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“閉じ込めの状態”にある人の意思伝達を負担の少ないBCIで実現し、心をつなぐ未来をつくる「JiMED」(ICC FUKUOKA 2026)

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ICC FUKUOKA 2026 新企画 – ネクストステージ・カタパルト グループBに登壇いただき2位に入賞した、JiMED 中村 仁さんのプレゼンテーション動画【“閉じ込めの状態”にある人の意思伝達を負担の少ないBCIで実現し、心をつなぐ未来をつくる「JiMED」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回500名以上が登壇し、1,200名以上が参加する。そして参加者同士が真剣に議論し、学び合うためのカンファレンスです。次回ICCサミット KYOTO 2026は、2026年8月31日〜9月3日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。

本セッションのオフィシャルサポーターは EVeM です。

【速報】グランプリ出場は「Malme」「JiMED」「Sinumy」! ネクストステージ・カタパルト グループB 結果詳細(ICC FUKUOKA 2026)


【登壇者情報】
2026年3月2〜5日開催
ICC FUKUOKA 2026
Session 3A
新企画 – ネクストステージ・カタパルト グループB
Sponsored by EVeM

中村 仁
JiMED
代表取締役
公式HP

京都大学大学院医学研究科卒業後、アステラス製薬、デロイトトーマツコンサルティングを経て現職。アステラス製薬では主に再生医療等製品に係る薬理試験や癌ワクチン開発におけるプロジェクトマネジメント、デロイトでは国内外の大手製薬会社や医療機器会社への経営支援を担当。


中村 仁さん 皆さん、こんにちは。

私たちJiMED(ジーメド)は、それでも「生きる」を選べるために、人間の脳の力を活用する、世界で初となる医療機器を開発しています。

“閉じ込めの状態”の毎日を生きる人がいる

皆さん、このような状況を想像してみてください。

例えば、今、自宅のベッドにいるとします。

そして、目が覚めました。

目を開けると、天井や家具、身の回りにあるものが見えています。

家族の声や街の音なんかも聞こえています。

当然、言葉も理解できます。

寒い、暑い、そういったことを感じることもできます。

だけども、体を全く動かすことができない、話すこともできない。

そして聞こえるのは人工呼吸器の音。

これは一時的な金縛りではなく、24時間ずっとこのような状態です。

医学的には、これは“閉じ込めの状態”と呼ばれます。

“日々の当たり前”は当たり前ではない

こういう状態になった患者はある時、こう言いました。

まだ筆談が可能な患者に、かろうじて伝えていただいた言葉なのですが、「言葉が通じないことがどれだけつらくかなしいことかはじめて知った」、と。

皆さん、今日も明日も、そしてまた1年後もきっと、普通に人と会話して、仕事に励んでいるのだと思います。

私もそう思っています。

ですが、実際にはある日を境に、もう治らない、治療することもできない神経疾患がどんどん進行してしまう、あるいは交通事故に遭って、このような閉じ込め状態になってしまう患者がいらっしゃいます。

自分らしく生きたいと願ってはいるのですが、当然、食べることも排泄することも自分一人の力ではできないのです。

脳でイメージするだけで機器を操作できる「BCI」

テクノロジーは、本当に世界を便利にしてきたと私も感じています。

ですが、医療の現場、人の命や尊厳に関わる現場においては、依然として解決できない課題が残っているということもまた事実です。

このBrain-Computer-Interfaceは、人間の脳の力だけで、考えるだけで物を動かすという技術です。

これを使うことによって、閉じ込めの状態になっても、人と社会とつながり続ける手段を提供します。

こういう話をすると、何かSFのような話だと感じられる方もいらっしゃいますが、私は今日、そんな遠い未来の話をしにきたわけではありません。

JiMEDは、既に研究開発を完了しました。

物があり、製造体制も既に整っています。

そして今年(2026年)、治験を開始いたします。

つまり、この一見SFのような話は、もう実際に実行できるかどうかというフェーズに入っているのです。

文字による会話、車椅子での移動や家電操作も可能に

世界では、毎年400万人以上の方が病気や事故により、閉じ込め状態になります。

日本でも毎年20万人以上が、閉じ込め状態になります。

ALS(筋萎縮性側索硬化症)などの難治性の神経疾患や脳卒中、頸髄損傷など、さまざまな要因で閉じ込めの状態が引き起こされます。

これに対して、先ほど紹介したBrain-Computer-Interfaceの技術を使うことで、実際に体は動いていなくても、手でモノを動かすイメージをすると、その脳波信号を読み取ってアプリケーションを動かすことができます。

例えば、このようにタブレットを操作して、文字を入力して家族と会話を行ったり、PCを操作して動画を見たり、あるいは車椅子を操作して移動したりできます。

IoTなどと連携すると家電などを一元的に操作することも可能になります。

世界初の小型の植込み脳波計

これを実現する医療機器を、私たちは開発しました。

それが世界初となる小型の植込み脳波計、Wireless Implantable Brain-Computer Interface、「wiBCI」です。

腕時計ほどのサイズの小型・薄型の脳波計を外科手術により頭蓋に設置します。

凄いのは当然ですが、もちろんこれも医療機器ですので、安全に使えるかということを非常に重要視しています。

私たちはやわらかいシート型電極を使用して、脳組織へのダメージを最小化しています。

さらにワイヤレス通信・給電で動きますので、自宅でも長期的に使用可能、つまり病院や高度に管理された環境ではなくても使うことができるのです。

また、手術も、何かたいそうな特殊な装置などは必要なく、一般的な脳外科医であれば3時間程度で埋植できます。

シート型電極によるBCI開発がトレンド

こういう特徴が、どういうところに活きてくるのでしょうか。

世界的に見ても、こういったプロダクトを開発する企業はかなり希少です。

例えばスライドの左の写真は、イーロン・マスクがアメリカに設立したニューラリンク社が開発したBCIですが、針型の電極を脳に直接突き刺します。

しかもロボット(スライド中央)を使って、ミシンのように刺し込んでいくというアプローチをしています。

また、スライドの右の写真は、アメリカのブラックロック・ニューロテック社が開発したものですが、剣山のような電極を脳組織に直接刺し込むので、脳組織へのダメージが大きいことが非常に懸念されます。

こちらも、同じくアメリカのシンクロンという会社が開発する、血管の中に電極を留置して脳波を取得するBCIです。

脳の血管の中に金属の異物が入っているので、例えば脳の血管が詰まってしまったり、出血してしまったりすることを引き起こす可能性がありますので、十分に注意しないといけません。

ですので、海外では我々と同じように、シート型電極を開発する後発の企業がここ数年で一気に増えてきましたが、臨床試験を開始できるフェーズに進んでいるのは我々だけです。

2030年の医療機器承認を目指す

実際の我々のプロダクトですが、アメリカの、実績のある医療機器製造企業と連携し、万全の体制で製造したものです。

当然ですが、非常に多くのベンチテストや生物学的なテスト全てをクリアしています。

開発が完了し、多くのメディア、患者、家族の皆様から問い合わせもいただき、社会的な関心も高まってきたという状況です。

大阪大学で研究をし、JiMEDが設立され、15年あまりの歳月を経て、ついに治験を開始するフェーズとなりました。

2030年の医療機器承認を目指していきたいと思っています。

医療機器承認後は、1台あたりおよそ1,000万円です。

ただし保険適用することで、患者は30万円程度の負担で使用することができます。

こういった事業の実用化については、国や企業などたくさんの方々から応援、ご協力を頂いております。

人類の知恵と技術で、心をつなぐ未来を実現

こちらは最後のスライドですが、これは患者の視点をイメージした当社のキービジュアルです。

家族がこちらを見て、何か話しかけているようにも見えます。

家族と再び言葉を交わすことができる、希望ある世界をイメージしたものです。

病気そのものを防ぐことはなかなか難しいかもしれませんが、人類は知恵と技術を使って代替手段を追求することができる。

家族の言葉に応えることで、自分を支える全ての人と再び心をつなぐことができる。

私たちの製品を通し、病気と戦う全ての人に、それでも「生きる」を選べる世界、これが実現する未来を皆さんと一緒につくりたいと思っています。

ご清聴ありがとうございました。

▶︎実際のプレゼンテーション動画もぜひご覧ください。

(終)

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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/小林 弘美/戸田 秀成

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