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鑑賞チケットのサブスクで、エンタメ業界の古い産業構造を変える「recri」(ICC FUKUOKA 2025)

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ICC FUKUOKA 2025 スタートアップ・カタパルトに登壇した、recri 栗林 嶺さんのプレゼンテーション動画【鑑賞チケットのサブスクで、エンタメ業界の古い産業構造を変える「recri」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に学び合い、交流します。次回ICCサミット KYOTO 2025は、2025年9月1日〜9月4日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。

本セッションのオフィシャルサポーターは EVeM です。

【速報】シニアと介護施設への映像レク事業から、豊かな超高齢社会を目指す「emome」がスタートアップ・カタパルト優勝!(ICC FUKUOKA 2025)


【登壇者情報】
2025年2月17〜20日開催
ICC FUKUOKA 2025
Session 1A
STARTUP CATAPULT スタートアップの登竜門 
Sponsored by EVeM

栗林 嶺
recri
代表取締役社長
公式HP | 公式X① | 公式X②

早稲田大学政治経済学部政治学科卒業後、株式会社電通に入社。クリエイターとして、大企業からアーティストや映画などのエンタメ分野まで、幅広いコミュニケーション設計やクリエイティブ制作を手掛ける。企画した東京モーターショーは過去最多の来場者を記録。2020年4月から安倍・菅・岸田の3代の総理大臣に渡り、首相官邸のクリエイティブディレクターも務め、政府の表現を統括。日米首脳会談やG7サミットなどの外交の場にも同席し、製作したCMは日本政府史上最多再生回数を記録した。2022年に独立し、株式会社recri・代表取締役社長CEOに就任。興行業界の課題を解決し、新しい作品との出会いを創出する「チケットのサブスクrecri」を運営している。映像の監督業も担っており、手がけた映画は映画祭にもノミネートされている。


栗林 嶺さん 日本の興行を変革する、株式会社recri(レクリ)です。

「興行」と申し上げましたが、 これはリアルの場でのエンターテイメントビジネスです。

このような、ミュージカル・演劇、歌舞伎・落語、バレー・ダンス、コンサート・ライブなどです。

エンタメ大国 日本の課題

日本は、文化やコンテンツで高い評価を得ているエンタメ大国です。

しかし、業界には大きな課題があります。

それは、「空席」です。

実は、日本の興行市場においては、年間3,000億円分の空席があると言われています。

現在、市場は9,000億円ほどですが、この外側に、埋まらなかった3,000億円があるということです。

我々はこれを、稼げるポテンシャルだと考えています。

空席が生まれる3つの原因

しかし、現状は手つかずのままです。

それには、旧態依然なエンタメ業界ならではの複層的な原因があります。

大きく3つの原因があります。

1つ目は、価格変動が全くできないことです。

安くすることによる、イメージ悪化を恐れています。

集客に苦戦しても、価格は一切変えられません。

2つ目は、業界の既存ファンを偏重する文化です。

必ずチケットを買う既存ファンに常に向いています。

語られる情報も、知識がある前提です。

3つ目は、アナログな商習慣。

チケットは未だにコンビニ発券で、チラシやポスターで集客しようとしています。 

このままでは集客に苦戦するばかり

これらは、消費者のペインに直結しています。

価格変動ができないので、チケットは基本的に高く、不当な価格です。

既存ファンを偏重するので、敷居が高いと思われがちです。

アナログなので、手間がかかって不便です。

したがって新規顧客はなかなか増えず、集客に苦戦し、空席が生まれています。

鑑賞チケットのサブスク「recri」の仕組み

我々は、両者の課題を解決したいと考えている企業で、チケットのサブスク「recri」を提供しています。

鑑賞チケットが毎月届く、サブスク型のチケットプラットフォームです。

仕組みとしては、まず、作品を作る興行主から我々にチケット販売を委託してもらいます。

一般発売前後の予実調整として使っていただくケースが多いです。

鑑賞したいという一般消費者に、サブスクに登録していただきます。

趣味が欲しいという、初心者の方が非常に多いです。

両者を、データを用いてマッチングさせ、作品をレコメンドしてチケットを届けます。

ユーザーから頂くサブスク代金の一部を、チケット代として興行主にお返しする仕組みです。

レコメンドから選んだ作品のチケットを持って会場へ

実際のユーザー体験をご覧ください。

ユーザーは、好みや要望をインプットします。

すると毎月、作品のレコメンデーションが届きます。

そして、鑑賞したい作品を選び、鑑賞日時や枚数を決めると、家にチケットとオリジナルの解説が届きます。

あとはチケットを持って、会場に鑑賞に行くだけです。

鑑賞後、アンケートに答えると、レコメンドの精度が上がる仕組みです。

加えて、特別な体験として、バックステージツアーや舞台のセットに上がってみる体験にもご招待しています。

月額7,900円でメジャー作品をお得に鑑賞

このサブスク、届くチケットは、メジャーな作品が中心です。

勘違いされがちなのですが、芸能人が出演するような大きい作品ほど劇場のキャパが大きいので、集客に困っているという現状があります。

ということで、本日皆さんのお手元にもチケットをご用意しています。

▶︎編集注:審査員席に、recriの紹介冊子などが配布されました

ほとんどの方にはダミーですが、一部の方には、実際に鑑賞していただけるペアチケットを入れていますので、東京で観ていただければと思います。

このサービスは月額7,900円ですが、届くチケットは10,000~15,000円のものが中心なので、非常にお得です。

なぜこれができるか、ビジネスモデルをご紹介します。

すごくシンプルですが、我々は15,000円のチケットを5,000円で仕入れて7,900円で売っています。

これは、売値がつかないサブスクというモデルだからこそできたことなのです。

日本のチケットプラットフォームでは売値が見えてしまうので嫌がられていましたが、我々にはできます。

win-winな関係で興行主とユーザーの利用が増加

recriがあることで、興行主は新規顧客で席が埋まり、売上になります。

ユーザーは、お得に、ラクに、自分に刺さる作品に出会えるので、両者にとってwin-winの形で問題を解決していると評価いただいています。

その結果、エンタメ企業、テレビ局、劇団など、日本の興行主のほぼ全社に導入いただいています。

ユーザー数も非常に伸びています。

30~50代の女性が特に多いのですが、趣味を作りたいという方に登録いただいています。

累計ユーザーは5,300人、月次継続率は93%、ARR(年間経常収益)は1.7億円というところまで来ています。

今まで販売したチケットは累計4万枚で、これは東京ドームを満員にできる集客力です。

recriのおかげで黒字になったという声も届いています。

今後は、機能、ターゲット、カテゴリーを広く拡大しながら、20万人規模のチケットプラットフォームを目指していきます。

スポーツ観戦がしたい、子どもに観せたいので子育てプランを、という声も届いています。

我々はそのあたりに挑戦していきたいと考えています。

作り手だったからこそ、業界構造をよりよく変えたい

最後に、私の話を少しだけさせてください。

私は数年前まで電通で、脚本を書いたり、映像を作ったりするクリエイターの仕事をしていました。

つまり、作り手でした。

その前はダンサーとして、ミュージックビデオやテレビに出ていました。

機会損失を、この身で痛感してきました。

最高の作品なのに席はガラガラだったり、経済性よりも感情論で片付けられてしまったり、慣習を理由になかなか変化できない業界に歯痒さを感じてきました。

我々は、作り手、出演者、観客の全ての立場を理解しています。

そして、しがらみに囚われていません。

新しいプレイヤーであるrecriだからこそ、変革を起こせると考えています。

時代を動かすエンタメカンパニーへ

サブスクの先に描いていることがたくさんあります。

我々は、価格変動の効果を証明しています。

今後、日本初のダイナミックプライシングのプラットフォーマーとしても、成長していきたいと考えています。

また、作品のどこに、誰に刺さったのかというデータも持っています。

これを活用して、オリジナル興行の開発、出資に取り組みたいと考えています。

9,000億円の外にある3,000億円分の席を埋め、さらに業界を進化させ、拡大させたいと考えています。

ずっと止まっていた業界です。

時代を動かして、新しいエンタメカンパニーになっていきます。

recriでした。ありがとうございました。

▶︎実際のプレゼンテーション動画もぜひご覧ください。

(終)

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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/小林 弘美/正能 由佳/戸田 秀成

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