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ICCファンミーティングで、ファン心理を体験!「ファンベース」実践ワークショップ

2月17日〜20日の4日間にわたって開催されたICC FUKUOKA 2025。その開催レポートを連続シリーズでお届けします。このレポートでは、2月20日、DAY3の最後のプログラム、ファンベースカンパニー津田 匡保さんによる「長く支持され、愛されるための「ファンベース」実践ワークショップ」の模様をお伝えします。ぜひご覧ください。

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に学び合い、交流します。次回ICCサミット KYOTO 2025は、2025年9月1日〜9月4日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。


2年前にもレポートでお伝えしたこの「ファンベース」実践ワークショップ。最終日の定番ワークショップとしてすっかり定着している。個人的にはICCサミットの体験を総仕上げするような、ここでの学びを持ち帰って、自分たちの事業で実践するのにぴったりのワークショップであると考えている。

なぜならば、参加者たちはICCサミットのどんなところが良いのか、ひたすら話し合うファンミーティングに参加する。刺激的な仲間と出会い、事業や経営について語り合い、未来に資する事業を作ろうと志を新たにする3日間、多くの人は脳みそフル回転、興奮状態で最終日を迎える。この日、この場に集まった人たちもそうだった。

自分がファンならどんなことを伝えたくなるのか? 今のままで好きだけど、何があればもっと幸せになれるのか? そんなファン心理を参加者みんなで体現して理解するのがこのファンミーティングである。

ファンとは「企業やブランドが大切にしている価値を支持してくれる人」

おそらくICCファンの筆頭株といって差し支えない、講師のファンベースカンパニー津田 匡保さんは、そんなファンの熱気や熱量の根源を理解して事業成長の糧とする「ファンベース」の考え方で、さまざまな事業の成長を支援している。

講師を務めるファンベースカンパニー 津田 匡保さん


津田 匡保
ファンベースカンパニー
代表取締役社長/CEO

2002年ネスレ日本入社。2012年ファンとの共創によるコーヒーのオフィス向け宅配サービス「ネスカフェ アンバサダー」を立ち上げ、その後も新規事業やEC事業を統括。2019年ネスレ日本を退社し、5月より発足したファンベースカンパニーに創業メンバーとして参画。「ファンベース」の考え方や自社ソリューションを軸に創業以来300以上の企業・ブランドの事業支援に従事。著書に「ファンベースなひとたち」(日経BP社)

前回のファンベースについての解説動画1時間分を見ている前提で、今回の津田さんのファンベース解説パートは約30分となり、ICCファンミーティングにより多くの時間が割かれた。ファンベースの考え方についてのポイントを簡単にまとめると、こんな感じである。

幅広い人の認知を取りに行くような従来のマーケティング手法に加えて、企業やブランドをとりまく全ての人たちに強い共感の輪を作る「ファン作り」は、BtoB、BtoC、業種や規模にかかわらず、現在さらに有効で必須といえる考え方であり、たとえばファンコミュニティなどを活用してファンを増やしつつ事業価値を高めていくことができる。

最初と最後に加えられた激励と共創の拍手

このワークショップではファンベースに基づく事業成長を目指すときの第一歩目、ファン分析の基礎となるものをファンミーティングで体験する。参加者はファンの目線でICCの好きなところを語り合うが、そこで出た言葉には何がファンの心を捉えているかのエッセンスが詰まっている。

ファンベースの考え方では、ファンへの傾聴を重要視する。その理由は「熱量が高いファンにしか生み出せない言葉がある」からで、コアファンへの理解を深め、そのツボを理解することで、ファンを軸にした再現性のある施策を打つことができる。それをもとにライト層へのアプローチも可能だ。

ファンベースカンパニーではファンを「企業やブランドが大切にしている価値を支持してくれる人」と定義している。製品やサービスの機能的な部分だけではなく、その裏側にある理念や思いに共感し、それらがファンの中で育まれて、応援する気持ちや愛情になっていく。企業やブランドは自分たちの理念をしっかりと掲げ、伝えていく必要がある。

それを体現している例として津田さんが紹介したのが、ソーシャルグッド・カタパルトに登壇したふたり、ジーバー永野 健太さんのフード&ドリンクアワードでの優勝であり、15歳のドラマーYOYOKAさんである。豚汁を出す店も、ドラマーも世の中にたくさんいるが、彼・彼女の想いやストーリー、描く未来が伝わることで、応援したいという気持ちが高まり、ファンを増やしている。

ファン分析から共感の輪を広げるヒントを得る

すでに自社の事業に対して共感やポジティブなイメージを持たれているとしても、それをどうやって拡大していけばいいのか? それがこの日の参加者たちの念頭にあることだろう。

そこでこのファンミーティングである。ファンを獲得するには、まだ知らない人に伝えることよりも、今いるファンを深く理解して、今いるファンに喜んでもらい、そこから共感の輪が伝播することを図る。

ファンミーティングは、”中の人(社員)”もいちファンとして、ファシリテートすることなくファンと一緒に語り合う。今回はICC運営スタッフが”中の人”として各テーブルに配置されているが、自社でやるときは社員を入れる。”中の人”ならではのエピソードを語ればファンは喜び、社員としては誇らしい気持ちになるため業務への意欲も高まるという。

ややもすると先にコミュニティを作ったり、施策を実行してファンを増やそうとしがちだが、何よりも熱量高いファンの分析が最優先。まずファンを理解することがいかに大事かは、書籍『ファンベースなひとたち』の例をぜひ熟読いただきたい。

事前に参加者たちから募った質問で多かったものとして挙げられたのは「ファンと向き合うスタンス」。ファンにどれだけ寄っていいのか、媚びたくはないけれど期待には応えたい、ポリシーを貫きたいけれどファンをがっかりさせたくない、そんな葛藤や難しさを皆、感じているようである。

これに対する津田さんの答えは、「ファンベースといっても、ファンの言うことを何でも聞いたり、おもねることではない。まずは自分たちの理念が第一で、迷ったときに意見を聞いてみるくらいでOK。理念に共感する人と向き合っていくことが大事」とのこと。

誰しもが事業の成長を目指すところだが、ファンベース構築は、まず100人に愛されることを目指す。万人に愛される企業、事業を作る道も、少人数の強いコミュニティを作ることから始まる。紹介されたAirbnbの例では、ごく初期に、最初の100人のファンに実際会いに行ったそうである。ファンが少ないうちにできることがあると、津田さんもこれを勧めた。

実践ファンミーティング、開始!

ファンミーティングは2分間の自己紹介タイムでスタート。お手本としてナビゲーターの鈴木 梨里さんがICCに参加したきっかけ(「魂を取り戻しておいで」と先輩に勧められたそう)や、プライベートではコミックを大人買いしてハマっていることを紹介。

自己紹介では熱く語ることが大事で、そうすることで他の参加者に「こんなことを赤裸々に語ってOK」という心理的安全性がつくられる。仲山がくちょのチームビルディングのワークショップでも自分のニックネームや偏愛しているものを自分の名札に書いて見せるが、好きなものはその人をさらけだすスイッチなのかもしれない。

今回のワークショップは25名が集まり、そのうち18名がICCサミット初参加。初参加の人たちは、このDAY3までにどれだけ初対面の人に会って自己紹介をしてきたのだろうか。しかし和やかに自己紹介が進んでいる。

続いてアイスブレイクとして行われたICCクイズでは、ICCスタンダードをお題として出題。このワークショップはICCファンとして参加することが前提だが、さすがの全員正解であった。

ICCの好きなところを語り合う

ワークの1つ目、グループトーク①では、「ICCの好きなところ」を個人で5分考えて付箋に書いてスケッチブックに貼ったあと、グループ内で発表。具体的なエピソードも添えて伝える。大事なのは誘導や結論づけをせず、ファン同士で自然に出てくる言葉を大切にして傾聴し、明るく笑顔で相槌をうつことだという。

僕だけが、私だけが見つけたいいところを語りたいのは誰しも同じ。でもその深いところで共感できると、一気に話は盛り上がる。まさにファンミーティングたるゆえんである。

各テーブルの代表者、話す役と付箋のまとめを掲示する役の2人が発表する時間では、ICCのベテランファンから初参加の人まで、誰もがよどみなく語る。ここでは「発表は3つにポイントをまとめて」というオーダーも突破して付け加えて個人的エピソードを語る人が続出した。

「共創を生む仕組み作りの徹底、ダメなことにはNOがしっかり出ること、まささん」と、ネームカードの例やカタパルト登壇経験を踏まえてICC愛を語ったReBuilding Center JAPAN東野 唯史さん

「至る所にある本気の熱量、応援したくなるご縁がある。3日目になると共創、1時間のミーティング並みの話が5分の立ち話でできる。大人のディズニーランド!」とCo-Creations茂木 健太さん

Far Yeast Brewing山田 司朗さん「2020年から参加。遠慮がちだった行動を能動的に変えた今回、明確にファン度が上がった。好きなところ3つは、異常な空間/異常事態、進化というより変化への改善、質の高さです。それを作り出す人・仲間も挙げたい」

石川樹脂工業 野関 悟さん「同じ志を持つ違う世界の人々との出会い、設計の素晴らしさ、質の高い学びのサイクルの3つ。個人的には『健全な凹み』というキーワードも好きでした。皆さんの視座の高さに一度凹んで、そこからまだまだやれる、がんばろうと思える」

Spice Up Singapore四方 健太郎さん「初参加です。フラット感、参加者の質、ICCスタンダード。ホストやゲスト、スポンサーというボーダーがなく、みんな貢献しようという共創の世界観、品格あるチャレンジャーであるということ」

any堀内 さやかさん「初参加です。“当たり前”の基準が高いこと、熱量の高さ、参加回数を重ねると見える景色が変わる、というのが素敵で、羨ましいな、次も参加したいという気持ちになりました」

ジーバー永野さん「スタッフの素晴らしさ。参加者のいいエネルギー。個人的にはベンチャーのイベントのとげとげしい雰囲気が苦手なんですが、立場が違ってもICCは皆さんが優しい。3つ目は食の素晴らしさ。全国の美味しいものがランチで食べられるなんて他にない」

 こうして発表された以外にも各グループのテーブルではさまざまな意見が出ていて、運営スタッフが「応援しています」と言ってくれることが嬉しいという声や、ICCでは一生懸命やりすぎてもいいこと(地方都市にいて、休めば?と言われたことがあるそう)など、前のめりかつ孤独な経営者たちに刺さったICCのスタンスが語られていた。

コンテンツについては感動と面白さがあること、今回から始まった開始前後の激励と共創の拍手への感激や、有名な経営者の人たちが肩を組んでくれるような話しかけやすさがあり、優しい世界観と厳しさがセットになった独特の雰囲気がたまらないという声も。

こういう言葉の数々から、ICCはファンのツボをどう拾えるのか? こういうファンの情緒価値を高めるようなトリガーは何をしたら引けるのか? それをさらに角度を変えて考え進めるのが、グループトーク②である。

世の中で嫌われ者のプロダクトでもファンを作りたい

グループトーク②のお題は「もっとICCを好きになるには?」。長いワークショップの休憩時間も兼ねているが、参加者たちはほぼ休みもとらずに個人ワークに向かっている。

津田さんいわく「ファンからアイデアを募ろうというのではなく、『好き』を違う角度で語ってもらうことが狙いです。でも、ここで出た意見が実際にICCサミットで採用されるものも出てきている亅とのこと。ICCサミットをともに改善する案が生まれる可能性も示唆した。

津田さんは「細かい改善案よりも、どうしたらもっと好きになれるかを話しましょう」とアドバイス。たしかに具体案だとできる・できないで判断しがちだが、ここでは抽象度を上げて、欲しいけれども足りていない範囲さえ示してもらうほうが、サービス側の理念の中で実現を検討していくことができる。

そんななかに、アグロデザイン・スタジオ西ヶ谷 有輝さんの姿を見つけた。農薬を作る西ヶ谷さんは、どんな意図でこのワークショップに参加したのか?(西ヶ谷さんのカタパルト登壇プレゼンはこちら)

「肥料をサポートするような農薬なのですが、農薬ってすごく嫌われているんです。嫌われ者で、反農薬団体みたいなものもある。ですが持続的に貢献するものなので、むしろ我々の農薬を使った作物を、無農薬よりもむしろ選んでもらえるぐらいになってほしいと思って参加しました。

研究者ですが、プロダクトのファンを作らなければならない。いかに作るかというところを今のうちから学んでいこうと思って」

嫌われ者からの脱却を図る、好かれる農薬への道。西ヶ谷さんがファンミーティングをするならば、現行の利用者たち、ファンたちからどんな声を聞くのだろうか。

ファンたちが語る「ICC、もっとこうしてほしい」案

グループトークが終わると発表の時間。1回目よりもさらに「語りたい!」という意欲にあふれた発表者が挙手して立ち上がった。

セイノーホールディングス田口 義展さん「つながり、レジェンドピッチ、ICCを外に」の3つです。もっとオープンなナイト・セッションがあるとか、スタッフと参加者が交流できる機会が増えたり、出会いの仕組みとして、事前にプロフィールが共有されればいいのではないか。

過去の圧倒的にすごかったピッチをレジェンドピッチにまとめれば、インバウンド、外からも入ってこようとする人、コンテンツが見られるようになってくるんじゃないかと思います。

また、ICCに参加するだけでなく、さまざまな地域でこの場を見られるようになったらいいのではとか、学生にこの場を体験してもらい、将来参加したいと思えるようにするなど。あとはグッズがあれば、外で発信できたり自慢できたりしていいのでは」

RICE MEDIA廣瀬 智之さん 1つ目が「交流」。さまざまにあると思うのですが、意外に足りていないこともある。たとえばこのグループの2名のスタッフさんたちは初対面でした。皆さんめちゃ忙しくて交流できていないので、もっとできれば。またソーシャルグッド・カタパルトは3日目なので、みんなずっと準備して会期を過ごしていて、終わった後にも交流したいという話になりました。

2つ目が「リユース、リユーザブル」。アワード会場での食器やペットボトルなど使い捨てが多く、水の給水やマグカップが使えれば、という話が出ました。

3つ目が食の体験。美味しいのでもっと食べたいと思うけれども、遠慮してしまいます。もっと食べたいと思ったときに食べられる選択肢があればいいなという声がありました。豚汁の増量を希望という意見も(笑)。

一文字厨器田中 諒さん 前提としてICCサミットは本当に素晴らしく、もうこれ以上ないというところで絞り出しました。

1つ目は、「生成AI」を取り入れるのはどうか。僕は今回初参加で、いろんなところから連絡いただいて全部目を通した気持ちでいるのですが、Facebook、Slack、メール、ドキュメントなど、どこで読んだかわからなくなるので、情報を全部突っ込んでテキストで、この時間はどこに行けばいいか教えてくれればいいなと。

あとはファン目線なのですが、映像や音楽が本当に素晴らしくて、会を良くしている要素だと思うので、その情報が見れるようになってほしい。

2つ目の「露出」については意見が良い面・悪い面両方ありました。ICCをもっと世の中に知ってほしいという気持ちと、この密度とクオリティを維持したいというのがあって、意見が分かれました。ただ産業を作るという観点では、広げることが必要だと思います。

そうなるとクオリティと拡大の担保が要る。(ICC小林)まささんのように、いいところと悪いところをしっかり指摘する人がもっと必要ということになり、AIまささんが必要という話になりました。

3つ目は「コンテンツ」として、アルムナイネットワーク。今回参加できても、次来られるかどうかわからない。ICCの場で産業をよりよくするために頑張っている人たちは世の中に散らばっているので、ネットワークを作る意味はあるんじゃないかと思います。

また、参加者とスポンサーと運営の方がいて、参加費も違ってブラックパスが参加できない差は理解できるのですが、ブラックパス同士でよりICCをよくするコンテンツや仕組みがあれば、スタッフの方のお手伝いをするとか、共創セッションをやるとか、いいんじゃないかと思います。

また、今ここに参加しているけどあっちも見たい、すごい人が常に沢山いるので、事前に参加者の情報を全部AIに入れて、自分がどの人に会えばいいというのがわかれば、積み残し感が減るのではと思います。

3日目の位置付けが難しいように感じます。2日目で帰る方も多い。3日目残っている人はファンが多いので、逆に3日目は濃いコンテンツをする、より学びが得られるものにするとか、より面白い、新しい風が吹くような尖ったものをあえて3日目に入れるとか。

今回NIJINアカデミーの子どもたちが参加していましたが、子どもを連れてくる仕組みなどがあってもいいんじゃないかと思います」

どのテーブルからも、充実した議論の結果、ファン目線のどんどん濃いアイデアが出てくる。不満というより、もっともっと、という声が聞こえてくるようなアイデアばかりだ。

北三陸ファクトリー眞下美紀子さん「広げたい、知りたい、伝えたい」の3つが出ました。

ICCは福岡、京都の年2回ですが、東北でもぜひやっていただきたいです。ビジネスは西高東低があり、生産者や実践者に伝える場があればいいなと思います。

2つ目は情報の一元化。ナレッジのプロが同じグループにいたのですが、メールやスラック、Facebookの手段で連絡をいただいて、初参加だと、守らないといけないことや準備、ゆるやかに楽しむべきところ、などがわかりやすくなれば、より情報が入りやすくなるかなと思いました。

あとは、みんなの学びをシェアできれば。その後の共創が生まれていることがもっと共有されれば楽しくなりそうです。

ファンベースの考え方は、ファンからファンへ伝えることが大事だと思うのですが、ICCってどんな場?というのが、私は一言ではいえないんです。もっと社員に伝えたいし、巻き込みたい。私は海の関係で、もっと行政にも伝えたいのだけど、言語化が難しくてできていないので、私からは広がりをもたらせていないと思っています。一言でICCとは、みたいなものを共有できればいいかなと思います。

あとは海外の取り組み、資金調達など国内だけでなく、世界とよりつながっていければ、より広がっていくんじゃないかなと思いました。

TREASURE IN STOMACH柴田愛里沙さん 私個人の事業に関連するのですが、「フード&ドリンクアワードでアレルギー表示がもっと見やすければいいな」ということ。事業者側も間違えることがあるほど面倒なのですが、事故になることを防げるので。運営の皆さんの仕事が増えてしまいますが……。

次は「情報のまとめ」。情報がさまざまなところに点在しているので、まとめページがあればいいなという意見が多かったです。

あとは運営スタッフさんをもっと知りたいのですが、事前に検索しても、YouTubeでなかなか出てこない。この動画おすすめですというのがまとまっていればいいなと思います。

あとはもっと「交流」できる可能性があると思います。何度も参加していると仲良しができて固まって話してしまうので、コミュニティマネージャーみたいな方がいれば、初参加でドキドキしている人も参加しやすいんじゃないかなと思います。

座って語らう場所も少ないので、じっくり話せる場もあったらいい。また、コミュニティはできつつあるけれど、ローカルなのか、何のテーマなのか、どんなコミュニティがわかればいいかなと、自分が近づいていいかどうかわかるためにも、知りたいと思いました。

any松村 望さん 私たちのチームは3つ、「ナレッジ、コミュニティ、サステナ」です。

参加者間でのPR、このセッションよかったよというのを共有ができればいいと思いました。めちゃくちゃいい内容だったので、みんなにそれを伝えたい、あとでビデオ上映会で見たらいいというのを伝えたいということだったので、それを解消する場があればいいなと思います。

またここで学んだ内容を持ち帰ったときに、社内で共有したいという声もありました。

「コミュニティ」は助け合いもそうですが、この場では話せなかった方との、あとからのご縁があればさらにいいと思います。

丸井グループ早坂 諒さん サステナの部分について、ICCをもっとサステナブルな場になればいいなと思いました。ペットボトルをなくすことや、帰る時にタクシーが50台並んでいるところを、1回のバスにまとめてしまうとか。

YOYOKAさん 私もドラムを叩きましたが、「アートや芸術をもう少し増やしたい」という声がありました。会場では食がすぐ手の届くところにあってすごく楽しいのですが、同じように休憩時間にリフレッシュできるように、アートや芸術があれば。ちょっと眠くなってきたときに爆音ができるかどうかわかりませんが、起きるんじゃないかな?

(RICE MEDIAの)トムさんも言っていましたが、ソーシャルグッドは最終日。そのあと話したい方がいたとしてももうタイミングがなかったり、列ができたりして話せなかったりする。私も実際そうでした。

もしできるのであれば、話せるようなブースがあるとか、ランダムでマッチングするような場があるとか、アプリやSlackでも、あとから話したい人がいれば、そこでコミュニティを広げる。

3日目、帰ってしまう方がいるので、大変なのはわかっているのですが、あと1日追加、どうかな? 3日だと足りない。運営さんが大変そうですが素晴らしくて、本当に忙しく動いているのを見て、カッコいいなと思っていました。大変なのはわかるのですが、1日追加はどうでしょう?

さまざまな意見にICC小林が回答!

初参加の人たちが多かったため、既出の施策を知らないことを踏まえたうえで、面白そうに聞いていた小林さんがさまざまなアイデアにコメント。

小林「選択と集中で、ペットボトルリサイクルは一度やったのですが、あまりに大変で諦めました。運営に負担が大きすぎたんです。

今回ワークショップでICCのノベルティグッズ、ウォーターボトルを配りますがこれは過去に配ったものですし、エコバックも2種類あります。ペットボトルでない水をマイボトルで飲むこともできます。

ICCのYouTubeチャンネルにはスタッフドキュメンタリーがあり、検索すると出てきます。ただ、誰がどんな話をしたか覚えてないほどたくさんあります。なかなか見つからないのは、アルゴリズムに依存するし、コンテンツが多様だからゆえの弊害かも。スペルが難しい社名もありますよね。

▶︎ICCのYouTube公式チャンネル

完全オフレコセッションは、SNSなどで切り取られて炎上するのを避けたいので、ちゃんと管理できるようにオフィスでの視聴にしています。来ていただけたらいつでも見られるのですが、ICCサミットが終わってしまうと実はなかなか見に来る方がいないです。日常に戻ると優先順位が下がるのでしょうね。

プロの力を借りて、公認イベントや活動などがあったらいいですね。ほかにもタクシー配車はGOの助けをかりるなど、ICCサミットはさまざまなパートナー企業の協力を借りています。アレルギー対応なども運営チームは素人ながら、努力しています」

いろんな拡張性の可能性を語っていると、ワークショップは早くも3時間に近づいた。参加者たちはスケッチブックに自分が好きなICCについて一言で書き、それをかかげて記念撮影をし、3時間のワークショップは終了となった。

ファンとのつながりを成長の力に

終始ワークショップを優しく見守っていた津田さんに、今回の感想をうかがうと、今度は津田さんからファン目線の話を伺うことができた。こんなところまでファンは見ているという例だと思うので、ぜひ最後にご紹介したい。

「前回のワークショップで、ファンから雅さんにICC初心者向けの施策を提案して、それが採用されました。今回その施策で、より初心者の方がICCを楽しまれている姿を見て、嬉しい気持ちになりました。

ICCサミットの中にも、小さくいろいろな工夫がありますよね。カタパルトの時だけだった拍手が、全部のセッションで最初と最後に激励の拍手があったり、ナビゲーターからの熱いオープニングトークがあったり、ちょっとずついろんな工夫が増えてきて、すごく新鮮でした。

またこう改善してきたか!とか、そうだったのか!という発見とか、そういったことの積み重ねがまた、ファンの中で新しい喜びを産んでいるというのを感じました。

とくにカタパルトには、初めて参加する企業さんなど、どんどん新しい人たちが入ってくる。こういうコミュニティって結構「蛸つぼ化」してしまうケースがあるけれど、どんどん新しい人が入ってきて、縦横無尽に動く。

YOYOKAさんみたいな本当に若い人が入ってきても、ちゃんとみんな包容力がある。変化しながらも、包容力はどんどん肥大化しているというか、そのダイナミズムをすごく感じたICC FUKUOKA 2025でした。

事業って、最後はやはり「人」なんですよね。機能面はテクノロジーで作れてしまうから、あとはどういう人がどういう想いで事業をやってるかっていうことだと思うんです。人が想いを貫くことを支えているのが、このICCのプラットフォームだと思うんですよね」

登壇者も観客も一体となる拍手のセレモニーは、当然意味合いを考えたうえで加えたものではあるが、「あれはいいよね」「感動する」という感想以外に、ファンはさまざまな文脈を読み取り、意味づけを行ってくれる。

今まで登壇してきた人たちよりもかなり若いけれど、素晴らしいチャレンジャーが来て、プレゼンと演奏を行ってもらうことにしたが、ファンはそこからコミュニティの包容力まで読み取る。

ずっと見ているから、新しい変化を見逃さない。”中の人”にとっては施策であるが、その反応以上にファンはさまざまなことを考えて、愛を深める理由づけを行っている。”中の人”には分かっていない良いところも言語化してくれる。

語ってくださいと言わなくても、変化に気づいたよ!と感想を言ってくれるファン。これは味方につけて一緒に事業を成長させる力にしなければ損失である。ファンを知り、ファンとつながるヒントを学び、体験できるこのワークショップは、次回ICC KYOTO 2025でも開催を予定している。ぜひ奮ってご参加いただきたい。

(終)

編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/戸田 秀成

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