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CRAFTED NIGHTがアートホテルをジャック! 非日常の共通体験は、いかなる学びをもたらすのか?【ICC KYOTO 2019レポート#9】

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9月2日~5日の4日間にわたって開催されたICCサミット KYOTO 2019。その開催レポートを連続シリーズでお届けします。今回はDAY2、9月4日の夜、BnA Alter Museumにて開催された招待制のイベント、CRAFTED NIGHT powered by LEXUSの模様をお伝えします。この夜、アートホテルを全館貸し切って行われたイベントの全容とは? ぜひご覧ください。

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢800名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うためのエクストリーム・カンファレンスです。次回 ICCサミット FUKUOKA 2020は、2020年2月17日〜20日 福岡での開催を予定しております。

CRAFTED NIGHT @ BnA Alter Museum

CRAFTED NIGHTが開催されたBnA Alter Museumのエントランス

9月のICCサミット本番に先立って、企画や会場の下見を行っていたICCパートナーズは、田澤 悠さんがプレゼンで紹介したアートホテル、BnA Alter Museumの見学、宿泊を体験した。

BnAは「泊まれるアート」でアーティスト・コミュニティーと世界を繋ぎ、インスピレーション経済を加速する(ICC FUKUOKA 2019)【動画版】

その時のレポートは下記のリンクの通りだが、お互いの泊まる部屋を見学したり、なによりアートの中に滞在するという体験が他にはないため、ここで宿泊型企画をしようということになり、ICCサミット期間中の宿泊状況を確認したところ、9月4日が奇跡的に空いていた。そこで全館を貸し切って、イベントを開催することを決定した。

ICCサミット KYOTO 2019特別企画「CRAFTED NIGHT powered by LEXUS」の会場となる、BnA Alter Museumに泊まってみた!

この日は午前から午後にかけて、CRAFTEDカタパルトとラウンドテーブルが開催され、CRAFTEDコミュニティの熱量は最大限にまで高まっていた。

一部送迎はLEXUSで行われた

会場に定員があるため、ICC側からはCRAFTEDコミュニティを中心に今回は70名、加えて地元のアーティストの方々の招待制とさせていただいた。この日は全館借り上げのため、全31室をICCサミット参加者の方々に提供とし、どの部屋に宿泊いただくかは、BnAの田澤さんとICC小林で話し合って決定。前泊していた方もいたようだ。

地元、京都のアーティストとCo-Creation

CRAFTED NIGHTのメニューは大きく3つあった。

  • 「CRAFTEDを語る」パネルディスカッション
  • 客室を巡るアートツアー
  • 交流会

パネルディスカッションには、レクサスが日本各地の若き匠をサポートする目的で実施しているLEXUS NEW TAKUMI PROJECTの2017年度京都の匠に選ばれた、陶板画作家でショップSIONEを経営するのSHOWKOさんと、2018年度の匠、京提灯 小嶋商店10代目職人の小嶋 俊さんが、Takram渡邉 康太郎さん、電通各務 亮さん、LEXUS沖野 和雄さんとともに登壇した。

全室違うデザインの客室を巡るアートツアーは、BnA Alter Museumのスタッフの解説で、4つの部屋を見学した。少人数のグループに分かれて、異なるアーティストによるデザインに込められた解説を聞くガイドツアーに、参加した方々は刺激を受けまくっているようだった。

交流会では、LEXUSの手配が提供するパーティフードのひとつに、CRAFTEDカタパルトで2位に入賞したみやじ豚が登場。参加者たちの間で争奪戦となり、あっという間になくなっていた。

美味しさ規格外!愛情いっぱいに育てた豚を“農協全量出荷D2C”で届ける「湘南みやじ豚」(ICC KYOTO 2019)【動画版】

それぞれの様子を写真を中心に紹介していこう。

「CRAFTEDを語る」パネルディスカッション

ウェルカムドリンクとしてLEXUSのシャンパンが振る舞われ、リラックスした雰囲気のなかディスカッションがスタート。地元在住のアーティストであるおふたりの手掛けているCRAFTEDについて聞いたり、逆にICCサミットについて紹介したりと、和気あいあいと議論が進んだ。

会場には小嶋さん、SHOWKOさんの作品も展示した

ふたりをよく知るナビゲーターの各務さんと、名モデレーターの渡邉さんのもと、職人は分業で作業を進めること、LEXUSの製造工程も分業によって高品質が実現されていること、ICCサミットのセッションや登壇者の組み合わせも分業を意識していることなど、「分業」が完成度を高めるという共通点が議論の中で発見された。

渡邉さんからは、海外で人気のミュージカルがICCサミットの構成に似ていることが指摘された。『スリープ・ノー・モア』(※)という舞台で、仮面をつけた観客一人ひとりがキャストを選んで追い、同時進行に違う場所でストーリーが展開するという。

▶編集注:“スリープ・ノー・モア”の案内と口コミ情報(あっとニューヨーク)

体験した観客は、幕間に他の観客とディスカッションをせずにいられないが、それは1つのセッションしか選べず、見たかった裏セッションの感想を聞くICCサミットを思わせるという。

そんな会話をしているところへ、アートツアーから戻ってきたばかりのオルビス小林 琢磨さんが席についた。

ICC小林「小林さん、ツアーはどうでしたか?」

オルビス小林さん「想像の斜め上を行っていました……。あの水がたれている部屋とか、ぐるぐる回る部屋とか。今はみんなで見ましたけど、一人で眠るときになったら、どういう気分になるのかなと思います」

部屋をすでに見て知っている人だけが、笑い声を上げた。

日本のモノづくりを世界に発信したいか?

ディスカッション後半では質問も受け付けた。CRAFTEDカタパルトで登壇したTokyoDexダニエル・ハリス・ローゼンさんからの質問だ。

ローゼンさん「アメリカ人から客観的に見ると、日本はCRAFTEDにかける意識は世界一だと思います。世界に向けてどのくらい、日本のCRAFTEDを発信したいと思っているのかを知りたいです」

提灯職人の家に生まれた10代目、小嶋 俊さん。専門作業は竹を割って竹ひごを作ること

小嶋さん「今、SHOWKOさんの大親友を2年前に引っ張り込んで、一緒に仕事をしています。ドイツで3年間働いていて、日本の会社のドイツ支社を任されるほど優秀な人なのですが、明らかに給料が下がる、今月も給料が出せないかもしれないという状況で、こちらに来てくれたのです。

結局、そんなに魅力があるし勝算があると思っているのではないでしょうか。

僕らの家族は、発信しようとか、それで儲けてやろうとか下心があまりないのです。そういうところが魅力に見えたのか、彼もたぶん見えないものに引っ張られて来てくれている。そういう感覚があります。

僕らはありのままで海外に行けるのならば、行きたいとは思います。でも海外向けに特別に何かを創ろうとは思っていません」

陶板画作家のSHOWKOさん。佐賀県の職人と一緒に作品を創っている

SHOWKOさん「海外で展示会などもしていますが、生き物対生き物、みたいなところで共感してもらえれば嬉しいという想いがあります。

私はSFが好きなのですが、NASAが、地球のさまざまな情報を入れたレコードを宇宙船に乗せて飛ばしているという話があります。その意図は、どこかの知的生命体がそれを見つけて聞いてくれたら、こんな美意識のある、こんな人たちがいるとわかってもらえるから。そのアイデアに、すごく感動しました。

【画像】無人宇宙船ボイジャー号が運ぶ、宇宙人に向けた人類のメッセージと写真(eStory Post)

そういう意味では、どこかに行ったときに、共通言語として作品があると面白いなと思います」

沖野さん「ヨーロッパでLEXUSを売るときに、あちらの担当者は10年前は、日本文化を使って売ろうとしていなかったのですが、最近はもっと日本の文化を教えてほしいと言ってくるようになりました。

つい先日も、海外のジャーナリストやメディア50人ぐらいを集めて、日本の文化を説明しながら、LEXUSのフィロソフィを語るというイベントをやりました。

そのときに日本の文化の意味合いを説明する映像を作ったのですが、作るのが難しかったです。

なぜなら自分たちは、海外から見て魅力的なことを『当たり前』のこととして理解してしまっているから。改めて、しかもバックグラウンドがない人に説明するのが難しかったです」

客席から声が上がった。「今度LEXUSのプロジェクトに参加されるアーティストのお一人で切り絵を作っている望月めぐみさんは、実は同じ大学の劇団にいた人なんです!」

ICC小林「まさにCRAFTEDな出会いですね」

各務さん「望月さんとは11月末に予定しているLEXUSさんの京都での工芸イベントにむけて、両足院の伊藤東凌さんのご紹介で出会いました。1(※)」

▶LEXUS TAKUMI PROJECTにて展示を予定。

小嶋さん「大学で一緒の劇団にいたのです。チラシを作るときに、切り絵をやっていてそれがそのまま仕事になっちゃった。僕は才能がないと諦めて社会人になったのですが、彼はやり続けています」

各務さん「狂気のような作品を作る方なんですよ」

CRAFTEDコミュニティでもわかるように、CRAFTEDな人たちは自ずと絆が生まれ、つながっていくようである。それはおそらく、海外にもつながっていくはずである。

名物! 渡邉さんのディスカッションまとめ

最後に、今日出た話題を美しくつないだ渡邉さんのまとめで、ディスカッションは美しく終了した。

真鍋大度さんデザインの部屋に宿泊していた渡邉さん

渡邉さん「自分たちのことをどれだけ発信するかというビジネスの話と、伝統工芸の話の両方が出ました。

昔は、クラフトさえあれば、ものがおのずと語ってくれるという時代でした。

次に、作ったブランドが語るという時代がありました。

でも今は、それですら十分ではなくて、使い手に語ってもらう必要がある。使い手が『これは本当にいいんだよ』と語り直してもらう必要があります。

3つ目まですべてこなしていないとだめで、1つでも欠けたらだめなんです。

作り手が全部語ってしまってはだめで、語ってもらうための素材がちゃんと用意されているか、もしくは彼らが言いたいことをブランドが用意する必要がある。これがビジネス面です。

カルチャー面では、京都の方を前に京都の方に教わった話を言うのは何ですが、比叡山延暦寺の1200年消えていない、不滅の法灯の話があります。

『伝統』という言葉があるじゃないですか。伝える、統べるという字は、明治からの当て字らしいです。もともとは、『伝燈』という字だったらしいです。

『伝燈』は仏教用語で、師から弟子へ教えをつなぐことという意味らしいです。だから伝統とは、教えを絶やさない、火を絶やさないで、受け継ぐという意味なのです。

延暦寺へ行くと、火を守る責任者がいない。全員で等しい責任を持って全員で守ろうということです。一番大切なのは、油を絶やさないこと。ここから『油断大敵』という言葉がきています。

伝統の火を絶やさないためには、毎日、新鮮な油を注ぐ必要がある。

同じことを毎日やっていたら、飽きてしまいます。だから飽きないためには、新鮮な油を注いで、自分たちがどんどん変わって脱皮していかないことには、伝統は伝統であれない、と思いました!」

小嶋さん、SHOWKOさんも大きく頷いている。尽きない話の続きは交流会で。さて、アートツアーはどうなっているだろうか?

部屋を巡るアートツアー

1階のエレベーター前には、7人のワクワクした表情の大人が集合していた。ホテルの解説スタッフに導かれ、アートツアーに出発しようとしている。

まず見学したのは、梅田哲也さんによる「だれのものでもない水/なにもみえない場所」。部屋の約半分を、一見実験装置のようなインスタレーションが占める部屋だ。

入った瞬間、当惑の表情を浮かべる一行。さっそく好奇心旺盛な西澤さんは携帯電話で撮影を始めた。循環する水がぽたり、ぽたりと落ちる音がするこの部屋、「だからマンホールがあるのか!」とみんな興味津々だ。

次に入ったのは、中野祐介さんによる「鳥は池辺の青樹に宿し 魚は月下の青波に伏す(五条河原の模型楽園)」という部屋。

「六条河原院跡」が舞台の能楽 『融(とおる)』を土台にし、月光の幻想性、水辺の不可思議な模型世界などを展開する部屋に、一行はじっと見入っていた。

大平龍一さんによる「go en no ma」は、壁面や床面に5円玉が貼り付けられた、黄金に光る部屋。

ベッドカバーさえ、五円玉模様のプリントが施されている。神社仏閣の多い京都から「五円」と「ご縁」がつながっていく部屋を作るというのがコンセプトで、宿泊者が壁に自分で5円を貼り付けることもできる。

最後に見学したのは、三島章義さんによる「MY ROOM」。

「ともに歩み繋がる縁起とは、自身と世界の境界であり扉である」というコンセプトのもと、白い部屋に踏み入れた一行は、ぐるぐる回り始める壁のグラフィティに仰天!

回転するグラフィティからは、やがて静止画では見えなかった絵柄が浮かび上がって、一行はもう一度びっくり。回転は10数分止まらないそうで「この部屋だったら眠れなかった……」と、思わず本音をもらす登壇者も。

驚きしかなかったアートツアーを終えて1階のバーへ戻ると、交流会が始まっていた。見学を終えた一行は、ツアーを待つ次の集団に感想を伝えながら、興奮もそのままに京都ローカルのアーティストや、ICCサミット参加者たちの交流の場に入っていった。

「今日は刺激が多すぎる」

SHOWKOさんに、今回のイベントの感想を伺った。

SHOWKOさん「むちゃくちゃ楽しかったです。まだまだ話す時間がほしいくらい。BnAは東京の会社ですが、ここまでぶっ飛んだことをされるのは、京都以外の会社が多い。そうやって京都にいろんなカルチャーを作ってくださるのは面白いし、京都だけでなく、世界、いろんなところにどんどん作っていただければと思います。

今日はいつもと違うジャンルの経営者の方々にお話をしましたが、私自身もクラフトでビジネスをしているので、遠い世界ではなくて、お互い学びあえることがあればと思っています。ICCの活動も以前から知っていたので、行きたいなと思っていました。

以前にTEDxTokyoのボランティアをしたことがあって、登壇者とスタッフの垣根がなかったのが印象的でした。アイデアを話していても、教えているようで、教えられているということがたくさんあると思うのです」

現在子育て中のSHOWKOさんに、最終日のセッションに「子育て経営学」のセッションがあることをお伝えし、会場にいたモデレーターの武田純人さんをご紹介したところ、翌日会場にお越しいただき、「雑談」セッションも合わせてご覧いただいた。とても楽しんでいただけたご様子だった。

アートツアーから帰ってきたラクスルの永見 世央さんは、「ぐるぐる回るやつがすごくて、まだ余韻が残っています」とコメント。後からラクスルの松本 恭攝さんも到着し、SHOWKOさんと会話を楽しんでいた。

交流を楽しみながら、この夜、宿泊する人たちは、自分たちがどんな部屋に泊まるのかを話している。解説なしの「お互いの部屋を見せあうツアー」が始まったようだ。ルームキーを手に、集団がエレベーターを上っていく。

昨年グランプリのMinimal山下貴嗣さんは、自分の部屋を確認したようで「僕の部屋はこれなんです! ひげづらの男が泊まるのはどう思います?(笑)」と、訴えている。果たしてその夜、どんな夢を見たのか聞きたいところである。

カタパルトでは審査員、ラウンドテーブルの両方に出席したサツドラの富山さんに感想を聞いた。

富山さん「今日は刺激が多すぎますね! 場所が変わるとそれも話題にして盛り上がります。ワークショップなどで他の分野の人でも話してみると、共通項を発見できたりします。いろいろなキャリア、レイヤーの人がいるのが、ICCの魅力だと思います。

CRAFTEDコミュニティはすごくいいですね。僕はリテールですが、そういったいろいろなジャンルがフィーチャーされて、新しいミックスが生まれていくといいなと思います」

5円玉を貼り付けるための道具も用意されている「go en no ma」

アートツアーで、壁に5円玉を貼り付けていたシニフィアンの小林 賢治さんにも感想を伺った。

小林さん「僕、実は大学院で美学芸術学を学んでいました。

我々のような資本主義の権化みたいな連中が、こういう場に集ってくるという不思議さと、突然の出会いが面白いですね。アートそのものよりも、見ている人を見るのが面白かったですね。

決してみんなバックグラウンドがあるわけではないので、素直な反応をする。見ている人を見るのが面白いのはそこです。

こういう取り組みが広がるといいと思います。リベラルアーツ的な部分が人気セッションになっているのもICCの魅力で、とても面白いと思います」

志をともにする仲間ができた

今回の企画に快く賛同いただいた、BnAの田澤さんにももちろん感想を聞かねばならない。

田澤さん「こういう全館でのイベントはできる機会がなくて初めてで、面白いですね! 部屋のツアーの感想も聞けて、めちゃめちゃ嬉しかったです。泊まる人は、ここから自分の部屋の見せ合いっこが始まるんですよね。

CRAFTEDカタパルトでプレゼンしていた、みやじ豚を食べましたが、めちゃくちゃおいしかった!」

そのみやじ豚の宮治さんは、フードカウンターの周りで、豚肉のおいしさを絶賛されていた。

3位に輝いた三星グループの岩田さんは「すごくおいしいんだけど、宮治さんの顔が浮かんじゃって……」と笑っている。

みやじ豚 宮治さん「まさか2位になれるとはまったく思っていませんでした。うちはあまりビジネスの話はできないので、とにかくおいしさを伝えて、1ポイントをもらって、3位に滑り込めたらそれが最高のシナリオだと思っていました。そうしたら2位になれました。

プレゼン講座を聞いて、自分のスライドの情報が少ないとあせったので、内容をかなり増やしました。実際時間が足りないくらい増やして、スライドも2〜3枚出していないほどです。

小林さんが最初に、CRAFTEDの人たちは稼げないけどみんなやっている、と言っていたけど、本当にそのとおりです。でも新入社員も入ったし、多少は稼げるようにしていかなければいけないと思っています。

登壇したみんな、同士のような感じがありますね。ICCに本当に参加してよかった、こんなに志をともにする仲間ができてよかったなと思っています」

翌日聞いたところによると、宮治さんと岩田さんは、自分たちがCRAFTEDカタパルトで1位になれなかったのはなぜか、村岡さんにあって自分たちに足りなかったものはなにかを話し合い、反省会をしたらしい。

CRAFTEDカタパルト登壇を終えて

一平ホールディングスが涙のグランプリ! CRAFTED カタパルト&ラウンドテーブルで増幅するモノづくりへの情熱【ICC KYOTO 2019レポート】

Foo Tokyoの桑原さんは、初ピッチを終えてほっとした表情だ。結果がわかったあと、審査員の方々に印象を聞いたところ、桑原さんが良かったと言っている人も多く、それを伝えてみた。

桑原さん「刺さる人には刺さるというか、伝わる人に伝わればいいなと思っています。でも、いろんな方と話をして、これからビジネスにつながりそうなので、よかったなと思います」

控えめな答え。まだ未定だが、これから進みそうな話もあるという。

「僕は比較的普通の部屋なので、眠れそうです」と村岡さん

優勝した村岡さんは大人気で、大勢の人に囲まれている。聞くと、優勝が発表されてしばらくしてからFacebookを見てみると、いいね!がお話を聞いた21時の時点で758件、お祝いコメントが130も届いていて驚いたそうだ。

◆ ◆ ◆

22時ごろ。まだまだ会は盛況だが、おそらく部屋ツアーに行ったまま部屋で話をしている人たち、外に連れ立って出かける人たちなどもいて、ひとまずCRAFTED NIGHTはお開きとなった。にぎやかな会場の中で物思いにふけっているのは、今回ICC初参加のアセットマネジメントOne岩谷 渉平さんだ。

岩谷さん「初めて参加して、全体を通して、自分が本当に違う人になったという感じがあります。

投資家として、まったく違う投資家になったという自覚があるのです。

この単発のカンファレンス1つに参加してそうなったわけではなくて、朝のビデオ上映会や、夜のイベント、ここに向かってどんどん準備していくイベントにいろいろと出席しました。

そして京都に来て、いろいろなセッション、この場も含めて参加していくなかで気がつきました。

何か1つのセッションに感動して、自分が変わったのではありません。1つ1つの体験をしつこく自分に入れていったら、気づいたら自分がずいぶん変わっていったという感じです。そこがICCの大きな魅力だと思います。

まず、企業と会社への理解がものすごく深まりました。会社とはどういうものなのか、その中でどういうふうに問題が発生して解決しているのかというのが、セッションを聞いていくうちに、よくわかるようになりました。

今まで僕が見ていたのは表面だけ、発表されたものだけで、それって氷山の一角なんですよ。その自覚はあって、その下は想像力で見るしかありませんでした。想像力というのは、鍛えないと使えないパワーです。

解像度=精度もそうだし、スケール全体を把握するのも想像力。それはいろいろな仕事のパフォーマンスに非常に大きな影響を与えます。

投資家は、それがわかると思ってしまう自信過剰なところもあって、こんなもんだろう、ぱっと見でわかる、自分はプロ筋だからと思ってしまいます。

でも、こうやってライブで顔色を見たり、一緒の時間を過ごして、話を聞いてみてはじめて実像がわかることがあります。それはまさに、表面だけでは見えないところの理解です。今回そういうことが財産となりました。

ファンドマネージャーを呼ぼうということで今回ご紹介いただきました。まだICCとは4ヵ月ぐらいしかおつきあいしていませんが、今までになかった素晴らしい4ヵ月だったと思います。

2回目3回目以降、おもしろい話をできる人とできない人がいる、と、小林さんとの最初のミーティングで言われました。たしかに最初ならば、今までのことを語ればいい。でもこのあと話せる人は、これからの6ヵ月でものすごく成長している人だと思うのです。

ICCには、濃密に学んで、成長しないと、二度と入れてもらえないなと思いました。その学びを一緒にできる仲間、コミュニティなんだと思いますね」

ICCサミット KYOTO 2日目の夜。「ともに学び、ともに産業を創る」ためには、毎日の積み重ねに加えて、より先へ、より上へと成長しようとする自分自身のレベルアップが必要なことを、参加者たちは知っている。

刺激的な会場BnA Alter Museumでのナイトセッション。宿泊した31部屋のゲストたちには、翌朝から修学旅行の後のような親密さが生まれているように見受けられた。今回のCRAFTED NIGHTが、地元のクリエイター、アーティストとの交流も含めて、娯楽性もありつつ、今までになかったインプットとなったことを期待したい。

(終)

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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/戸田 秀成

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