満員御礼!「『よなよなエール』も実践!仲山進也のチームビルディング講座ワークショップ」で体験した、チーム作りの要諦とは【ICC FUKUOKA 2019レポート#7】 – 【ICC】INDUSTRY CO-CREATION

満員御礼!「『よなよなエール』も実践!仲山進也のチームビルディング講座ワークショップ」で体験した、チーム作りの要諦とは【ICC FUKUOKA 2019レポート#7】

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2月18日~21日の4日間にわたって開催されたICC サミット FUKUOKA 2019。その開催レポートを連続シリーズでお届けします。今回は、20日のSession 7F 【WORKSHOPシリーズ「よなよなエール」も実践! 仲山進也のチームビルディング講座(120分拡大版)】の模様をお届けします。一番狭い会場で30人限定、密室で繰り広げられた大盛り上がりの講座の内容とは? ぜひご覧ください。

▶ICCパートナーズではコンテンツ編集チームメンバー(インターン)の募集をすることになりました。もし興味がございましたら採用ページをご覧ください。

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢800名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回 ICCサミット KYOTO 2019は2019年9月2日〜5日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページのアップデートをご覧ください。


F会場騒然! 歓声の上がるワークショップ

笑いの絶えないワークショップとなった

20日のSession 7、F会場近くを通りかかった人は、漏れ出る歓声に「あそこで何をやっているんだ?」と不審に思ったらしい。その中で行われていたのは、楽天大学“がくちょ”こと仲山進也さんのチームビルディング講座。よなよなエールでおなじみ、ヤッホーブルーイングの”てんちょ”こと井手直行さんが「あの講座で会社が変わった」と話すのを聞き、それをぜひICCサミットでとなったのが、開催のきっかけである。

井手さんは、3ヵ月間にわたる「楽天大学チームビルディングプログラム」で学んだことを伝える「よなよなチームビルディング」研修を毎年1回社内でも開催し、それを9年続けている。飽き足らない社員の方々はグレードアップした「よなよなチームビルディング2.0」なる研修を受けてもいるそうだ。ちなみに“てんちょ”というニックネームは、仲山さんの“がくちょ”から来ているものらしい。

その井手さんも、今回の講座にスペシャルゲストとして参加する。社員やボランティアの方々一丸となって盛り上がる「よなよなエールの超宴」、飲み会でのコミュニケーションをフラットにする、「チーム”ビール”ディング」のエピソードなど、ヤッホーブルーイングのイメージは、“知的な変わり者”を愛飲者ターゲットにしながらも、明るく楽しくチームワークに優れているというものだ。

しかし“てんちょ”井手さんによると、チームビルディング以前の朝礼の雰囲気は「お通夜のようだった」という。それがどのような講座を経て、今のチームに生まれ変わったのだろうか?

▶今回の講座内容が紹介されている仲山進也さんの著書はこちら:
『今いるメンバーで「大金星」を挙げるチームの法則――『ジャイアントキリング』の流儀』

期待値が上がる参加者たち

開始前に談笑する仲山さん、井手さんに楽天のセイチュウさん

笑顔で準備を進める仲山さんと井手さんは、壇上で何やら小道具を隠している。フラフープ? アンガーマネジメントゲーム? 無礼講ースター?

仲山さん「おっと、これはまだ内緒のやつです(笑)」

井手さん「今日の講座は短時間のスペシャルバージョンをお願いしました。楽しいと思いますよ!」

ICCサミットのプログラムでこの講座を発表したときは、受講希望者が殺到し、定員人数を越える応募があった。その中からの抽選となったが、あろうことかICC小林の計算ミスで定員人数を超える、ほとんどの参加希望者が会場に集まった。その声を少し聞いてみよう。

USB証券 武田さん「僕は、売上や利益ではない形のバリュエーションの指標みたいなのを作りたい
と思っています。そこで、チームの強さ、文化、強いチームの定義は何なのかを学び、それを経済価値に変換できないかなと思って、参加したいと思いました。

参加できるとメールが来てうれしかったです! 気持ちが盛り上がりすぎて仲山さんに『参加させてもらいます!』とメールを送ったら、『期待値低めでお願いします』と、冷やすような返事が来て(笑))」

仲山さんと同じく楽天で、創業メンバーの小林正忠(セイチュウ)さんも参加するようだ。早めに会場に入ってきた。仲山さんのチームビルディング講座を受けるのは初だという。

仲山さん「社内の人は誰も興味を持ってくれなくて(笑)」

自虐的にそう言うと、セイチュウさんはすかさずお返し。

セイチュウさん「彼がプロデュースした講座は外部に向けた商品で、(仲山さんは)中の人に興味がないから(笑)」

仲山さん「(ニヤニヤ)ずっと外でやっていたら、最近、中の人が興味を持ち始めて、社内でもやりました。逆輸入パターンです」

セイチュウさん「僕のチームが最近中心になって、僕が出張でいないときに受けていたみたいです」

自分のあだ名を書いた名札を作る

仲山さん「まず最初に名札を作っていただきたいです。氏名のほかに、自分が呼ばれたい名前(あだ名)と、偏愛するもの、これなら3時間ずっとしゃべっていられるというものを3つ書いてください」

講座スタートの前に名札作り

経営者やリーダークラスが集まった会場で、仲山さんはそう会場に呼びかけた。

仲山さん「書き終わったら、始めたいと思います。仲山と申します。よろしくお願いします。井手さん、今日このコンビでこのセッションを開催することになった経緯をお話しいただいていいですか?」

井手さん「クラフトビールが売れてない時代が長く続いて、倒産という状況が浮かぶころ、人も辞めていきました。その後少し業績が上向いてきて、途中で私が社長になったときでも、まだ人間関係もギスギスしていて元気がありませんでした。

僕はいい雰囲気にしよう!と、いろいろやったのですが、まったく効果がありませんでした。そんなときに楽天大学の講座はすごいらしいといううわさを聞いたのです。受けてみたら、人生が変わる3ヵ月でした。その経験を活かそうと、私も社内に向けてがくちょの講座を見よう見まねで『よなよなチームビルディング』研修としてやってみました。

年1回開催して、いま第9期になります。現在140名くらいの社員数ですが、すでに80数名の卒業生がいます。新しく入った人以外の正社員はほぼやっています。1期は社員がまだ20名ぐらいだったときで、私と社員7名が研修で、3ヵ月間業務から頻繁に抜けるという血迷ったことをやり、社内から大反発をくらいました。

でも、ずっと続けているうちにだんだん社内の雰囲気がよくなりました。まだ小さな会社ですが、社員がいきいきしていたり、働きがいがあるティール組織の代表事例と言われるようになってきました。課題はまだ山積みではあるのですが、実際すごくいい会社になってきています」

仲山さん「ICC関連でてんちょがいつもそう言ってくださっているということで、最近ぼくのチームビルディングプログラムには、『井手さんに聞いて来ました』という方が、3〜4名いらっしゃいます(笑)」

井手さん「チーム作り系の話のときに、がくちょのプログラムの話をしていたら、ICC小林さんから、仲山さんを紹介してくれないかという話になり、この場がセッティングされました」

仲山考材株式会社/楽天株式会社 仲山 進也さん

仲山さん「……ひとつ気になっていることがあって……。昨日から『明日、参加します!』と、言ってくださる方が何人かいらっしゃるのですが、目のキラキラ度が異常なんです(笑)。2時間後にはチームを自由自在に動かす魔法をゲットできるんじゃないか、そんな伝わり感があって(笑)。決してそんな状態にならないことをまずは、言っておきたいです。

明日会社に行って、ハアッ!とやったら、メンバーがみんなチームになる、そんな魔法のようなことは起こりません(笑)。みなさん落ち着いてください」

井手さん「昨日控室で、グッドパッチの土屋さんが来て、『僕、明日講座を受けるんです! 井手さんも受けたんでしょ?』と意気込んで言っていて、『土屋さん、違うんだよこれは本当は3ヵ月のプログラムで、今回やるのはさわりだけ』と言ったら、『えええ〜〜〜〜っ!さわりっすかーー?』と(笑)」

仲山さん「ほんと、1割くらいですから」

2人は期待値を必死に下げようとしたが、「そんなことはないはず」と、参加者の目はキラキラしていた。

グループ全員のあだ名覚えゲーム

「あれ?一人増えてる!?」

作った名札を首からさげて、最初にチームについてどんな問題意識を持っているかを書き出すことから講座は始まった。

書き出した付箋を提出すると、会場の椅子が撤去され、皆で一重の円になり、人数を数えるために1から点呼すると……38人のはずが、なぜか39人に!?

仲山さん「なんか、聞いていたより増えてる! 事前の情報では、当日何人か欠席するはずという話だったのに(笑)」

次に3つのグループに分かれ、3つの輪を作った。

仲山さん「さきほど書いた全員のあだ名を覚えてください。ちょっとテンション高めにしたいので、同じグループ全員とハイタッチしながら、名前を確認しあう感じで。時間は6分です。そのあと、覚えたかのテストがあります!」

ハイタッチして、お互いに名前を確認

ハイタッチの音と、名前覚えで一気に騒がしくなる会場。6分たつと、立候補で輪の中心に進み出た人が、グループ一人ひとりを指しながら、覚えた名前を発表。コンプリートすると「おお〜」というどよめき、「イエーイ!」という歓声と拍手、間違えると爆笑と、会場がさらに賑やかになる。

各組で数名のテストが終わると再び仲山さん。

仲山さん「名前を覚えるだけでこんなに盛り上がるなんて、やりやすくてうれしいです(笑)。次にやることは、1つのフラフープをグループ全員が人差し指一本の指で持って、上から下に下げるだけのかんたんなお仕事です。

スタート位置は肩の高さで、だんだん下げていって指が床についたらゴール。ルールが2つあって、フラフープをつかんだり、上とか横から押さえてはいけません。下から支えるだけにして持ってください。もう一つは、誰かの指が離れたらやり直しです」

「指で支えるぐらいのイメージです」

フラフープをみんなで下げるだけ、のはずが……

最初は簡単に思えたけれど……

「そんなの簡単!」と、早速始めた参加者たち。しかし始めてみると……。

「え? なんで上がるの?!」

「うぉ〜〜……難しい」

「せーの、で下げていこう」

「もうちょっとだったのに!」

「足を下げていこう」

「3、2、1!」

「なにこれ、めっちゃ難しい!」

肩の高さからここまで下ろすのでも精一杯

全員で下ろそうとしているのに、フラフープが微動だにしなかったり、アンバランスに傾いてしまったり、なぜか上がっていってしまったり、思うようにはまったく操れないようだ。指一本しか使っていないのに、傍から見ていても、体に力が入っているのがわかる。

仲山さん「指が離れたのは自己申告でお願いします。コンプライアンスってことで」

集中と思い通りにいかない緊張感が一瞬解け、わっはっは!と、笑う参加者たち。輪がまったく下ろせないと言っては、爆笑している。

傾きをうまく修正しながら…

「低いほうに高いほうを合わせよう、下がっていかないでみんなが揃うのを待とう。まずそっち側、次にこっち側で!」

「はーいこっち下がります!」

「右側上がっているよ!」

「用意スタート、下がります、下がります! ひざまずいていきましょう」

「目を閉じてやってみよう」など、各チーム工夫を凝らす

「このぐらいまで下がったら、一度止まろう」

「下げる、下げる、下げる、ここで止まろう。真吾さんちょっと下ろして」

「指先だけで。持たないでください!」

「手首下げまーす!」

「4人がズレなければいい」

「(二人で声を合わせて)下げまーす!」

「あー、もう一回、最初から」

だんだん最初の興奮状態が落ち着いてきて、周りを見ながら、覚えた名前でお互いを呼びながら冷
静に輪を下げていく。PDCAが回り始めた。

あともう少し!

「せーの、着いたーーーー!イエーイ!」

最初のグループが成功した。フラフープを上から下に下げただけなのに、大変な達成感を感じているようだ。大きな拍手と笑い声が上がっている。2組目、3組目も続いてフィニッシュした。

グループとチームの違いとは

仲山さん「これから、ふりかえりのおしゃべりをしてもらいたいです。

どうすればもっとうまく下げられたかという未来の話は置いておいて、このアクティビティは「みんなで一つの仕事を成し遂げた」という視点でとらえることができると思うんですけど、

①うまくいかなかったときに何が起こっていたか、どういうふうに感じたか、うまくいき始めたときはどうだったか
②自分は何を考えていてどんな気持ちだったか
③このアクティビティと仕事で通じるところがあるとしたらどんなことか

をフリートークでしてみてください」

「業務改善より振り返りを」

この体験を通して、さまざまなことを感じたようだ。録音を今、聞き返してみても音が割れ気味なぐらい我先にと意見を交換している。

「最初はしっかり支えなきゃって思っちゃって、持つとうまくいかなかったですね」

「誰が上げているんだコノヤローって思った(笑)」

「最初は横にも行かないし、スタートもできませんでしたよね」

「最後は本当、指先の感覚に集中するだけでした!」

「いつも指示を出している側だから、指示を出したいと思った! でも先輩がいるから我慢した(笑)」

「セイチュウさん、みんなの名前をよく覚えて呼んでいて、びっくりした」

「僕もスゴイと思った!」

「最初の名前覚えるのが、関係性を構築するってことだよね。あれがなければできなかった」

「できていないところを探してしまった」

「13人で協力するのはこんなに難しいというのを実感した。4人だけなら簡単だったのに」

活発な意見交換が行われた

体験から感じたことは数え切れないほどあるようだ。仲山さんがふりかえりタイムにストップをかけ、参加者に「じゅうたんふかふかなので、みんなで床に座りましょうか。みんなで床に座るなんて、ICC史上初かもしれまんせんが(笑)」と提案した。

そして今のアクティビティが何を意味しているのかを、仲山さんが明かしていった。ユーモラスな解説に、大きなリアクションが返り、手を挙げなくてもどんどん意見が出ていく。

「グループとチームの違いって何だろう? グループ交際とは言っても、チーム交際とは言わないですよね。男女5対5で一丸となってつきあっていきましょう、みたいなのはないですよね」

まずは無意識のうちに使い分けている言葉の違いを意識させる。そして仲山さんいわく、「グループがチームになる」という考え方をベースにした上で、チーム作りをするのは、ジグソーパズルに似ているという。

最初はばらばらなものを、形、色など違いで分類して、仮置きをして、その後ピースを組み合わせていくことがチーム作りの過程では起こる。

チームの成長法則とは

「スライド一番下の声(夫婦ゲンカをしなくなった)をもらうことが多いです」と仲山さん

次に仲山さんは、チームの成長について説明した。成長のイメージとは、“悪くはないがよくもない70点のグループ”が”120点のチーム”に変態することだという。ちなみに井手さんによると、ヤッホーブルーイングはスタート時、20点程度だったそうだ。

その成長法則として、イモムシがサナギになり、チョウになるイメージをグラフで説明した。イモムシが成長してサナギになると動けなくなるのでパフォーマンスが落ち(底を打ち)、チョウになると飛躍的な変身を見せる。このときに格下の集団が格上の集団に勝つ「ジャイアント・キリング」が起こる。

これをグループとチームに置き換えると、サナギになるまでがグループで、チョウになる過程でチームになる。

成長ステージは、「フォーミング」「ストーミング」「ノーミング」「トランスフォーミング」の4つに分けられる。ノーミングで十分エクセレントカンパニーだそうで、その上の「トランスフォーミング」の例として数本の動画が紹介された。

この過程を先ほどのフラフープの例に置き換えて話しあい、さらに理解を深めていった。最初に提出したチームの問題意識は、ほぼすべてがフォーミング段階であることによるもので、ここからストーミングを超えられるような施策をすればいいという。

最初に書き出した問題意識は、ストーミング超えにより解決されるものばかり

「空気を読んで言いたいことを言わずに遠慮する」フォーミングの状態から「みんなが自分の意見を場に出す」ストーミングに移行するカギは、心理的安全性を確保すること。そのためにはお互いの価値観のOBゾーン、地雷のありかを知ることが大切で、それに利用できるのが無礼講ースターやアンガーマネジメントゲーム。とくに前者はストーミング前期、後者は後期に有効だという。

心理的安全性の確保には、リーダーが弱みをさらすということも大事で、それをグループに対してさらしたとしても非難、攻撃、嘲笑などをされない場であると共有されることが大事だという。

フラフープはなぜ上がったのか?

下げるつもりなのに、なぜ上がってしまう!?

最初にフラフープを下げようとしたときに、なぜか逆のことが起こったこの状態。その理由に正解はないというが、みんなに考えてみるように仲山さんは呼びかけた。

仲山さん「ひとつ言えるのは、フラフープが上がった時点はまさにフォーミングの状態でした。誰もどうしたらいいのかわからないお題に取り組んでいました。その状態で、『自分だけはミスしないようにがんばる』ということをした結果、本来、進むべきでない方向に進んでしまうということが起こったわけです。

そう思うと、フォーミングな状態のまま仕事を進める、とくに組織の人数が増えているときに指示命令型で仕事を進めるというのは怖いですよね」

そう言うと、仲山さんは人差し指が離れているジェスチャーをしながら、「指が離れたのを気づいたのに、言わなかったのはなぜか?」というスライドを出した。

息が合っていないと、指は簡単に離れてしまう

仲山さん「これもさっき、きっとありましたよね? フラフープから指が離れているけれど、それを自己申告できなかったり、メンバーに指摘できなかったりしたのは心理的安全性が確立していないからです」

ちなみに、今回最初にメンバーの名前を覚えたのとは異なり、互いの名前もわからないままで行うと、フラフープはあっという間に下げられるらしい。明らかに指が離れていても指摘できずそのまま進み、達成感もないまま「終わったことにする」からだという。そう知ると、社内で顔と名前が一致しない人たちがいるというのは、チームとして安全ではない環境である。

少ない人数でやってみると簡単だという意見もあったが、難易度は一人あたりの負荷が軽くなればなるほど高まるという。

仲山さん「大企業の仕事ってこんな感じだなと思うのです」

なお、こういった講座を受けて、「ストーミングが大事だったのか!」と思って、会社に帰ってスタッフに「一人ずつ意見を言っていけ」と強要すると失敗する。これもまた、心理的安全性がないためだ。ストーミングは「起こす」ものではなく、あくまでフォーミングを勧めた結果、心理的安全性が確立したあとに自然に起こるものだという。

ヤッホーブルーイングの例

ヤッホーブルーイング 井手 直行さん

ストーミングは言い換えると、「集団的な試行錯誤」。誰もやったことがなくて、できるかどうかもわからないお題のほうがみんな意見を出しやすい。やったことがある人がいると、その人に頼ってしまうからだ。未知なお題を、仕事としてアクティビティ化できると最強の組織が出来上がっていくそうだ。

それをまさに実行している典型が、ヤッホーブルーイングの「超宴」だ。2010年に40人のファンイベントとして始まり、2018年はそれが5000人規模まで成長した。

井手さん「1000人集めることができて、完成度が上がってきたとき、『次、1万人行こうか』と言ったら『殿、ご乱心』みたいな反応でした(笑)。そこから『全国ドームツアーができるのは、SMAPか、よなよなエールしかないよ、みんな!』と笑いながら言っていたのです。

でもそこから逆算して考えて、2020年に全国ドームツアーなら、2019年に東京ドームだから、2018年は5000人だという計算になって、今のところそのとおりになっています」

仲山さん「最初は、『これ無理じゃね〜』みたいなところから始まって、わちゃわちゃやりながら達成できちゃったという体験を3回ぐらい繰り返すと、感覚が麻痺してきて、『無理そうだけど、またできるんじゃないかな?』と思えるようになってしまいます。

するとストーミング超えが当たり前の組織文化ができてきて、『さあ始めますか』『どうするどうする?』が繰り返されて、だんだん会社がスーパーサイヤ人みたいになってくるんです」

しかしストーミングがうまくできるようになるには、地道なフォーミングが必要だ。そのためにヤッホーブルーイングが10年前から続けているのが毎朝30分の雑談。仲山さんも「ウルトラCはありません」と言う。

ストーミングの谷を覚悟して臨むべし

ここまでで紹介したのは、ほんの一部の内容で、もっとお伝えしたいチームビルディング因数分解があり、本当ならばすべてご説明したいくらいなのだが、百聞は一体験にしかず。チーム作りに興味がある方であれば、次回の開催があればぜひご参加いただきたい。

井手さんからの最後のメッセージが、その意義を感じさせるものだった。

現在も実践中の井手さんが語る

井手さん「チーム作りに悩んでいない会社はないと思うのです。こういう設計がされた仲山さんの講座を、まじめにじっと地道に続けてやっていたら3年ぐらいでよくなってきました。

それまで業績が年に30〜40%とすごく伸びていたので、今だと思って社内のチームビルディングをやり始めたら、3年間ほぼ業績は成長せず、その後ぐわーっと上がりました。この3年間を我慢できるかどうかだと思います。

仲山さん「まさに3年かけてストーミングの谷を乗り切ったと」

井手さん「だから、数字的にいいときでないと始められないです。そして、最低限結果を出し続けないといけないです。

僕はオーナーではないので、結果を出すのが早いか、僕が首になるのが早いかと思っていました。この時期を、3年もかかると思うかどうか。僕は『たった3年か』という感じです。そこからまた成長が40%増になりました。

その結果、14年間ずっと増収を続けています。まだジャイアント・キリングと言えるほどではないけれども、一点突破では勝てています。それも、本気で取り組むかどうかにかかっていると思います。地味に長く続けるのが大事だと思います」

仲山さん「というわけで……ほんのさわり、終了です。もっと知りたい方は『今いるメンバーで「大金星」を挙げるチームの法則――『ジャイアントキリング』の流儀』を買ってください。できれば楽天で(笑)」

ここまででも学び満載という内容だったが、この先がまだまだあるらしい。120分間があっという間のチームビルディング講座だった。

「すぐに実践したい学びが多い」

ワークショップ終了後の記念撮影

終了後、参加者の方々に感想を伺った。

「チームの4つの成長ステージで、うちの会社がどこにいるのかというのを理解できて、何をすべきかというのがクリアになりました。まだストーミングの状態でした」

「一部と聞いていましたが、ハードルを下げたわけではないのに、気付きがたくさんありました。

僕自身、フォーミング、ストーミングのフレームワークを知っていたはずなのに、改めて全然やれていなかったという感じです。もう1回、思い出してちゃんとやろうと思いました。フラフープもやったことがありますが、また違う観点で学びがありました」

「1チーム30人ぐらいで、チームビルディングを毎年やっていますが、うまくいっていないですね。フラフープとアンガーマネジメントゲームをまずやってみたいと思いました。すばらしい企画だったと思います」

「ほんのさわりだけ」であっても、参加者の皆さんは満足した表情だ。自分の抱える課題を解決できればと思って参加したが、その前に現状を再認識し、やるべきことがあると気づいたという声が多い。

実はこの講座に、運営スタッフでもあり、4つのセッションでモデレーターを務めるベイン・アンド・カンパニー・ジャパン井上真吾さんを体験スタッフとして送り込んでいた。その感想である。

ベイン・アンド・カンパニー・ジャパン 井上 真吾さん(写真中央)

「まずは、わずか1時間で同じチームの方と仲間になれました。冒頭の説明もなくいきなりあだ名とはまっていることを3つ書く名札の作成から始まり、名前覚えゲーム。こうした自己紹介のセッションは何度も体験したことがありますが、実際にチーム全員の名前を覚えることができたのは今回が初めてです。

そのあとでフラフープを下げる挑戦でも、お互いのあだ名を呼び合えたことが、チームワークでも大きくプラスに働きましたし、パーティーの場で会った時に気軽に話しかけることができ、より強い仲間意識を持つことができました。

次に印象的だったのは、先に体験してから習うことで理解が深まったことです。ワークショップの前半は、説明もそこそこにとにかく手や体や頭を動かす体験型のエクササイズの連続でした。

特に秀逸だったのは、フラフープの挑戦で、一件簡単そうに見えることが、なぜかできないのです。下に移動しなければいけないのに、上に動き出すフラフープ! とても印象的な瞬間でした。

いいところまで来たのに失敗!

数分前まで他人だったチームのみんなと話し合いながら、何度も挑戦して、最初は全くできる気配がなかったのがどんどん改善されて、他のチームに先駆けてゴールできました。

その後の議論では、チーム分け大事、声かけ大事、役割分担大事、集中大事、犯人探ししないの大事など、いろいろな意見が飛び出しました。

フラフープの挑戦の体験と重ねると、まさに、名前覚えゲームがフォーミング期の心理的安全性の確保で、フラフープの挑戦自体がストーミングだったのです。こうやってまずは体験してから、後で座学で学べると、何倍も理解が深まりました。

これだけ質の高いワークショップになったのは、仲山メソッドや井手さんの体験談が素晴らしかったことはもちろんですが、加えてICCの参加者の質が高いことが理由だと感じました。ICCという空間での最高のワークショップでした」

自身の仕事でもすぐに実践したい学びが多かったとのこと、おそらくこれが参加されたほとんどの方の共通認識ではないかと思う。

”がくちょ”仲山さん、賑やかな生徒たちの手応えはいかがだっただろうか。

”生徒たち”の活動を見守る仲山さん

仲山さん「”いいお客さん”が多くてやりやすかったです。リアクションが多すぎるみたいな(笑)。外を通りかかった人がいたら、ここで何が行われているんだ、という異質な空間になっていたと思います。みんな声が大きいですね。ICCのパワーやエネルギーが解放されるとこんな感じなんだなとわかりました」

講座中の穏やかな笑顔のまま、そう答えてくださった。一方、井手さんは「終了後のアンケートで【最高だった】にしてくださいよ!」と、参加者に呼びかけていた。

ICCサミット終了後の全セッション評価アンケートの結果は堂々の全70セッション中 第3位。この大反響を受け、次のサミットでの第2回開催はほぼ当確だ。そしてこれは、井手さんによる組織票ではない、と断言できる会場の熱気であった。

(終)

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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/井上真吾/戸田 秀成

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