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スマホのBluetoothで個人を認証。改札通過、店舗決済をハンズフリー/タッチレスな体験に変える「Sinumy」(ICC KYOTO 2025)

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ICC KYOTO 2025 スタートアップ・カタパルトに登壇いただき5位に入賞した、Sinumy 倉内 亮弥さんのプレゼンテーション動画【スマホのBluetoothで個人を認証。改札通過、店舗決済をハンズフリー/タッチレスな体験に変える「Sinumy」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に学び合い、交流します。次回ICCサミット FUKUOKA 2026は、2026年3月2日〜3月5日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページのアップデートをお待ちください。

本セッションのオフィシャルサポーターは EVeM です。

【速報】生産加工の“かくれフードロス”をアップサイクルで解決する「ASTRAFOOD PLAN」がスタートアップ・カタパルト優勝!(ICC KYOTO 2025)


【登壇者情報】
2025年9月1〜4日開催
ICC KYOTO 2025
Session 1A
STARTUP CATAPULT スタートアップの登竜門 
Sponsored by EVeM

倉内 亮弥
Sinumy
代表取締役CEO
公式HP | 公式X① | 公式X②

東京大学薬学部卒業後、マッキンゼー・アンド・カンパニーに新卒入社。国内外のヘルスケア企業を中心に、中長期戦略策定、M&A、全社再生等のプロジェクトに従事。その後オンライン薬局スタートアップのPharmaXに創業期から参画し、執行役員・事業部長として事業立ち上げを牽引。Sinumyには2024年2月に参画、同6月に取締役就任。2025年6月に代表取締役就任


倉内 亮弥さん “ヒト版ETC”で世界の認証インフラを変える、Sinumy(シナミー)株式会社です。

日常にある“認証”の手間

ふとした瞬間、“認証”の手間を感じることはないでしょうか?

今回ICCに参加するにあたって大きな荷物やスーツケースを抱えてきた方は、改札前でタッチするのを面倒に感じたり、レジ前でdポイントカード、Vポイントカードを出して最後にPayPayで支払うという、二重、三重にアプリを開いて決済するのを手間に感じたりしませんでしたか?

我々は“ヒト版ETC”を作って、生活をもっと便利に、もっとシームレスに完結させたいと考えています。

スマートフォンを取り出さずに決済が完了

ここで、我々の考える理想の世界をご覧いただければと思います。 

「(動画内音声)

店員「いらっしゃいませ」

客「ホットコーヒー、1つお願いします」

店員「お支払方法はいかがされますか?」

客「ハンズフリーでお願いします」

店員「かしこまりました。ホットコーヒーになります」

ナレーター「オフラインの世界にシームレスな体験を」」

難易度が高い「人の個別認証」

ではここで、技術の話をさせてください。

そもそもETCは、どうやってハンズフリー認証を実現しているのでしょうか?

ETCは、前後左右に走る車の中から、正確に1台を認証するための正確な位置測定を行い、決済水準の高いセキュリティを実現しています。

これを人で実現しようとすると、車よりもはるかに小さく、密集する人を区別して認証するのは極めて難しくなります。

その位置測定とセキュリティを両立できる技術は、現在存在していません。

改札を通る前後2人の区別は不可能

我々はこの中でも、特に普及しているBluetoothに着目しています。

世界中で様々な研究が行われましたが、誰も壁を越えられていません。

2024年のサーベイ論文でも不可能とすら言われており、最も精度の高い測距法でも、0.86mの誤差が生じると言われております。

これでは、改札の前後にいる人を区別して認証することができません。

では、Sinumyはどうやって、この“不可能を可能”にしたのでしょうか。

技術のポイント①受信機のアンテナを増やす

Bluetoothの位置測定の原理は、信号強度を測るというシンプルな推定です。

電波を拾い、「この強度であれば、これぐらいの位置にあるだろう」という推定をしています。

しかし、課題その1。

受信機の測定精度には限界があり、電波を拾った時に、10と言ったり、15と言ったり、8と言ったり、12と言ったり、かなりぶれてしまうことが知られています。

測定値が安定しないという問題です。

これに対するシンプルな解決策として、我々は受信機のアンテナを増やしています。

そうすることで、受信機一つ一つがぶれても、その平均を取ることで値が収束するという、非常にシンプルな原理です。

技術のポイント②受信機を複数の場所に設置

しかし、課題はそれだけではありません。

実は、スマートフォンが発信する電波強度も一定ではないことが知られています。

強くなったり弱くなったり、こちらの電波強度も安定しません。

それへの解決策として、我々は、受信機を複数の場所に設置しています。

電波を受信した受信機のうち、スマートフォンから遠い方は5、近い方は25だとして、スマートフォンの電波が強くなったとしても、遠い方が10、近い方が50を受信します。

つまり、比は常に5:1で一定になります。

この性質を活用して、絶対値ではなく比で、アンテナからの相対位置を測定します。

我々はこの非常にシンプルな発想で、数cm単位での精度を実現しています。

アンテナを増やす、そして複数の場所に設置する、 誰でも思いつきそうなことですが、これは世界で我々が初めて実現した特許技術です。

そしてセキュリティに関しても、同様にシンプルな発想で特許化をしています。

技術がシンプルであることは強み

皆さんお気づきの通り、あまりにシンプルなことをしているので、我々の技術に本当に独自性があるのかという点で、調査は非常に難航しました。

通常、特許の申請は、数十から数百件ほどの類似技術を調査するのが一般的ですが、我々の場合、位置測定については10,000件以上、セキュリティについては数千件以上を調査して、やっと独自性があることが担保されました。

このシンプルさは、知財としても強いですし、普及を後押しする、非常に強い競争力の源泉になっています。

ユーザーは無料アプリ、事業者はハードウェアを導入

プロダクトも非常にシンプルです。

ユーザーの皆様には、すでにお持ちのスマートフォンにアプリを入れていただくだけ。

認証する事業者には、我々の作ったハードウェアを導入していただきます。

これらを組み合わせ、認証プラットフォームとして機能します。

一般の皆様には無料でアプリをインストールしていただき、ハードウェアに関しては、スペックによりますが、数万~数十万円で販売します。

そして、鉄道事業者、決済代行事業者からは、認証あたりの手数料を頂きます。

ユースケースに応じ企業と共同開発で製品化

我々のハードウェアは、改札機メーカーや決済端末メーカーに提供し、最終製品を作り上げていきます。

改札機型のスマートゲート、決済やスマートロックにお使いいただける、より小型なスマートスポット、これらをもとにそれぞれのユースケースに対して共同開発や共同PoCを行っています。

社会実装は交通改札からスタート

市場展開としては、まず交通改札から社会実装を始めることを想定しています。

そこから、決済やスマートロックなど、ありとあらゆる認証手段に適用していきたいと考えています。

これは、Suica、ひいてはFeliCaが社会実装された事例と全く同じで、まず交通改札で多くのユーザーに使っていただき、ユースケースを広げていきたいと考えています。

鉄道各社も「タッチレス改札」について言及

そして、これは我々の空想ではなく、鉄道業界もタッチレス改札に、すでに非常に高い期待を持っています。

Suica の当たり前を超えます(JR東日本ニュース)
2025〜2027 中期経営計画 – Run! ~次代を翔けろ(東京メトロ)

JR東日本、東京メトロの公開レポートでも、タッチレス改札を実現すると明言されています。

「Bluetoothタッチレス改札」が選ばれる要因 

これには様々な要因があります。

Suicaなど交通系ICのブランドを向上させたい、そしてインバウンド対応です。

海外からの旅行客が持っているスマートフォンは、Bluetoothは対応していてもFeliCaには対応していないことが多いので、切符を買わざるを得ない状況もあります。

そして、ハンズフリーの競合技術しては顔認証が挙げられますが、顔認証はユーザー数が増えてくると、どうしても誤認証のリスクがつきまといます。

これらの課題から鉄道業界では、Bluetoothのタッチレス改札が有力な技術の候補として挙げられています。

「2028年、ハンズフリー改札導入」は現実的な目標

これは、すでに目の前に来ている社会実装のストーリーです。

三大都市圏の鉄道事業者から、早ければ今年度内にもという実証実験のご希望を頂いております。

そして、その実証実験に向けて、まさに今、複数のメーカーとハンズフリー改札を製作中です。

2028年にハンズフリー改札を導入する、これは我々の夢ではなく、複数の鉄道事業者から実際に頂いている現実的な目標です。

“認証を忘れる”ような世界をグローバル展開

我々の技術の特徴は、Bluetoothで非常にシンプルな形式で実現されているという点です。

これは、世界10兆円の成長市場を確実に捉えるための競争力の源泉となります。

日本発・世界初のハンズフリー技術で、”認証を忘れる”ような世界を実現します。

ご清聴ありがとうございました。

▶︎実際のプレゼンテーション動画もぜひご覧ください。

(終)

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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/小林 弘美/正能 由佳/戸田 秀成

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