDUSTRY CO-CREATION

小型人工衛星の研究を続ける方法が起業だった(アクセルスペース中村)【F17-5D #4】

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「大学の研究から大きなインパクトのある事業を生み出すには?」【F17-5D】セッションの書き起し記事をいよいよ公開!11回シリーズ(その4)は、アクセルスペース中村さんに大学の研究から、アクセルスペースを創業したストーリーをお話し頂きました。宇宙工学を学ぶ方々へのメッセージもあります。是非御覧ください。

ICCサミットは新産業のトップリーダー600名以上が集結する日本最大級のイノベーション・カンファレンスです。次回 ICCサミット FUKUOKA 2018は2018年2月20日〜22日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。


【登壇者情報】
2017年2月21〜23日開催
ICCカンファレンス FUKUOKA 2017
Session 5D
大学の研究から大きなインパクトのある事業を生み出すには?

(スピーカー)

出雲 充
株式会社ユーグレナ
代表取締役社長

大西 啓介
株式会社ナビタイムジャパン
代表取締役社長 兼 CEO

中村 友哉
株式会社アクセルスペース
代表取締役

福田 真嗣
株式会社メタジェン
代表取締役社長CEO

(モデレーター)

小林 雅
ICCパートナーズ株式会社
代表取締役

「大学の研究から事業を生み出すには?」の配信済み記事一覧

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最初の記事
【新】大学の研究から事業を創る-研究開発型ベンチャーの経営者たちが徹底議論【F17-5D #1】

1つ前の記事
プランが思いつかないから起業しないではベンチャーなど興せない(ユーグレナ出雲)【F17-5D #3】

本編

小林 では、次に、アクセルスペース中村さんになぜまた宇宙ベンチャーを始めたのかお伺いしたいと思います。

そもそも宇宙ベンチャーというのは相当資金が要りそうですし、お金が儲かるの?という議論があったかと思いますが、なぜやろうと思ったのでしょうか?

生い立ちも含めて教えてください。

中村 友哉 氏(以下、中村) これは先ほどのセッションでもお話ししたのですが、もともと宇宙に興味があったわけではなかったんですね。

高校の時は化学、ケミストリーが好きで、大学でもその研究をやりたいと思っていました。

ところが、大学1,2年生の勉強の時点で、波動方程式の訳が分からなくて、これはだめだと早々に諦めました。

何か他のことをやろうと思い、他の学科の話を聞いて、唯一ピンときたのが人工衛星の話でした。

宇宙開発に詳しくない人は、人工衛星に対して、トップエリートのエンジニアやサイエンティストの人が、何百億円という莫大なお金をかけて作っているというイメージを抱いているかと思います。

私も同じイメージを持っていました。

大学生が人工衛星を作ると聞いて、そんなバカなと思い、研究室に見せてもらいに行ったんです。

そうしたら汚い研究室にハンダゴテなどが置いてあって、ゴミゴミしたところで学生が集まって何かゴチャゴチャやっているわけです。

こんなので衛星ができるのかと正直ショックを受けました。

ただ、落ち着いてよく考えてみると、大学生で人工衛星を作るというのは、これはどこでもできることではないなと。

他の人がやっていないことをやりたい

中村 やはり自分がやりたいことを大きく変えるのだから、他の人がやっていないことをやりたいという考えがベースにありました。

そこで、宇宙そのものには全く興味がなかったのですが、自分で宇宙に行く「モノ」を作ること、そのプロジェクトに参加できることに、エンジニアの卵としてワクワクするものを感じたのです。

つまり自分が設計したものが宇宙に飛んで行き、行ってしまったら触れない、直せないわけで、更に宇宙から自分が作ったものが信号を送ってくる、そういうところに非常に魅力を感じ、その研究室に入りました。

ただ、期待に胸膨らませて入った次の日には実験に駆り出され、「24時間シフトね」なんて言われたときには、正直失敗したなと思ってしまいました。

今風に言うなら「ブラック研究室」ですよね(笑)。

そういうところに入ってしまって、これはしまったと思ったのですが、3ヶ月もすると非常に面白いなと思い始め、慣れてしまって、そんなもんだと思うようになりました。

結局それをやり続けたくてドクター(博士課程)まで進み、合計6年間衛星開発を行い、3つの衛星の開発に携わりました。

ただ驚いたのが、誰もが関われるわけではない衛星開発という貴重な経験をしたにもかかわらず、「あ~面白かった」と言わんばかりに宇宙業界から去っていく学生の多さでした。他の希望する多くの学生を押しのけてその研究室に入ったのにですよ。

航空宇宙工学科って、テストの点数が高いから志望するという人も結構いるんですよね。

頭がいいからという理由だけで医学部を目指すみたいな感じでしょうか。そういう人はたいてい、金融やコンサルを目指します。もともと宇宙や航空の分野で仕事をしたいだなんて思っていないんですよね。

私なんかは、航空宇宙を学びたくてもテストの点数が足りずに涙をのんで別の学科に進んだ人にちょっと申し訳ないなと思ったりします。

私の場合は、衛星開発に関われることに価値を感じていたので、卒業後も「これをやりたい」と自然と思ったんです。

人工衛星を使ってもらう方法が起業だった

人工衛星を世の中のいろいろな人に使ってもらいたいという思いが強く、そういうことができる会社に行きたかったんです。

それで、どういう会社がこういった小さな衛星を作っているのかなといろいろ調べたのですが、結局、そんな会社は世界中どこにもなかったんですね。

どうしようかと思ったものの、当時は起業しようなどという気持ちは全くありませんでした。自分の周りに起業家の人がいなかったので、起業するという発想がそもそもなかったんです。

その時たまたま、「大学発ベンチャー1000社計画」の流れだと思うのですが、科学技術振興機構(JST)が大学の研究成果を用いてベンチャーを作るという計画に助成金を出す事業をやっていました。研究室の先生がそれを取っていたんです。

そこで、ビビビときてしまったわけです。「そうか、ベンチャーか」と。起業なんてそれまで考えたことがなかったけど、やはりそれが唯一の解だなと思ったわけです。

世の中の人に使ってもらいたいという前提で考えると、大学に残って衛星を開発する場合、それをアカデミックな社会において価値あるものにしないといけないので、実用的なものにこだわるのは難しいんです。論文を書けるか書けないかで評価が決まってしまいますから。

だから、自分のやりたいことを実現するには、大学ではだめだという思いがありました。そうするとやはり外に出ていかなくてはなりません。

ならば、ビジネスをするというのが恐らく唯一の解だろうという考えに至りました。そしてこれが最後のチャンスだろうと、「やらせてください!」と先生に掛け合いました。

うちの先生は学生がやりたいと言ったことにはNoと言わない人なので、「やれ」と背中を押してくれました。

小林 いい先生ですね。

中村 はい、いい先生なんです。

そこで準備を始めたという流れです。長くなるのでこの辺りで止めておきます。

小林 ありがとうございます。いい話です。

いよいよ順番が回ってきました、福田さん。便の研究や腸内細菌について、そしてなぜまたそこに辿り着いたのか、お聞かせください。

(続)

次の記事を読みたい方はこちら

続きは 「便=茶色い宝石」腸内細菌の研究で病気ゼロ社会をつくる(メタジェン福田) をご覧ください。

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編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/横井 一隆/立花 美幸/鈴木ファストアーベント 理恵

【編集部コメント】

確かにコンサルティングファームには航空宇宙工学やってました、とか原子力工学やってましたといった方が多いですね。大前研一さん(もともと原子力工学を研究)以来、ある意味貴重な研究者候補がそちらに流れてしまっているという見方もできるかもしれません(榎戸)

続編もご期待ください。他にも多く記事がございますので、TOPページからぜひご覧ください。

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