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工場からオフィス、医療まで、ワイヤレス給電の社会実装を牽引する「エイターリンク」(ICC KYOTO 2024)

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ICC KYOTO 2024 カタパルト・グランプリに登壇いただき3位に入賞した、エイターリンク 岩佐 凌さんのプレゼンテーション動画【工場からオフィス、医療まで、ワイヤレス給電の社会実装を牽引する「エイターリンク」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に学び合い、交流します。次回ICCサミット FUKUOKA 2025は、2025年2月17日〜 2月20日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。

本セッションのオフィシャルサポーターはAGSコンサルティングです。

【速報】障害への支援的な構造を逆転するアートIPカンパニー「ヘラルボニー」がカタパルト・グランプリ優勝!(ICC KYOTO 2024)


【登壇者情報】
2024年9月2〜5日開催
ICC KYOTO 2024
Session 6A
CATAPULT GRAND PRIX (カタパルト・グランプリ)- 強者が勢揃い –
Sponsored by AGSコンサルティング

岩佐 凌
エイターリンク
代表取締役/CEO
公式HP | 公式X | 個人X

千葉県流山市出身。2015年学習院大学を卒業後、岡谷鋼機株式会社へ入社。トヨタ自動車、アイシン精機、アイシンAWなど向けに自動運転や電気自動車向けのプロジェクトに従事し、年間売上約120億円を達成。2017年に米国シリコンバレーにて田邉と出会い、2020年8月にエイターリンク株式会社を田邉と設立。ビジネスディベロップメントを中心に技術開発以外の領域を担当。スタアトピッチJapan スタートアップ部門賞獲得、ICCサミットKYOTO 2022「REALTECH CATAPULT」優勝。


岩佐 凌さん エイターリンクの岩佐と申します。

我々エイターリンクは、「ワイヤレス給電」という、最大17m離れた場所までワイヤレスで電力を伝送できる技術を持っている、スタンフォード大学発のスタートアップ企業です。

体内デバイス給電の研究からスタート

我々はこの長距離ワイヤレス給電「AirPlug™」を未来の給電インフラと定義しておりますが、もともとは体内デバイスへの給電技術の研究を行っておりました。

スタンフォード大学時代の10年間、薬ではまだ解決が難しい病気をインプラントデバイスで解決しておりました。

メディカルインプラント(エイターリンク)

最初に手がけたのが、心臓のペースメーカーです。

従来のペースメーカーは握り拳大のバッテリーが必要で、数年に一度交換が必要なのですが、交換手術の際に亡くなってしまう患者さんが一定数いらっしゃいます。

そこで我々はバッテリーのサイズを1/1000以下にして、カテーテルを通して心臓に入れ、体外から体内にワイヤレスで給電しておりました。

研究内容はペースメーカー以外にも多岐にわたっており、例えばアルツハイマー病に対しては、脳にデバイスを入れ、記憶をデバイスに保持するということも行っていました。

研究成果が、『Nature』や『Science』、『PNAS』など有名な科学雑誌の表紙を飾ることが、何度もありました。

そして、これまで培ってきた技術に「AirPlug」という名前をつけました。

繰り返しになりますが、最大の特徴は「17m」という超長距離で、ワイヤレスで電力を伝送できるという点です。

FA、BM、Medicalの3事業から5事業へと拡大

ビジネスとしては現在、産業工場向けのFA(ファクトリーオートメーション)、BM(ビルディングマネジネント)、Medicalの3つがあります。

FAとBMに関しては量産が開始されており、2024年の年末頃からは、物流事業とリテール事業も始める計画です。

ワイヤレス給電技術は、特定の産業でだけ使える技術ではなく、広く色々な産業に応用できる技術であるとご認識いただければと思います。

半導体技術で給電効率が230%アップ

そして、この技術を最大限活かしていくものとして、半導体技術があります。

当社は既に半導体をテープアウト(LSI設計、大規模集積回路の設計のこと)しています。

半導体化することで、給電効率が飛躍的に上がります。

これによって、これまで給電できなかったカメラなどでも使えるようになります。

当社は年間1,500社くらいの会社から、ワイヤレス給電をしたいという話を頂きますが、今はほぼ対応ができておりません。

これは、人的リソースが足りないからです。

一方、半導体を使えば、皆さんは自分たちの力で、自社センサーのワイヤレス給電が可能になります。

もしご興味がありましたら、是非お問い合わせいただければと思っております。

ワイヤレス給電で断線による工場のダウンタイムを防止

いくつかのユースケースをご紹介します。

まずはファクトリーオートメーションです。

FA(Factory Automation)(エイターリンク)

皆さんも工場に行かれた経験があると信じておりますが、工場の中には非常に多くのセンサーがあります。

特に、赤いLEDが点いているロボットハンドの先端部分に密集しています。

当然ですが、全てのセンサーは有線で給電されているので、ロボットがカチャカチャ動くと結構断線が起こります。

断線すると、ラインは全て止まってしまいます。

自動車工場だと、車を毎分1、2台作っているので、例えば60分間止まってしまうとものすごく大変なのです。

私も前職時代に、そういう状況を何度も実際に目にしてきました。

しかしワイヤレス給電化されると、ダウンタイムのないラインが作れる、そういうビジネスです。

我々のお客様のうち、時価総額が約4、5兆円のある会社は、今年から日本、韓国、中国、アメリカ、カナダの5カ国で展開をします。

▶️SMC、工場ロボットに遠隔給電 断線防ぎ生産性向上(2024年9月15日 日本経済新聞)

スライドの濃い色がついている部分は、2025年以降、展開する国です。

このお客様は世界550拠点以上のブランチを持たれているので、弊社が多くの人的リソースを抱えなくても、弊社の製品が世界中に浸透していくというモデルです。

大手企業のオフィススペースをワイヤレス給電空間に

続いて、ビルディングマネジメント事業は、より広く、空間全体をワイヤレス給電空間にしていくというコンセプトです。

ビルマネジメント(エイターリンク)

サンフロンティア不動産、三菱地所、三菱UFJ銀行、住友不動産など、既にたくさんのお客様から、好評を頂いております。

【サンフロンティア】世界に先駆けるワイヤレス給電技術の実用化製品「AirPlug™」導入!(PR TIMES) 

長距離ワイヤレス給電(AirPlug®)技術の社会実装を実現するエイターリンク 三菱地所運営の大手町ビル内にて竹中工務店と共同で長距離ワイヤレス給電(AirPlug®)の実証実験を開始(PR TIMES) 

エイターリンク、空間伝送型ワイヤレス給電ソリューション「AirPlug™」を三菱UFJ銀行のオフィスエリアに導入決定(PR TIMES) 

オフィスをスタートアップ企業の実証実験の場・ショールームへ インキュベーションオフィス「GROWTH文京飯田橋」を開業 文京区との包括連携協定でスタートアップ企業と街を繋ぐ(住友不動産)

売上もしっかり立っているフェーズです。

2024年4月にこのビルディングマネジメント事業をローンチしましたが、4年前は誰もワイヤレス給電なんて取り上げてくれませんでした。

しかし、今ではYahoo!ニュースに載るくらい、認知があります。

ワイヤレス給電電波局の開局数は国内ナンバーワン

我々がどれくらい開局したかの実績は、実は総務省のホームページに掲載されています。

当社は、圧倒的シェアNo.1で、国内マーケットで88%以上です。

WPT開局免許(JWPT)

今期以降、開局数は爆発的に伸びていきますので、誰も取り組んでこなかったワイヤレス給電市場について、まさに自分たちで産業を創っていきたいと思っています。

ビジネスは国内のみで展開していますが、ニューヨークにもたくさんお客様がいらっしゃいますので、インディアナポリスにも拠点を設けて 、技術検証を行っているフェーズです。

エイターリンク、米国空調学会(ASHRAE)Annual Conference 20241をスポンサード、空間伝送型ワイヤレス給電AirPlug™ PoCサイトプレオープンデー開催 (PR TIMES)

2025年の春以降に、量産製品をローンチ予定です。

ワイヤレス給電の実用化に向け国内外で提言

我々に限らず、ディープテック企業はレギュレーションの壁に阻まれるものです。

私の起業当時も、日本ですらワイヤレス給電が使えなかったのです。

そこで、その法改正からスタートし、2年前に改正に成功しました。

IoE社会実現への布石――ワイヤレス給電の実用化に向け、総務省が省令改正を発表。その概要と改正後の社会像を解説(エイターリンク note)

グローバルでも同じことを行っています。

世界の電波の使い方は、国連の1機関で決められます。

私も2023年、日本代表団として現地のカンファレンスに参加しまして、5、60カ国の政府と直接交渉し、結果的にはスペースXと並んで、ワイヤレス給電が国連の規格として採択されました。

WPT(ワイヤレス電力伝送システム)に関して、エイターリンクは6Gにおける国際規格統一に向けて、WRC-23(世界無線通信会議)に日本代表団として参加(PR TIMES) 

ファウンダーは私と田邊(勇二CTO)の2人ですが、現在90名を超えるメンバーで事業を引っ張っています。

目指すは宇宙からの給電

このワイヤレス給電という技術の事業は、ある種、面取りゲームの側面があります。

今は工場ごと、ビルごと、と面積を広げていっていますが、究極、宇宙から給電すればそれで済むのです。

その領域は2031年から取り組もうと思っています。

何のための宇宙からの給電かというと、一つの答えとしてスマートコンタクトレンズに使うためだと定義しています。

皆さんスマホをお持ちだと思いますが、次のスマホはどんなものかという議論がよくありますよね。

我々は、コンタクトレンズ上でスマホと同じような挙動ができるような技術を開発しようと思っています。

その場合は当然電源がないので、宇宙から給電する、これに取り組みたいと思っています。

我々のようなディープテックは、非常に大変です。

お金は非常にかかりますし、人員もたくさん必要ですし、開発期間も長いです。

私は起業当時、「そんなの絶対失敗する、やめろ」と全員から言われていました。

一方、毎日課題を直視しながら、一歩ずつ真摯に取り組んでいると、周りの応援者の数も増え、ルールも変わり、世界の政府も協力してくれるというところまで来られました。

ぜひ応援をよろしくお願いいたします。

▶︎実際のプレゼンテーション動画もぜひご覧ください。

(終)

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編集チーム:小林 雅/小林 弘美/浅郷 浩子/正能 由佳/戸田 秀成

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