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ICC KYOTO 2026 カタパルト・グランプリに登壇いただき4位に入賞した、OWB 和田 智行さんのプレゼンテーション動画【まち消滅の絶望から暮らしと仕事を取り戻した南相馬・小高「OWB」、地域課題解決への提案】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回500名以上が登壇し、1,200名以上が参加する。そして参加者同士が真剣に議論し、学び合うためのカンファレンスです。次回ICCサミット FUKUOKA 2027は、2027年3月1日〜3月4日 福岡市での開催を予定しております。詳しくは、こちらの公式ページよりご確認ください。
本セッションのオフィシャルサポーターはAGSコンサルティングです。
▶【速報】小規模事業者のM&AとAIネイティブ経営で、介護業界の未来を切り開く「EEFULホールディングス」がカタパルト・グランプリ優勝!(ICC KYOTO 2026)
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【登壇者情報】
2026年8月31日〜9月3日開催
ICC KYOTO 2026
Session 6A
CATAPULT GRAND PRIX (カタパルト・グランプリ)- 強者が勢揃い –
Sponsored by AGSコンサルティング
和田 智行
OWB
代表取締役
公式HP
1977年福島県南相馬市生まれ、在住。中央大学卒。グロービス経営大学院修士課程修了。2005年より東京のベンチャーの役員にリモートワークで参画。2011年3月の原発事故により家族とともに約6年間の避難生活を余儀なくされる。2014年、居住が認められない避難指示区域にて創業。住民ゼロの町に飲食店やスーパー、女性の雇用の場としてのガラス工房など30以上の事業を創出。コワーキングスペースを運営しながらローカルベンチャーの創出支援にも取り組んでいる。
2014年AERA「日本を突破する100人」、2017年復興庁『新しい東北』復興・創生顕彰「団体部門」、2018年地方再生大賞「北海道・東北ブロック賞」、第17回グロービス アルムナイ・アワード「ソーシャル部門」、ICC KYOTO 2022「ソーシャルグッド・カタパルト」優勝、POTLUCK AWARD 2025準グランプリなど受賞。
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和田 智行さん 地域の「消滅」という絶望から「自立」という希望へ。

OWB株式会社の和田と申します。
私たちは、住民“0”となった町に“100”の事業をつくる会社です。

震災後、6年に及んだ避難生活
なぜ住民“0”なのか?
それは、福島第一原発事故によるものです。

私たちが拠点とする福島県南相馬市小高区は、5年4カ月もの間、人が住めなくなった町です。
私の自宅も避難指示の対象となり、家族とともに約6年もの避難生活を余儀なくされました。

人が住めなくなった故郷は、ご覧のように荒れ果て、ゴーストタウンとなりました。


強制的に自宅から追い出され、津波で流された人たちの捜索もできず、生まれ育った故郷が朽ちていく。



でも、どうすることもできませんでした。
「暮らし」と「仕事」を同時につくるという使命感
震災から1年後、ようやく復旧工事や除染作業が始まり、将来的に帰れる可能性が出てきました。
しかし、店も仕事も失われた町に帰っても、生活はできません。
一方、店や仕事をつくる事業者も、働く人も客もいない町では事業ができないわけです。
暮らしが先か、仕事が先か。

そんな状況に対して、私なら、住民“0”から、「暮らし」と「仕事」を同時に始めるという前例のないことができるのではないかと考えました。

なぜなら、家族とともに必ず帰って暮らすと決めていたこと、かつ起業経験を持つ住民はおそらく私だけだったからです。
そう気づいた時に、猛烈な使命感が溢れ出しました。

そして原発事故から3年後の2014年、まだ日中しか立ち入りが許されていない住民“0”の故郷で、ひとりで起業しました。

新たな社会を“0”から構築するフロンティア
掲げたミッションは、「地域の“100”の課題から“100”のビジネスを創出する」。

住民は“0”、課題しかない。
しかし、その課題の数だけビジネスを興せば未来は開ける。
シンプルな話じゃないか。
そう考えました。
むしろ住民“0”だからこそ、新しい社会を“0”から構築できる、先進国で唯一の未開拓地、つまりフロンティアかもしれない。

そう思えた途端に無限の可能性を感じ、使命感だけではなくワクワクした気持ちを抑えられませんでした。
仕事・食・買い物の場を次々と立ち上げ
今日は、その小高というフロンティアでの12年の物語と、皆さんと実現したい未来をお話ししたいと思います。

まず最初に解決しなければならなかったのは、「仕事ができる場所」です。
そこで、まだ居住できない町に、勝手にコワーキングスペース(小高ワーカーズベース)を開設しました。

次は「食べる場所」です。
工事関係者や一時帰宅している住民に食事を提供するため、避難中のお母さんたちと食堂(おだかのひるごはん)を始めました。


「人が住めない汚染された町で成り立つわけがない」と散々バカにされましたが、しっかり利益を出すことができました。
それだけではなく、バラバラにされた地域コミュニティがこの店で再び繋がり始め、中には事業を再開する人も出てきました。
次は「買い物ができる場所」です。
仮設のスーパー(東町エンガワ商店)をオープンし、日用品や食料品の提供を始めました。


女性が安心して働けるガラス工房が誕生
しかし、食堂やスーパーをつくるだけでは若者は帰ってこないという声も根強くありました。
そこで、特に子育て中の女性も安心して働ける・働きたくなる職場をつくるため、ガラスアクセサリーの工房(iriser-イリゼ-)を始めました。

家庭の事情に合わせて柔軟に働ける環境をつくった結果、地元の女性だけでなく、ここで働きたくて移住する若者たちも現れるようになりました。
現在は8人の女性職人が働いています。
起業家を集め、創業を支援する町へ
もっともっと事業を生み出していくため、地域課題からビジネスを興す起業家を募集し、創業を支援する事業(Next Commons Lab 南相馬)を始めました。

さらに、彼らを生活面からもサポートすべく、宿泊機能を備えたコワーキングスペース(小高パイオニアヴィレッジ)を整備。

ここから、ICCで活躍するスタートアップも生まれています。
例えば、「クラフトサケ」という自由な酒造りで、失われたカルチャーと地域コミュニティを繋ぎ直すため、佐藤 太亮さんがhaccoba -Craft Sake Brewery-を立ち上げました。



また、酒造りを通じて失われた田園風景を再び取り戻すべく、haccobaから独立した立川 哲之さんが、ぷくぷく醸造を立ち上げました。



風評がつきまとう地域が、彼らの最高のブランドによってクラフトサケの聖地へと変貌したのです。
無人の町から生まれた33の事業
こうして無人となった町に起業家が集うようになり、生まれた事業は33となりました。



ご紹介した以外にも、デザイン事務所や建築事務所、ものづくり、観光、農業、出版など、多様な事業が生まれています。

住民“0”から約3,800人の町へ
居住人口も増えました。
住民“0”からリスタートした町は、現在は約3,800人となりました。
そのうち約1,000人が移住者で、その約1割が弊社の関係者です。

小学生の数も(学校)再開直後は60人程度でしたが、ここ3年で上昇トレンドに入り、100人を超えるまでになりました。

あらゆるチャレンジを可能にする「実証の聖地」
“0”になってしまった環境は、何もないからこそあらゆるチャレンジを受け入れ、チャレンジへとかき立てる風土を生み出します。

それこそが、私たちが見出した小高の可能性なのです。
先ほど登壇されたElevationSpaceをはじめ、そこに魅力を感じた宇宙ビジネスのスタートアップが、弊社のコワーキングスペースに続々と入居するようになりました。
小型ロケットの打ち上げなどの実証試験も行われ、昨年の政府閣議決定文書には、「あらゆるチャレンジを可能にする『実証の聖地』」 と明記されるまでになりました。

小高の「自立のループ」が能登復興の希望に
このように多くの地方が陥っている衰退のループに対して、私たちは地域課題から事業を生み出し続けることで、自立へのループへと逆転させてきました。

それこそがどんなに厳しい状況でも、自分たちで未来をつくれるという実感と風土を生み出したのです。
そこに希望を感じた能登の方々も、2年前(2024年)の震災直後から小高に足を運ぶようになり、珠洲市にはガラス工房が生まれ、輪島市では宿泊施設がオープンしました。



震災後に商店が“0”となった穴水町の約300人の集落では今、お母さん食堂の準備が進められています。

大災害で未来が見通せなくなった人たちが、小高の事例や考え方に触発されて、未来を切り開き始めています。
人口減少と大災害を乗り越えるモデルの共創
人口が減少し、災害も激甚化する今の日本には、人が減っても、ひどい災害に遭っても、諦めずに暮らしと仕事を取り戻し、自立できると信じられるモデルが必要なのです。

人口“0”から始まった小高のフロンティア精神は、ローカルから宇宙へ、福島から他の地域へと飛び火しています。
だからICCに集まる皆さんを、小高でのCo-Creationにご招待したいです。

皆さんがお持ちの技術、ネットワーク、人材、資本。
そして私たちが持っている、地域課題を価値に変える手法、12年間事業を作り続けてきた経験、政府に「あらゆるチャレンジを可能にする」と言わしめた現場。
これらを掛け合わせれば、超人口減少社会、そして災害大国日本の課題をもっともっと解決できるはずなのです。
スタートアップが1つの事業を成長させるように、私たちは地域が事業を生み出す力を成長させます。

その成長が日本中に飛び火すれば、各地で課題解決がどんどん進みます。
だから皆さん、これからの日本のために、小高での“100”の事業づくりをぜひ一緒にやりましょう。
よろしくお願いします。
(終)
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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/戸田 秀成/小林 弘美


