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商談解析AI「Jamroll」から、言語哲学×LLMでAI APIプラットフォームを目指す「Poetics」(ICC FUKUOKA 2024)

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ICC FUKUOKA 2024 スタートアップ・カタパルトに登壇した、Poetics 山崎 はずむさんのプレゼンテーション動画【商談解析AI「Jamroll」から、言語哲学×LLMでAI APIプラットフォームを目指す「Poetics」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に学び合い、交流します。次回ICCサミット KYOTO 2024は、2024年9月2日〜 9月5日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページのアップデートをお待ちください。

本セッションのオフィシャルサポーターは エッグフォワード です。

【速報】あらゆる製品の化学物質をデータ化し、企業を膨大・複雑な原料管理から解放する「ケミカン」がスタートアップ・カタパルト優勝!(ICC FUKUOKA 2024)


【登壇者情報】
2024年2月19〜22日開催
ICC FUKUOKA 2024
Session 1A
STARTUP CATAPULT スタートアップの登竜門 
Sponsored by エッグフォワード

山崎 はずむ
Poetics
代表取締役
HP | X(旧Twitter)

コンピューターサイエンスと人文科学を組み合わせて音声・言語解析AIを開発するPoeticsのCEO。バックグラウンドは人文科学。これまでICT Spring (ルクセンブルク) など国際的なピッチ・コンテストで6度優勝しているほか、IFA Next 2019 (ベルリン) やInnovex 2019 (台北) など国際的なテック・カンファレンスでAIに関するキー・ノートを担当。東京大学大学院総合文化研究科博士課程満期退学。ニューヨーク大学大学院客員研究員 (2013-14年) 。青山学院大学社会情報学部特別研究員 (2017-2019年) 。


山崎 はずむさん 初めまして、Poeticsの山崎と申します。

我々は電話・商談を解析するAI、「JamRoll」を提供しています。

商談における3つの課題を解決

JamRollが解決する課題は、営業のブラックボックス化問題です。

成約、失注という結果はSalesforceを見れば分かりますが、何が原因か分からないため、改善策を打ち出せません。

一方、成約や失注の原因を入力するのは、非常に手間がかかります。

営業メンバーは忙しいため、入力作業に時間を割けません。

その結果、営業ノウハウが属人化し、体系的な教育ができないという弊害が生じています。

こうした営業に関する課題を一気通貫で解決するのが、JamRollです。

電話、商談をAI解析し、ブラックボックス化を解消、商談後の入力作業も全て自動化します。

会議ツールと接続していつも通り商談するだけ

デモをご覧ください。

お使いの会議ツールと、ワンタップで接続設定ができますので、誰でもすぐに使うことができます。

一度接続設定すると、AIアシスタントが同席するので、いつも通り商談するだけでOKです。

商談が終わると、自動で解析データが生成されますので、録画をアップロードする必要などは一切ありません。

実際のデータを見てみましょう。

一次データとしての録画が残るので、商談での事実が残るのはもちろんですが、自動で話者分離をするので、お客様の反応やセールスのパフォーマンスに絞って、商談を振り返れます。

さらに、プレゼン部分も自動検出するので、プレゼンの内容だけを抽出してフィードバックすることもできるのです。

また、商談中の会話は全て自動で文字起こしされているので、議事録を取る必要はありません。

商談の要約、to doの抽出、フィードバックまで自動化

とは言え、日本語の文字起こしは全然読めないという経験をしたことがある方もいらっしゃると思いますが、この点こそが我々の最大の強みです。

上段が自社開発の音声認識システムによる文字起こしで、下段は認識精度が高いと言われているグーグルの音声認識システムによるものです。

実際の音声を聞いてみましょう。

このように、グーグルがミスをしているところもしっかりと拾えています。

この高性能の音声解析AIこそが、我々の最大の強みなのです。

とは言え、文字起こしや動画を全て見る時間がないかもしれません。

商談の重要点は、AIが全て要約してくれるので、ポイントだけを振り返ることができます。

さらに、タスクやto doといったネクストアクションにつながる項目も自動抽出しますので、次回商談の準備も簡単になります。

商談に対して、AIが自動でフィードバックもしてくれるので、改善点もすぐに見つけられます。

また、自社開発の感情解析AIも搭載しているので、商談のどのポイントがお客様に刺さったのかも一目瞭然です。

Salesfoceへの入力と商談報告も自動化

「とは言え、結局Salesfoceに入力しなければいけないのではないか」という声も聞こえてきそうですが、大丈夫です。

商談が終わると、重要情報は全て自動でSalesforceに転記されるので、入力工数は激減します。

メンバーから商談の報告が上がってこないという懸念も、問題ありません。

商談が終わると、Slack上に要約が自動で送信される、つまり商談報告自体も自動化しています。

JamRollの導入効果

導入効果としては、新メンバーの立ち上がりは3倍速に、売上は20%向上、入力工数は90%ダウンしており、トラクションにおいても、月次売上平均成長率は27.5%と通常のSaaSの10倍近いです。

売上も前年比で5倍になっています。

スタートアップからエンタープライズまで、既に数百社以上で導入いただいています。

1ID月額5,000円、録画ストレージは無制限

JamRollは、インサイドセールスの電話業務でも使っていただけます。

従来のツールは電話そのものでインフラの変更が必須だったのに対して、我々のツールは現在お使いの電話にアドオンするだけなので、インフラを変えずにすぐに利用できるのです。

価格は、1ID何とたったの5,000円で、ストレージも無制限です。

架電コストも、従来のツールの2分の1から3分の1になります。

希少性の高いLLMの活用でAI API市場へと展開

今後の展望についてです。

我々が現在取り組んでいるのは、約4,900億円のセールステック市場ですが、今後AI API 1兆円市場に展開していきます。

というのも、JamRollが獲得しているコミュニケーションデータは既に100万時間分以上になっており、この量は、OpenAIのWhisper(※音声認識・文字変換ツール)の学習データの100倍以上です。

しかも、LLMはインターネット上に落ちている、誰でも手に入るデータを使っていますが、我々は生の商談データという、非常に希少性の高いデータを保有しています。

このデータを活用して、AI SaaSからAI APIプラットフォームになり、まず2つのAIを提供していきます。

OpenAIを超える精度の日本語音声認識API

第一弾が、近日リリースの音声認識APIです。

先ほどご覧いただいた高精度の音声認識APIはまだまだ進化をしており、文字誤り率の低さにおいては、何とOpenAIを超える最高水準に達しました。

最初のターゲットはコールセンターです。

コールセンターには既に音声認識システムが入っていると思われるかもしれませんが、実はまだ利用率はたった10%です。

しかし、LLMへの期待が最も高まっているマーケットですので、今こそ参入していくべき最大のチャンスが訪れているのです。

LLMを先取りしていた「言語哲学」の可能性

2つ目のAI APIは、日本語特化LLMです。

我々は、「言語哲学」の知見を使います。

なぜ言語哲学かと言うと、あらゆる意味でLLMを先取りしていたからです。

通常の自然言語処理においては、意味の最小単位を「単語」としていましたが、LLMではそれが「文」であり、これは既に19世紀末の言語哲学においては提示されていた考え方です。

さらに、言語を理解する要は「文法」と思われていますが、実際には「多くの経験」、つまり学習データであり、この考え方も1986年の言語哲学論文で提示されていました。

A Nice Derangement of Epitaphs(Oxford Academic)

つまり、言語哲学はLLMをさらにアップデートする可能性があるのです。

「わかりあえなさ」という課題に取り組む

例えば、通常、言語の意味を決めるのは「文法と単語」だと思われていますが、実際は「コミュニティ」であり、これは「言語ゲーム(※) 」という考え方です。

▶編集注:言語哲学者のルートヴィヒ・ウィトゲンシュタインが提唱した用語。言語は、感覚や事実を写し取る道具ではなく、環境やコミュニティなどさまざまな要素が織り合わされた相対的なものとした。(コトバンク参照)

これを応用することで、「伝わらない」理由を検知するLLMを開発できる可能性があります。

ここで我々は、より本質的な課題、つまりコミュニケーションにおける「わかりあえなさ」という問題に取り組んでいるのです。

商談解析やコールセンターの音声解析からスタートした我々の旅路は、

社内の会話、採用面接、はたまた医療における診断や政策議論など、あらゆるコミュニケーション領域において、しっかりと聞き取って言語化を行い、

わかりあえない理由を推論することで、コミュニティや文化の違いによって生まれている分断を埋め合わせるような、共感形成のAIを哲学の知見をもとに作るという方向に向かいます。

科学と人文知で日本から次のAIを!

それを達成するチームは、AlexaやSiriを作ってきたAIのスペシャリストと、彼らによる理論構築を哲学者が支えるという編成になっています。

昨年(2023年)、我々は民間企業として初めて、哲学の学会で論文を発表し、その成果は既にJamRollのAI技術に応用されています。

Poeticsの哲学研究者が2023年度科学基礎論学会で論文発表(PR TIMES) 

海外のコンテストでも10回以上優勝しており、グローバルでの評価も得ています。

我々は、Poeticsという会社です。

科学と人文知で日本から次のAIを展開していきますので、ぜひ、応援よろしくお願いします。

実際のプレゼンテーション動画もぜひご覧ください。

(終)

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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/小林 弘美/正能 由佳/戸田 秀成

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