一平ホールディングスが涙のグランプリ! CRAFTED カタパルト&ラウンドテーブルで増幅するモノづくりへの情熱【ICC KYOTO 2019レポート#7】 | 【ICC】INDUSTRY CO-CREATION

一平ホールディングスが涙のグランプリ! CRAFTED カタパルト&ラウンドテーブルで増幅するモノづくりへの情熱【ICC KYOTO 2019レポート#7】

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9月2日~5日の4日間にわたって開催されたICCサミット KYOTO 2019。その開催レポートを連続シリーズでお届けします。今回は、「一平ホールディングス」村岡 浩司さんが優勝に輝いた、第2回目となるCRAFTED カタパルトと、その後に行われたCRAFTED ラウンドテーブルの模様をお伝えします。ぜひご覧ください。

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢900名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット FUKUOKA 2020は、2020年2月17日〜20日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページのアップデートをお待ちください。


第2回CRAFTEDカタパルト、開幕

CRAFTEDカタパルトには、特別な雰囲気がある。2019年2月、ラウンドテーブルを含む第1回目の開催が終わるころにそれは醸成されかけており、7月末に東京で行われた、今回のプレイベントというべきCRAFTED NIGHTで、他とは一線を画す特別な空気感をもつものとなっていた。

究極のプロダクトを目指す企業が明かす、今、モノづくりとブランドに求められるものとは?【ICC KYOTO 2019 CRAFTED NIGHT連動企画】

今回の登壇者たちもすでに、どこか一体感というか、ファミリー感がある。ピッチコンテストの形ではあるが、同じ苦労とモノづくりの喜びを知っている仲間という雰囲気だ。

登壇者、審査員、さらにそれを見に集まった参加者たちは、どのようなモノづくり、いかなる創意工夫に出会えるのだろうという期待をもっている。誘導のスタッフに連れられて、登壇者たちが控室から会場へと入ってきた。

東京のイベントでも、何度も九州パンケーキを焼きに来てくださった村岡 浩司さんと目が合った。穏やかにほほえみながら小さくガッツポーズ。LUCY ALTER DESIGNの青柳 智士さんや、三星グループの岩田真吾さんは前回審査員だったが、今回はプレゼンターとして登壇だ。

カタパルト・グランプリで優勝したばかりの日本農業 内藤 祥平さん、Sparty深山 陽介さんのイベントで知り合ったNext Brandersの桑原 真明さんも登壇する。HitoHanaの森田 憲久さんには、ICCオフィスの観葉植物などですでにお世話になっている。TokyoDexのダニエル・ハリス・ローゼンさんは、前回登壇したBnAの田澤 悠さんの紹介で登壇が決まった。

「モノづくりをもっと体験づくりに」

審査員席には「煎茶堂東京」のお茶とお菓子が用意されていた

スタートアップ・カタパルト同様、ステージの左右に振り分けてスタンバイした登壇者たち。一番目の登壇を待つ青柳さんに、dofの齋藤太郎さんがガッツポーズを送っている。青柳さんは落ち着いているように見えたが「緊張しています」と答えた。

桑原さんは、これが初めてのピッチコンテスト。直前の時間帯に開催されていたカタパルト・グランプリでは優勝賞品提供をしていただいてるが「順番が逆ですよね(笑)。でもがんばります。楽しみたいです」とコメント。

この日の朝、ブルーボトルコーヒーでのアクティビティに参加していた宮治さんは、動じていないように見える。「整ってきました!だんだんワクワクしてきました」と言いつつ、最後の最後でスライドを入れ替えているようだ。

司会を担当するICC小林 雅の前口上も少し異なっている。

ICCパートナーズ代表 小林 雅

ICC小林「今回はカタパルト史上最大の、審査員40人です。会場の4分の1が審査員で、企画のしがいがあります。各分野のCRAFTEDな人たちが審査員となり、CRAFTEDコミュニティと呼んでいたりします。

モノづくりにこだわる人は、儲かっていないとか、いいものを作っているのに評価されないなど、苦しい思いをしてこられた方も多いと思います。励まし合って、ともに産業を創るというのが我々のビジョンであります。

(一同拍手)

このカタパルトのスポンサーでもある、LEXUSのこだわり、美意識を感じて、みんなで創り上げていければと思います」

キーノートプレゼンターとして、LEXUSの沖野さんがステージに上がった。

Lexus International レクサスブランドマネジメント部 Jマーケティング室 室長 沖野 和雄さん

「2回目となるCRAFTEDカタパルトを開催できることを、大変嬉しく思っています。モノづくりをもっと体験づくりにしていきたいというのが、CRAFTEDカタパルトです。

前回を振り返ると、今日は審査員で来ていただいているMinimalの山下さんが見事優勝されました。どの方もお客様や生産者、モノづくりに対する愛にあふれるプレゼンターばかりで、審査員、オーディエンスのみなさまもその熱量に圧倒され、心を打たれたのではないかと思います。

ピッチに入る前に、このカタパルトのテーマでもあるCRAFTEDについてお話しさせてください。

CRAFTEDとは、LEXUSの創業以来流れる哲学を言語化したもので、お客様が求めるものに、お客様以上に想いを巡らす姿勢を言語化したものです。

CRAFTEDというと、モノづくりだけを語っているように聞こえるかもしれません。しかし、開発、製造の現場だけでなく、お客様がLEXUSと関わるすべてにおいて、CRAFTEDの精神が息づいております」

クラフトマンシップとソートフルネス、CRAFTEDの精神の源泉となるのは、日本人の美意識、繊細な感受性や豊かな想像力。前回福岡のサミットで、LEXUSの宮田工場を見学した方々は、それをまさに実感されたはずだ。

そして、CRAFTEDなモノづくりを手掛ける8人のプレゼンターたちの挑戦が始まった。

8人のプレゼンテーション

プレゼンの模様は動画をご覧頂きたいが、食品、衣料品、嗜好品、オフィスアートなどジャンルは多岐に渡る8人のプレゼンターたちは、いずれも他者に想いを巡らせ、細部に渡って作り込まれた、温かく血の通う自分の事業を精一杯紹介した。

日本茶の魅力を再提案して新たな市場、サプライチェーンを開拓する「LUCY ALTER DESIGN」青栁 智士さん

サステナブルなウールTシャツが世界1位のクラウドファンディングを達成「三星グループ」岩田 真吾さん

「頑張らなくてもいい」を伝える最高品質のルームウェアブランド「Foo Tokyo」桑原 真明さん

日本産農作物の海外輸出をバリューチェーンを構築し、知財を守る「日本農業」内藤 祥平さん

在庫なし、小規模でサステナブル、規格外のおいしさを誇る「みやじ豚」宮治 勇輔さん

世界が憧れる九州を農業資源×伝統技術で創る「一平ホールディングス」村岡 浩司さん

品数、サービスともに今までなかった花屋EC「HitoHana」森田 憲久さん

会社の価値観を形にするビジョンウォールをモデレートする「TokyoDex」ダニエル・ハリス・ローゼンさん

モノづくりだけでなく、それを生み出す土壌、それが必要とされる社会、人とのつながり、失ってはいけないものに想いを馳せ、顕在化していない大切なものを探り当てようという試み。ここまで心を傾けた完成度の高いものに価値を見出せなければ、私たちはCRAFTEDではない、貧しい世界に住んでいる。

8人の挑戦に、審査員を始め集まった人たちは惜しみない拍手を送った。

CRAFTEDな審査員の感想は

ステージ上には再びプレゼンターたちが集められ、審査員からの総評を聞いていく。投票を終えた審査員の反応は当然ながら上々だ。

GRA 代表取締役CEO 岩佐 大輝さん

岩佐さん「すべてのプレゼンに感動しました。ふだん山っ気のあるビジネスカンファレンスでは表に出て来ないようなビジネスが、表に出る素晴らしい企画だと思います」

カフェ・カンパニー 代表取締役社長 楠本 修二郎さん

楠本さん「日々のご活動に、ありがとうございますとお伝えしたいです。

志は同じでも、ここまでやりきれないことがいつも経営の中にあって、そこを言い訳しちゃいけないなと、ICCに来た昨日から思っています。8人のプレゼンを聞いて、日本が明るくなるなと思ったし、僕も妥協せず頑張らなければいけないと思いました」

Minimal 山下 貴嗣さん「素敵なプレゼンありがとうございました。僕もモノづくりのはしくれなので、みなさんのことを自分に置き換えて、これはめっちゃきついだろうなと思ったりしました。帰ってすぐチョコレート作りたいと思いました」

インサイトフォース 代表取締役 山口 義宏さん

山口さん「基本的に全部ぐっときていました。ただ資料を置いて同じことを伝えるのと、非効率でもこうやって対面でお話しいただけると、こちらも経済合理性を忘れて応援したくなると思いました」

PARTY CEO / Founder・WIRED日本版クリエイティブディレクター・
CYPAR CCO・ArtSticker・The Chain Museum CCO 伊藤 直樹さん

伊藤さん「会社に帰ってモノづくりをしたいと、改めて思いました。モノづくりをしている人って本当は、食べてほしい、触ってほしい、実物を見てほしいという思いでやっています。そういう矛盾を抱えながらプレゼンをするという緊張感がありました。

もしこのあと食したり触れたりすることがあるのならば、ぜひみなさんのところへ近寄って、感じさせてほしいなと思います。それがCRAFTEDなのかなと思います」

共同商事(コエドブルワリー) 朝霧 重治さん「プレゼンありがとうございました。聞いていて、こちらも聞いて熱くなりました。AIとか言われますが、人間の感性は最高のセンサーだと思っています。気持ちとプロダクトとサービスを、ユーザーとしても楽しませていただきたいなと思っています」

dof齋藤太郎さん「みんなプレゼンうまいな、ずるいなと思っていました。みんな応援したいです」

サツドラ富山さん「熱い想いでプレゼンをして、これをどうやって社会に届けるかまで考えられている。それに新しいアイデアが加わっていて、素晴らしいと思います」

入賞者の発表!

審査員たちのCRAFTED魂にも、すっかり火が点いているようだ。審査の集計が終わり、既報の通り結果が発表された。受賞コメントとともにご紹介しよう。

3位 三星グループ 岩田さん「三星だけに3位…非常に悔しいですが、素材は黒子。こうやって直接伝える機会があってよかったです。

昨日、西口 一希さんのセッションを聞いて、ロイヤルカスタマーの話を聞いてみようと、いつもTシャツを着てくださっているココナラ南さんの映像を撮って、プレゼンに入れました。

昨晩みなさんと話をしているうちに、僕の娘のエピソードを入れたほうがいいんじゃないかと言われて、それも足しました。本当に共創できる場でした」

同率3位 日本農業 内藤さん「今回みなさんのプレゼンを見て、めちゃくちゃおもしろいなと思いました。ラウンドテーブルも楽しみです。日本の農産物を作って海外に持っていったり、日本の品種を海外で作っていく、そういうところで産業を作っていきたいと思います」

2位 みやじ豚 宮治さん「おいしい豚というのを伝えて、3位にすべりこめれば御の字だと思っていて、諦めていたのでびっくりしています。めちゃめちゃうれしいです」

ICC小林「今夜のCRAFTED NIGHTでは、LEXUSさんのご厚意で、みやじ豚のお料理が出ます!」

宮治さん「みなさん、一つ言わせてください!よそで豚肉を食べられなくなってもいいという覚悟をして召し上がってください」

自信満々の宮治さんの警告に、会場がどっと湧いた。

「地元のみんなの顔が浮かびました」

優勝が発表されたとき、一平ホールディングスの村岡さんは、思わず言葉を失った。何かを言おうとしたが、声が出ない。そして握手を求めたICC小林と抱き合い、深くお辞儀をした。目頭を押さえ、マイクを受け取って何か言おうとしても言葉が出ない。

「しゃべれない……うれしい、うれしい」

満面の笑顔に浮かぶ涙を抑えようとして、断片的に言葉を絞り出す姿に、会場はすっかりもらい泣きモードになった。

「僕らはまだまだ、どういうふうに世の中に伝えていけばいいのかわからないので、みなさんの力を借りながら……ごめんなさい、しゃべれない! なんか、地元のみんなの顔が浮かびました」

プレゼンを見たあと「CRAFTEDは、やっぱり愛だなと思いました」と感無量の面持ちで言っていたLEXUS沖野さんは、愛知県にある田原町工場見学など、LEXUSのモノづくりを巡る旅 社員ご招待などの商品を村岡さんに授与した。

前日から村岡さんには、Facebookなどでたくさん応援メッセージが届いていたという。九州全土を回り、各地から集めた素材で作ったおいしいパンケーキや、これから生まれようとするプロダクトは、その人たちみんなの夢をのせて、カタパルトでさらに加速をつけて飛び出していくに違いない。

世の中に自分たちの想いを知ってもらいたい

授賞式が終わり、コメント収録の準備をしている村岡さんの目にはまだ涙が光っていた。

村岡さん「こんな賞をもらえると思っていなかったので、率直にうれしいです。他の方々もすばらしかったので、心から感激しています。

私たちは九州の地域資源と、九州中のものづくりの工場をかけ合わせて、新しいアイランドブランドを創ろうとしています。パンケーキミックスを始め、いろいろなプロダクトを創ろうとしています。

モノづくりは地道な作業で、こういう華々しい席で登壇することはありませんでした。前回CRAFTEDカタパルトを見せていただいて、登壇した皆さんの熱量を感じて、心から感動しました。自分も気持ちを奮い立たせてここで伝えてみたいという気持ちになって、今日は立たせていただきました。

我々はまだ道半ばですが、目標を折り込みながら、話をさせていただいたつもりです。

登壇は……緊張していてあまり覚えていませんが、普段やっていることを、気持ちをのせて話すことができたかと思います。

宮崎という小さな町にいる小さな会社ですから、世の中になかなか自分たちの取り組みや想いを伝えることができませんでした。これをきっかけに、九州の方々だけでなく、いろいろな方々に知ってもらえればと思います。いや〜びっくりしました!」

審査員でもあり、東京でのCRAFTED NIGHTでは、ディスカッションをすばらしくまとめてくださったTakramの渡邉康太郎さんにも総評をうかがった。

渡邉さん「食文化、お花、アート、そのほかいろいろな角度から生活に彩りを与えるものがありました。プレゼンターの方たちから情熱を感じられてすごくよかったです。

優勝した村岡さんの九州パンケーキは、先日のICCのイベントで一口食べただけでも、仰天するほどおいしくて。もちろん社会的意義や、地元の生産者とのネットワークもあると思うのですが、本能的にこれはうまい!というところが、ものすごく大事なのだと思います。

ちゃんとおいしいと思ったあとで、さらに学ぶことで驚きがある。その両方あるのが優勝の決め手になったのではないかと、個人的に思います」

ランチタイムも語り合うCRAFTEDコミュニティ

CRAFTEDカタパルト審査員のクラシコム青木さん、博報堂ケトル嶋さん、PARTY伊藤さん

その後、ランチを挟んで「CRAFTEDラウンドテーブル」が開催された。時間が開くため、多少興奮が冷めるかと思いきや、立食の席では、“CRAFTEDコミュニティ”が熱気もそのままに食事をしながら話を続けている。

dofの齋藤太郎さんとTokyoDexのローゼンさんは、2人で真剣な表情で立ち話。齋藤さんはローゼンさんの取り組みにとても感銘を受けたとあとで語っていた。

JR九州の小池 洋輝さんは、熱い口調で感想を語ってくださった。

小池さん「村岡さんに二重丸をつけたかったのですが、同じ九州だからと思われるのが嫌で、一歩引いて、泣く泣くわざと、丸一つにしたのです。そうしたらみんなが彼を選んでくれたのが、すごくうれしかった。

昨日から村岡さんはすごくプレッシャーを感じて、緊張されていて。地元の人たちの応援も昨日からすごくて、それをしょって登壇されたのだと思います。だから余計嬉しかったんじゃないでしょうか。

ビジネスもそうですが、生き方、生き様ですよね。Foo Tokyoもいいし、みなさん甲乙つけがたいですよね」

話が終わったローゼンさんに登壇の感想を聞いた。

ローゼンさん「ぎりぎりまで準備して、すごく緊張しましたが、本番はからっぽの状態でしゃべりました。ラウンドテーブルはおかげで気楽に参加できます。登壇順が最後だったから、他の人のプレゼンがあまり聞けなくて残念でした。動画ができたら、ゆっくり見てみたいです。

CRAFTEDのカテゴリはすごく特殊で、みんな自分の愛するところを追求していますね」

そこへ通りがかったのが、LEXUS沖野さん。

沖野さん「外資と違って日本の会社は、チーム・ビルディングをやれと言われても、ちょっと抵抗感があったりする。そこにダニエルさんのようなワークショップはいいかもしれないですね」

ローゼンさん「うちのワークショップは、組織がすごくフラットになります。偉い人の前でもみんな発言するようになる。

いろいろな企業で開催したことがありますが、今までで一番うれしかったのは、とある古い企業の上のポジションの方が、自分は部下の意見を聞いていなかった、と言ってくださったことです。

ワークショップが終わったあと、『みんなのアイデアにもいいものがあるということに気づいた』と、言ってくださったのです」

沖野さん「素晴らしいですね」

この熱気のまま、CRAFTEDコミュニティは、第二部のラウンドテーブルに突入した。

第二部、CRAFTEDラウンドテーブル

ラウンドテーブルが行われるE会場には、すでに9つのテーブルが用意され、各自が自由に席を選んで座った。各テーブル8人前後がほどよくばらけて座っている。

Minimal山下さん「今回のCRAFTEDカタパルト、すごかったですね。僕、今回だったら優勝できなかったですよ! でもみんなきっと僅差ですよね。あとは、優秀な若い人たちがレガシーな業界に入ってきたなという印象があります。日本にはめっちゃ希望があると思います」

山下さんの言うとおり、後日投票用紙を見てみると、どの企業にも票が入っており僅差だった。さまざまなモノづくりがあったが、いずれもハイレベルだったため、あとは個人の嗜好に委ねられたのだろう。そこへ共同商事(コエドブルワリー)の朝霧さんがやってきた。

朝霧さん「山下さんの前回の優勝プレゼンも感動的でしたよね」

山下さん「僕、COEDOビールがめちゃくちゃ好きで、かなり朝霧さんの本を読んで、エッセンスを参考にしています。朝霧さんの時代のほうが、道は険しかったはずだと思います。朝霧さんたちが切り開いてくれたおかげで、僕たちがいます」

朝霧さん「山下さんとは共通の知人もいたりして、ICCで会うまでに一緒に飲んだりもしていました。Minimalのガトーショコラもおいしかったです」

司会のICC小林が仕切るより先に、すでにカタパルトの感想を言い合ったり、自己紹介をしたりと、ディスカッションの準備は十分できているようだ。そこで、発表リーダーを各テーブルで決めたのち、最初のディスカッションテーマ「CRAFTEDとは何か?」が提示された。

付箋に書き出すチーム、語り始めるチーム、一人が書記となって議論を可視化するチーム、モデレーターが議論を回すチームなどなど、CRAFTEDラウンドテーブルはいきなりロケットスタートだ。最初は後ろで見学していた参加者たちも、テーブルに集まってディスカッションを聞いたり、参加している。

自分にとってのCRAFTEDとは何か?

テーマはありながらも、各テーブル語りたいことや、語りたい相手が集まっていることから、議論は自由に広がっていった。発表されたり、各テーブルで出ていたコメントをいくつか紹介しよう。

岩田さん「LEXUSさんに、なぜスポンサードをしているのかお聞きしたところ、もっと若い層にアプローチしたいからというお話がありました。

一方で、CRAFTEDというのは、にじみ出るものであって、僕らの世代はともかく、若い人たちには、そのCRAFTEDの余韻は感じられるのか?というところから議論が始まりました。

そのなかでクラシコムの青木さんから、10代〜70代までの趣味嗜好が変化していくことと、お金を持っているかどうかが逆行しているということを聞き、LEXUSはお金を持っている人に売らないといけないから、結局マーケットが壊れてしまうのではという話にもなりました。

では若い人に適切にCRAFTEDのコミュニケーションをするには?という話になりました。お金やインフラのネックがあるので、モノでコミュニケーションするには限界がある。でもコンテンツでは届くのではないかと思います。それは青木さんのやられている映画でもあります。

そもそも自分たち30〜40代でやっているCRAFTEDは正しいけれど、20代には20代なりのCRAFTEDがあるのではないでしょうか。それはむしろそれは無形の世界に広がっている、最近のアニメとかものすごいハイコンテキストですよね」

ローゼンさん「僕から見れば、日本人はみんな職人に見えます。僕はアメリカで美大に行っていたのですが、生徒はみんな化け物みたいな人たちでした(笑)。だから日本人とこういう議論をするのは面白いですね!」

宮治さん「モノづくりの濃いメンバーばかりなので、我が社のモノづくりを書き出すことから始めました。するとやはり、にじみ出るものというのがキーワードではないかと。GRAの岩佐さんならば、我社のCRAFTEDとは、(イチゴ作りで)世界中の人を甘酸っぱい気持ちにする、ということでした。

一生懸命作ったものを消費したときに出てくる気持ち。CRAFTEDな体験でにじみ出る気持ちが、CRAFTEDの魅力なのかなと思います。

10年前くらいに、麺屋武蔵さんで、みやじ豚の骨を使ったラーメンを作ってもらったことがあります。私は当時、恥ずかしながら、骨までは普通の豚と変わらないだろうと思っていました。

ところがこう言われました。『この骨やばい』と。僕も生まれて生まれて初めて、とんこつラーメンのスープを飲み干しました。そして思いました。骨の髄までCRAFTEDだと。

そこまでやるからこそ、受け手にも伝わるのだなと思います」

いぶかしげな顔を向ける参加者に、同じテーブルにいた麺屋武蔵の矢都木 次郎さんも「本当ですよ!」と援護射撃していた。

FABRIC TOKYO 代表取締役社長 森 雄一郎さん

森さん「モノを創る前に、我々には感情がある。その感情がモノを通して人に伝わり、感情を動かす、というところから議論がスタートしました。

感情を、機能やデザインやストーリーにしてモノとして売っている、すべて製品の一部なんだというヤッホーブルーイング井手さんの話がありました。

CRAFTEDなブランドはまず圧倒的指名買いをされないといけないとか、感情は絶対に真似ができないので、そこをしっかり研ぎ澄ませてブランドを作っていく。人間はヒューマニティーを取り戻していく過程にあると思うので、にじみ出る感情をのせて、CRAFTEDなブランドを作っていく、という話になりました」

各務さん「私はHitoHanaさんが素晴らしいと思って票を入れました。サービスの設計自体が、お客様の課題を重視している。それがCRAFTEDの精神にあふれていると思うのです。

電通 プロデューサー 各務 亮さん

オルビスの小林さんは、CRAFTEDというのを、コアというより手段として考えているといいます。化粧品を創るときに、油をあえて抜いていく。そうしてよりうるおいのある商品を創るという目的のなかで、CRAFTEDを発揮している。哲学を表現する手段としてCRAFTEDを使うのだそうです」

オルビス 代表取締役社長 小林 琢磨さん

西澤さん「このカタパルト大好きなんですよ。なぜモノづくりにこんなに惹かれるのかと思います。

僕は青柳さん(LUCY ALTER DESIGN)に投票しました。モノづくりを死ぬほど頑張る人はいますが、できた!で、出してしまう人が多いんです。

でも青柳さんは、ロゴだけでも100、200と作っていると思うのです。お茶のブランドもちゃんと作っているけれど、作り込まれたブランドデザインであるとも思うのです」

エイトブランディングデザイン代表/ブランディングデザイナー 西澤 明洋さん

山下さん「作り手の想いに感動したという話で始まりました。宮治さんのスケーラビリティより、サステナビリティだという問題提起があって、それは両立できないか?という議論になりました。

そこで朝霧さんは、スケーラビリティとは、同じ商品をただ大量生産することではないというのです。同じ品質を作れる空間と人をもう1つ作れば倍になる、それをCOEDOは目指しているといいます。それがCRAFTEDでスケーラブルなのではないかと。

そこでは、人づくりが品質を維持していきます。みやじ豚の豚舎にあと10頭の豚を入れるのではなく、もう1つ同じ豚舎を作ればいい。

店舗にしても、同じ思想を持った店舗と人をもうひとつ作る。

そのためには、採用のときに能力ではなくて、共感を見なければいけません。どういう基準で人を評価するか、どう人と向き合うか。それがCRAFTEDを広げるにあたって大事だし、そのときに自分たちの経典と照らし合わせて基準を定めていく。それができればCRAFTEDかつスケーラブルです。

そうすれば、日本のよいところ、コンテンツが世界に広がっていくのではないかと思います」

LEXUS坂田さん「まず、モノづくりでないと、CRAFTEDではないのかという話からスタートしました。会社作りはCRAFTEDではないのか? 目の前のポストイットはCRAFTEDではないのか? これだって使い手のことを考えて作られたプロダクトです。

それは受け手の問題かもしれないという話になりました。そのためには自分たちが、この先、人の心に残るようなモノづくりをしなくてはという話になりました」

エトヴォス 取締役COO 田岡 敬さん

エトヴォス田岡さん「言語化して伝えるという話がありますが、非言語化、わざと言語化しないというのもありだと思います。言語化すると模倣されます。

たとえば無印良品には、MUJIらしさというのがあります。再春館製薬もあえて言語化していません。でもそれっぽいというのは存在しますよね」

こだわりをもって、自分らしさを追い求める

ここに集まった人たちが、常日頃から向き合っているテーマだけに議論は終わる気配がない。結局ディスカッションテーマを1つ投げたまま、議論は続行して時間いっぱいとなった。

沖野さん「CRAFTEDというだけで、これだけ議論が広がるというのが嬉しいです。つまりCRAFTEDとは様々に捉えられる、その多様性がある種の競争力だと思います」

最後に、第2回目のCRAFTEDカタパルト優勝者ということで、いきなりまとめを振られた村岡さんだが、その場にいた人たちが深く頷く見事なまとめで、CRAFTEDコミュニティの想いを代弁した。

村岡さん「言語化するか、しないのか、もし言語化するにしてもどこまでやるのか、言葉にすると陳腐化するのか。そうにしても、たとえば海外に伝えるには何らかの窓口がないといけません。

総括すると、CRAFTEDの真髄とは、憧れだと思います。

憧れを味わうこと。作り手のこだわりが感動を生んで、使い手がその感動を誰かに伝えて共有し、それがいつの日かぐるっと回って作り手に戻ってくる。そういうハッピーサークルができた瞬間に、ブランドが普遍的なものに成長するのだろうと思います。

日本人の感性が効率みたいなものを超えた、こだわりをもった我々らしさを一人ひとりが追い求めていく、それが今日の学びなのかなと思います。みなさまお疲れさまでした!」

その夜、この一同のほとんどはBnA Alter Museumへ移動して、CRAFTED ナイトを体験した。アクティビティを超えた、アートの中に泊まる宿泊体験を含むこのイベントの模様は、別のレポートにて詳しくお伝えしたい。

(続)

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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/戸田 秀成

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