「日本には黒船コピーモデルが多過ぎる」日本発のイノベーションは生まれないのか?【SP-MN2 #6】 – 【ICC】INDUSTRY CO-CREATION

「日本には黒船コピーモデルが多過ぎる」日本発のイノベーションは生まれないのか?【SP-MN2 #6】

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これまでに配信した、経営に関する議論を総特集いたします。今回は、ICCカンファレンス TOKYO 2016 から、「新しい成長分野を創る経営とは何か?」を9回に再編集してお届けします。9回シリーズ(その6)は、会場からの質問を受け付け、日本発のイノベーションをどう生み出すか?生み出せるか?といった点を議論いたしました。是非御覧ください。

▶本セッションでモデレーターとしてご登壇頂いた岡島悦子さんの著作『40歳が社長になる日』(幻冬舎)が出版されました。ぜひ御覧ください。

ICCカンファレンスは新産業のトップリーダー160名以上が登壇する日本最大級の招待制カンファレンスです。次回 ICCカンファレンス KYOTO 2017は2017年9月5〜7日 京都市での開催を予定しております。参加者の募集を開始しました。


登壇者情報
2016年3月24日開催
ICCカンファレンス TOKYO 2016
Session 5A
「新しい成長分野を創る経営とは何か」
 
(スピーカー)
川鍋 一朗
日本交通株式会社
代表取締役会長
 
川邊 健太郎
ヤフー株式会社
副社長執行役員 最高執行責任者
 
田中 良和
グリー株式会社
代表取締役会長兼社長
 
(モデレーター)
岡島 悦子
株式会社プロノバ
代表取締役社長

「新しい成長分野を創る経営とは何か?」配信済み記事一覧

【前の記事】

【本編】

岡島 会場の方々でご質問がありましたら、いくつかお聞きしたいと思います。

それでは、(スマートニュースの)鈴木さんお願いします。

日本には黒船モデルが多すぎる

質問者1(鈴木氏) イノベーションですか。

やはり、(日本は)黒船モデルが多すぎると思うんですね。

皆さん素晴らしい事業をやっていらっしゃり、「Yahoo!ショッピング」さんも頑張っておられますけれど、海外で成功したモデル、例えばアリババモデルをを持って来るなんてあるじゃないですか。

黒船ではないイノベーションを興して頂きたいなと思うんですよね。

海外で上手くいっていると、社内を説得しやすいので、日本市場でもやりましょうという話になりますが、そうではなくて、全く新しいことをやろうとして頂きたいなと思うんですよ。

やはりインターネットを通して世界をよくする訳じゃないですか。

「やりましょうよ!」という雰囲気はあるようですが、具体的に何かそういうことを考えたり始めたりしていらっしゃるのでしょうか。

川邊 日本は課題先進国って言われていますよね。

特に、少子高齢化、医療の問題という点では、これから世界に起こり得る現実が今の日本にある訳ですから、こういった問題に対して情報技術を用いて課題解決をしていけば、日本発で世界の役に立つようなソリューションができるのではないかと以前から考えています。

Yahoo! JAPANも「Yahoo!ヘルスケア」があったりだとか、ソフトバンクグループ全体でいうと色々な事業をやっていて、少しずつはそういうものを創ってはいますね。

時差を有効活用しながら、世界に輸出できるようなサービスをやっていきたいという風にも考えています。

ドライバーとしては、課題先進国である日本の市場を使えるでしょうということですね。

岡島 医療であるとか少子高齢化といったところに対して…

川邊 あとは人手不足。

岡島 労働力供給に関する話ですよね。

田中 私が思うに、アメリカのものをそのまま持って来ればいいというものは相当少なくなってきますよ。

昔からすると、相当少なくなったなと思いますね。

Airbnbでさえも、アメリカや中国からユーザーが来るという流れがあれば、ネットワーク効果で世界統一プラットフォームになってしまいますけれど。

日本の旅行会社がそこそこ頑張っているように、グローバルで統一されるかどうかというのは、旅行の分野では必ずしも分からない訳で、そういった意味でも、アメリカのものをそのまま持ってくればよいというのは少なくなっているな、という印象の方が強いです。

そもそも法律からして全く違うので、そのまま持って来たら捕まってしまうことが大半で、そういった意味でも少ないのかなと思っています。

圧倒的にきめこまやかなサービスは黒船にはできない

川鍋 イノベーションで世界を変えるというのは結果論であって、最初から世界を変えにいくぞというのは、ベンチャーキャピタルの投資先としては意味があると思うのですが…。

例えば、我々は今、陣痛タクシーというのをやっているんですよね。

妊婦さんが出産予定日を登録しておくと、雪が降っても、その期間は絶対に優先して配車することになっています。

このサービスを始めて4年ですが、都内の妊婦さんの6割が登録してくださっていて、その内、実際に2割の方が陣痛タクシーを利用して病院に行き出産されているんですよ。

マーケティングの魔術を全く使っていなくても、知らぬ間にそうなっていたんです。

これを今アプリ化しようとしていています。

陣痛タクシーの利用がきっかけになって、出産後の退院時、そしてその後の通院時、定期検診時、そして子どもが大きくなったら、今度は小学校から塾に連れて行く際のキッズタクシーの利用に繋がるんですよね。

UBERなんかにはできないのが、例えば圧倒的にきめこまやかな見守りサービスです。

マーケットサイズはそんなに大きくないかもしれないけれども、非常に研ぎ澄まされたセグメントの、非常に際立ったニーズがあるので、これは無料化できると思っているんですよ。

例えば、ベネッセもそうですし、そのオムツなどの外の業界からの広告費を頂いて、それを提供することによるチャイルドシートなんですよね。

それで、全部無料にできる。

そうすると、無料子どもタクシーのようなものがきっとできるはずで、そういったものをアプリも絡めて、非常にスムーズに滑らかにやっていくという。

田中 AirbnbとUBERの話が出ますけれど、Airbnbの方が強烈にグローバルにネットワーク効果を発揮していて、ローカルで強いAirbnbってあまり無い感じがします。

タクシー業界では、例えばシンガポールやインドでの事例にあるように、そうはいってもやはり物理的に拠点をおさえているサービスが相当あるんですよね。

個々にローカルで勝ちきるということもありだと思うのですが、日本には打倒UBERぐらいの勢いでやる人があまりいないのは、どうしてなんでしょうか。

川鍋 仰る通り、例えば東京のAirbnbへのニーズは、要するに東京以外のローカルではない人たちのニーズなんですよね。

ところが、タクシーへのニーズは、95パーセント以上がローカルの人たちのニーズなんですよ。

そうなると、ローカルなコンテンツがあればあるほど、ローカルプレイヤーが本当は勝てるはずで、UBERは全世界を股にかけて移動する人たちのプラットフォームであって、それは多分ここにいらっしゃる方々にとってはとてもフィットするんです。

岡島 グローバルかローカルか、といった話ですよね。

川鍋 グローバルかローカルかという話ですね。

そして、要するに、私に度胸がない、それだけですが。(笑)

「いや、川鍋さんがもう少し資金調達をしてやればいいんじゃない?」よく言われるんです。

先程も、うちのアドバイザーの(ビットアイル・エクイニクスの)寺田航平に、「メルカリくらい頑張らなきゃダメだぞ。メルカリは160何億円の資金調達をしているのだぞ」とけしかけられました。

日本の「受容性」で、欧米にできないものを創る

川邊 (スマートニュースの)鈴木健さんの質問に関して付け加えると、3〜4日前のことですが、これは日本発としていいのではないかと発見したことがあるんです。

G1サミットで、鈴木健さんも入って皆で議論をしていた時、基本的には今、アメリカが強くて、シリコンバレーに世界の優秀な頭脳が集まってすごいもの創っているから勝てないのだという話になりました。

けれども、倫理の壁を越えられない問題というのがあるんだなということを発見したんです。

シンギュラリティの話をしていた時に、キリスト教や一神教系の人たちには、人工知能は人間の風下に立たなければならないとか、二足歩行ロボットを創るなんて禁忌だといった考え方がどうしてもあって、そこから思考停止ししてしまうということに気付きました。

岡島 神の主権のような話ですよね。

川邊 そう、人間を超えようとするものに対して。

我々にはアトムもあって、鈴木健さん的に言うと、風の谷のナウシカや寄生獣もあって、人間とそういうものが同格で融合してもいいのではないかみたいな。

岡島 多神教ですしね。

川邊 そうです。

倫理観というか、「ユルさ」を持っていて物事を平気に乗り越えられるので、彼らが思考停止してしまうようなものだけをやる手もあるのかな、と。

だから、彼らの一神教で超えられないものを平気で創る日本人は、その分野においては結果的に勝つことができるかもしれませんね。

岡島 それは道徳という意味ではなくてですよね。

何というか、受容性のようなお話でですよね。

川邊 そうです、受容性ですね。

向こうは「それやっちゃいけないでしょ」と思っている訳だけれども、こっちは「それやっていいでしょ」と思っていて。

やはり、やってはいけないと思っている人たちがやるより、やった方がいいと思っている人たちがやった方が、いいものができるに決まっていますよね。

自然とそうなると思います。

だから意識的にその分野を日本から出していくというのがよいのではないかと思います。

岡島 日本では、ゼロかイチかに決めなくていいという、ある意味ダブルスタンダートのようなものが許されますよね。

川邊 ガラパゴス化しているから、日本にいる限りは気にならないのでしょうね。

とあるキリスト教の方とお話した際に、鈴木健さんと私が当たり前だと思っていたことが(キリスト教の方にとっては)駄目だということが分かり、我々は無自覚だということに気付いたことがあります。

ですから、彼らがやらないところを狙って我々がどんどんやっていけば、日本はすごく出てくると思います。

岡島 そこに何らかの種があるかもしれないですよね。

川鍋 iPS細胞なんかには、そういうコンテキスト(文脈)があったんですかね。

川邊 不老不死のような考え方が、あったのかもしれないですね。

神に与えられた命なんだから、神に返せよみたいな考え方がない、というのはあったのかもしれないですね。

シンギュラリティもそうで、我々は人工知能が人間を超えてもいいと思っているんですよね。

岡島 黒船の話と近いかもしれませんが、やはりシリコンバレーなど、アメリカで見ていても、「Young and small always win」みたいな起業寿命みたいなものがありますね。

アメリカで色々なものが生まれて、それが日本に来ているというよりは、起業年数が少ないところが勝っていっているようなところもあるのではないかなと思っています。

▶本セッションでモデレーターとしてご登壇頂いた岡島悦子さんの著作『40歳が社長になる日』(幻冬舎)が出版されました。ぜひ御覧ください。

(続)

続きは 「今のヤフオクを自分たちでぶち壊せ」孫正義流・新たな事業の創り方 をご覧ください。

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編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/Froese 祥子/藤田 温乃

【編集部コメント】

続編(その7)では、経営におけるリソースをかける事業領域の選び方・重みのかけ方等を議論いたしました。是非ご期待ください。他にも多く記事がございますので、TOPページからぜひご覧ください。

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