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ICCサミット FUKUOKA 2020 CRAFTED カタパルトに登壇いただいた、EVERY DENIM 山脇 耀平さんのプレゼンテーション動画【消費者を生産者に変え、回収デニムから循環を生み出す瀬戸内発デニムブランド「EVERY DENIM」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回250名以上が登壇し、総勢900名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット KYOTO 2020は、2020年8月31日〜9月3日 京都市での開催を予定しております。参加登録などは公式ページをご覧ください。
本セッションは、ICCサミット FUKUOKA 2020 プレミアム・スポンサーのLexus International Co.様にサポートいただきました。
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【登壇者情報】
2020年2月18〜20日開催
ICCサミット FUKUOKA 2020
Session 7B
CRAFTED CATAPULT
豊かなライフスタイルの実現に向けて(90分拡大版)
Sponsored by Lexus International Co.
(プレゼンター)
山脇 耀平
EVERY DENIM
共同代表
公式HP | STARTUP DB
1992年生まれ。兵庫県加古川市出身。大学在学中の2014年、実の弟とともに「EVERY DENIM(エブリデニム)」を立ち上げ、翌2015年オリジナルデニム製品を販売する活動をスタートさせる。2018年4月からは、キャンピングカーで移動販売をしながら全国47都道府県を巡り、衣食住のつくり手に出会う旅を行う。 2019年9月、泊まれるデニム屋「DENIM HOSTEL float」を岡山県倉敷市児島にオープン。
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▶「ICC FUKUOKA 2020 CRAFTED カタパルト」の配信済み記事一覧
山脇 耀平さん 「EVERY DENIM(エブリデニム)」の山脇と申します。
EVERY DENIMは、2015年に弟と共に立ち上げた、瀬戸内発の兄弟デニムブランドです。
まずはこちらをご覧いただき、僕たちのことを知っていただけたらと思います。
岡山県倉敷で、デニムブランド直営店とホステルを運営
僕たち“デニム兄弟”は、デニムの産地である岡山県倉敷市児島で、「EVERY DENIM」のブランド直営店とホステルを運営しています。
皆さんも、僕たちのものづくりに参加してみませんか?
ものづくりに参加するとは、アイデアを出すことなのでしょうか?
それとも、原料を生産することなのでしょうか?
考えながら聞いていただければと思います。
回収したデニム生地を糸に再生。新たなデニム製品に
EVERY DENIMは、今年(2020年)1万着のデニム製品を回収し、それらを再利用して新たなデニム製品を作ろうとしています。
紡績工場で開発された新技術により、回収生地を糸に再生して用いることができるようになったのです。
ご覧のように、ジーンズの裁断くずが糸に生まれ変わります。
回収地域は、国内最大のデニム産地である岡山県。
岡山県の人口は約190万人なので、20人に1本以上回収する計算になります。
なぜこのような取り組みを始めたのか?
まずは僕たちの生い立ちからお話ししたいと思います。
原点は、アメカジ好きな父が買ってくれたジーンズ
僕たち兄弟は、兵庫県加古川市の公務員の家庭に生まれました。
アメカジ(アメリカンカジュアル)が好きな父親の影響で、小さな頃からいつもジーンズを履いていました。
そして後年、弟が大学に進学した岡山で、たまたまジーンズ工場の職人さんにお会いする機会がありました。
僕は、そこで見たものづくりの様子に大きな感動を覚えたのです。
職人さんが一心不乱に目の前のことに集中する姿。
自分の仕事を誇らしげに語る姿。
それが強く印象に残り、この職人さんたちのことをもっと多くの方々に知っていただきたいと、強く思うようになりました。
そして兄弟で立ち上げたのが「EVERY DENIM」です。
僕たちは、岡山県の工場の職人さんや経営者の方々のもとに通って取材・情報発信をする活動を始めました。
それは2014年12月、僕が21歳、弟が19歳のときのことでした。
生地工場と直接連携し、デニム新素材を商品化・販売
EVERY DENIMのものづくりは、常に作り手の誇りとともにあります。
こちらは、2021年に創業80周年を迎える岡山のデニム生地工場ショーワ (SHOWA)さんです。
ショーワさんは、過去に世界的な生地の見本市「プルミエール・ヴィジョン・パリ」で受賞された実績もお持ちです。
▶2009年、プルミエールヴィジョン第1回PVアワードにて、ウール100%デニムが10万点の応募の中から「ハンドル賞」を受賞(株式会社ショーワ)
今回EVERY DENIMは、ショーワさんが3年以上の試行錯誤を経て開発された、ナイロンをインディゴで染めた生地を使って商品を作りました。
▶創業78年。新素材を生み出し続けたテキスタイルメーカーが挑む「ナイロンデニム」(Makuake)
「何とかして良いものを作りたい」
こうした強い想いと意地が、“CRAFTED”の本質なのではないかと思っています。
EVERY DENIMは、ショーワさんのような生産工場と直接連携することで、新素材をいち早く製品化し、ECや直営販売を通して皆様にお届けしています。
全国移動販売の旅で気づいた、“地域”に眠る魅力
2018年4月から2019年7月にかけては、キャンピングカーで47都道府県を回り、デニムを移動販売する試みも行いました。
毎月1週間かけて皆さんにジーンズをお届けすると同時に、作り手さんにもお会いすることができました。
今ではよい思い出ですが、夏の山形と冬の京都はあまりにも過酷すぎて、道中キャンピングカーが故障してしまったこともあります。
それでも何とか47都道府県を回り切り、僕たちの暮らしの根っこである“衣食住”を支える、多くの生産者の方々にお会いすることができました。
そんな僕たちの活動はメディアにも取り上げられ、テレビ東京『ガイアの夜明け』でも特集が組まれました。
この旅を通して心に残ったことの一つは、地域の農家さん、職人さんなどが口を揃えてこうおっしゃっていたことです。
「地元の人ほど、その土地の魅力に気づいていない」
農家さんや職人さんは、自分たちが誇りを持ち人生をかけて作るものが、産地では安く消費されてしまうことに悩まれていました。
それでは、地元のよいものを、産地ブランドとして外部にアピールできるはずはありません。
地元の人もまた、そんな状況に慣れきってしまっているようで、岡山のデニム産業にも通じるところがあるように感じました。
地元の人にこそ知ってほしい、地元の魅力
これからは、ものづくりの産地は観光化が進み、その現場を見られること自体が、観光資源としての価値になるのではないかと考えています。
同時に、地元の人たちがものづくりの価値を再認識し、地元の製品に誇りをもてるようになることが大切だと思うのです。
それはデニムの産地、瀬戸内でも例外ではありません。
瀬戸内デニムの拠点「DENIM HOSTEL float」オープン
そこで僕たちは、旅を終えた2019年9月、岡山県倉敷市児島に、瀬戸内海を一望できるオーシャンビューの複合型ホステル「DENIM HOSTEL float」をオープンしました。
開業資金を募ったクラウドファンディングでは、お陰さまで50日間に599名から1,000万円以上のご支援をいただきました。
消費者もデニムの“作り手”になれる循環モデルを
冒頭でも申し上げたように、EVERY DENIMは2020年に1万本のデニム製品を回収し、新たなデニムを作ります。
大量の生産と消費を前提としたアパレル産業では、年間で33億着もの洋服が捨てられています。
そこで僕たちEVERY DENIMは、捨てることを前提とした“消費”が当たり前の現状に、一つの提案をしたいと思います。
それは、家庭に眠る生地資源を回収し、消費者が消費者の枠を超えて、生産の一部に関われるようなモデルを作ることです。
つまり、冒頭でも申し上げた「1万着のデニム製品回収」の取り組みを通して、岡山の皆さんにもデニムの“作り手”になっていただくのです。
“ものづくりの循環”で「捨てる」がなくなる仕組みを
ものを買い、身に着けることが、単なる消費ではなく“ものづくりの循環”への参加表明になるとき、エゴな行動はエコな行動になり、環境にポジティブな影響を与えるようになるでしょう。
消費者は生産者に、取引は参加になる。
EVERY DENIMはD2P(Direct to Producer/Participation)という、「捨てる」行為がなくなる仕組みを目指しています。
2020年、EVERY DENIMは1万着のデニム製品を回収します。
集める人も、差し出す人も、つくる人も、考える人も、届ける人も、広める人も、皆さん、EVERY DENIMのものづくりに参加しませんか?
ありがとうございました。
(終)
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編集チーム:小林 雅/尾形 佳靖/フローゼ 祥子/SNOWLIGHT/戸田 秀成
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