宇宙船に植物工場!「ファームシップ」は最先端植物工場で農業を大地から解放する(ICC KYOTO 2017)【文字起こし版】 – 【ICC】INDUSTRY CO-CREATION

宇宙船に植物工場!「ファームシップ」は最先端植物工場で農業を大地から解放する(ICC KYOTO 2017)【文字起こし版】

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農業人口の高齢化・減少と、大規模な農地がない問題を植物工場による効率的な大量生産で解決するファームシップ。農地がなければできなかった農業を大地から解放し、海上で、空中で、そして宇宙で農業を営む構想をファームシップの安田さんが解説します。

ICCカンファレンス KYOTO 2017「オムニバス・ライブ」プレゼンテーションの書き起こし記事です。是非ご覧ください。

本記事で特集しております8分間のプレゼンテーションを行う「CATAPULT(カタパルト)」のプレゼンターを募集しております。「スタートアップ」「IoT/ハードウエア」「リアルテック」「カタパルト・グランプリ」の4カテゴリーで募集しております。ぜひ募集ページをご覧ください。


【登壇者情報】
2017年9月5-7日開催
ICCカンファレンス KYOTO 2017
オムニバス・ライブ

(プレゼンター)

安田 瑞希
株式会社ファームシップ
代表取締役

1981年3月福岡県生まれ。花卉専業農家の長男。明治大学農学部卒業。公認会計士。大学にて施設園芸を専攻し、卒業後渡米。米国オレゴン州のOregon Roses, Inc.にてバラの生産管理及び販売業務に従事する。帰国後、2007年新日本有限責任監査法人に入社。国際部にて監査業務及び内部統制(JSOX)のアドバイザリー業務を通じて、大手総合商社のグローバル監査を担当。退職後、ウォール・ストリート・ジャーナル・ジャパン社の経営企画、事業開発マネージャーとして事業推進を行う。その後、大規模植物工場事業運営会社の、事業企画責任者として、国内外の事業開発及び経営管理を担当。2014年3月ファームシップを設立し、同社代表取締役就任。農家の長男としてのバックグラウンド、監査法人での経験や外資系事業会社での経験を活かし、事業戦略、資本政策及び渉外活動を担当している。

安田 瑞希氏(以下、安田) 株式会社ファームシップ代表の安田と申します。皆さん、改めまして、本日はよろしくお願いいたします。

様々なプレゼンテーションがありましたが、ここからは農業のお話をさせていただきます。

農業の現状と今後についてのお話ができればと思っています。

まず初めに、質問です。皆さん、農業の現状をご存知でしょうか?

マスコミ等でいろいろと報道されているように、農業は様々な問題を抱えています。そのような問題を、皆さんはどれくらいご存知でしょうか。

農業の問題(1) 農家人口が20年間で約60%減少

例えば、よくいわれている話として、農家人口は過去20年間で700万人減少しています。これは割合にすると約60%です。脅威的なスピードで減っています。

そしてもう一つです。基幹的農業従業者(※)つまり、メインの仕事として農業をやっている人たちは175万人いるのですが、なんと全体の約8割が60歳以上で、高齢化が進んでいる状況です。

▶基幹的農業従事者:自営農業に主として従事した15歳以上の農業就業人口のうち、ふだんの主な状態が「農業が主」の人のこと。

農業が人材の問題を抱えているというのは明らかです。

では、10年後の農業はどうなっているのでしょうか。

農家はこれからも壊滅的に減少していきます。これはもう、止めようがありません。

では、私たちはどうするべきなのでしょうか。

実は私は農家出身なので農業をやりたいです。そして農業をやるのであれば、大規模に農業をやりたいのです。

私はアメリカでも農業をやっていたので、生産性を上げるためには、大きな規模で農業をやるというのが、経済的にはとても重要だと思っています。

農業の問題(2) 農業をする土地が見つからない

そのような理由から大規模に農業をやりたかったのですが、できませんでした。なぜでしょうか?

様々な理由がありますが、まずは土地の制約です。

日本は国土も小さいですし、農地も分散してしまっています。

それを今、政府主導で土地を集約化して、大規模にして、効率的にやろうという動きはあります。

しかし、インセンティブもないのに、できるはずがありません。地主の皆さんが言うことを聞くわけがないのです。

この後少しお話しますが、植物工場をやる土地はすぐ見つかるのに、農業をやる土地は全然見つかりません。これが現状なのです。

農地は余っているのに、なぜできないのでしょう。

いろいろと壁にぶつかってみて思ったのは、大規模に新規参入するための社会的な基盤と制度が、整っていないのではないかということです。

それを今、痛感しています。

ここまで、農業の問題を急ぎ足でお話させていただきました。

まとめると、高齢化が進んで農業をやる人がいないという人の問題と、土地の問題があります。

そして、これは日本だけではなくて、実は世界でも同じような構図になっています。

ファームシップの「植物工場」とは?

ここで切り口を変えます。では皆さん「植物工場」をご存知でしょうか。

もしかしたらご存知の方もいらっしゃるかもしれないですが、写真をお見せします。このようなところが植物工場です。

人工光を使って、環境を完全に制御して、再現性を持ってどんどん食べ物を作っていく場所です。

現在のシステムは、これを多段にして、環境制御をしていくというものです。

特徴をいくつか紹介させていただきます。

生産性が高く、安定供給できる

一つ目は生産性です。大規模植物工場は生産性が非常に高いです。

「高コスト構造なんじゃないの?」と皆さん思われるかもしれませんが、そのようなことはありません。大規模でやればやるほど単位あたりのコストは下がっていきます。

そして何より、少ない農地で大規模生産が可能です。土地生産性は路地農業の60倍から70倍と言われています。

なぜ、そうなるのでしょう。

1つは多層化、多段化しているからです。最大10段から15段。私が知っているところで20段ぐらいあるものもあります。

そしてもう1つはテクノロジーによるものです。超促成栽培です。

例えば、外で作ると通常は100日かかるものが、私たちの工場であれば30日ぐらいでできます。

これらを掛け算すると、簡単に60倍70倍になりますよね。

植物工場には、他にもメリットが多くあります。

「安全性は?」「味とか、機能性は大丈夫なの?」など、色々なことを言われることがありますが、基本的に大丈夫です。

外で作られているものを、環境が整っている中で作っているだけです。種に依存します。農薬も使いません。何よりも安定供給というメリットがあります。

今、野菜が高いですよね。しかし植物工場では安定供給することができますので、しっかりと供給責任を果たすことができます。

機械化が進んでいるため人材の問題もクリアすることができます。

さらに植物工場は、高機能や高栄養など、いろいろな付加価値を付与することもできます。

土地の制約や人の制約から農業を解放したら、もっとスムーズに大規模化を実現できるのではないでしょうか。

これらが私たちの植物工場と出会うことにより、ファームシップのビジネスストーリーが始まります。

植物工場の技術者集団ファームシップの取り組み

ファームシップがどういうことをやっているのかと言いますと、ファームシップは植物工場の技術者集団です。

この植物工場の、特に大規模なものを、どんどんビジネスとして展開していくと、これらの技術がすごく進んでいきます。

そして、その技術力を武器にすることで、植物工場だけではなく、農業全体の構造改革ができるのではないかと思い事業を展開していっています。

私たちの会社は、設立して三年半ほどです(2017年9月時点)。その中でどのようなことをやってきたのかを、ご紹介いたします。

第一号案件は、静岡県富士市に「富士ファーム」という大規模な植物工場を、他社さんとのパートナーシップで造りました。

この工場は、日産1万2,000株で、完全LEDの植物工場としては世界で最大級です。

なお1万2,000株というのはレタス換算です。しばしば使われる指標なので今日はこの指標を使わせてもらっています。

非常に大きい植物工場です。

ここで私たちは、オペレーションも、販売も、様々なことをやってきました。

今、首都圏にあるスーパーの800から900店舗に私たちの野菜が並んでいます。皆さんの中には、食べたことがある方もいらっしゃると思います。

この富士ファームを皮切りに、三年間、多くの案件を開発してきました。

そしてとうとう、三重県の名張市に名張シティファームができました。

できたてホヤホヤです。

つい先日行ってきましたが、こちらはさらに大きいです。完全LED、日産1万5,000株。この工場は(2017年)11月から野菜を出荷します。

超大規模の新規参入を連続的に実現

その他にも現在進行中の案件もあります。

例えば、大規模な倉庫をリノベーションしています。都市型ビルのリノベーションモデルを今、事業開発をしています。そして世界最大級、日産3万株、このクラスの植物工場を今開発しています。

このような形で展開し続け、私たちは今、日本の植物工場に、60億円のお金を引っ張り込んでいます。

大規模な植物工場、大規模な農業参入など、私たちが新しいやり方で、農業にうねりを起こしています。

これは、従来の農業のやり方では実現不可能だったはずの農業への超大規模な新規参入を、連続的に実現できているということなのです。

日本において植物工場以外では、ありえないやり方ではないかかと、つくづく感じています。

すなわち、私たちは、この新しい技術力を使って、農業の構造改革を起こしているのではないかと思うのです。

人を集めることで人の問題を解決して、そして土地の問題も解決しています。

植物工場に対しては賛否両論ありますが、この規模で連続的に参入できるというのは、植物工場だけだと、私たちはそう思っています。

ファームシップが考える農と食の未来のかたち

残りの時間で、弊社のビジョンについてのお話をさせていただきます。

私たちのミッションは、農と食の未来を創造することです。どういうことなのか、ご説明します。

人類が新たな可能性を広げる時、農と食の未来というのはどうあるべきなのでしょうか。

皆さんも想像してください。

例えば人類が宇宙に向かうその時の、農と食のあるべき未来のかたちはどのようなものでしょう。

大地に根ざした農業のやり方では、私たちが宇宙に行ったときに、価値ある食というのが提供できません。

農業を大地から開放することが、私たちの技術の方向性としては非常に重要なのだと思いました。

農業を大地から開放する

では、どのように大地から開放するのかでしょうか。

まず、全ての農業、食糧生産に関する機能を、1カ所に集めていきたいと思っています。

これは、私たちが今進めている構想で、ファームベース構想と言います。

一つの基地を造ります。単純に食べ物を作るだけではなく、運ぶなどのいろいろな機能をここに集約させていって、一つのパッケージにしていくのです。

このような拠点を、どんどんネットワーク化します。

そして、次はこれを動かせるようにします。

ファームシップ。私たちの会社名の由来は船です。勘のいい方はすでにお気づきだと思います。

私たちは今、植物工場を大地の上で作っています。食べ物を大地の上で作っています。

これを海の上に持っていきたいのです。

大地から農業を開放することで、農地や土地の制約、権利関係の制約、いろいろなことから開放されます。

世界の食糧危機なども救える可能性がある技術だと思っています。

そして人類が宇宙に行くとき、これを飛ばします。

最終目標は宇宙です。

人類が火星で生活する日は、そう遠くはないのではないのでしょうか。

イーロン・マスクも火星に行くと言っていますし、行くのは間違いないでしょう。

そのときに私たちが提供したいのは、人類の生活を支える価値ある食、これを提供したいと思っています。

これが、ファームシップが実現する農と食の未来創造だと思っています。

ここまで話したことで、皆さんにも植物工場の可能性をすごく感じていただけたのではないかと思います。

宇宙でも野菜を生産できる技術を

植物工場は、この宇宙で野菜を生産するという技術に、一直線で向かって行けると思っています。ただ、そのためにはもっと技術開発が必要です。

ファームシップのグループに、新会社を設立したいと思います。スペースファームテクノロジー。

人類が宇宙で暮らすときに、その生活を彩る食を生産する。これが私たちの技術開発の方向性です。

具体的にこの会社は何をやるかというと、次世代の植物工場を開発していきます。

構想としてはもうすでにできていますので、このプロトタイプを造るための資金調達を、年内に一度やりたいとか、いろいろと考えています。

繰り返します。

ファームシップは農業を通じて、人類の可能性を最大化する会社です。

私たちは、食と農に真正面から向き合っています。

人類が生きていくために一番必要なものは何かというと、それは食べ物だと思っています。

食と農のビジネスをする醍醐味は、やはりそこにあります。

私たちは農業の役割を拡大化し、最大化することで支えていきたいのです。

意志があるところに道がある。

ファームシップが進む道には先例が全然ないとつくづく感じているのですが、多くの人にご指導いただきながら進んでいきます。

自分たちの進む道が答えなのだと信じて、私だけではなく従業員一同、走り続けます。

ご清聴ありがとうございました。

(終)

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編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/平井 裕/本田 隼輝/浅郷 浩子

【編集部コメント】

従来の農業を変えざるを得ない状況は寂しくもありますが、土地と人にこだわるものと、植物工場的なものに二極化していくのだろうと思います。海上へ、宇宙へという未来図は、胸が熱くなります!(浅郷)

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