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環境の課題に取り組むピリカ、北三陸ファクトリーがグランプリ! ICCアワードが映し出す「今」という時代

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9月5日~8日の4日間にわたって開催されたICCサミット KYOTO 2022。その開催レポートを連続シリーズでお届けします。このレポートでは、2日間に渡って開催されたガーディアン、フード&ドリンク、デザイン&イノベーションの、3種類のアワードのファイナル・ラウンドの模様をお伝えします。ぜひご覧ください。

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回300名以上が登壇し、総勢1,000名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット FUKUOKA 2023は、2023年2月13日〜2月16日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。


デザイン&イノベーションアワードのファイナル・ラウンドに進出した6組

ICCサミット KYOTO 2022のDAY2、セッション10のC会場は、真剣な議論が行われている他の会場とはまったく違って、大勢の人々で賑わい、雑然としていた。

2日間に渡って開催された3つのアワード、フード&ドリンク、デザイン&イノベーション、ガーディアンの3つの出展企業とその関係者、審査員がこの大きな会場に集結して、その結果が決まろうとしていた。

カタパルト登壇者たちが審査員となり、メイン会場周辺の企業ブースで一番良かったサービスを決めるガーディアン・アワードは、集計が終了しておりまもなく優勝企業が発表されるが、他の2つはすでに会場で回収された投票の集計で入賞企業がこれから発表されて、最後の決選投票となる。

一般投票の様子

メインの賞や部門賞は審査員による投票から決まり、それとは別に一般投票からなるオーディエンス賞もある。出展した企業も、票を投じた人たちもどこが入賞しているかどうかが気になるため、会場に集まっている。運営スタッフも関連するチームが集結している。よってどの会場よりも人口密度が高い場となっていた。

ファイナル・ラウンド開幕

ファイナル・ラウンドで最初に発表されたのは、今回の新企画で初開催となったガーディアン・アワード。既報のとおりUPSIDERが優勝となったが、アワード全体についてこちらの記事でご紹介しているので、ぜひご覧いただければと思う。

優勝したUPSIDERのスピーチの模様
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そしていよいよ、2つのアワードの発表となった。今回新設となったG会場とともに、ほとんどのセッションが行われる会場から少し離れており、陸の孤島と思われたアワード会場には、審査員を除くオーディエンス票が636票、審査員も含めると約700名が足を運んだ。

2日間にわたってブースを担当した企業の皆さんは、会場の各地に座っており、入賞が発表されると、そこここから歓声が上がる。ひときわ歓声が上がったのはたった一人でブースを切り盛りしていた、たこ匠の樟さん。会場で審査員たちにコメントを聞いたときも大人気だったが、この2日間ですっかりファンを増やしたようだ。

名前を呼ばれた企業の代表者たちは壇上に集まり、ここからがファイナル・ラウンド。最後のアピールとして3分のスピーチを行って、審査員たちが再度投票を行う。なぜこれを作ったのか、どんな想いが込められているのか。審査員たちも真剣な表情で聞き入っている。

出展企業、審査員、観客で埋め尽くされたC会場、まずは審査員から選ばれた3社とオーディエンスから選ばれた3社の合計6企業がファイナル・ラウンドに進出する。部門賞5部門も合わせて発表とされた。ここでのスピーチが非常にエモかったため、そのダイジェストを紹介したい。

デザイン&テクノロジー ファイナル・ラウンド進出企業

エイターリンク 岩佐 凌さん

「我々はスタンフォード大学でメディカルインプラントデバイスによって、人間の、まだ解決できていないような病気をどう治すかという研究を10年間行ってきました。そこで最初に手がけたものが、今回展示をした世界最小・従来品の1/1,000の米粒大の心臓のペースメーカーです。現在はこれを脳の中にも入れて、薬では解決できないアルツハイマー病の治療にあたっています。

同じく展示したワイヤレス給電という技術については汎用的な技術ですので、現在は、工場やビルの領域、そして主流であるバイオメディカルの領域、この3領域に事業展開しております。現在は上場も目指して事業が順調に進んでいます。

私は元々商社で働いていました。その中でシリコンバレーに取材をする経験がありました。その時に思ったのは、新しい事業でも、商社でも、富の移動しかしていないんです。誰かが儲ければ誰かが損をする。そういう企業が非常に多い。

私は新しく富を作って世の中、地球全体、人間の富をどう生み出すか、豊かにするか、そういう事業をやりたいと思って起業いたしました。非常に難しい課題がまだまだたくさん残されていて、人の病気をどう治すかは、壁もたくさんあります。我々はそういった中で社会合意も取りながら、テクノロジーの力を使って、世の中を豊かに、そして素晴らしい未来を作っていきたいんです」

インターホールディングス 成井 五久実さん、倉田 学さん

成井さん「私たちは日本の真空特許技術を買い取り、それを世界に流行らせる、そんなビジネスをやっております。この真空特許技術は99.5%を真空にできる唯一の製品です。この真空パックをサプライチェーン全体に組み込むことで地球温暖化、それからフードロスの問題に取り組むベンチャーとしてスタートしました。倉田さん、今回展示した量り売り機についてお願いします」

倉田さん「皆様にご体験していただきました世界初の真空量り売りというのは、お店などで皆さん見かけているかと思います。

食品を扱いたいけれど廃棄率が増えてしまうためにできない、という大きな課題がすでに顕在化しています。それを真空をもって賞味期限・消費期限を伸ばして解決することによって、量り売りという文化を大きく広げていきます。これにより、例えば個別包装、ペットボトルなどが世の中からなくなっていきます。

量り売りだけではなくて、今無人で使えるような自動販売機などの開発も進めておりまして、来年度には皆様がお住まいの近くのスーパーなどで、私どもの製品を見かけることもあるかと思いますので、その時はぜひ体験していただければと思います」

ピリカ 小嶌 不二夫さん グランプリ/トレンド賞/ソーシャルグッド賞

「どんなに見てくれがいいものよりも、とにかく問題解決に貢献できるものを作りたいと、その一心で色々なプロダクトを作っています。特徴的なのが、我々が作ったマイクロプラスチックを川や海で採取して調査するアルバトロスという装置です。

これは国連にも納品していて、とにかく安く作るために楽天で買った水中スクーターと、Amazonで買った網と、東急ハンズで買ったバケツの下をくり抜いたものを組み合わせて作っています。長い国連の歴史の中でも、底の抜けたバケツを納品したのはピリカが初めてだと思います。

それでも受け入れられるし、新興国でもすごく安く使えますし、なにより壊れても直すことがすぐできます。それが非常に喜ばれて、色々な地域でどんなプラスチックゴミが流出しているのかとか、どんな問題が起きているのかがわかって、実際に解決に繋がっています。

見てくれはそんなに良くないかもしれないですけれども、安くて簡単に使えて、機能性があって、そして誰もが面白いと思って参加したくなるようなプロダクトを作って、この環境問題、ごみの自然界流出問題を解決していきたいと思います」

glafit 鳴海 禎造さん 体験デザイン賞

「今回試乗いただいたのは、ナンバープレートの所に切替装置をつけて、電動バイクと自転車と切り替えできるモビリティ。まず乗ってくださいと勧めて、乗ってみると『えっ、これだけ?』と、みなさんびっくりして、そして笑顔になってくれる。その様子を見ているだけで、やっていて良かったなと思いました。

皆さんが日々移動する時間は、特に都会では、すごく面倒だったり、しんどかったり、嫌な時間と感じている人も多いかと思うんです。そんな時間をちょっとでもワクワクに変えて、移動すること自体、本来楽しかったよね、そういうことを思い出せるようなプロダクトを皆さんにお届けしたいという思いで事業をしております。

公道を走るので、法律の壁というのは非常に高いハードルです。せっかくいいもの、便利だなと思うものを作っても、走れないと、便利に使えないと意味がない。1台で自転車とバイク両方に切り替える発想もそこから生まれています。法律を変えるのはかなり至難の技でしたが、その苦労は、これから多くの今後出てくるモビリティに繋がっていくと思っています」

南條工房 南條 和哉さん 準グランプリ

「最後のプログラムということで、皆さんちょっとお疲れかもしれないので、1回おりんの音を聴いていただいて、また体験してもらえればと思います。

(おりんの音)

僕は20年間おりんを作り続けてきた職人です。LinNeというブランドを立ち上げるまでは、自分はおりんという物を作る職人だと思っていました。物を作るための追求をして、良いものを作るために、その技術であったり自分の仕事を磨くことに集中してきました。

しかしLinNeを作ったことで、使っている人の声が聞こえてきて、自分の作っている物の音色が、こんなにも人に魅力的に伝わったり、人の心に求められるものということを初めて知ることができました。皆さんにすごくいい音とか、なんか心が癒されるとかっていう感想をいただいて、嬉しい気持ちでいっぱいです。

工房に籠って仕事していると、なかなかそういう声は聞こえてきません。LinNeをやっていくうちに、この音色というものの可能性が自分の中でも見えてきたり、そして使っている人にも色々教えてもらうことがあります。

僕たちは1つの音に調律するということが得意なので、本当に人の体に響くような音色を調律することで、医療やリラクゼーションなどに繋げていけるようなプロダクトを、人の役に立つ音色を作りたいと思っています。小さい工房ですが、そうして挑戦していくことで、これからもずっと続けていけるように頑張っていきたいと思っています」

SkyDrive 福澤 知浩さん 準グランプリ/グローバル賞/イノベーション賞

「現在は世界に400社ほど、空飛ぶクルマを作っている会社があります。僕らはようやくトップ10ぐらいまで来ました。これは既に人が乗って飛んでいる、そして資金調達が一定程度いっている、そして国土交通省との正式な認可がスタートしているといった点が評価されたためです。

僕たちが目指しているのは、コンパクトな空飛ぶクルマです。特に日本とかアジアみたいに、停められる場所があまりない所では、どこでも飛んでいけるのはすごく大事です。ヘリコプターと違って空飛ぶクルマは100%電動でエコですし、騒音もコストも1/3ぐらいということで、一気に使われるようになるのではと思っています。

皆さんは今回、この会場にタクシーで20分で来られたと思います。2025年に僕たちが発売開始すると、京都駅から空飛ぶクルマで3分で来られるという世界を作っていこうと思います」

フード&ドリンクアワード ファイナル・ラウンド進出企業

金楠水産 樟 陽介さん 準グランプリ/美味しさ賞

「金楠水産の樟と申します。水産加工会社です。決してたこ焼き屋の兄ちゃんではないので、改めてご認識いただきたいと思います。実は私、今回フード&ドリンク アワード、3回目の挑戦です。なかなか諦めきれない男でして、この3回目、実は審査員でオファーをいただいていました。

でもちょっと(ICC小林)雅さんにわがままを言いまして、もう一度挑戦させてくださいと、自分はまだチャレンジャーなので出展した結果、たくさんの『美味しい』を、本当にいただけて、もう泣きそうです。ありがとうございます。

なぜ挑戦したかと言うと、今、たこの水揚げがどんどん減っていて、港に行けばみんな暗い顔をしているんです。もうたこあかんなと。もう樟さん、たこはやめたほうがええで。他の仕事探し。そんな、本当に暗い漁師さんの表情を、若い僕が何かチャレンジして、明るい光を差すことができたらなあと、そういう想いで3度目の挑戦をしました。

結果、美味しいと何度も目の前で言っていただいて本当に良かったなと思いますし、こうやってまた3分間お話しする機会をいただけて、本当に皆さんには感謝を申し上げたいです。これをさらに広げて、この高めた価値を、港や漁師さんに還元して、もっと明るい未来を水産業界に作っていきたいと思っておりますので、引き続きのご支援、ご指導よろしくお願いします」

伊良コーラ 小林 隆英さん

「創業4年で、クラフトコーラのメーカーをやっています。ちょうど約3年前の創業当初に、同じような展示会に呼んでいただいたことがありました。そこではお客さんは興味を持って伊良コーラの話は聞いていただけるんですが、名刺交換があまりできず、その後のビジネスに続くこともありませんでした。

昨日今日と実際にアワードの現場に立って、皆さんがすごく我々の話を聞いてくれて、一緒に作ろうみたいな気持ちをすごく感じたんです。

この違いがなぜ生まれたのかを考えると、我々が4年間積み上げてきた歴史みたいなものがあり一緒に挑戦する仲間がいること。あとはやはりICC という場が、一緒に何かものを作り上げる場所というので、皆さんのすごい熱い気持ちを感じたんです。

創業当初の展示会の時から、我々はずっと『コカ・ペプシ・イヨシ』になるということを言い続けていましたが、本当に誰も信じてくれませんでした。でも今、話を聞いてくださっている皆さんの力があれば、その目標に近づけるんじゃないかなって思っています」

MISOVATION 斉藤 悠斗さん ヘルシー賞

「今何を話そうかなと考えながら、この味噌汁を作る前に、ここまで栄養価の高い味噌汁って本当に売れるの?とか、売価も1,000円弱する味噌汁なので、そんなもの作っても売れないとすごく言われていたことを、思い返していました。

元々栄養士を志したきっかけが、私のおじいちゃんが認知症になってしまい、自宅で介護をしていた経験です。認知症は特に病気の中でも治らない病気で、どんどん悪化していきます。日々弱っていく祖父とそれを介護する家族を見ていて、とても辛い思いをしたことから、食で病気を予防することに興味をもって、大学で栄養士を取得しました。

栄養士として食の予防医療を推進する上で、もともとカゴメという会社で野菜ジュースを売っていたのですが、それよりも優れた味噌の可能性に気づきました。味噌は単体だけで25種類の栄養素が入っていて、高血圧、がん、認知症すらも予防する効果があるという論文が近年出るなどしています。

ただその味噌の市場が、非常に国内で落ち込んでいます。食文化が和食から洋食に変わってしまって、なかなか消費が増えなくて困っている味噌蔵さんが全国にたくさんいます。今回この完全栄養食という新しい切り口で、若い世代をはじめとして味噌汁を届けています。

まだまだこれからのブランドですが、今回のスピーチとこの賞をきっかけに、皆様のような素敵なブランドにできるように頑張っていきたいと思いますので、もう一度日本で味噌の産業を盛り上げ、予防医療を推進していきたいなと思っております」

北三陸ファクトリー 下苧坪 之典さん グランプリ/ソーシャルグッド賞/ストーリー賞

「2010年に創業して、2011年の震災を目の前で見ました。生まれ育った地域が大津波にのみ込まれて、このまま水産業をやれないな、もう諦めようかなと思っていましたが、部屋を片付けている時に1枚の写真を見つけました。そして曾祖父が80年前、何のインフラも無い時代にアワビを干して、香港に船で渡り、現地のマフィアと取引をして一大財産を築いたという話を聞きました。まさにそれが僕の経営者としてのDNAだなと思ったんです。

この11年、会社を経営してきましたが、水産業界は大きく衰退をしております。様々な課題の中で僕に最もインパクトを与えたのが、『磯焼け』という海藻がなくなる現象でした。

皆さんは、海藻を食べたことがあると思いますが、海藻は何のためにあるかご存知でしょうか? 魚が隠れる場所、魚が卵を産む場所、そして海中の二酸化炭素を吸収する場所なんですね。実は森林よりも多くの二酸化炭素を吸収してくれるのが海藻です。

その海の中の最も重要な資源が無くなっている。だから我々は海藻を生やしていく必要があるということで、我々は未来を変えていくために、うにが最も食べつくす海藻を増やすため、うにに海藻ではないエサを与えなければならないと、北海道大学と6年かけて研究開発しました。

ぜひ海の中の未来を、これを機に考えていただいて、1日のうち、いや1週間のうち1回でも海藻を食べていただいて、海の中のことを考えてください。これは全員の課題です。日本人のプライドとして一緒に魚食文化、日本の水産業を守っていきましょう」

格之進 千葉 祐士さん

「はい、肉で世界平和! 格之進の肉おじさんです。いやあ、ICCは最高ですねえ。初参加なんですけど、いやあ、もう何がすごいって、もう本当に可能性しかないですね!

私がなぜ起業したかと言うと、隣町から出荷すると前沢牛になって150万円なのに、地元の出荷で出すと1頭90万円ぐらいにしかならない。同じ牛で、同じような環境で育っているのに、ハンコが違うだけでこんなに違うんですよ。これはおかしいよねえとずっと思っていたんです。

その時に私は気づいたんです。ナントカ牛とかっていうブランドに頼っているなあって。車業界でいえばトヨタだったりフェラーリだったり、色々な経営ができますよね? なので、牛を育てるのは農家じゃなくて、メーカーだって考えたんです。それ以来、既存の常識にとらわれずに、どう価値を作るのか、そのことばかりを考えてきました。

食べることは実は消費じゃなくて投資なんです。食料が足りなくなったら、海外から船か飛行機で持って来なければいけない国が、この食の未来を考えた時に、どのような消費活動が食の未来を作っていくのか。世界でも食のトップの国は日本です。美味しくて、多様な料理ができて、そして安くて安心です。こんな国は他にありません。

それを支えているのは生産者です。残念ながら生産者はこだわっている人ほど、なかなかサステナブルな状況になっておりません。それを新しい価値を作っていきながら、新しい商品を作ればプライシングリーダーになれます。そのような形でやっていきたいと思います」

DORAYAKI 塚本 洸介さん

「今でこそ店舗数も増えて認知されるようになってきましたが、我々のルーツは間借りです。最初物件の取得が出来なくて、バーの端っこを借りてそこにUber Eatsを通したというのが原型です。そんな状況で、鶏とブロッコリーで勝負すると言ったら、周りの先輩や友人たちはみんな反対しました。

特に究極の一品を作るというコンセプトがなかなか伝わらず、赤が足りないからトマトを入れたほうがいい、鶏だけじゃなくて豚も牛を入れたほうがいいという意見をたくさんいただきました。私自身が迷っている中、飲食業界が未経験だからという理由で融資が通らず、絶望したこともあります。

それでもこの鶏胸肉とブロッコリーを信じてこられたのは、私自身が悩んだダイエットの課題を解決したい、そして究極の一品を作ってみたいという気持ちからです。現在累計の提携の店舗数は150店舗を超えて、累計の販売食数は50万食を超えることができました。

まだまだ道半ばではありますが、私はこの鶏胸肉とブロッコリーに対してビジネス人生を賭けて究極の商品を作り、そして私が悩んだようなダイエットの課題がなくなるような、ちょっと馬鹿らしいかもしれないですけど、そんな世の中を目指して頑張っていきたいと思っています!」

Tobase Labo 中川 裕史さん

「私は熊本県戸馳島でアボカドの生産をしいる農家です。私の夢は2つあります。今アボカドは世界に2,000種類ありますが、日本人が食べている品種というのは1種類だけです。これをどうにか日本でたくさんの品種を楽しんでいただけるような環境を作りたいというのが、まず1つ目の夢です。

2つ目が、今アボカドの輸入が99.99%輸入に頼っている状態です。メキシコやペルーに生産を頼っており、産地では環境問題が起きています。水不足や環境汚染などの問題を解消するには、栽培ができる地域で作らないと、輸送コストが上がったり色々な問題に直面して、その後アボカドの単価が上がり、質が落ちる問題になってきます。

ちっぽけな農家の僕たちがこれからどうやってアボカドの生産量を増やしていくかと言いますと、まずは仲間を作ることが大事です。今まで農業は技術を見せずに閉鎖的にやっていくようなことも多かったのですが、僕たちは挑戦したい若手の農家や、行政、企業に向けてサポートできるような環境を作っていきたいです。

アボカドは、実ができて収益化できるまで4~5年かかってしまう、ものすごくリードタイムの長い作物でもあります。そういうものをこれから広げるためには、アボカドを育てながらも出来るような農業の提案や、食べ方の提案も進めることを考えています」

前田農産食品 前田 茂雄さん 手軽・便利賞

「ポップコーンの格好じゃないのでよくわからないと思うんですけど、前田です。今日、手軽・便利賞ということでいただいているんですけど、何が驚いたかって言うと、皆さんのネームタグ。これって何のためにあるか知ってました? うちのポップコーンが入るんですよ。もうびっくりしちゃって、ジャストフィット賞じゃないかなって思ってます。

冗談はさておき農業の持続性と言ったときに、食文化と、あと季節性のある仕事、これをどうにかしないと、うちも生き残れないし、北海道の課題じゃないかと思っています。

ある経営者のおばあちゃんに『これ私一緒に孫と電子レンジで作りたいわ』と言われたことがあるんですが、そういったちょっとした家族の会話の中に、我々の商品とその背景である農業が少しでも感じられれば、農業がちょっとでも自分事になって、1次産業のほうにも目を向けていただけるんじゃないかなと思います」

アグベル 丸山 桂佑さん 準グランプリ

「私は農業に全く関係ないリクルートという会社に勤めていましたが、父の他界で急遽家業を継承しました。2020年に会社を創業して、10名の正規のメンバーと100名近いアルバイトの方々で事業を経営し、平均年齢は27歳とおそらく日本で一番若い農業法人だと思っております。

農業をやっていくと様々な課題が見えてきました。まず高齢化です。そして耕作放棄地、使われなくなった畑の問題。そして生産者がどんどん減っていっている担い手不足の問題。こういった問題をどうやったら解決できるのか、産業をどうやったら引っ張っていけるのかと考えて、今の会社を創業しました。

私たちはパッキング施設も運営しておりまして、自社だけでなく近隣の生産者からも買わせていただいて、国内外のユーザーさんに届けたりもしています。既存のインフラよりも私たちを通していただいたほうが農家の手取りは3割近く上がります。

高齢の農家さんは手間が省けて収入が上がって非常に良かったと、安心して私たちに畑を預けて事業を引退できる。若手の新規就農者は僕らの仕組みを使って、継続的に農業を続けることができる。僕らはただぶどうを作っているだけではなく、産業のインフラを担うような企業を目指しています」

優勝したピリカ、北三陸ファクトリーが伝えたこと

準グランプリが各2社、グランプリが発表され、ピリカの小嶌さんと北三陸ファクトリーの下苧坪さんはウィナーボードを手に写真撮影のポーズをとった。ここで、観客席で熱く盛り上がっていたのが、前回のクラフテッド・カタパルトで2位に入賞した漆琳堂の内田 徹さんだ。

映像で録画している先には、内田さんが制作したアワードの漆塗りでロゴを描いたウィナーボードがあった。アクリル板に、ICCカラーのブルーの漆でアワードのロゴが描かれている。試作を重ねてこの日、初お披露目となった。

優勝を飾った2組は、自分たちのチームに感謝を伝えたあと、観客席にメッセージを伝えた。この2人のメッセージ性の強さが、今回のアワードで非常に印象的だったことだ。

小嶌さん「我々のプロダクトは、環境問題を解決するものですが、使っていただいて初めて価値が出るものです。実際にこういったサービスを作って広めてメンバーがいて、成り立っているのでこの場を借りて感謝したいです!

最後に1つだけ、お願いです。ぜひ、今日1つ、ゴミを拾って帰っていただきたいです」

下苧坪さん「クラフテッド・カタパルトでも優勝をいただきましたが、来てくれたスタッフ2人、岩手で一緒に頑張ってきた仲間が、どうやったら皆さまに喜んでいただけるか、美味しく食べていただけるか、この商品で勝てるかを必死で議論した結果だと思います。

環境問題は、僕ら日本人は後手に回ってしまいがちな問題です。でも先進国であれば、ナンバーワンのプライオリティとして取り組まないといけない。そんな時代ですし、それを改めて学ぶ場になりました。ありがとうございました!」

グランプリの興奮冷めやらぬ2人のコメントは、ぜひこちらのドキュメンタリー映像をご覧いただきたい。また、アワードの初日からこのファイナル・ラウンドの様子まで追体験いただけるかと思う。

この映像にも登場する審査員のサツドラ富山 浩樹さんも、アワードにも及ぶ社会課題への意識を強く感じているようだった。

富山さん「我々も地域でやっているので、まず北海道で試してみたいなということがたくさんあり、コンタクトを取って、Facebookでも繋がらせていただきました。今までにないような出会いがこの場から毎回生まれています。

世の中が社会課題に向き合うという方向に動いているのは、私も企業経営をしていて強く感じています。社会的にサステナブルということと、ビジネスや経済性をどうやって一致させていくことが求められています。

ソーシャルグッド・カタパルトが私は好きですが、本当にすべてがもうソーシャルグッドなんじゃないかなっていうぐらい、そうでないと逆に企業の発展がないという、本当にそういう時代になってきていると思います」

アワードをサポートし、アワード参加企業が登壇することの多いクラフテッド・カタパルトのスポンサーでもあるMakuakeの坊垣 佳奈さんに、出展されるプロダクトに対して、なぜクオリティや機能面以外の部分も重視されるようになっているのか、その変化についてどう考えるのかを聞いた。

「ものや食べ物でも、技術とか機能面など、物質的なものだけで評価しない人が増えています。

それはなぜ起きているかと言うと、情報がマスだった時代は届けられる情報が限られているから、美味しいよ、便利だよとなるんですが、インターネットやSNSの発達で、この企業のこういう想いがいい、この商品のこだわりがいいよねとか、ここの店員さんのこの対応が良かったからブランドが好きになったとか、そういう声が溢れています。

いろんな感じ方があって良くて、それも含めて私は多様性だと思います。それを個人が発信できるから、多面的に企業やブランドが捉えられているのだと思うんです。企業もいろんなツールを使って、分かりやすい表面的なものではないこと、例えば製造工程などでも発信できますよね。

Makuakeもそういうツールで、想いやこだわりも伝えていくことが商品価値を伝えることになると考えています。背景を知ると味が変わると私は本当に思っていて、そういう周辺情報をちゃんと伝えられる時代になっているから、それの価値が上がってきたということなのかなと私は捉えています」

フード&ドリンクアワード、ファイナル・ラウンドに進出した9組

会場全員が納得し、大本命の2組がそれぞれのアワードでグランプリを飾ってファイナル・ラウンドは幕を閉じた。しかしもう1つ、アワードで印象的だったことを付け加えたい。部門賞で「美味しさ賞」を獲り、フード&ドリンクで準グランプリに輝いた、金楠水産の樟さんのことだ。

有名鮨店にも卸すような、手で塩揉みして絶妙な塩加減を作るゆでだこの技術があり、それにプライドがあるたこ匠の樟さんは、1回目はシンプルなゆでだこ、2回目はそれにあえて味変できるソース数種を用意して出展したが、入賞には至らなかった。

【CRAFTEDカタパルト登壇決定】百聞は一口にしかず! 塩と水だけで明石たこの極上な味わいをつくる金楠水産

半年前のICCサミットのディナーの席で、ともにクラフテッド・カタパルトに登壇したBIRDY.の横山 哲也さんに真剣に相談している場面も見た。そこで「たこ焼き」の話も少し出ていたように思う。

そして挑戦3回目の今回、そのままで食べて本当に美味しい半生のたこを、自らたこ焼きにしてしまった。こちらの記事で詳しく紹介しているが、もちろんただのたこ焼きではない。

ファイナル・ラウンド進出が決まった時は、会場からひときわ大きな歓声と拍手が上がった。そして準グランプリに到達した今、明石の港でひたすら塩揉みをしていた樟さんは、審査員もうなる極上のたこ焼きレシピを作り上げ、焼き上げて、3回目となるこの場で出会った多くの仲間、ファンに心から祝福されていた。

焼くのに必死で想いを伝えられないとブースで嘆いていたが、問答無用のおいしさでみんなを幸せにした樟さんは本当に嬉しそうで、つぶらな瞳がウルウルしている。水揚げ減に直面する漁師たちの想いも背負った執念の準グランプリであった。

◆    ◆    ◆

ファイナル・ラウンドの集計中に小林が紹介したが、今回のデザイン&イノベーション、フード&ドリンクアワードの運営は、アワード担当のスタッフチームが主体となって運営マニュアルを作り上げ、参加企業の方々とコミュニケーションを重ね、当日も含めCo-Creationを重ねながらの運営となった。

坊垣さんが言うように、商品価値は商品という物体そのものに留まらない。そして今、作られるプロダクトやサービスは、スタッフを担うような彼らの世代が選択することで未来に受け継がれる。スタッフは皆、運営を通じて参加企業の皆さんを深く知ってファンになり、グランプリを予測していた。

すでに次回出展予定の企業は続々と集まりはじめており、運営スタッフも参加するプロダクトの予選会なるものも随時ICCオフィスでは開催されている。審査員は時代の先を読む経営者たち、運営を担うのはこれからの時代を担う若者たち。3度目の正直も可能なこのICCアワード、想いとプロダクトに自信のある企業にはぜひ挑戦いただきたい。

(終)

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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/小林 弘美/戸田 秀成

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