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日本国はじまりの地でお酢を醸す「ミヅホ」の、120年先に吉野杉と木桶文化をつなぐ挑戦(ICC FUKUOKA 2026)

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ICC FUKUOKA 2026 クラフテッド・カタパルトに登壇した、ミヅホ 大西 佑亮さんのプレゼンテーション動画【日本国はじまりの地でお酢を醸す「ミズホ」の、120年先に吉野杉と木桶文化をつなぐ挑戦】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回500名以上が登壇し、1,200名以上が参加する。そして参加者同士が真剣に議論し、学び合うためのカンファレンスです。次回ICCサミット KYOTO 2026は、2026年8月31日〜9月3日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページのアップデートをお待ちください。

本セッションのオフィシャルサポーターはJ.フロント リテイリングです。

【速報】「一点もの」のアートが溢れる日常を!芸術家に副業をつくり、夢を支える「リフレクトアート」がクラフテッド・カタパルト優勝!(ICC FUKUOKA 2026)


【登壇者情報】
2026年3月2〜5日開催
ICC FUKUOKA 2026
Session 8A
CRAFTED CATAPULT 豊かなライフスタイルの実現に向けて
Sponsored by J.フロント リテイリング

大西 佑亮
ミヅホ
取締役
公式HP

奈良県橿原市で米酢・味噌を醸造するミヅホ株式会社17代目、大西佑亮。東証プライム上場の自動車部品会社でエンジニア・経営企画を経験後、家業の酢蔵を含む11棟が国の登録有形文化財に登録されたことを機に2024年Uターン。2025年にクラフトビネガードリンク「saku」を企画し全国販売。「すこやかに、心地酔い。」を掲げ、お酢の新しい楽しみ方を提案する。ホテル・小売での導入も進み、sakuを起点に蔵見学や試飲を含む体験ツアーの相談が増えている。ミヅホ(株)は自社山を120年単位で育林し、吉野杉を桶材へとつなぐ循環の中で醸造を続けており、文化財の蔵体験を通じてその価値を発信している。アトツギ甲子園地域アンバサダー(奈良県)としてアトツギを主とする地域連携にも注力する。


大西 佑亮さん 奈良のお酢屋、ミヅホ株式会社の17代目、大西 佑亮と申します。

本日は、奈良のお酢屋の120年先に向けたリバイバル戦略について、お話しします。

日本国はじまりの地で受け継がれてきたお酢

ミヅホ株式会社は、奈良県橿原市にあります。

こちらは、日本国はじまりの地と言われている場所です。

初代天皇である神武天皇を祀る橿原神宮、そして、日本で最初の都である藤原宮跡、この日本国はじまりの地において、私たちはお酢を醸してきました。

ミヅホ株式会社のお酢の歴史は、室町時代(1555年)にこの地へ移り、江戸時代(1658年)から、4代目が米酢を作り始めたと言われています。

そして、明治時代(1894年)には13代目が量産化し、蔵の景観は現在も当時の面影を残しています。

お酢の「まろやかさ」の秘訣

ミヅホのお酢は、まろやかな味わいとしてご評価いただくことが多いです。

その理由は、大きく3つございます。

私たちは、お酢の原料となるお酒造りから始めるため、旨味の土台があります。

そして、静置発酵(※)により、じっくり発酵させるため、酸の角がほどけます。

▶編集注:江戸時代から200年以上続く伝統的な発酵技術で、桶の仕込み液表面に酢酸菌膜を張らせて酢酸発酵させる方法のこと。

さらに、木桶で仕込むため、味の奥行きが育つのです。

では、一般的なお酢と比べますと、何が違うのでしょうか。

一般的なお酢は、タンクを持ち、深部発酵(※)という手法により短時間で作ります。

▶編集注:発酵槽中の仕込み液を通気かく拌しながら、酢酸発酵させる方式のこと。大量生産に向いているが、酸味以外の味が育ちづらい。

一方で、ミヅホのお酢は、木桶を持ち、静置発酵によってゆっくり醸すため、旨味の奥行きが育ち、相対的に酸味が尖らず、まろやかなお酢を製造することができます。

そして、まろやかなお酢の決め手となる木桶は、桶材である吉野杉によって決まります。

▶参考:吉野杉 (Wikipedia) 

そのため、私たちは、自社山で120年かけて吉野杉を育てています。

昨年には、13代目が植えた杉の新桶が、17代目の私の元に届き、ついに循環までしました。

ただ、このようなこだわりは、採算が取れなければ続けられません。

実際に、父は、「儲からないので、跡を継がなくてよい」と、自身の代で蔵を閉めるつもりでした。

蔵の有形文化財指定を機に家業へ

私も、継ぐつもりはなく、一昨年までは会社員をしていました。

転機は、ミヅホの蔵が国の登録有形文化財に指定された時です。

▶参考:瑞穂酢(大西家住宅)主屋 (文化遺産オンライン)

その際、初めて家業の歴史を知りました。

皆様なら、そのような折、どのようにご判断されますでしょうか。

私は、このまま何もせずに終わらせてよいのかと考え、父の反対を押し切り、家業に戻って、商品開発を進めました。

お酢と向き合う中で、ミヅホは美味しさにこだわってつくってきましたが、その美味しさが十分に伝わっていないという違和感がありました。

そこで掲げたビジョンが「自然体で、すこやかな日常をつくる。」です。

健康のために、我慢してお酢を使うのではなく、美味しいから使って、気づくと自然と整っている、そのような日常をつくりたいと思いました。

そのようにして生まれたコンセプトが、「すこやかに、心地酔い。」です。

お酒の感覚が楽しめるビネガードリンクを開発

健康的なのに、お酒のように気分がほぐれて、つい手が伸びる――そのようなノンアルコール飲料がありましたら、素敵だと思いませんか。

そして誕生したのが、クラフトビネガードリンク「saku(サク)」です。

それでは、お手元の2種類をご試飲ください。

1つ目は、純米酢にドライフルーツで香りづけした、「Komezu Fruity(米酢フルーティー)」です。

2つ目は、黒酢にカルダモンやシナモンで香りづけした、「Kurozu Spicy(黒酢スパイシー)」です。

いかがでしょうか。

体がすっとする、温まる、そして、お酒のように感じられましたでしょうか。

成長中のノンアルコール飲料市場に参入

実は、禁酒法時代、アルコールの次に求められたのは、ビネガードリンク(シュラブ)でした。

そちらを、ノンアルが求められている現代に、木桶仕込み純米酢で再構築しました。

木桶仕込み純米酢の魅力は、3点ございます。

果実酢よりもまろやかな酸、木桶発酵による深みある味わい、飲むと体がポカポカする、まさに、お酒を飲んでいるような感覚です。

もちろん、体にもやさしいドリンクです。

そして、「saku」は、炭酸割りやお湯割りはもちろんのこと、お酒割りも楽しめます。

つまり、お酒を飲む人・飲まない人が、同じボトルで、同じ味を、楽しむことができるのです。

そういった多様な楽しみ方によって、雑貨店・小売店、ホテル・飲食店、自社EC・POP UPなど、幅広い形で売上を築いています。

市場も、追い風となっています。

国内のノンアル飲料市場は伸びており、直近15年で6.7倍に成長しています。

蔵訪問ツアーで世界のトップシェフにも認められる

「saku」は、販売のみならず、波及の兆しも出ています。

ホテル展開をきっかけに、蔵のインバウンド体験の相談が増え、来訪後に「海外で扱いたい」というお声も頂くようになりました。

また、これからの展開として、木桶仕込み・文化財・吉野杉育林という、価値への入り口にもなっています。

実際に、2025年の初回ツアーでは、ミヅホの蔵120年の重みに、世界の料理人が感動し、「自国で仕入れたい」というお話を頂きました。

体験は、感動で終わらず、取引の入り口になり得ます。

さらに、世界一のレストランに選ばれた、ペルーのリマにある「CENTRAL」のシェフ、ヴィルヒリオ・マルティネス氏が来訪され、帰り際に木桶にサインをしてくださいました。

▶参考:ペルー【Central】(セントラル)【MIL】(ミル)~ヒトサラ編集長の編集後記  ( ヒトサラマガジン)

世界のトップにも、蔵120年の思いが届く――そのように実感できた出来事でした。

もちろん、国内でも、広がりつつあります。

ちょうど先日行われた、「にっぽんの宝物」という、地方のこだわりの商品を競う全国大会において、JAPANグランプリの素材進化部門で、グランプリを受賞しました。

また、様々なメディアにも、取材していただきました。

まさにこのプレゼン当日も、全国放送枠で、蔵の取材にお越しいただいております。

ミヅホの取り組みが、評価され始めているのです。

課題は吉野林業の衰退と木桶職人の後継者不足

しかし、本当の課題はこれからです。

ミヅホは、木桶仕込みが企業価値のひとつですが、儲からないという理由により、吉野林業の衰退や木桶職人の後継者不足が直近の課題です。

私が行動しなければ、120年後に木桶が残せないのです。

最後の木桶職人と呼ばれた、上芝 雄史さんが、こうおっしゃいました。

「木桶文化は、数十年は、もつ。」と――。

▶参考:木桶の良さを守り伝える~桶師 上芝雄史~ (堺フィルムオフィス)

でも、私には、その先へと続く仕組みが、見えませんでした。

商品をプレミアム化し吉野杉の未来に投資する

だからこそ、今、次の120年を仕組み化したいと考えています。

そのために、「saku」や蔵体験によって、ミヅホの価値を伝え、商品のプレミアム化を進めます。

その上積みを、吉野杉の育林と製桶に再投資し、次の120年の原資にします。

試飲してくださった方々、美味しかったでしょう?

また、お飲みになれていない方々、気になったでしょう?

ぜひ、「saku」を購入してください。

次の120年に向けて、背中を押してください。

最後に、皆さん、よろしければ、奈良県橿原市へ一度いらっしゃいませんか。

皆様は、120年後に何を残したいでしょうか。

17代目の私は、21代目に木桶を残したいです。

ミヅホの蔵は、120年という時間を体で感じられる場所です。

この日本国はじまりの地で、未来の意思決定の軸を、今一度整えてみませんか。

そして、その決意を木桶に刻みませんか。

ぜひ、ご案内いたします。

ご清聴、ありがとうございました。

▶︎実際のプレゼンテーション動画もぜひご覧ください。

(終)

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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/戸田 秀成

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