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太刀川(NOSIGNER)さん、西村さん(ミラツク)、米良さん(READYFOR)、前野さん(慶應義塾大学SDM) が「ソーシャル・イノベーションのインパクト創出」をテーマに真剣に議論しました。
「ソーシャル・イノベーションのインパクト創出」の(その1)の各登壇者の自己紹介とセッションを聴講している方々の自己紹介です。「ソーシャル・イノベーション」への関心の高さがわかります。是非ご覧ください。本日から5回の連載となります。
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登壇者情報
2016年3月24日開催
ICCカンファレンス TOKYO 2016
Session 1C
「ソーシャル・イノベーションのインパクト創出」
(スピーカー)
太刀川 瑛弼
NOSIGNER株式会社 代表取締役
前野 隆司
慶應義塾大学 教授
米良 はるか
READYFOR株式会社 代表取締役 CEO
(モデレーター)
西村 勇哉
NPO法人ミラツク 代表理事
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▶「ソーシャル・イノベーションのインパクト創出」の配信済み記事一覧
西村 勇哉氏(以下、西村) NPO法人ミラツクの西村です。
大阪大学大学院にて人間科学(Human Science)の修士を取得。人材育成企業、財団法人日本生産性本部を経て、2008年より開始したダイアログBARの活動を前身に2011年にNPO法人ミラツクを設立。 Emerging Future we already have(既に在る未来を手にする)をテーマに、社会起業家、企業、NPO、行政、大学など異なる立場の人たちが加わる、セクターを超えたソーシャルイノベーションのプラットフォームづくりと、企業が社会課題を基盤に社会と共に行う事業創出、事業コンセプトデザインに取り組む。
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今日は「ソーシャル・イノベーションのインパクト創出」という、全体のカICCンファレンスのテーマからは少し拡張したテーマを設定をさせて頂きました。
今回は、皆さんとの質疑応答というよりも、双方向にお話できる時間になればと思っております。では、前野先生から順番に自己紹介をお願いします。
慶應義塾大学 教授 前野 隆司
前野 隆司氏(以下、前野) 慶應義塾大学SDM(システムデザイン・マネージメント研究科)の前野と申します。
よく「藤沢ですね」と言われるのですが、湘南藤沢キャンパスはSFCです。
SDM(システムデザイン・マネージメント研究科)では、あらゆる物事をシステムとして捉え、ソーシャルの問題でもよいですし、技術でもよいですし、何でもよいのですが、分野横断的に問題解決をしましょうという学問をやっています。
▶システム×デザイン思考で世界を変える 慶應SDM「イノベーションのつくり方」
私自身は、もともとソーシャル・イノベーションではなくて、普通のイノベーション教育と、少し宗教っぽいと言われることもありますが、「幸せの研究」、つまり、人はどうすれば幸せになれるかということをシステムとして考えてきました。
▶人生が変わる! 無意識の整え方 – 身体も心も運命もなぜかうまく動きだす30の習慣
イノベーションの研究と幸せの研究を別々にしていたのですが、結局、人と繋がって、各々がが自己実現して、前向きにやっていくことが幸せの条件なんですよね。
イノベーションも、つまりは共創ですよね。
協力して共創する、つまり、1人がやるのではなくて、皆で協力してポジティブなマインドでやっていくことが条件です。
ですから、イノベーションと幸せは実は表裏一体で、突き詰めていくと、結局自分たちが儲けるために何かやっていても、そんなに幸せになれないんですよ。
お金による幸せって、実は長続きしないんですね。
でも、利他による幸せって長続きするんですよ。
1984年東京工業大学卒業、1986年同大学修士課程修了。キヤノン株式会社、カリフォルニア大学バークレー校訪問研究員、ハーバード大学訪問教授等を経て現在慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科委員長・教授。博士(工学)。著書に、『無意識の整え方』(ワニプラス、2016年)、『幸せの日本論』(角川新書,2015年)、『システム×デザイン思考で世界を変える』(日経BP、2014年)、『幸せのメカニズム』(講談社現代新書,2013年)、『思考脳力のつくり方』(角川書店,2010年)、『脳はなぜ「心」を作ったのか』(筑摩書房,2004年)など多数。日本機械学会賞(論文)(1999年)、日本ロボット学会論文賞(2003年)、日本バーチャルリアリティー学会論文賞(2007年)などを受賞。専門は、システムデザイン・マネジメント学、地域活性化、教育工学、幸福学など。
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つまり、ソーシャル・イノベーションの領域に携わる人は、幸せであるということに気づきました。
ソーシャルの研究をしようとは思ったわけではないけれども、いつの間にかソーシャル、つまり、地域活性化や社会起業についての研究を色々とするようになりました。
ですから、ソーシャル・イノベーションというより、「イノベーションと幸せ」研究家の前野です。
よろしくお願いします。
西村 よろしくお願いします。
READYFOR株式会社 代表取締役 CEO 米良 はるか
米良 はるか氏(以下、米良) 皆さん、こんちは。
クラウドファンディング「READYFOR」の米良と申します。
よろしくお願いします。
READYFORで今までに4,000件以上のプロジェクトの資金調達を行い、多くの案件が、いわゆる社会問題を解決するような事業です。
(セッションを聴講している)高濱さん(NPO法人Class for Everyone)にも使って頂いたことがあるのですが、NPOさんなど、そういった方々にサービスを提供しています。
既存の金融の仕組みでは、例えば今期の売上見通しや、前期の利益などの数字的なところで融資の判断がされていたところを、多くの方々から資金を募り、ある種のリスクを分割することによって、社会問題に取り組む方々がスタートするお手伝いができているのかなと思っています。
加えて、クラウドファンディングの市場規模は世界的にも非常に拡大していて、ベンチャービジネスの一つとして、もっともっと大きな価値を提供していきたいと考えています。
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米良 はるか
READYFOR株式会社 代表取締役 CEO
1987年生まれ。2012年慶應義塾大学メディアデザイン研究科修了。2010年スタンフォード大学へ留学し、帰国後、2011年3月日本初のクラウドファンディングサービスREADYFORの立ち上げを行い、NPOやクリエイターに対してネット上で資金調達を可能にする仕組みを提供している。World Economic Forumグローバルシェイパーズ2011に選出され、日本人史上最年少でスイスで行われたダボス会議に参加。St.Gallen Symposium Leaders of Tomorrow、内閣府 国・行政のあり方懇談会 委員等国内外の数多くの会議に参加。2014年7月READYFOR株式会社 代表取締役に就任。
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日本国内のソーシャルと言うと、やはり運営の主体や利益の面で中途半端な印象もあるかと思いますが、社会にある課題を解決することでしっかりと利益を上げていき、そしてそれをまた世の中に還せるような企業になっていきたいと思っています。
どうぞよろしくお願いします。
NOSIGNER株式会社 代表取締役 太刀川 瑛弼
太刀川 瑛弼氏(以下、太刀川) デザイン事務所「NOSIGNER(ノザイナー)」デザイナーの太刀川です。
デザイナーである限りは、当然よいデザインを創りたいと願ってデザインを創っています。よいデザインを創るには、1つには、デザインが上手くならなければなりませんよね。
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太刀川 瑛弼(タチカワ エイスケ)
NOSIGNER株式会社 代表取締役
慶應義塾大学大学院理工学研究科修了。在学中の2006年にデザインファームNOSIGNERを創業。現在、NOSIGNER株式会社代表取締役。ソーシャルデザインイノベーション(社会に良い変化をもたらすためのデザイン)を生み出すことを理念に活動中。建築・グラフィック・プロダクト等のデザインへの深い見識を活かし、複数の技術を相乗的に使った総合的なデザイン戦略を手がけるデザインストラテジスト。その手法は世界的にも評価されており、Design for Asia Award大賞、PENTAWARDS PLATINUM、SDA 最優秀賞、DSA 空間デザイン優秀賞など国内外の主要なデザイン賞にて50以上の受賞を誇る。災害時に役立つデザインを共有する「OLIVE PROJECT」代表。内閣官房主催「クールジャパンムーブメント推進会議」コンセプトディレクターとして、クールジャパンミッション宣言「世界の課題をクリエイティブに解決する日本」の策定に貢献。 University of Saint Joseph / Department of Design 客員教授 慶応義塾大学SDM 非常勤講師 法政大学工学部建築学科 非常勤講師
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どんどん技術を習得していって、もっとレベルの高い表現ができるように、アスリートのように突き詰めていく。そんな風に練習すれば当然、段々と上手くなる訳ですよ。
美しいものを上手くつくるデザイナーは世の中に沢山います。
でも、その人たちの美しいデザインが何を以って、本当によいデザインであるのかという定義は、とても曖昧です。
例えば、ここの部屋にもよいデザインが沢山あるんですよ。誰かが電球を作ったんですね。エジソンという人ですね。
夜を明るくして、しかも安全性を上げている訳だから、これ、私はすごくソーシャルなデザインだと思うんです。でも、私たちはそれをソーシャルなデザインだと言わないですよね。
椅子はよいデザインだと思うんですよ。
疲れないという意味で、私たちの健康をこれだけ守ってくれている福祉器具は、歴史上存在しませんから。私はそれをソーシャルなデザインだと思うのですが、普通は椅子をソーシャルなデザインだなんて呼ばないでしょ。
壁、すごいですよね、壁。
私たちがこれにより外気から守られているから、すごい訳ですよ。
要するに、私たちは必要な関係性を得て、それが常識化すると、もうそれをソーシャルと呼ばないんですけれど、私たちがこう在りたいとかこうなりたいという願いを叶える新しいプロダクトに関しては、私たちはそれをソーシャルと呼んだりするんですよね。
少なからず、あらゆるデザインがそういうものであって、私たちに必要な関係性を担保していくためのものなんですけれど。
それを突き詰めていくと、どこかから先、今私たちがソーシャル・イノベーションとかソーシャル・デザインと呼んでいるものにタッチしてしまうんですよ。
だから、美しいデザインと、よいデザインと、ソーシャルなデザインは連続的なんですね。だけど、間違うと非連続に見える。
要するに、デザイナーとしてのクオリティーの部分と、何のためにデザインを使うのかという社会への哲学の部分をバランスよく持っているのがよいデザイナーかなと思っていて、今日も明日もよいデザイナーになれるべく頑張るというのが私のスタンスです。
我々は、ソーシャル・イノベーションしかやりたくないと言っているデザイン事務所なので、よいと思うことを自分で勝手にやる分に関しては、勝手にやります。
だけど、たとえば受託案件でソーシャル・イノベーションではない案件を相談されても、なるべく問いを拡大して、それを少しだけソーシャルにして打ち返すのが私たちの仕事だと思っているんです。
それはどういうことかと言うと、あらゆるプロジェクトがそうなり得るということなんですよ。
皆さんの手元にある。もう既にソーシャルなプロジェクトやっているという方がここには多いけれど。
もうあらゆる仕事が、少し良くすると、少しソーシャルになりえます。
皆さんの中には、イノベーションに興味を持たれている方が多いかと思いますが、私は、昨日、「WIRED(ワイアード)」というウェブメディアにイノベーションの話を書かせて頂いたんですよ。
「INNOVATION INSIGHTS」というIBMのコーナーにその記事がありますので、是非読んで頂きたいと思います。
それから、最近「デザインと革新」(パイインターナショナル)という、デザインとイノベーションについての本を書きましたので、ぜひ読んでみてください。
以上です。よろしくお願いします。
NPO法人ミラツク 代表理事 西村 勇哉
西村 NPO法人ミラツクの西村です。
京都に拠点を置くNPOで、北海道から鹿児島まで、色々な地域の方や企業の方とオープンイノベーションの取り組みをしています。活動の詳細はWebサイトをご覧頂ければ。
オープンイノベーションということで、違うセクター、行政、企業、大学、NPOの方、デザイナー、場合によっては、農家の方や地域の方々と一緒に、新しい価値を彼ら全員が納得できるような形で生み出す取り組みをしているNPOです。
せっかくですので、参加されている皆さんのお名前と、このテーマに関してどのような関心や期待を持たれて参加されているかについて少し伺ってから、パネル・ディスカッションをスタートしたいと思います。
参加者1 SAPジャパンの◯◯と申します。よろしくお願いします。
新規事業系を担当しており、現在は地方創生に力を入れています。地方創生にはソーシャル・インパクトを活用しない限り無理だなということを常々思っているので、色々な成功事例を勉強しに来ました。
参加者2 株式会社東京放送ホールディングスの◯◯と申します。よろしくお願いします。
私は、放送事業の中で、コーポレートベンチャーキャピタルを活用しながら新しいことに挑戦しています。やはり放送事業者ですので、自分たちが公共・社会のために何ができるのかを自問しながらやっていまして、今日はそういったことへのヒントが頂けないかと思って参りました。
参加者3 株式会社キッズカラーの雨宮と申します。
もともと保育士をしていて、現在は保育向けのビジネスに携わっています。今日は、ソーシャルとビジネスの課題について色々と勉強できたらなと思っています。
よろしくお願いします。
参加者4 ◯◯と申します。
アメリカのコスラ・ベンチャーズ(khosla ventures)というベンチャーキャピタルで、日本のパートナーをしています。コスラ・ベンチャーズでは、全体の大体3分の1から20パーセントくらいをソーシャルビジネスに投資しています。
ですので、今回は、投資という切り口からソーシャルビジネスを理解できればと思っています。
参加者5 KDDI株式会社の◯◯と申します。
私は、スタートアップを支援するインキュベーションプログラム「KDDI∞Labo(ムゲンラボ)」と、コーポレートベンチャーキャピタル(CVC)「KDDI Open Innovation Fund」の担当をしています。
KDDI∞Laboの卒業生であるRidiloverさんと色々な取り組みをする中で、地方創生についてや、世の中全般が抱える課題に注目するようになりました。
そういった課題を、ベンチャーの力、若い力でどのように変えていけるのかということに非常に興味があります。よろしくお願いします。
参加者6 NPO法人Class for Everyone(クラスフォーエブリワン)代表の、高濱と申します。
我々は、日本で使われていないパソコンなどを企業から無料で集め、アジアやアフリカの学校教育で活用する活動をしています。
そもそも、どういう状態をソーシャル・インパクトがあると言えるかについて最近考えており、本日はその辺について皆さんにお聞きしたくて参加しました。
よろしくお願いします。
参加者7 初めまして。Googleの◯◯と申します。
我々もコーポレートベンチャーキャピタルを持っており、Googleでスタートアップ向けのパッケージを作っています。ただ、それも持ってくることを視野に入れつつ、スタートアップのマーケットにGoogleとして何ができるのかを今色々考えながら進めています。
太刀川さんのお話を聴きたくて来ました。よろしくお願いします。
参加者8 デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社の ◯◯と申します。
社内では、マーケティングや新規サービスの開発などを担当しています。
広告会社ですので、ソーシャルとは相当逆向きなところがありながらも、実際のところ、メディアの世界ではすごく融合してきているところがありますね。
普段はビジネス側からソーシャルを見てしまうので、それを逆側から見られないかなと思い参加させて頂きました。
参加者9 Paypalの◯◯と申します。
スタートアップを担当しています。
10年程前にグラミン銀行(Grameen Bank)を見て、そこからソーシャルに興味を持ち始めました。
社会の課題を解決するというのが、基本的にはアントレプレナーの共通の認識だと思いますが、ソーシャルを起点にして、皆さんがどういったモチベーションを持ってやっておられるのかということに非常に関心を持っています。
参加者10 株式会社インテリジェンスの◯◯と申します。
現在、新規事業開発や投資活動もさせて頂いていますが、弊社の事業はHR(Humam Resource)領域にあります。
色々な社会の課題を考える際に、結局人材が一番の肝になると考え、我々はHR(Humam Resource)の切り口から、積極的に社会課題解決していきたいと考えています。
今日は、皆さんがソーシャル・イノベーションについて、どのように考えながらお仕事をされているのかについてお聞きしたいと思います。
よろしくお願いします。
西村 テンションが上がってきましたね! 面白いです。
皆さん自己紹介ありがとうございます。今回は、冒頭で太刀川さんのお話にあったようなことを起点に、「ソーシャル・イノベーションのインパクト創出」というテーマについてお話をさせて頂きたいと思います。よろしくお願いします。
(続)
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編集チーム:石川 翔太/小林 雅/Froese 祥子
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