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ICC FUKUOKA 2026 ソーシャルグッド・カタパルトに登壇いただき3位に入賞した、神楽坂乳業 林 和彦さんのプレゼンテーション動画【62歳で全財産6万8,000円! 「神楽坂乳業」が提案する、元気な高齢者が社会を支える挑戦】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回500名以上が登壇し、1,200名以上が参加する。そして参加者同士が真剣に議論し、学び合うためのカンファレンスです。次回ICCサミット KYOTO 2026は、2026年8月31日〜9月3日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。
本セッションのオフィシャルサポーターはICCパートナーズです。
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【登壇者情報】
2026年3月2〜5日開催
ICC FUKUOKA 2026
Session 11A
ソーシャルグッド・カタパルト – 社会課題の解決への挑戦 –
Sponsored by ICCパートナーズ
林 和彦
神楽坂乳業
代表取締役
公式HP
東京女子医大で35年間、がんの専門医として働き、還暦を機に早期退職して、神楽坂乳業株式会社を起業しました。弊社は「神グルト」というヨーグルトを自社ECで製造販売しています。
今回ICCサミットには初参加ですが、クラフテッド・カタパルト、ソーシャル・カタパルト、フード&ドリンクアワードと3つに出場させていただけることになりました。大学病院のがんセンター長がなぜヨーグルト何か作っているんだ?と思われた方は是非私の話を聴きにいらしてください。
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林 和彦さん 皆様、こんにちは、神楽坂乳業の林と申します。

今日は、「医師がつくったヨーグルト」の話をします。

ICCの小林 雅さんによると、65歳の私はチャレンジャー最高齢とのことですが、今日のお話は、そんな私から次世代の皆さんへの、最大限の心からの応援歌でもあります。
大好きだった父を奪った胃がん
私はもともと消化器外科医ですが、教員でもあり、乳業会社の代表でもあります。

なぜ医者がそんなことをしているのか、興味がありませんか?
私は東京・中野の歯科医の息子でした。

小さな頃から父親が大好きで大好きで、片時も離れたくなくて、「パパと一緒にいたいから、幼稚園には行かない」と言って、両親を困らせていました。
ところが、私が中学生の時、父が胃がんで亡くなりました。

私は絶望し、耐えきれない喪失感に襲われました。
毎日目を泣きはらし、学校にも行かなくなりました。
そして、1年近く毎日お墓参りをしていました。

「がん」を人生のテーマに研鑽を積み、がんセンター長に
でもそのうちに、父の無念を晴らしたいという想いが、心から込み上げてきました。

その時から、私の人生のテーマは「がん」になりました。
我が家はいきなり窮乏しましたが、アルバイトを続けながら、晴れて医者になることができました。

人生を懸けて、がんと向き合う準備完了です。
あとは突き進むだけです。
ブラック・ジャックに憧れて消化器外科医となり、早期発見、早期治療を目指して内視鏡専門医にもなりました。


がん遺伝子の研究のために渡米し、帰国してからは抗がん剤の専門医にもなりました。


患者さんを最後まで見届けるために、緩和病棟も担当しました。

45歳でがん専門診療科の教授となり、がんセンターを作り、がんセンター長にもなりました。


「日本人の2人に1人」が一生のうちにがんになる
さて、皆さんはがんについてどれぐらいご存知でしょうか?

がんは特別な病気ではありません。

日本では男性の6割、女性の5割近くが一生のうちにがんになります。
ところが、がん告知をすると、患者さんたちの反応は、ほぼ全員「まさか!」なのです。
皆さん、自分ごとにはなっていないのです。
でも、正しい知識がなければ、国民のリスクは増大します。

例えば、子宮頸がんは100%ウイルスが原因です。

ワクチンが開発され、世界中で接種が開始されましたが、我が国ではマスコミのミスリードのため接種がゼロになりました。
その結果、子宮頸がんで毎年3,000人もの女性が亡くなっています。

一方で、正しく接種を続けたオーストラリアでは、2035年には撲滅宣言が出される見込みです。
▶オーストラリア、世界初の「子宮頸がん根絶国家」目指す (KWP News)
誤解や偏見が存在するがん患者の就労
また、がんと診断されると、がんに対する誤解や偏見から3割もの勤務者が職を失います。

毎年何十万人もの人たちが自ら退職、あるいは退職を強いられているのです。
だから、私はがんを正しく伝えることを自分の使命にしました。

新宿駅の駅中でイベントを開催したり、ニュース番組に出演したり、医療ドラマの監修をしたり、雑誌で対談をしたり、Web記事を書いたりと、考えられる限りの啓発活動をしてきました。





正しさだけでは社会は動かないと痛感
けれども、「日本の医療の不幸だ」「金儲けに共感できるか」「がん保険の宣伝か」と、いつもアンチの逆風にさらされてきました。

毎日お酒を飲み、タバコを手離せないような方々には、そんな活動は大きなお世話だったのかもしれません。

私は医師として、正しいことをずっと伝えてきました。
でも、正しいだけでは社会は動きませんでした。

文部科学省とのやりとりで心に火がついた
それなら、手段を変えようと思いました。

啓発のターゲットを、大人から子どもに変えました。

学習指導要領は法的な拘束力があるので、もしそこに1行でも「がんについて学ぶ」と書かれたら、全国全ての学校で、がんについて学ぶことになります。
何度も文部科学省に掛け合いましたが、最初は全く相手にしてもらえませんでした。
ある時、文部科学省の方に、「同じ先生と言っても、教員と医者は違うのですよ。あなたには学校のことはわからないと思います」と言われました。

私の心に、火がつきました。

「ということは、私が教員になったら言うことを聞いてくれるのですよね?」と言い残して、すぐに通信大学の教育学部に入学し、56歳で中学校、高等学校、特別支援学校の教員免許を取得しました。

中高の保健教科書に「がん教育」を導入
教員として全国300校以上の学校を飛び回り、子ども向けの本を何冊も出版しました。

次第に理解者が増え、全国紙に掲載していただいたり、NHKで特集していただいたりして、社会的な話題にもなりました。

国会議員の先生方にもご賛同いただけるようになると、あの頑なだった文部科学省が動きました。

新しい学習指導要領にがん教育が記載され、中学校と高校の保健の教科書に、新たにがんの単元ができました。

ついに社会が動きました。
次に解決すべきは、がん患者の就労問題
私は、次の目標に向かいました。

がん患者さんの就労の問題です。

これは、がん患者さんの就労支援を行う厚生労働省のプロジェクト「がん対策推進企業アクション」です。

私は、現在まで13年間活動しています。
患者さんの必死の治療が成功しても、社会に復帰できないことが、臨床医として本当に残念でした。

徒労感から、「これなら自分で会社を作って、患者さんと一緒に働いたほうが早いかも」などと言っていました。

重症の便秘に悩みながらつくった「神グルト」
でも、その時、私には神様からの贈り物があったのです。

それが、この「神グルト」です。

審査員の皆様、ぜひお召し上がりください(※) 。
▶編集注:プレゼン中に、審査員席に神グルトが配布されました。
これは売るためにつくった商品ではありません。

自分自身のためにつくったものでした。
今から10年前、勤務先の大学病院で重大な医療事故が発生しました。

私は医療安全担当副委員長として、この医療事故の責任者になりました。
その日から、生活が一変しました。

申し訳なさと疲労で夜も眠れなくなり、私の身体は次第に壊れていきました。
極度のストレスから重症の便秘になりました。

患者さんの5倍、10倍の下剤を服用して、なんとか生きていましたが、次第に衰弱が強くなっていきました。
2年経ち、美味しいヨーグルトが完成
プライベートの課題だったので、大学ではなく神楽坂の自宅にラボを作り、自分自身を救うために必死に研究を続けました。

すると、2年ほど経った時、「何これ! 美味しい」と急に叫んでしまったくらい美味しいヨーグルトができたのです。

しかも、このヨーグルトは風味だけでなく効果も素晴らしく、私はそれ以降、下剤を一錠も飲んでいません。
私はこのヨーグルトで起業して、病院内では解決できない社会的な課題に挑もうと考えました。

弊社は、経済的成功ではなく、社会的成功を目指し、発信し続けることで社会変革を目指します。
全財産が7万円を切る大ピンチ
実店舗がなくECのみで、材料の仕入れから製造、梱包、発送まで、全て1人でやっていましたが、実際の経営は火の車でした。

4年前の年末には、我が家の全財産は68,000円ほどしかありませんでした。

広告費もゼロでしたが、ギリギリの経営を続けているうちに、ありがたいことにお客様が増えて、メディアでも次第に評判になりました。

新工場の融資は金融機関に何度も断られましたが、あるビジネスコンテストに入賞して風向きが変わりました。

神楽坂の自宅を担保に入れて、起業6年半後にようやく栃木県に新工場を設置できました。
新工場の内部は、ご覧のように手術室のような清潔さです。
社会的認知が拡大、ミッションに向けて前進
がん教育と同様に、まっすぐ進むことで次第に理解者が増えてきました。
毎日新聞では、このような大型記事でご紹介いただきました。

公社(東京都中小企業振興公社)の助成や広報の支援も受けられました。

社会的認知が広がって、ラジオ番組にも出演させていただきました。

おかげ様で売上が4倍となり、ついに損益分岐点を超えました。

これで社会性と事業性を両立して、弊社のミッション、ビジョンの実現に邁進できる体制が整いました。

社会を変えるのに、若さは必須条件ではない
最後に、還暦起業した私からの最後の提案です。

少子高齢化を迎えて、今後、我が国の若い世代の負担が尋常ではなくなります。

私は社会の常識を180度変えて、我々のように元気な高齢者が、若い世代を支える側に回るべきだと思っています。

高齢還暦起業の私が成功することで、元気な高齢者が社会復帰し、社会を支える側に回っていただきたいと思っているのです。
社会を変えるのに、若さは必須条件ではありません。

ICCの理念に共感する皆様と一緒にやっていきたいです!
(終)
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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/小林 弘美/戸田 秀成


