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ICCサミット FUKUOKA 2019 リアルテック・カタパルトに登壇いただいた、ラングレス 山入端佳那さんのプレゼンテーション【ラングレスは、心拍情報のリアルタイム解析で“言葉がなくても通じ合える世界”を実現する】の文字起こし記事をぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢800名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回 ICCサミット KYOTO 2019は2019年9月2日〜5日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。
本セッションは、ICCサミット FUKUOKA 2019 プレミアム・スポンサーのHonda R&D Innovations様にサポート頂きました。
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【登壇者情報】
2019年2月19日〜21日開催
ICCサミット FUKUOKA 2019
Session 3B
REALTECH CATAPULT リアルテック・ベンチャーが世界を変える
Sponsored by Honda R&D Innovations
(プレゼンター)
山入端 佳那
株式会社ラングレス
代表取締役 CEO
公式HP | STARTUP DB | LinkedInページ
外国語大学にて異文化コミュニケーションを学んだ後、株式会社リクルートコミュニケーションズにて、人の心が動く動機や価値観を探る業務に従事。2017年よりの心の解析をする製品開発に魅力を感じ、株式会社イヌパシーに参画。2018年、株式会社イヌパシーの代表取締役に就任。同時に同社は株式会社ラングレスと改名し、「Language less communication 言語なしでも伝わる未来」をミッションと掲げる。
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▶「ICC FUKUOKA 2019 リアルテック・カタパルト」の配信済み記事一覧
山入端 佳那氏 株式会社ラングレスの山入端(やまいりばた)です。
事業のお話をする前に、少しだけ私自身の話をさせてください。
私は実は、お話しをするのがそんなに得意ではありません。
と言うのも、今頭の中で考えていることや心の中で感じていることを「言葉」で伝えようとするときに、そこに大きなギャップを感じるからです。
会場の皆さんも、大切な人に何か伝えようとしても伝わらないこと、ということを経験したことがあるのではないでしょうか?
例えば赤ちゃんや、飼い主と一緒に住んでいる動物も、こうした“伝えられないもどかしさ”を持っていると考えています。
私たちは、それをテクノロジーの力で克服していきたいと思っています。
「Language less communication」が、私たちのビジョンです。
言葉ではなくても通じ合える世界をつくりたいと思っています。
これは人だけが通じ合える社会ではなくて、人と動物も通じ合える社会です。
心拍情報からリアルタイムに“気分”を解析する技術
私たちはその実現に向けて、HRV(心拍変動解析)という、自律神経解析によるアプローチを採用しています。
しかしこのHRV解析というのは、コミュニケーションに使用するには非常に物足りないものです。
なぜかと言うと、一般的に使われているHRV解析というものは、30秒間、1分間、5分間など、過去のあなたがどういう状態だったか、ということを解析するものだからです。
一方、実際のコミュニケーションでは、リアルタイム性が非常に重要です。
そこで私たちは、リアルタイム性を追求するために従来の10分の1の情報だけで心拍情報を解析できるアルゴリズムを作成しました。
さらにワンちゃんの毛皮の上からでも、人の衣服の上からでも心拍を検知できる、簡易で応用性の高いセンサーを開発しました。
これは私たちが取得している特許の1つです。
愛犬の心をリアルタイムに読み解く「イヌパシー」
こうしたコア技術を使って一番最初につくったものが「INUPATHY(イヌパシー)」です。
イヌパシーは、愛犬の心をリアルタイムに読み解くデバイスです。
CTOの山口(山口譲二氏)が犬好きなので、ここから入りました。
現在、解析できる心の状態は5つです。
緑色がリラックス、オレンジ色がエキサイティング(ドキドキ)、虹色がハッピー、白色が集中(興味)、紫色がストレス。
このように、色が光るようになっています。
この動画では、ワンちゃんが飼い主におやつをもらっています。
きちんと「待て」をしていますが、実は後ろに他のワンちゃんが来ていて、彼もおやつが欲しそうです。
“集中”を示す白色が点灯し、少し済んだところで、ちらっと“ストレス”を示す紫色が出てきます。
その瞬間に喧嘩が起こりました。
こういった心模様までが、はっきりと出るようになっています。
次の動画はは、山口が愛犬のあかね君と会話している様子です。
ちらっと“集中”の色が光る瞬間が出てきます。
山口の「話を聞いてくれる?」という声かけに対して、コミュニケーションしているように見えます。
実際にイヌパシーを使ってくれた飼い主さんに、感想を聞いてみました。
このワンちゃんは病弱で、散歩に連れて行くとぶるぶる震えてしまい、飼い主の方はかわいそうだと思いなかなか散歩に連れていくことができませんでした。
しかしいざイヌパシーを付けて散歩に行ってみると、実はそのワンちゃんは、虹色(ハッピー)や緑色(リラックス)の気持ちだったことが分かったのです。
その様子を見た飼い主さんは「保守的になっていたのはワンちゃんではなくて自分自身だった」とおっしゃっていました。
イヌパシーがきっかけで、今ではハイキングに行くようなパートナーになっているとのことです。
13.6兆円に及ぶ主要先進国のペット市場に挑む
2018年7月15日に、このイヌパシーの先行予約を開始しました。
会員限定の販売で、開始1分で111台が完売しました。
先行予約販売でも3日で300台が完売し、最終的には600台売れるプロダクトになっています。
現在は日本だけで販売していますが、海外からも大変たくさん問合せをいただいており、2019年、2020年は海外にも挑戦する年にしたいと思っています。
ペットIoTから医療・ヘルスケア、そして「新たな対話手法」の開発へ
改めてですが、我々が提供できる価値、それはエンターテインメント訴求でコミュニケーションを提供するだけではありません。
バックグラウンドでは、病気を検知するための不整脈や心雑音を取得することができています。
そうした医療業界にも、我々は挑戦していきたいと思っています。
上記のスライドのように、動物の生態解析については他社も実施していますが、気分の解析や、安定して静止している状態での解析が可能なのは我々のプロダクトだけになります。
ヘルスケアという観点で言うと、まだまだできていない部分ですが、いろいろな企業と一緒に挑戦していきたいと思っています。
また、これからは犬、猫への応用だけではなく、一緒にいる飼い主さんの気持ちの解析にも挑戦していきたいと思っています。
そして最終的には、人を含めた動物同士の新たな対話手法のというところに挑戦していきたいと思っています。
世界は、言葉だけで紡がれるものではない
最後になりますが、7万年前、我々の先祖は初めて言語を持ち始めました。
言語により、社会は発展しました。
しかしその一方で、私たちは言語を持ったその瞬間から今にいたるまで、言語やテキストでは表現できないものが見落とされてきたのではないかとは思っています。
50年、100年続くこの先の世界は、言葉だけで紡がれていくものではないと思っています。
こういった次のコミュニケーションのあり方を一緒につくっていただける方、ぜひ私たちの仲間になってください。
ありがとうございました。
(終)
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編集チーム:小林 雅/尾形 佳靖/小林 弘美
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