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【CRAFTEDカタパルト登壇決定】百聞は一口にしかず! 塩と水だけで明石たこの極上な味わいをつくる金楠水産

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関西には半夏生の日(夏至から数えて11日目の日)に、たこを食べるという昔ながらの習慣があるそうですが、まさにその日のあたりに、ICC一行は、今までで食べたことのないような「たこ」の美味しさに目覚めてしまいました。 水揚げされたばかりのたこを、さらに美味しく仕上げるCRAFTEDな技術集団、金楠水産を訪ねてその理由をうかがいました。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット KYOTO 2021は、2021年9月6日〜9月9日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。


2021年の半夏生はいつ?タコを食べるのは関西が多い?タコはどんなメニューで食べられている?(食未来研究室)

金楠水産の樟(くす)陽介さんをご紹介いただいたのは、前回CRAFTEDカタパルトに登壇いただいた、ワシオの鷲尾 岳さん。明石に、とにかくおいしいたこをつくる”たこ匠”がいると聞き、ICC一行は明石へと向かいました。

「ワシオ」は独自の起毛技術×コラボで、防寒衣類の新しい可能性を追求する(ICC FUKUOKA 2021)

樟さんはたこを育てているわけではありませんが、水揚げされたたこを、それはそれは美味しく仕上げるという技術で、東京では伊勢丹の食品売場などに並ぶようなゆでだこに加工しています。また、明石たこを扱う金楠水産の4代目として、Makuakeなどで、たこの美味しさを伝えるアンバサダー的な活動もしています。

「究極のタコは職人技か、自宅の茹でたてか」4代目のクラファン活用術(ツギノジダイ)
百年蛸。百年タコを茹で続けた男たちの「究極の茹でタコ」を味わって欲しい(Makuake)

港にほど近い金楠水産に着くと、樟さんが早速案内に出てきてくれました。たこの刺繍が入ったシャツがかっこいいです。

ここで見られるたこの加工は極めてシンプル。水揚げされて氷締めされたたこを塩を使って洗って、茹でて、ふたたび冷水で締めて真空パックするだけ。

それだけなのですが、1匹1匹のたこと向き合い、個体差に合わせて、何をどうしたら美味しくなるかを一つひとつ考えて手間をいとわず実行していくと、こんなに美味しい茹でだこができるのか!というのが本当に驚きです。今まで食べたことのあるたことは、雲泥の差が出るのです。

そのこだわりを、見学レポートとともに少しだけでもお伝えできたらと思います。

こだわり①たこの塩揉み準備

建物に入って、まず見せていただいたのが下の写真の中央にある、灰色の機械。これはたこ用の塩揉みの機械で、この中にたこを入れて、塩を入れて、スイッチを押すとドラム式洗濯機のように回転してたこを洗います。

「普通のメーカーさんだと、たこを200kgドーン、塩を50kgドーンと入れて、スイッチ入れておまかせで、下手したら茹で上がるまで全部オートだったりしますが、僕らからすると、そんな勇気のあることはできません。

1匹1匹大きさもコンディションも違うので、それをオートでやってしまうのは、なかなかの勇気だなと思います」

塩揉みをするのは、一般的にはたこのぬめりをとるためと言われていますが、金楠水産で重要なのは水分を抜くため。たこは80%が水分で、それを塩揉みで抜くことで、旨味が凝縮されるそうです。

「みずみずしいのは美味しいのですが、塩味がけっこう強い。皮と筋肉の間のゼラチン状のところがあり、そこに水分がが多く含まれているんですが、塩分も強い。その水分を抜かなければ、食べたときに塩辛さが先にきて、たこの旨味を感じにくくなります。

僕らは甘みを感じてほしいので、極限まで水分を抜くようにしています。

その抜き方は難しくて、僕も毎日研究しています。たこのもつ温度、気温、湿度、たこも水を吸うのでその調整が難しく、日々勉強です。毎日ここでPDCAサイクルが回っています。

塩揉みで使う塩は、粉砕塩という粗塩で、粒の大きさが違います。細かいものから、大きいのは1カラットぐらいあります。

それをたこの口の、ぬめりの出る場所につけます。一番太い場所から水分を抜いていきます。

1匹1匹、大きさや状態に合わせ、適切な量の塩をつけていきます。

塩揉みのときに塩をつけるたこの中心にある口の部分。生のたこは海水で作った氷で保存している

粒度の違う塩を使って、溶ける速度を変えて、水分がどの場所でも均等に抜けるようにしています。中心につけた細かい塩はすぐ溶けていき、残っていった大きい粒子の塩は、ゆっくり溶けていって、足先までいきます。

基本的には大きいものから順に機械へ入れていき、状態に合わせ塩揉み時間を調整することにより、すべてのタコが均等な塩揉み具合となります」

こだわり②塩揉み中のたこの状態を確認

訪問時は機械が動いていなかったのですが、塩をつける場所、機械に入れる順番だけがこだわりではありません。この機械の中に水を足したり、逆に抜いたりして、常にこの機械の開口部からたこを触って状態を確かめながら、最適な塩揉み状態を調整しているそうです。

ここから手を入れてたこの状態を確かめます

「ここに貼り付いていられるのは、僕と親父と番頭の3人だけです。ある程度マニュアルもあるのですが、本当に経験しかものを言いません。

まずは、たこの吸盤の食感をつくります。吸盤も筋肉なので、塩をつけることにより筋肉の萎縮が起こり、吸盤が立ち上がり心地よい食感が生まれます。ここからたこがどういう状態か触って、水を足したり、抜いたりして中の塩分濃度を調整します。水を足したりするタイミングが重要となるため、この前から離れられません。

何分したら水を足すか、抜くかというのはだいたいあるのですが、それを少し早めるとか、遅らせるなどベストのタイミングというのは、手が覚えていないとできないのです。

僕も親父が水を足した瞬間や抜いた瞬間に手を突っ込んで、そのときのたこはこういう状態なのか、と覚えていきました」

ズバリ、たこの美味しさはこの工程で決まるのだそうです。

こだわり③サイズ別にミディアムレアに茹でる

「塩揉みから出てきたものを、身の厚いところに切れ込みを入れて、火が通りやすいようにして、大きさで分けて釜で茹でます。

一番大きいサイズで5分20秒ぐらい、1.3kgぐらいなら3分40〜50秒ぐらい茹でます。

茹でている間も、温度が均等になるように棒で中をかき混ぜます。

一度に最大約120kg茹でる。真ん中のプールでアクを流して一番奥の青いプールで氷水で冷やす

うちはできるだけ、茹ですぎないようにミディアムレアにしています。

80℃で、たこの中のタンパク質が融解して、そこから旨味が抜けていってしまうので、茹ですぎると美味しくないのです。

茹でるときは、粉砕塩ではなく赤穂の天塩を使っています。水は水道水と地元の井戸水を使っていて、この井戸水は硬水。ミネラル分がかなり多いのですが、これがちょうど海産物特有の臭みを抜いてくれます。

茹でる時間を間違えたら大事件なので、ずっと時計とにらめっこ。だから大きい時計があります」

茹で上がった色鮮やかなたこ

たこの鮮度を見分けるには

これを知ると、お店でたこを見る目が変わります。樟さんが鮮度の異なる2つのたこを選び、目の前に並べました。

サイズの違いは別として、どちらが新しいたこでしょう?

どちらも九州産のたこですが、鮮度の高いのは右のたこ。
「触ってみてください、筋肉感が違います」

触ってみると、驚くほど弾力が違います。右側は指を押し返す筋肉を感じて、ぷりっぷり。左は押すと指が沈んで柔らかく、指を離すと形は戻りますが、その違いは明らかです。

「なぜ締まっているのかというと、筋肉の反応です。塩揉みすることと火を入れることで、死後硬直というか、細胞が反応してこういう弾力になります。

僕らは鮮度は見ただけでわかります。水揚げされたときに、どういう処理をされているか、買い付けた港がどう、たこと向き合ったかでで差が出ます」

よく見ると、個体のサイズ差だけでなく、吸盤の形も鮮度が高いほうが締まって揃っています。ちなみに後日スーパーマーケットでたこを見たところ、この左のたこにも遥かに及ばない、赤い部分もしわしわになっているたこが売られていて、その差に愕然としました。

試食タイム

うまみが最高に味わえるように状態に塩揉みをして、ミネラルウォーターの井戸水でくさみを抜き、ミディアムレアに茹でられた明石のたこ。すべての工程で美味しくなるように仕上げられたたこを、試食させていただきました。完璧に吸盤が整っている、プリップリの最高のたこです。

吸盤も本当にきれいに揃っていて見入ってしまいます

まずはおすすめという足の付根の部分から。歯ごたえも味も驚くほどに美味しかったです。たこにこんなに旨味があったとは驚きです。

「適宜茹で時間は調整していますが、旨味がたっぷりある付け根の部分が一番美味しいです。

僕らも毎日試食するのですが、ぶつ切りの商品なども作っているので、そのときはだいたい付け根のほうを食べてしまいがちです(笑)。

身と皮の間にある水分を抜くことによって、ダイレクトに旨味が伝わり、歯ごたえが生まれます」

ICC一行、食べる手が止まりません。美味しそうとは思って見てはいましたが、予想を超える美味しさ。手で触ったら硬かったのに、食べると柔らかいのも感動です。

スーパーで買うたこは、塩気が強い印象がありますが、このたこは、たこ自身の味が初めてわかるような旨味や甘みがあり、醤油は不要の絶妙な塩加減があります。樟さんによると、オリーブオイルやビネガーをかけて食べるのもおすすめだそう。

断面からミディアムレアなのがわかりますか? 足の先っぽの吸盤もコリコリとして美味しい!

樟さんたちが毎日食べて確認するというのも、たこがとてもデリケートな生き物だから。たこは水温の変化、とくに寒さに弱く、水温が5℃以下になると死んでしまい、かつて冷害で明石のたこが全滅してしまったこともあるそうです。そのときは九州の天草からたこを買って放流したのだとか。

年間を通して美味しいのは6月〜9月。9月のICC KYOTO 2021は、シーズンの終わりの時期となりますが、会場でもご提供いただく予定です。きっと大人気であっという間に無くなってしまうと思いますが、ぜひご賞味ください!

これを知らずして、たこの好き嫌いをしてほしくない

冷凍だこをおいしく解凍するには、冷蔵庫の中でたっぷりの水を張ったボウルに袋のまま入れて、ゆっくり解凍するといいそう

樟さんは、もっといろいろな人にたこの美味しさを知ってほしいと思っています。

「他の地域の業者さんに技術をかってもらって、たこを茹でてほしいという依頼もあったりするので、そういうことが増えれば、僕たちもこだわったかいがあります。

明石のたこはそもそもが高級で、それをさらにこだわりぬいているのですが、そうすると富裕層しか食べられないのがちょっと本末転倒だと思っています。

お子様からお年寄りまで、もっといろんな人に食べてもらい、たこって美味しいねと思ってもらいたいんです。僕らももっと、いろんなたこを触って、どんなたこも美味しくできるようになりたい」

たこは基本的にメイン食材になれないから……と言いつつも、築地市場で6年間働いたのちに、家業に戻ってきてかた樟さんは、たこへの愛を語ります。

「こだわりはいろいろあるけど、どれが決定的に違うかというと、一つ一つはそんなに大きな違いを生まない。でもちっちゃな違いを積み重ねて、大きな違いになっている。

逆にいうとひとつでも欠けてしまうとうちの商品ではない。そのぐらい、かなりこだわっています。

たこ屋的に言うと、このたこを知らずして、たこの好き嫌いをしてほしくない。丁寧な加工をしていないたこを食べて、美味しくないと思われるのは心外です。

明石の港のセリはほとんど魚が全部生きて泳いでいるんです。まさに食べられる水族館。

これは全国的にもかなり珍しいことで、生きていなくては価値がない。そういう鮮度にこだわる町だからこそ、明石だこというブランドがある。漁師が獲ってきたたこを、港の職員がしっかり管理して、鮮度のいいたこが買える。そのおいしいバトンを僕らが受け取ったので、その美味しさをしっかり伝えられるように努力しています」

樟さんは、9月8日のCRAFTEDカタパルト、また次回から始まる新企画「ICCマルシェ」とマルシェ・アワード(仮名)に登壇、ご参加いただく予定です。樟さん、見学のお時間をいただきましてどうもありがとうございました。明石から浅郷がお送りしました。

(終)

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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/北原 透子/戸田 秀成

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