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複合プラスチックの再資源化を可能にし、環境に優しい「withプラ」を目指す「esa(イーサ)」(ICC KYOTO 2024)

ICC KYOTO 2024 リアルテック・カタパルトに登壇した、esa(イーサ) 黒川 周子さんのプレゼンテーション動画【複合プラスチックの再資源化を可能にし、環境に優しい「withプラ」を目指す「esa(イーサ)」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に学び合い、交流します。次回ICCサミット FUKUOKA 2025は、2025年2月17日〜 2月20日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。

本セッションのオフィシャルサポーターは 慶應イノベーション・イニシアティブ です。

【速報】アルツハイマー病の治療に光! 新薬で世界規模の課題解決を目指す「Neusignal Therapeutics」が「リアルテック・カタパルト」優勝(ICC KYOTO 2024)


【登壇者情報】
2024年9月2〜5日開催
ICC KYOTO 2024
Session 7A
REALTECH CATAPULT リアルテック・ベンチャーが世界を変える
Sponsored by 慶應イノベーション・イニシアティブ

黒川 周子
esa(イーサ)
代表取締役
公式HP | 公式X

ロンドン大学ゴールドスミスカレッジ 社会人類学部 学士取得。 2004年渡米、アパレル企業勤務。 2011年東日本大震災を契機に、チャリティー団体、チームカーネーションズを共同設立。環境保全や教育に注力した活動を行う。 2013年株式会社ベイクウェル設立、飲食関連事業に従事。  2022年〜 東京都きらりプロジェクト推進委員。江戸東京の伝統ある技や老舗の産品等を新たな視点で磨きをかけ、その価値と魅力を国内外に発信。伝統の技の継承の実現を目指す。 2022年3月株式会社esa創業、共同代表に就任。2024年1月より代表取締役CEO。


黒川 周子さん 皆様、こんにちは。Environmental Solutions Architectのesa(イーサ)黒川です。

本日は私たちが作る再生プラスチック樹脂「Repla(リプラ)」についてお話をさせてください。

こちらの粒々は、皆様が日々使われているプラスチック製品の原料となる樹脂です。

プラスチックはリサイクルできていない?

昨今、「資源循環」「サーキュラーエコノミー」「プラスチックリサイクル」という単語を毎日何度も耳にしますが、世界でのプラスチックの使用量は増え続けており、リサイクルできていないのが現状です。

その中でも、日本のプラスチック廃棄量は世界第2位です。

日本人のプラごみ廃棄量は世界2位。国内外で加速する「脱プラスチック」の動き 2022.09.30(日本財団ジャーナル)

さらにはリサイクルを諸外国に頼っていた背景があり、現状は他国から大きく遅れを取っています。

皆様も、毎日ゴミの分別をされていますよね。

リサイクルできていると思われていると思います。

その中の1つ、「サーマルリサイクル」をご存知でしょうか?

石油由来のプラスチックの特性を利用して焼却炉を燃やすための熱エネルギーに使用することを 「サーマルリサイクル」と呼んでいます。

サーマルリサイクルとは?概要や目的、問題点、実現方法を解説(リバネス)

ただサーマルリサイクルはCO2が出るので、諸外国ではリサイクルとは認められていないのです。

リサイクルしにくい複合プラスチック

では、なぜこれまで廃棄されていたプラスチックが、サーマルリサイクルに回されていたのでしょうか?

プラスチックは、大きく2つに分けられます。

ペットボトルのような単一素材で作られるリサイクルしやすい製品と、違う組成のプラスチックが多層になった複合素材で作られるものがあります。

サーマルリサイクルに回されていたのは、複合素材といわれるプラスチックがリサイクルしにくかったからです。

私たちesaは、この複合素材に着目し、これらを再資源化できれば新たな樹脂市場の開拓とCO2、そして廃棄プラスチック量の削減を同時にかなえられるのではないかと考えました。

企業の廃棄プラスチックを回収し再生樹脂化

私たちのビジネスモデルは、大変単純、明瞭です。

これまで企業が焼却処理をしていた廃棄プラスチックを回収し、再生樹脂に生まれ変わらせます。

その再生樹脂を新たな製品化の原料としてお使いいただきます。

この流れの中で、プラスチック製品を扱う企業活動全体のCO2削減がかなうこととなります。

今後はCO2削減およびプラスチック量削減に直結する事業者としてクレジットも創出し、グローバル市場に還元もいたします。

複合プラスチックを再生する技術を開発

この事業を支える根幹となるのが、私たちが持つ技術力です。

独自開発、独自製造をした内部の特殊な構造による「練る力」と、これまでさまざまな素材の実証実験で培った「温度調整」の2つが、特に他社にはないノウハウです。

さまざまな素材を企業から回収して粉砕し、我々が作った押し出し機に投入します。

投入した素材は一度溶かし、冷却して再生樹脂ペレットを作ります。

この私たちの特別な技術を、京都大学とともに共同研究もしています。

プラスチックリサイクルのesa、グリーンケミストリー分野の先進研究機関である京都大学大学院総合生存学館(思修館)との共同研究を開始(PR TIMES) 

そうすることで、今後のさらなる技術革新、市場開拓にも挑戦しています。

私たちが作っているビニール袋ですと最大38%ものCO2削減が見込め、環境負荷の評価法であるLCA (Life Cycle Assessment)においても、esaの再生樹脂が環境にもより良いという調査を行いました。

近く論文も発表いたします。

CO2削減とリサイクルにこだわる理由

ではなぜ私たちがCO2削減とリサイクルにこだわるのか。

むこう10年のビジネスリスクのトップ4のすべてが、環境問題についてだからです。

環境問題、CO2削減は、現代のビジネスを考える上で欠かせない重要要素の一つとなりました。

そしてついに日本でも、法改正が行われることが決まりました。

製品製造時に再生樹脂をある一定量必ず使わなければならないと、義務化されます。

製造業の再生プラスチック使用量に国が目標設定、使用実績の報告義務化も…罰則も検討 (2024年6月26日、読売新聞オンライン)

ここから一気に再生樹脂市場、さらに言えば、「複合素材で作られた再生樹脂市場」は広がっていきます。

循環型経済を推し進めることも国家戦略となることが決まりました。

【速報】循環型経済の関係閣僚会議を設置、30日初会合へ 国家戦略として推進(TBS NEWS DIG)

技術革新によって「脱プラ」から「withプラ」へ

国内外でこの分野は急成長を続けている大きな市場があります。

こういった大きな時代の変革の中で、私たちesaは「脱プラ」ではなく「withプラ」を推進したいと考えています。

プラスチックは私たちの生活に大きな可能性をもたらしてくれただけではなく、これからも共存していくべき素材だと考えています。

便利になっただけではなく、医療機器に使用されたりと、たくさんの命も救っています。

リサイクル技術で世界へ新たな発信を

このesaの技術を開発した私の友人、共同創業者は台湾人(周 品諺さん、周 品諾さん)ですが、日本が作った世界の中でも大変に性能の良い複合プラスチックのリサイクル(=リサイクルしにくい製品)のお困りごとを解決したいと考え、あえて私どもは日本で起業しました。

そういった性質の良い製品を作れる技術力が日本にはありましたし、まだあります。

今度は作ることだけではなく、その解決策、リサイクル技術を普及することができれば、新たに世界へ発信できる技術ともなれるのではと信じています。

まだまだ事業規模は小さいです。

このような場で皆様から学ばせていただき、成長していきたいと考えております。

この技術をより多くの皆様に知っていただき、お仲間となっていただくことを心から願っております。

ご清聴誠にありがとうございました。

▶︎実際のプレゼンテーション動画もぜひご覧ください。

(終)

編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/小林 弘美/正能 由佳/戸田 秀成

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