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ICC FUKUOKA 2025 カタパルト・グランプリに登壇いただき2位に入賞した、207 高柳 慎也さんのプレゼンテーション動画【多重下請け構造を解消するバーチャル物流会社で、物流ラストワンマイルの改革に挑む「207」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に学び合い、交流します。次回ICCサミット KYOTO 2025は、2025年9月1日〜9月4日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。
本セッションのオフィシャルサポーターはAGSコンサルティングです。
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【登壇者情報】
2025年2月17〜20日開催
ICC FUKUOKA 2025
Session 6A
CATAPULT GRAND PRIX (カタパルト・グランプリ)- 強者が勢揃い –
Sponsored by AGSコンサルティング
高柳 慎也
207
代表取締役
公式HP | 公式X
1989年生まれ。山口大学卒業後、福岡のベンチャー企業に入社し、訪問営業を経験。4ヶ月で退職後、京都で同事業を起業。2012年に上京し、設立半年のITベンチャーに2人目の社員として入社。WEBシステムやアプリの受託開発ディレクションを担当し、ソフトウェア開発の経験を積む。2015年には株式会社チャプターエイトの創業に参画し、プロダクトマネージャーとして活動。4つのプロダクト開発を推進し、「ABCチェックイン」という民泊チェックインサービスの事業売却を経験。2018年、物流業界の課題解決を目指し207株式会社を創業。ラストワンマイルの効率化を軸に、宅配ドライバー向けアプリや物流事業者向けSaaSの提供を通じて構築した配送ネットワークを活用し、バーチャル物流サービス「トドク便」を展開。
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高柳 慎也さん 皆さん、おはようございます。
207(ニーマルナナ)の高柳です。
207は、「データ」と「ネットワーク」で物流ラストワンマイルに革命を起こす、物流スタートアップです。

配送員の7割以上は個人事業主
突然ですが、皆さんのご自宅へ配送してくれる配送員の雇用形態をご存知でしょうか?

実は、制服を着ていても、ほとんどの配送員が個人事業主で、その割合は7割以上にのぼります。


その背景には、日々大きく物流量が変動するという現実があり、この需給のバランスに合わせて人員を増減する必要があるのですが、日本の労働法上、正規雇用になると柔軟な人員調整が非常に困難なため、結果的に、個人事業主に依頼するという業界構造になっているのです。


配送効率が向上しても利益率に影響がない現状
しかも、配送員への報酬は、配送完了した荷物の数で決まるので、配送員の配送効率が仮に向上したとしても、各物流会社の利益率に何ら影響がない形になっているのです。


したがって、物流会社の配送効率を向上するインセンティブがなく、投資が進んできませんでした。

皆さんが福岡にいらっしゃるこの不在の間も、配送員は必ずインターホンを押して紙の不在票をポストに入れないといけない、そんな非効率なルールが未だに残っているのです。

規制緩和が生んだ多重下請け構造
また、宅配ラストワンマイル領域は、主に軽貨物、いわゆる軽自動車で運ぶものであり、平成以降に規制緩和された、比較的新しい領域なのです。

その結果、個人事業主を束ね、配送拠点などを管理する中小の軽貨物会社が数多く生まれ、各事業者は、個社同士のつながりをベースに、未だに電話などで連携しているのです。


結果、各軽貨物会社が連鎖的に下請けを重ねる、多重下請け構造になっており、大手宅配会社が受託した、実に80%以上の荷物がこの下請け構造に流れている、非効率な状況なのです。


207は、このいびつな産業構造を変革するために存在するスタートアップです。

この多重下請け構造を解体し、これらの領域に革命を起こします。
配送員向けアプリから配送データ2,200万件を蓄積
では、なぜそれが我々に実現可能なのか、説明させてください。
我々は現時点で3つの事業を行っており、これらの事業で取得したデータとネットワークを連携して実現します。

まず、「トドクサポーター」は2020年から提供している、配送員向け効率化アプリです。

配送員は、配送伝票を見てカーナビ、Googleマップなどに住所を手入力しなければいけないという非効率な配送準備作業を行っていましたが、トドクサポーターを使うと、伝票を撮影するだけで、全てデータ化し、自動でルートを提供します。
また、伝票データから電話番号も自動で取得。
ショートメッセージを送付することで、配送先の方が在宅、不在、置き配依頼などについて瞬時に回答できるので、無駄な配送をなくして配送効率を上げることができるプロダクトです。
提供から5年で、アクティブ配送員は20,000名を超え、うち月1,980円の有料プランのユーザーは5,000名、配送員でのシェアは25%を超えています。

また、配送員間で口コミでサービスが広がっており、リリース以来、広告費を一切かけずに成長しています。

我々はこのアプリを通して、すでに2,200万件の配送データを蓄積しており、これらのデータは配送関連効率化に役立てられていきます。


今まで、これらのデータはそれぞれの配送員の頭の中にしかありませんでした。

配送効率化のインセンティブがないため、配送会社も持っていなかったのです。

結果的に我々は、デジタル配送効率化データを日本で最も保有する企業だと自負しています。

中小軽貨物会社向けSaaSでネットワークを構築
2つ目は、2023年から提供している、中小軽貨物会社向けのバーティカルSaaS「トドククラウド」です。

多くの現場がエクセルや紙などのアナログツールに頼る中、トドククラウドはトドクサポーターのデータとシームレスに連携し、物流管理業務の非効率を一掃。
今では、軽貨物事業者1,000社中200社以上の導入実績があり、ニッチなマーケットの中で着実な成果を上げつつ、軽貨物会社のネットワークが拡大しています。

直接仕事を発注する次世代型バーチャル物流会社
この両サービスで蓄積されたデータとネットワークを最大限にレバレッジするのが、次世代型バーチャル物流会社「トドク便」です。

トドク便は、既存の多重下請け構造を解体し、直接仕事を発注する、次世代型バーチャル物流会社です。

大手物流会社との協業関係を構築しながら、発注効率の大幅な向上を実現しています。
直近では、年間売上2.5億円を達成し、多重下請け構造を解消することで業界平均を大きく上回るマージン率を実現しています。

また、207は短期間で、一切費用をかけず、大手物流会社に匹敵する全国規模の物流ネットワークを構築してきた実績もあり、従来の業界構造に対して強力な代替モデルとなっています。
人口は減ってものびしろのある領域
我々がこのトドク便で狙う市場規模についてですが、皆さんの中で、10年、20年前に比べて、宅配便を受け取る量が減ったという方はいらっしゃいますか?

ほとんどいらっしゃらないと思います。
そうです、人口は減っていますが、物量は増え続けているのです。

この領域は、物流業界の中でも極めて稀な領域なのです。
下請け業者を通じた宅配マーケットだけで、既に全体で1.2兆円のマーケットがあります。

この市場を狙い、2029年にはトップライン100億円を目指します。

ただ、これは下請け依存のマーケットの1%未満でしかないので、まだまだのびしろしかありません。

物流ラストワンマイルのいびつな産業構造に変革を
創業から7年、当初思っていた以上に、すごく時間がかかっています。

それだけ産業領域が深くて、掘れば掘るほど課題があったからです。
でも、やっと準備が整いました。
実際の物流会社というアプローチが、この産業領域を変えるキーファクターだと思い、本格的に参入を開始しました。
僕も、何千、何万件の配送を行ってきています。
実際の配送現場は、皆さんのようにITに関わる方には想像もできないような過酷なものです。

日本は人口が減っている国です。
こんな多重下請け構造や非効率なオペレーションを野放しにしていいわけがありません。
最もDXが進んだ物流会社として、物流ラストワンマイルのいびつな産業構造に変革を起こします。

207株式会社でした。ありがとうございました。
(終)
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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/小林 弘美/戸田 秀成