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ICC FUKUOKA 2026 ソーシャルグッド・カタパルトに登壇いただき4位に入賞した、AYA 中川 悠樹さんのプレゼンテーション動画【家族で一緒にお出かけできる場所を作り、病気や障害による体験格差の解消を目指す「AYA」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回500名以上が登壇し、1,200名以上が参加する。そして参加者同士が真剣に議論し、学び合うためのカンファレンスです。次回ICCサミット KYOTO 2026は、2026年8月31日〜9月3日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。
本セッションのオフィシャルサポーターはICCパートナーズです。
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【登壇者情報】
2026年3月2〜5日開催
FUKUOKA 2026
Session 11A
ソーシャルグッド・カタパルト – 社会課題の解決への挑戦 –
Sponsored by ICCパートナーズ
中川 悠樹
AYA
代表理事
公式HP | 公式X
認定NPO法人AYA 代表理事。
2009年京都大学医学部卒業。消化器外科医、救急医としてのキャリアを経て、現在は細谷透析クリニック藤岡の院長を務める。医療現場で「体験の格差」を痛感し、2022年1月にAYAを設立、2023年6月にNPO法人化、2026年2月に認定NPO法人格を取得。
「病気や障害があっても、やりたいことを諦めない世界」を目指し、2026年2月には全国47都道府県すべてでのインクルーシブ映画上映会を達成。これまで医療的ケア児を米国NBA観戦や小笠原諸島へ招待するなど、医療とエンターテインメントを掛け合わせた活動をプロデュースしている。不完全さを恐れぬスピード感で「楽しい!」の総量を増やし、支援の輪を全国へ広げる挑戦を継続中。
全30アリーナを制覇した熱狂的なNBAファン。奈良県立大学客員研究員、災害ソリューション・エグゼクティブプログラム(DSEP)修了生。
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中川 悠樹さん その体験、きみも、みんなも。

認定NPO法人AYAの中川 悠樹です。
私には、救急医としてのバックグラウンドがあります。

本日、皆さんへお伝えしたいのは、こちらの2つです。

「AYAが対象とする“5%”」と「AYAが大切にしていること」です。
“5%”とは“70万人”の子どもたち
さて皆さん、日々のお仕事、本当にお疲れ様です。
毎日お忙しくされ、多かれ少なかれストレスを溜めていることでしょう。
そのストレスを、皆さんはどのように発散していますか?
最近あった「楽しかったなぁ〜」という瞬間を、少し思い浮かべてみてください。
おそらく、美味しい食事、家族旅行、趣味の時間などを思い浮かべたのではないでしょうか?

私たちAYAが対象としているのは、今まさに皆様が思い浮かべたことを、病気や障がいを理由に諦めてしまっている「子どもたち」とその「家族」です。
日本にはそのような子どもたちがご覧の数いるとされ、重複を差し引いても、少なくとも70万人いると考えられます。

日本の子どもの全人口は1,400万人なので、約5%にあたります。
お伝えしたい1つ目のことは、AYAが支援の対象としている子どもたちと“5%”という数字です。
思った以上に多いと感じられたかもしれません。
彼らが通っている学校や過ごしている場所は、私たちの知っているところとは少し違うことがあるため、私たちはまだ彼らを知るきっかけに出合えていないのかもしれません。
家族で出かける機会は「年に1回以下」
国の調査では、ほぼ全ての対象者が「家族と一緒に出かけたい」と答える中、それを問題なく実現できているのは2割にすら達しません。

AYAの調査でも、73%の方が「映画や旅行に出かける頻度は、年に1回以下」と答えています。
つまり、彼らの課題は、家族でお出かけできる場が極めて限られていることです。
この課題について、対象のご家族に伺ってみると、実に92%の方が「周囲の目を気にして外出を控える」と答えています。

一方で、事業者がこうした子どもたちに対して、何もしたくないのかというと、決してそんなことはありません。
多くの方が、何かしたいと考えています。

しかし、病気や障がいのある子どもたちを受け入れて、何か起こったらどうするのか。
医療の知識がない彼らにとって、このハードルは想像以上に高いのです。
家族と事業者の「不安」を「安心」に
双方が抱えている、この不安を払拭するのが、私たち「AYA」です。

医療従事者が全イベントに帯同し、双方が「この場は大丈夫なんだ」と思える安心感を提供するのが私たちの役割です。


では、具体的な事業の様子を少しご覧ください。
ここは映画館です。
AYAが現在最も注力している事業、それは「インクルーシブ映画上映会」です。
1つのシアターを貸し切って行う私たちの上映会は、通常の映画鑑賞とは少し異なります。
照明は明るめ、音量は小さめに設定。
声出し、立ち歩き、入退場を自由にすることで、知的発達障害の子どもたちが参加できます。
また、栄養剤の注入や人工呼吸器の装着などの医療的ケアに対応することで、医療的ケア児や重症心身障害児も参加できる環境を整えています。
時には車いすの子どもがカーシートを利用して、一般席に座ることもあります。
47都道府県で「インクルーシブ映画上映会」を開催
2023年春に始めたこのインクルーシブ映画上映会は、先月(2026年2月)ついに全47都道府県での開催を達成しました。

▶47都道府県でのインクルーシブ映画上映会を達成いたしました!(AYA)
(会場拍手)
ありがとうございます。
この挑戦を支えてくれているのは、パートナーシップを組む映画業界各社、そして全国各地で協力してくださるたくさんの1,200名を超えるボランティアの皆さんです。
AYAの上映会で「初めて家族みんなで映画館に来られた」という参加者は約7割。

その場には、それぞれの感情があふれています。
家族揃っての笑顔を心から喜ぶきょうだい児、一歩踏み出す勇気を得たり、我が子の楽しそうな姿に涙したりする保護者、そして自分たちの仕事の価値を改めて実感してくださる事業者。

映画事業の次なる目標は、病気や障がいがあっても、誰もが映画館で映画鑑賞できる日、「インクルーシブ映画Day」を2027年5月に定め、全47都道府県で同時開催することです。
海を越える一生ものの体験にもトライ
AYAが取り組む事業は、映画だけではありません。
さまざまなスポーツ観戦。

音楽ホールを貸し切るオーケストラ鑑賞会。

プラネタリウム鑑賞会。

全メニューをペースト食でも用意し、家族みんなが同じコース料理を囲む食事会。

時には、小笠原諸島への旅やアメリカでのスポーツ観戦といった一生ものの体験も届けています。


2023年6月に法人化した3期目の私たちですが、参加者は順調に増え、これまで185回のイベントを開催し、延べ25,000人を超えました。

AYAの活動の原点となった幼なじみ
ではなぜ、私がこの活動をしているのか。

写真左端の女の子、私の幼なじみです。

彼女は、生後10カ月の時に麻疹(はしか)にかかりました。
それが原因となって数年後に脳に再発、10年の寝たきりを経て亡くなりました。
「寝たきりになったこの子にも、もっと色々な体験をさせたかった。でも、できなかった」。
亡くなって20年経った今でも、彼女の母親は後悔し続けています。
同じような思いをされている方は、まだまだいるのではないか、
そんな大切な社会課題への気づきを与えてくれた彼女の名前は「亜矢子」。

当法人名の由来となった大切な子です。
「あんなことをさせてあげたかった」という想い
私は医師として、さまざまな死の瞬間に立ち会ってきました。

人の最期には「良い人生だったな」という満足がある一方で、「もっとあんなことをさせてあげたかった」という切実な想いもあります。

この違いは、いったいどこから来るのでしょうか?
それは、その人が大切な人と、「どのような “体験” を積み重ねてこられたか」ではないかと私は考えています。

家族でお出かけできる場所がない
この体験こそが、今日お伝えしたい2つ目のことです。
私たちが何よりも大切にしている価値です。
皆さんの多くは、何を体験するかを自分の意思で選び、自分の力で実現できる方々です。

一方で、自分たちの力だけでは、選ぶことすらできない人がいます。
子どもの病気や障がいは不可抗力で、誰にでも起こり得ます。

誰のせいでもありません。
それでも多くの保護者が自分を責め、葛藤し、ようやくさあ前を向こうとした時、家族でお出かけできる場所がない。

この現状を、皆さんはどう思うでしょうか?
病気や障がいを理由とする「体験格差」をなくそう
今日ここにお集まりの皆さんは、何かしらの社会課題に興味をお持ちのはずです。
しかし、このような子どもたちにどう関わればいいか分からず、立ち止まっていませんか?

もしそうであるなら、私たちAYAにお力添えいただけないでしょうか。

AYAが取り組んでいるのは、「体験の格差」の解消、それも病気や障がいを理由とした「体験格差」の解消です。

それは、子どもたちと家族の未来への希望を紡ぐことにつながっていくと、私たちは信じています。

そしてこの先、活動をさらに前に進めるためには、皆さんの力が必要です。
専門スキルの提供、寄付、あるいは私たちのイベントに遊びに来ていただくのも大歓迎です。

その体験、きみも、みんなも
社会の“5%”への挑戦を、ここにいる皆さんと、そして社会全体で取り組んでいきたい。

“体験” から広がる新しい可能性を、私たちは切り開いていきます。

その体験、きみも、みんなも。

ご清聴ありがとうございました。
(終)
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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/正能由佳/戸田 秀成/小林 弘美


