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脳とコンピュータをつなぐ“BCI”の実装で、病気や事故による身体的な制約からの解放を目指す「JiMED」(ICC KYOTO 2024)

ICC KYOTO 2024 リアルテック・カタパルトに登壇した、JiMED 中村 仁さんのプレゼンテーション動画【脳とコンピュータをつなぐ“BCI”の実装で、病気や事故による身体的な制約からの解放を目指す「JiMED」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に学び合い、交流します。次回ICCサミット FUKUOKA 2025は、2025年2月17日〜 2月20日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。

本セッションのオフィシャルサポーターは 慶應イノベーション・イニシアティブ です。

【速報】アルツハイマー病の治療に光! 新薬で世界規模の課題解決を目指す「Neusignal Therapeutics」が「リアルテック・カタパルト」優勝(ICC KYOTO 2024)


【登壇者情報】
2024年9月2〜5日開催
ICC KYOTO 2024
Session 7A
REALTECH CATAPULT リアルテック・ベンチャーが世界を変える
Sponsored by 慶應イノベーション・イニシアティブ

中村 仁
JiMED
代表取締役
公式HP

京都大学大学院医学研究科卒業後、アステラス製薬、デロイトトーマツコンサルティングを経て現職。アステラス製薬では主に再生医療等製品に係る薬理試験や癌ワクチン開発におけるプロジェクトマネジメント、デロイトでは国内外の大手製薬会社や医療機器会社への経営支援を担当。


中村 仁さん 皆様、こんにちは。

株式会社JiMED(ジーメド)の中村です。

大阪大学発のブレインテックカンパニー

早速ですが、こちらに「“脳”と“コンピューター”をつなぐ」と、何やらSFめいたことが書かれていますが、まもなくこれを実現した世界が到来します。

我々、株式会社JiMEDは、大阪大学のシーズを利用して、脳とコンピューターをつなぐことによって、身体の制約からの解放を目指すブレインテックカンパニーです。

阪大発ベンチャー「株式会社JiMED」への投資を実行(PR TIMES) 

毎年20万人以上が意思伝達や運動機能に障害をきたす

突然ですが、皆様、もし家族と話すことができない身体になったら、自分の意思で手足を動かすことができない身体になったら、そのような世界観を少し想像してみてください。

実は日本では毎年20万人以上の方が病気や交通事故等により、意思伝達や運動機能に障害をきたしているという事実があります。

こちらは、実際の患者さんの筆談記録です。

中でも重篤な障害を抱えられた患者さんは、生きたいと願っているけれども他人と話すこともできない、自分の身体を動かすこともできない、その世界観が怖く、周りにも迷惑をかけてしまうという思いを強く持っています。

特に進行性の神経疾患などの患者さんは、延命を断り自然死を選択する現実もあります。

脳波で電子機器を操作

そこで我々は、冒頭に示した脳とコンピューターをつなぐ技術である、BCI(Brain Computer Interface)という技術を使って、これらのペインに対するソリューションを提供したいと考えています。

こちらのスライドは、過去の大阪大学の研究の様子を一部紹介しています。

ロボットアームが物をつかんだり動かしたり、あるいはフリック操作で文字を入力する、これは実際に患者さんの脳波を使っており、脳波だけでこの機械の操作をしています。

このテクノロジーを使って、スマホやインターネットだけでなく、家電やロボットを操作していただくことによって、コミュニケーションはもちろんのこと、働くことや遊ぶことも実現可能にしていきたいと思います。

腕時計サイズの脳波計を頭蓋内に埋植

具体的に何を使ってどうすれば、こんなことができるのでしょうか?

こちらを用います。

我々が開発した腕時計ぐらいのサイズの小型脳波計を頭蓋内に埋植します。

実際に脳波を取得する薄い電極シートが脳の表面に置かれていて、筐体自体は頭蓋骨の代わりにはめ込まれます。

上から頭皮を縫合するので、頭に小型脳波計が入っていることは外から見て分かりません。

BCIの安全性

ただ、こう聞くと、「えっ、頭蓋内に埋め込むの? それ本当に大丈夫?」と思われる方がいらっしゃるかなと思います。

ご安心ください。

安全性の高いソリューションであることを、この場でお伝えできればと思います。

理由は3つあります。

1つ目は、すでに心臓ペースメーカー等で使用されている生体安全性の高い素材でできていること。

もう1つは、2時間程度の簡単な脳外科手術で埋植できること。

私自身、慢性副鼻腔炎で鼻を削る手術を受けましたが、4時間かかりました。

なんとこの半分ほどの時間で、手術ができるようなものになっています。

3つ目に、実は脳に機器を埋め込むこと自体は、すでに世の中で治療法としては確立しています。

例えばパーキンソン病などにおける脳深部刺激療法は、金属の棒を脳の奥深くに挿し込むので、我々の手法よりもはるかに脳に侵襲的なものになっています。

しかし、この手術は実際に日本では年間1,000件以上行われていますので、我々の手法が思うほど怖いものではないということをお伝えできればと思います。

国内に実用化が近い有力な競合は存在しない

実際の使用スキームですが、取得された脳波がワイヤレスで送受信されてAIによって解析され、それを信号変換することにより、外部機器の操作を可能とするものになります。

世の中でこのようなシステムや機器を開発している企業は、どんな企業でしょうか?

少なくとも実用化の観点ではまだ国内に有力な競合は存在していません。

国内には競合どころか、電子部品を搭載した埋込医療機器を自社開発している企業がないという現実があります。

海外ではNeuralinkが治験を開始

このような埋込型BCIは、世界的にもまだ実装化されていません。

ただし、こちらの方を必ず一度は目や耳にされたことがあると思います。

イーロン・マスクが、我々と同じような埋込型BCIを作っています。

彼らは、我々よりも一回りほど小さい埋込型BCIを開発していますが、かたや数千本の針電極を脳に直接突き刺すという仕様になっています。

しかも人間の手ではできないので、ロボットで自動的に突き刺すという、かなりアグレッシブな方法を取っています。

今年(2024年)治験を開始しましたが、その後電極が抜ける等のトラブル等も発生していて、まだまだ予断を許さない状況です。

NeuralinkのマスクCEO、BCI埋め込みの2人目も順調と語る 「年内にあと8人に」(ITmedia NEWS)

我々は完全に埋植可能な小型化、ワイヤレス化に成功した、本当に世界でも数少ないスタートアップです。

それに加えて、大阪大学との共同研究の成果から、脳外科学的な知見とノウハウをふんだんに踏襲している、安全性と有効性を両立する唯一無二の埋込型BCIを提供できる企業です。

来年(2025年)夏頃に治験を開始し、治験を2年で終える予定になっています。

患者負担は30~40万円程度

ビジネスモデルとしては、医療機器販売のスキームになっています。

ご存知の通り、医薬品、医療機器は販売価格が国によって定められます。

ではこの公的価格はいったい幾らになりそうなのかというと、今のところ約800万〜1,300万円ほどを想定しています。

患者さんは高額医療保険制度が適用されるので、30〜40万円もあれば、この機器を使用していただけます。

保険償還に向けては、すでに厚生労働省と討議を進めている状況です。

2028年に上市予定

マーケットサイズは、過去の患者アンケートやシェア率から算出して、日本国内でも少なくとも年間700億円以上の売上を目指して進めていきたいと考えています。

ハイレベルなGO TO MARKET STRATEGYですが、2028年の上市に向けて、まずは各省庁やAMED(国立研究開発法人日本医療研究開発機構)、学会等と連携しながら社会基盤の形成を行っていきます。

その後、2028年の上市には、まずは重篤な神経疾患の患者さんを優先的に、初期的なアプリケーションを展開していきます。

その後、対象疾患やアプリケーションを拡大していき、ほぼ同時並行的にグローバルへ展開することによって、市場を拡大していきたいと考えています。

今年に入ってから特に、各種メディア等にも取り上げられてきています。

我々のプロダクト、ソリューションに対する社会的な関心が高まってきている状況になっています。

各分野のスペシャリストによるチーム

こういったチャレンジングな事業を推進していく体制ですが、我々は非常に幅広いタレントを保有しています。

侵襲型の医療機器を開発した人間もいれば、品質保証のスペシャリストもいる、ロボットが大好きな学生もいる、そういった幅広いタレントを持ったチームで構成しています。

それだけでなく、医師会や患者会、脳神経学のキーパーソンの方々にもご支援、ご協力をいただいています。

各種の専門技術のスペシャリストにもご賛同いただいており、こういったオールジャパンと言いますか、みんなで力を合わせて、この事業を必ず成功させていきたいと考えています。

新しい医療を創出し世界をリードする

最後になりますが、我々のソリューションは新しい医療の創出です。

そして、身体の制約による障壁のない社会の実現を目指すものになります。

また、日本どころか世界でもまだ実装化されていないBCIを実装化していくことによって、世界をリードしていくブレインテックカンパニーを目指して事業を進めていきたいと思っています。

皆様、ご支援、ご協力のほどお願いいたします。

ともに世界を目指しましょう。

ご清聴ありがとうございました。

▶︎実際のプレゼンテーション動画もぜひご覧ください。

(終)

編集チーム:小林 雅/原口 史帆/浅郷 浩子/小林 弘美/戸田 秀成

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