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若者が「助けて」と言えない社会に、支援を届ける民間のセーフティネット「ユキサキチャット」をつくる「D×P」(ICC KYOTO 2025)

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ICC KYOTO 2025 ソーシャルグッド・カタパルトに登壇いただき2位に入賞した、D×P 今井 紀明さんのプレゼンテーション動画【若者が「助けて」と言えない社会に、支援を届ける民間のセーフティネット「ユキサキチャット」をつくる「D×P」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に学び合い、交流します。次回ICCサミット FUKUOKA 2026は、2026年3月2日〜3月5日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページのアップデートをお待ちください。

本セッションのオフィシャルサポーターはICCパートナーズです。

【速報】“インパクトヒーロー”を育成し、世界中で小さな革命を起こし続ける「Earth Company」がソーシャルグッド・カタパルト優勝!(ICC KYOTO 2025)


【登壇者情報】
2025年9月1〜4日開催
ICC KYOTO 2025
Session 11A
ソーシャルグッド・カタパルト – 社会課題の解決への挑戦 –
Sponsored by ICCパートナーズ

今井 紀明
D×P
理事長
公式HP | 公式① | 公式X②

1985年札幌生まれ。立命館アジア太平洋大学(APU)卒。神戸在住、ステップファザー。 高校生のとき、イラクの子どもたちのために医療支援NGOを設立。 その活動のために、当時、紛争地域だったイラクへ渡航。 その際、現地の武装勢力に人質として拘束され、帰国後「自己責任」の言葉のもと日本社会から大きなバッシングを受ける。 結果、対人恐怖症になるも、大学進学後友人らに支えられ復帰。 偶然、中退・不登校を経験した10代と出会う。親や先生から否定された経験を持つ彼らと自身のバッシングされた経験が重なり、2012年にNPO法人D×Pを設立。経済困窮、家庭事情などで孤立しやすい10代が頼れる先をつくるべく、登録者18,000名を超えるLINE相談「ユキサキチャット」で全国から相談に応じる。10代の声を聴いて伝えることを使命に、SNSなどで発信を続けている。


今井 紀明さん 認定NPO法人D×Pの今井です。

本日は、よろしくお願いいたします。

さまざまな困難を抱える若者たち

「親に奨学金を使い込まれています」

19歳の国立大学生から、オンラインでご相談を頂きました。

「親の介護をしながら、学生生活を送っています」

16歳の高校生から、ご相談を頂きました。

13歳から25歳までを対象としたLINE相談サービス「ユキサキチャット」

私たちD×Pでは、「ユキサキチャット」という、13~25歳の登録者18,800人以上のLINE相談サービスを運営しております。

一人暮らしをしている高校生など、全国各地から、親御さんに奨学金を使い込まれている、ガスや電気が止められたといった、多くのご相談を頂いています。

支援を求める若者は過去最多ペースで増加

私たちは、相談を受けるだけでなく、ユキサキチャットを通じて、食糧支援や現金給付などの活動も行っています。

ユキサキ支援パック(D×P)

食糧支援を希望する子どもや若者に、「週に何も食べない日がありますか?」と質問したところ、48.2%が「ある」と回答しています。

そのため、私たちは、食糧支援と現金給付を行っています。

ご相談の時点で、4~5割の方々が、滞納・借金をしているということもあり、ライフラインを復活させるために、8万円の給付を行っています。

また、3ヶ月~1年間の食糧支援も行っており、親御さんに経済的に頼ることのできない子どもたちの支援を、オンライン上で展開しています。

「ユキサキチャット」は、過去最多ペースで登録者が増加しており、現在、18,000人を超えています。

細やかなカスタマイズで支援を継続

大阪市にある食糧倉庫から、全国に配送しています。

食糧支援に関しては、1箱30食・米2kgを入れており、すべてカスタマイズしています。

支援を求める方の7割が女性です。

生理用品などの送付も、対応しております。

すべてカスタマイズしているのは、アレルギー食材を抜くなどの対応のほか、親御さんのサポートを一切受けられないお子さんに対して、それぞれに合った対応を取ることも含みます。

また、初回には、このようなお手紙も送っているというのが、私たちの食糧支援のこだわりです。

直近5年で33万食を支援、給付額は1億円を超過

「ユキサキチャット」の登録者は18,000人を超え、食糧支援に関しては、直近5年で33万食を超えており、過去最多ペースで増加中です。

また、現金給付支援に関しても、1億円を超えており、5年間で29倍に増加しています。

奨学金を使い込まれ、仕送りが止まった大学生

私たちは、大阪府の認定NPO法人ですが、東京都にいる若者への支援が最多となっています。

そのほか、愛知県や福岡県、北海道など、人口の多い地域をはじめ、全国各地から相談が寄せられていて、活動を行っております。

ユキサキチャットに届いた相談を紹介します。

ある一人暮らしの国立大学1回生の方は、家賃やガス代を滞納していました。

父親の会社が倒産してしまい、生活費の振込が止まってしまったうえに、親御さんから奨学金を使い込まれてしまっていました。

このような状況下で事故に遭ってしまい、自分で月10万円ほど稼いでいた収入がゼロに近い状態になってしまったのです。

そんな中、WEB検索で「ユキサキチャット」を発見し、私たちへの相談にたどり着いて、学業継続ができるようになりました。

児童手当は別居の夫の口座に。困窮するシングルマザー

あるシングルマザーの方は、夫からの暴言やハラスメントから逃げ、別居生活を送っていました。

児童手当は夫の口座に振り込まれてしまっていました。

こちらの方もまた、WEB検索で「ユキサキチャット」を見つけて、食糧支援・現金給付によって、お子さんの保育園と自身の仕事が決まりました。

そのほか、実際に頂いた声として、こちらは東工大(現・東京科学大学)の学生から寄せられたものです。

支援を受けて、そして支援する側へ

こういった支援ののちに就職して、看護師となって、私たちD×Pに寄付をしてくださった方もいらっしゃいます。

エンジニアになって、私たちD×Pの月額寄付サポーターになってくださったり、会社を興して起業家となって、法人寄付をしてくださったりする方も、いらっしゃいます。

実際に支援させていただいた若者のうち約8割が、現在、仕事や学業継続、社会保障制度などへとつながって、生活状況がよくなってきています。

自己責任論でバッシングされた過去

なぜ、私が、こうした支援を行っているかと言いますと、2004年に、イラク日本人人質事件という事件がありました。

私は、その人質となった当事者です。

当時、自己責任論によるバッシングを、非常に多く受けました。

「自己責任」「国賊」「頼むから死んでくれ」…イラク人質事件で壮絶なバッシングを受けた18歳の20年後の姿(PRESIDENT Online)

知らない方から路上で殴られるなど、本当にさまざまなことがありました。

私は、約4~5年間、パニック障害やうつ病で、他者と話すことがむずかしい時期がありました。

自分自身としては、しんどい時期があったのですが、友人たちのおかげで社会復帰ができました。

個人・法人と多様な人とともに取り組みを広げて14期目

大阪の商社に勤めたのち、NPO法人D×Pを起業しました。

現在、14期目となり、スタッフも40人を超え、関わらせていただいた若者は、2万人近くにまで達しました。

また、仲間も増えてきて、月額寄付サポーターのみでも約3,500人、法人も170社近い方々のご支援もあり、現在、年間予算3億円近くのご支援を頂いております。

子ども・若者たちへの支援を国・自治体へ提言

企業や国・自治体だけでの取り組みでは難しい、子どもたちへの支援を、私たちD×Pは、現在、各地に広げることができています。

自治体とも協力しており、奈良市との協定締結や、大阪市や国への提言も実現させています。

奈良市とユース世代の孤立を解決するNPOが連携協定を締結。奈良における子ども・若者の支援を推進(PR TIMES)

孤立する若者を支援する認定NPO法人D×Pと大阪市が連携協定を締結。グリ下に集まる若者の支援体制構築へ(PR TIMES)

なぜこうしたことを行っているかと言いますと、私たちは13~25歳の方々を支援していますが、18歳になって、すぐさま成人になるかと言いますと、実際には、そうならないからです。

やはり、サポートが必要なのです。

13~25歳の若者は現在(登壇は2025年9月)、1,500万人ほどいらっしゃいますが、その中で、貧困線以下で暮らしている方は、249万人です。

虐待や不登校の方も含めると、約300万人が対象になりますが、現在、国がリーチしているのは1割にも満たないのです。

私たち、民間であるD×Pの「ユキサキチャット」からリーチしているのも、1%に届きません。

民間からセーフティネットをつくる

私たちは、国への提言もし続けていきますが、私たち自身としても、寄付を集め続けていきます。

寄付は、社会をつくる資本であり、社会の新しい事業モデルをつくる資本ですので、それを集めることによって、子どもたちの支援を行っていきたいと考えています。

現在、社会保障制度を知らない子どもたちは6割、残りの4割は制度を知っていても、この制度に、実際はたどり着かない状態にあります。

そのため、私が皆さんに訴えたいのは、民間からセーフティネットを作っていくことです。

現在、子どもたち・若者たちは、「助けて」と言えない社会なのです。

オンライン相談もなく、制度にもたどり着けない、そういう社会なのです。

しかし、現状を変えていくことは、私たち民間からもできます。

ぜひ、皆さんとともに、取り組んでいきたいと思っています。

ご清聴ありがとうございました。

▶︎実際のプレゼンテーション動画もぜひご覧ください。

(終)

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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/正能 由佳/中村 瑠李子/戸田 秀成

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