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社会起業家に必要な支援が届くには? 初開催「ファンドレイジング」で感じた難しさ

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2月13日~16日の4日間にわたって開催されたICCサミット FUKUOKA 2023。その開催レポートを連続シリーズでお届けします。このレポートでは、最終日に初開催した「ファンドレイジング – 社会起業家に寄付・支援しよう!」の模様をレポートします。ぜひご覧ください。

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回400名以上が登壇し、総勢1,000名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット KYOTO 2023は、2023年9月4日〜7日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください


「ファンドレイジング」誕生のきっかけ

最終日のソーシャルグッド・カタパルトが終了したあと、ICC FUKUOKA 2023で初めて開催した「ファンドレイジング」という企画があった。これは今回登壇した、路上生活からの脱出をサポートするHomedoorの川口 加奈さんの発言から決まった企画である。

写真左から、キープ・ママ・スマイリング光原さん、フローレンス駒崎さん、Homedoor川口さん

「(ICC代表の)小林さん、今後施設を拡大する計画があって、もっと資金が必要になりました。それを伝えたいのですが、そういった場はありませんか?」

今やICCサミットの中でも大きな存在感を発揮している最終日のソーシャルグッド・カタパルトを通じて、さまざまな社会課題に取り組むNPOや団体が多いことを私たちは知るようになった。彼らは営利目的の活動ではないことが多く、どこも支援が必要なことは間違いない。

そこでソーシャルグッドからのスピンオフ的な形で、そういった団体の6組に、これからの計画をプレゼンしてもらい寄付のお願いをする「ファンドレイジング」という企画にしてみようということになった。ソーシャルグッド・カタパルトの直後、DAY3の11時45分から始まるSession12の枠である。

登壇前のピリカ小嶌さん、HLAB高田さん

プレゼンの最後には、寄付が出来るサイトなどへのQRコードなどをスクリーンに表示して終了する。プレゼン後は司会を務める荒木 珠里亜さんを交えて簡単な質疑応答を行い、取り組みに対する理解を深めていく。

キープママスマイリングの光原さんのプレゼン後、質疑応答を行うナビゲーターの荒木さん

いずれもICCに継続的に参加いただいている、素晴らしい事業、素晴らしいプレゼンターばかりである。実際に会場にいた人は少なかったが、どの方もカタパルトで優勝するようなレベルのプレゼンなので、まずは動画を見ていただき、これはと思った企業があったら、ぜひ応援をお願いしたい。

以下6団体のプレゼンを簡単ではあるが動画、支援ページへのQRスライドとともにご紹介する。

6組のプレゼン

【路上生活から脱出できる選択肢をつくる】Homedoor川口 加奈プレゼン

この直前の枠、ソーシャルグッド・カタパルトでは審査員を務めたICCでもお馴染みの川口さん。特別寒かったこの年の冬、路上生活の人たちの過酷な状況を伝え、温かい食事と眠る場所の提供から、生活の再出発を支援する活動を伝えた。コロナも相まって部屋数以上の宿泊希望者が絶えず、ホテルを予約して停まってもらう緊急対応を続けているという、

・寄付・支援についての情報ページはこちら

【世界のごみ削減の課題に取り組む】ピリカ小嶌 不二夫プレゼン

気候変動に匹敵する環境課題であるごみの自然界流出に取り組むピリカ。プレゼンで紹介したのは、2050年に海のプラごみの重量が魚の重量に匹敵し、体積では魚を超えるという衝撃の予想。これを世界で力を合わせて解決していくには、世界的に統一したごみ調査の基準を作ることを提案した。

・寄付・支援についての情報ページはこちら

【医療的ケア児のeスポーツ大会創出を目指す】フローレンス駒崎 弘樹プレゼン

川口さんと同様、ソーシャルグッドの審査員として参加していたフローレンスの駒崎さんは、カタパルトのプレゼンターとしては初登壇で、医療的ケア児の保育ケアの活動で知られる。プレゼンでは世界中の医療的ケア児とその親がeスポーツで集う”パラリンピック”の構想を語り、創設支援を訴えた。

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【学生がロールモデルに出会う場をつくる】HLAB高田 修太プレゼン

HLABの高田さんは、中学生・高校生に向けて、人生が変わるような、国境も世代も超えたロールモデルとの出会いをレジデンシャル・カレッジやサマースクールで創出する。東京・下北沢にある世界中の全寮制ボーディングスクールを研究して作り上げた場から、次世代のリーダーを生むことを目指している。

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【付き添い入院する家族をサポート】キープ・ママ・スマイリング光原 ゆきプレゼン

入院する子どもに、看護婦同様のケアを無償で行いながら、心も健康も害していく付き添い家族。キープ・ママ・スマイリングはその実態を報告し、国が負担軽減を目指して、23年度中に実態調査を行うことが決定している。現在付き添い入院をしている家族を癒やし経済的負担を減らす、援助や支援物資の提供を呼びかけた。ICC参加企業もいくつかすでに協力中だ。

・寄付・支援についての情報ページは「支援のかたち」をご覧ください。

【日本にたどりついた難民の人生再建に伴走】WELgee渡部カンコロンゴ 清花プレゼン

WELgee渡部さんは、政治的・社会的理由から、故郷を追われ難民となった人たちの支援を行っている。難民認定率が0.5%と非常に低く、平均4年4カ月かかることは知られるようになったが、彼らのスキルを活かす仕事のマッチングで、在留資格を得る道があることは知られていない。ソーシャルグッド・カタパルトで優勝後に生まれた出会いや雇用についても紹介した。

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・支援の情報・寄付についての説明ページはこちら

ソーシャルグッド事業が支援を得ることの難しさ

集まった聴衆の少なさが、イコール課題への関心の薄さであるとは決して思わない。そもそも最終日は観客数が少なく、親和性が高いソーシャルグッド層の登壇者・審査員はラウンドテーブルに参加中で、同時間・他会場では資金調達ほか、最終日でも参加したいというニッチだが熱狂的なセッションが行われ、場外の特別プログラムに参加している人たちも多い。

メッセージは強く、誰もが応援したくなる活動内容ではあるが、こうして場を設けてみると、NPOや一般社団法人の代表の方々の苦労が改めてわかるような気がした。聞き手の便益に直結しないけれども心を動かし、行動を促そうとするため、プレゼン巧者にもなるのも当然だと思えた。

しかし壇上に立ち、取り組みを伝える場を作るだけではまだ届かない、そのもどかしさを私たちも学び、次のICCサミットでは参加する方々が、彼・彼女らのような人たちをもっと応援できるような、しやすくなるような形を考えることが1つの課題となった。

ICCサミットは経営者向けのビジネスカンファレンスであり、こういった活動に元々重きを置いていたわけではない。開催期間で余剰となったペットボトルのドリンクや食品などを必要とする企業に寄付するようなことはしばらく前から行っているが、それは微々たることである。

登壇者の存在や発言に触発され、Co-Creationが生まれ、最適な形となるまでブラッシュアップしていく。これはICCサミットのプログラムでずっと続けられていることだ。

後日、ソーシャルグッド・カタパルトで優勝したHelloWorldの冨田 啓輔さんやWELgeeの渡部さん、ローランズの福寿 満希さん、ICCの運営スタッフ数名が、ヒューマン・ライツ・ウォッチのチャリティ・ディナーに参加した。他の活動のいいところを学びながら、ICCらしい形で一体どんなことができるのか。しばらくはトライアルが続くかもしれないが、見守っていただき、応援をいただければ幸いである。

(終)

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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/戸田 秀成

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