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「ソーシャル・イノベーション実現に向けて」【A16-1】セッションの書き起し記事をいよいよ公開!9回シリーズ(その3)は、ユーグレナ永田さんから、ユーグレナ社がどのようなパッションで設立されたのか?についてお話頂きました。是非御覧ください。
「ICCx AIESEC カンファレンス」は、NPO法人アイセック・ジャパン(AIESEC)とICCパートナーズが共同で開催した、AIESECに所属する大学生を対象としたカンファレンスです。当日は高い志を持った大学生250名が、ビジネスリーダー/社会起業家たちのパネルディスカッションと、質疑応答セッションに参加しました。
本年も、2017年9月15日(金)に「ICCx AIESEC 2017」を開催する予定です。参加を希望される方は、ぜひ全国25大学のAIESECの各委員会に所属ください。
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【登壇者情報】
2016年9月13日開催
ICC×AIESEC ソーシャル・イノベーション・カンファレンス2016
Session 1
「社会をより良くする起業家の夢の実現を支える仕事」
(スピーカー)
永田 暁彦
株式会社ユーグレナ
取締役 財務・経営戦略担当
(モデレーター)
小林 雅
ICCパートナーズ株式会社
代表取締役
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【前の記事】
【本編】
永田 まず、僕達がどのようなパッションを持っているのかということと、会社の概要からご説明できればと思います。
出雲(ユーグレナ代表)はAIESECでバングラデシュへ行き、グラミンバンク(※)のインターンシップに参加します。
▶編集注:グラミンバンクとは、貧困層を対象に、無担保の少額融資 (マイクロクレジット) を専門にする、バングラデシュの銀行
創設者であるムハマド・ユヌス先生は、その後ノーベル平和賞を受賞されたのですが、実はここで彼は一つ大きな出会いをします。
グラミンバンクのインターンシップ中の出雲氏(写真提供:ユーグレナ社)
永田 何かというと、貧困、特に栄養失調に出会います。
本当にAIESECの場でそのような気づきがありました。
出雲代表が国連で働きたいと思わなくなった理由
永田 特に何を知ったかというと、それまでは「飢餓状態」を考えると、「食べるものがない状態」だと僕達は勝手にイメージしていました。
ところが、世の中の飢餓状態には2種類が存在していて、カロリーが不足している状態と、必須栄養素、ビタミンやタンパク質が不足している状態が定義されています。
カロリーがない状態は、災害地域と戦争地域以外にはほとんどありません。
なぜかというと、トウモロコシ、芋、米、といった穀物は基本的にはどこでも採れる訳です。
それに対して野菜や肉、他の必須栄養素が取れないということを彼は知る訳です。
18歳の時は、貧しい国は皆お腹が減っていて、食べるものすらないと思っていたけれど、カレーはあった。
口にするものはあったけれど、栄養素が不足していて、栄養失調の状態で、すぐに子供は死んでしまう。
色々な病気にかかってしまうという実態だった訳です。
これをユヌス先生の元で学びます。
実はこのユヌス先生の元に行ったという話が、すごく重要な鍵になっています。
彼は日本に戻ります。
元々は東京大学の文科三類で、もしかすると会場の皆さんの中にいらっしゃるかもしれませんが、国連に行こうと考えていました。
けれど、バングラデシュでの国連の活動、さらに現状を見て、違うと考えます。
民間企業で全く新しい価値を創出しないと、自分達の目標は達成されないということを考え、3年生から農学部に理転します。
農学部でのミドリムシとの出会い
永田 農学部で出会ったのが、こちらです。
出雲と同じぐらい可愛いなと思うんですけど。
(会場笑)
これがミドリムシです。
永田 皆さんはきちんと小学校、中学校で勉強してきたと思うので、ミドリムシを授業で習ったと思います。
ミドリムシは光合成をして、真核細胞なので細胞分裂で増えていきます。
非常に植物らしい、ミカヅキモといったものの仲間なのですが、一方で動いている。
すなわち動物的側面ももっています。
永田 なぜ動くのかというと、おひさまのある方へ泳いで行くという性質があります。
向日葵もおひさまの方向を向きますが、光合成しやすい場所へ自分で泳ぐということです。
これによって、体の中に、植物と動物の栄養素両方を59種類貯めるというものすごい特徴を持っています。
これをバングラデシュへ持っていけば、今の栄養失調問題を解決できるということが大学時代の出会いだった訳です。
このミドリムシ、ものすごく優秀ですが多くの勘違いをされています。
ミドリムシは「虫」ではありません。
これは皆さんご存知だと思います。
昆布やワカメの一種で、藻類と呼ばれています。
藻の仲間です。
出所:2016年9月2日開催 ユーグレナ社「個人投資家向け説明会」の説明資料 P7から引用
永田 上の図に小さなミドリムシがいますが、皆さん気持ち悪いと思わずに昆布を食べるつもりでミドリムシを食べて下さい。
ユーグレナは59種類の栄養素を含んでいるのですが、出雲は空で全部言えるんですよ。
ビタミン、ミネラル、アミノ酸、βグルカン、不飽和脂肪酸、人間に必要な必須栄養素全てが入っている食材は、僕達は生命科学の研究開発していますが、他にほとんどありません。
出所:2016年9月2日開催 ユーグレナ社「個人投資家向け説明会」の説明資料 P11から引用
永田 ユーグレナを粉末化し、バングラデシュのカレーに入れる。
当時 東京大学農学部に、弊社のCTO(チーフ・テクノロジー・オフィサー)である鈴木(鈴木 健吾 取締役 研究開発担当)もいて、「これを(バングラデシュに)持って行けば良いのではないか?」「これだよ、これだよ!」と、ものすごく盛り上がったということが一番始めになります。
2005年にミドリムシの屋外大量培養に成功
永田 こんなに良いものがあるのであれば、当然誰もが、沢山作りビジネス化したいと考えます。
実際日本でも、太平洋戦争が終わった後、食糧難の中ミドリムシを大量培養する計画がありました。
でも、誰もできなかった。
なぜかというと、これだけ栄養素が多く、しかも皆さんご存知の通り、食物連鎖でいうと、食物環境の一番下にいますよね?
いつもミジンコに食べられてしまいます。
なので、こういったプールにミドリムシを入れると、色々なものが食べに来るので全く増えません。
けれど、地球上で5億年以上生き残っている。
なぜ生き残っているかというと、5億年間食べられるよりも速く増えてきたからです。
「食べられそう」となった時二個に分裂すれば、一個食べられたとしても一個は残るということです。
逆にいえば、食べられない状況を作ると、とても増えるということです。
彼らは世界で初めてミドリムシの単独培養、つまりミドリムシだけがこのプールの中で沢山増えるという技術を開発し、59種類の栄養素を世界中に届けるということに成功しました。
当時出雲は25歳位で、役員3人も全員20代でした。
ミドリムシはとにかく体に良いと分かっているので、それをバングラデシュに届ければ良い訳ですが、このプールを一機作るだけで何千万円というお金がかかります。
皆さん今19、20歳位かと思いますが3、4年先にこれを沢山培養し、バングラデシュへ届けるにはどうすれば良いか?
ものすごく大変だと思います。
お金をどうやって集めるのか?
誰かから寄付をもらうのか?
僕たちが選択したのは、「こんなに栄養素があるのだから、日本人もきっと食べてくれるに違いない」ということから、日本向けに高く売り、儲かったお金でバングラデシュに届けようと考えました。
そこで2005年に会社を作り、沖縄県の石垣島で他の藻を作っていた工場の人に「工場を貸して下さい」とお願いしスタートしたのが、株式会社ユーグレナです。
AIESECでバングラデシュを訪れ、貧困問題を見て、食べる物がないからお腹を空かせている訳ではないのだ、他の必須栄養素がないのだということを知り、日本のテクノロジーで初めてミドリムシの屋外大量培養に成功し、現地に持って行こう。これが当時のモチベーションでした。
(続)
続きは 夢を実現するために、仲間とお金をどう集めるか?(ユーグレナ永田) をご覧ください。
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編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/横井 一隆/立花 美幸/鎌田 さくら
【編集部コメント】
海外に行くと、出雲さんのように日本では知り得なかった情報を知ることができますよね。とある南アジアの国では、日本の食品会社の某調味料が「食べると背骨が曲がる」とのうわさがあるため人気がないとの話を私はその国の旅行中に聞きました。(横井)
続編もご期待ください。他にも多く記事がございますので、TOPページからぜひご覧ください。
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