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ICC KYOTO 2025 リアルテック・カタパルトに登壇した、エンドファイト 風岡 俊希さんのプレゼンテーション動画【植物のポテンシャルを引き出す「植物内生菌」の活用で、グリーン産業の共創プラットフォーマーを目指す「エンドファイト」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に学び合い、交流します。次回ICCサミット FUKUOKA 2026は、2026年3月2日〜3月5日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。
本セッションのオフィシャルサポーターは 慶應イノベーション・イニシアティブ です。
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【登壇者情報】
2025年9月1〜4日開催
ICC KYOTO 2025
Session 7A
REALTECH CATAPULT リアルテック・ベンチャーが世界を変える
Sponsored by 慶應イノベーション・イニシアティブ
風岡 俊希
エンドファイト
代表取締役
公式HP
外資・内資系コンサルティングファームにおいて、産官学連携の新規事業戦略策定および実行支援を経て、創薬ベンチャーの経営企画やITメガベンチャーにおけるアフリカの新規事業立ち上げ支援に従事。その後、海外大学院にて経営学修士取得後、官民ファンドにて大学発スタートアップへの投資と研究者との共同経営を経験。現在は、大学発ベンチャー、エンドファイトを創業し代表取締役に就任するとともに、複数のベンチャー、事業会社や自治体のアドバイザーを兼務。
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風岡 俊希さん 森の微生物の力で未来を創る、筑波大学発・茨城大学発スタートアップの株式会社エンドファイト代表の風岡です。
本日はよろしくお願いいたします。

生育の差は何によるもの?
いきなりですが、こちらの写真をご覧いただけますでしょうか。

通常涼しい地域でしか育てることができない甜菜を、高温地域で栽培した際の写真です。
よく見ると、左側のラインが枯れてしまっていて、それ以外のラインは問題なく生育できているのが見てとれると思います。
この生育の差が一体何によるものか、皆さん、お分かりになるでしょうか?

土壌によるものでしょうか?
肥料によるものでしょうか?
それとも、品種によるものでしょうか?
正解は「植物内生菌」
実は、これらを含めて、栽培条件はすべて一緒です。
ただ、唯一違いがあるとすると、「植物の根にいる菌」が異なります。

弊社は、植物のポテンシャルを最大限発揮させることを可能とする植物内生菌「DSE(Dark Septate Endophyte)」の技術の実用化を行っています。

植物のさまざまなポテンシャルを引き出す「DSE」
DSEは、森林の生態系から分離・選抜してきたカビの一種で、植物の根に入り込むことで、土壌からの養分と水分の吸収を促進する役割を担っています。
また、それだけではなく、植物の特定の遺伝子のスイッチをオンにすることによって、植物が本来発揮できていないポテンシャルを引き出し、植物体自体の高機能化を促す役割も担っています。
弊社の菌株には、さまざまなものがあります。
生育促進効果を促すもの、季節を問わずに花を咲かせて実をつけることを可能にするもの。
病気に強くなるもの。
乾燥・酸性土壌・高低温・塩害土壌といった環境ストレスに強くなるもの。
でき上がった作物の含有成分量を高める役割を持ったものなどです。
弊社のDSEを植物の根に定着させた状態で生育させることで、通常50%以上枯れてしまう気候変動極限環境下でも、90%以上の植物が健康に生存することが可能になります。
つまり、品種改良せずに、早期に気候変動への適応や農業の高付加価値化を実現することが可能になるのです。

世界最大規模のDSEライブラリーを構築
弊社は、茨城大学農学部の成澤 才彦教授が30年という長い年月をかけて、全国および世界の森林生態系から分離・選抜を繰り返してきた、優れた効果を持つDSEの世界最大規模の菌株ライブラリーを構築しています。

事業者のさまざまなニーズ、要望、課題に対して、適切な効果を持った菌株を使い分け、組み合わせることで、広範かつ網羅的なソリューションを提供することが可能です。
このDSEの菌株を使った農業資材を用いて植物を育てることで、植物の根にDSEが定着した高機能な苗を作ることができ、農業、森林、緑化分野など、幅広い領域に応用活用が可能となっています。

従来の栽培プロセスを変えず、コストもかからない形で導入可能であり、導入ハードルは非常に低いものとなっています。
対象植物が広範で農業資材とほぼ同等価格
現在、農業分野での微生物利活用は非常にホットなテーマです。

既存の微生物資材に対して、弊社の微生物には大きく3つのユニークなポイントがあります。
まず1つ目は、対象とできる植物の範囲が圧倒的に広いという点です。
DSEは基本的にすべての植物の根に入り込むことが可能であり、ターゲット市場が非常に大きいという優位点があります。
また、2つ目として、先ほどお話しした通り、世界最大規模の菌株ライブラリーを構築しているため、世界でもトップクラスの広範なソリューションの提供が可能です。
3つ目として、DSEは培養が非常に容易で、原価費用をほぼかけずに大量生産することができ、既存の廉価な農業資材とほぼ同等の価格で提供することが可能という価格戦略上の優位性もあります。
これらを活用して、農業分野での付加価値向上、収量増加、事業機会の増加や栽培管理コストの削減といった、経営のトップライン・ボトムラインの両方に寄与するソリューションを提供することが可能です。
環境課題に向け企業連携でアプローチ
実は、我々のターゲットは農業分野だけではありません。
現在、世界では、植物自体の生存が、異常気象や気候変動に伴ってリスクが高まっている状態です。
都市緑化に目を向けてみると、例えば国内の緑地率は年々減少傾向にあり、建物の敷地の一定以上の緑化が法律で義務付けられています。
しかしながら、時間がかかる、コストが高い、景観の維持が難しい、緑化自体がなかなか収益につながらないという理由で、導入・普及が進んでいない状況です。
また、土壌、森林という観点でも、気候変動や土地の劣化により、健全な農業土壌、森林が大規模に毎年失われているという現状があります。
弊社は、こうした環境課題全般に対して、保有している汎用的な機能を持つDSEの菌株ライブラリーを活用し、企業と連携して事業共創を行い、包括的にアプローチしています。

事業共創後、微生物資材供給を通じ収益を獲得
事業モデルとしては、農業、緑化、森林分野で課題を抱えている新規事業のニーズのある事業者と連携して、共同研究開発および事業共創の取り組みを進めています。
企業から予算を頂きながら、弊社の技術の実用化とジョイントビジネスの立ち上げを進めている状況です。
各企業との取り組みの中で事業化、社会実装化が済み次第、弊社の生産パートナーから微生物資材を継続供給していただき、そこから弊社としては物販とライセンスアウトという形で、さらに追加の収益を得ていくモデルを採用しています。
食品・飲料系、不動産系、製紙系など20社以上と連携
事業共創の事例としては、食品・飲料系の企業と連携しながら、気候変動極限環境下での安定的な作物の栽培、機能性作物の栽培、輸入に依存している作物の地産地消モデルの実証、バイオ資材の共同開発、植物工場の機能性向上、環境再生型農業の取り組みなどを行っています。


また、不動産会社やゼネコンとも連携しながら、緑化部材の共同開発、都市農業システムの開発、コンソーシアム型で環境再生型の都市緑化モデルを大きく構築していく取り組みも推進しています。

さらに森林分野でも、製紙企業などと連携しながら、劣化環境における森林再生や森林資本の経済価値化、収益化といった取り組みもしています。

すでに20社以上の大手企業と連携しながら、グリーン事業の共創の取り組みを進めており、今年度中には、30社以上の企業との共創の取り組みにつながっていく見込みです。

生態系の力を活用しグリーン産業共創のプラットフォーマーに
弊社は、単なる微生物の研究開発や微生物資材の提供を行う会社ではありません。

産業界全体と連携しながら、地球の生態系の力を活用し、1兆円規模のグリーン産業の共創を行っていくプラットフォーマーの役割を担ってまいります。
この分野は、まだまだ一社の力でどうにかなる問題ではありません。
もし弊社の取り組みや技術に関心のある方がいらっしゃれば、ぜひ一緒に地球の未来を創っていくパートナーとなっていただければと思っております。
ご協力、ご支援のほど、何卒よろしくお願いいたします。

ご清聴ありがとうございました。
(終)
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編集チーム:小林 雅/小林 弘美/浅郷 浩子/正能 由佳/戸田 秀成


