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ICCサミット FUKUOKA 2019 スタートアップ・ダイジェスト(前半)に登壇頂いた、otta 山本文和さんのプレゼンテーション【「otta」は地域・スマホ・クルマが繋ぐ“見守りネットワーク”で子どもの安全を守る!】の文字起こし記事をお届けします。ぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢800名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うためのエクストリーム・カンファレンスです。次回 ICCサミット KYOTO 2019は2019年9月2日〜5日 京都での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。
本セッションは、ICCサミット FUKUOKA 2019 ゴールド・スポンサーの電通様にサポート頂きました。
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【登壇者情報】
2019年2月19日〜21日開催
ICCサミット FUKUOKA 2019
Session 11B
スタートアップ・ダイジェスト – 注目スタートアップを一挙紹介!(前半)
Supported by 電通
(プレゼンター)
山本 文和
株式会社otta
代表取締役社長
公式HP|STARTUP DB|LinkedIn
1977年 山口県生まれ。半導体ロボットエンジニアとしてキャリアを開始。その後、ソフトウェア会社へ転職し、業務システムのプログラマー・SE・法人営業、アプリ開発ディレクターを歴任し、組み込み機器からサーバー/クライアントサイドまで、IoTシステム構築に必要な多岐にわたる開発を経験。自分の子どもを守りたいという思いから、「地域のみんなで見守る街づくり」を目指し、日本初の地域参加型IoT見守りサービス“otta”を開発・運営する株式会社ottaを2014年に設立。2017年より大手電力会社へシステムをOEM提供し、「tepcotta(東京電力)」「OTTADE!(関西電力)」「Qottaby(九州電力)」の3つの見守りサービスを展開。
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▶「ICC FUKUOKA 2019 スタートアップ・ダイジェスト」の配信済み記事一覧
山本 文和氏 おはようございます。「otta(オッタ)」の山本と申します。
トップバッターで少し緊張していますが、頑張って務めたいと思います。
今日は、僕たちが取り組んでいる「otta」という見守りサービスについて、ご紹介します。
「otta」というのは、西日本地域の方言の「そこにおった(そこにいた)」の“おった”から取っています。
子どもや高齢者が、どこにいるかが分かることが安心につながります。
私たちは、その安心を形にした見守りサービスを作っています。
子どもが犯罪に巻き込まれる可能性が高まっている
私たちがこのサービスを作ったきっかけは、子どもを持つ親として、とても心配になる事件の報道があったことです。
実際、私が当時住んでいた地区でも誘拐事件がありました。
当時4歳の娘を持つ親として、身近でこんな事件が起きるのだと、非常に心配であり、衝撃的でもありました。
統計データ等を組み合わせて調べると、子どもの数は減少しているのに、被害件数が増加しているという事実が見えてきました。
つまり、子どもが犯罪にあう確率が、少しずつ高まっているのです。
実際に、多くの親御さんが「自分の子どもが、犯罪に遭ってしまう可能性」を身近に感じているのではないでしょうか。
子どもたちの「見守り」の担い手は、減少している
実は、これらの犯罪の多くは、放課後の時間帯、下校中の路上で発生しています。
つまり、「放課後の時間帯の見守り体制」をいかに作り、維持していくかが大事になってきています。
ところで、皆さんの地域では、どういった見守り体制が作られているでしょうか?
自分の子どもの頃の感覚、あるいは子どもがいる親御さんですと、おそらく皆さんPTA等による立哨(りっしょう)活動を挙げられる方が多いと思います。
しかし、見守りの担い手は急激に減少しています。
特に放課後の時間帯は、共働き世帯の増加や高齢化などの社会環境の変化によって、見守りの担い手が本当に減っています。
つまり、見守りの需給ギャップが急激に拡大しているのです。
そのギャップを埋めるために、見守り活動の生産性を高める、何らかの新しい手立てが必要になってきます。
地域の“みんなで、みまもる”サービス「otta」
そこで作ったのが「みんなで、みまもる」というコンセプトの見守りサービス「otta」です。
私たちの見守りサービスでは、小型の見守り端末を持っていただきます。
現在は、ホイッスル型の「otta.w」と小型の「otta.s」の2種類の見守り端末を扱っています。
この見守り端末から、Bluetoothの電波が出ています。
その電波をキャッチするための、専用の見守りルーターを設置した「見守りポイント」と、皆さんが持っているスマートフォンを活用する「見守り人」で、見守っていきます。
まず、私たちがサービスを提供する対象の地域で、通知が必要な場所に「固定の見守りポイント」を作ります。
これは全ての場所を押さえるのではなく、チェックポイントを作り、そこの通過情報だけは確実に押さえる、というものです。
さらに、地域の方に協力して頂き、見守り人を増やしていきます。
この皆さんの行動が、「動く見守りポイント」としての、「ながら見守り」となります。
このような形で、見守りの環境をどんどん進化させていくのが、私たちのサービスです。
これらの「固定の見守りポイント」と、「動く見守りポイント」を効率よく組み合わせていくことで、より持続可能性の高い見守りの環境を提供していきます。
これらの見守り環境が整備されたエリアでは、お子さんがどこにいるかが分かる安心を得られ、いつもと違う異変に早期に気づくことができます。
最終的には、安心して暮らし、活動できる地域をつくれると僕たちは考えています。
3つの電力会社と提携し、12の地域で展開
現在のサービスの提供状況ですが、3つの電力会社と提携し、12の地域で展開しています。
福岡では九州電力、東京では東京電力、関西では関西電力と提携しています。
それぞれの名称が関西電力の「OTTADE!」など、方言になっているのが特徴です。
▶︎編集注:九州電力の「Qottaby(キューオッタバイ)」の「ばい」は、九州地方で使われる方言。
実際のサービスとしては、行政と密接に連携しながら展開するモデルを描いています。
私たちの理念として、みんなに使って頂きたいと考えています。
そのために必要最低限の見守り機能を無料で提供する役割として、行政がユニバーサルサービスを提供します。
その上で、受益者負担の観点から、より便利な見守り機能を有料で提供しています。
この有料利用が、私たちの収益の柱となります。
サービス開始当初から導入し、現在3年経過した大阪府の箕面市では、現在約80%の子ども達が毎日端末を持って登下校しています。
加えて非常に特筆すべきなのが、有料移行率です。
今年度、2018年度の新1年生の有料移行率はが90%を超えており、年々増加しています。
口コミでどんどん広がっており、皆さんの生活のライフスタイルに取り入れられている状況です。
無償配布と手軽さを追求し、高い継続率を実現
なぜ、それが実現したのでしょうか?
それは、ユニバーサルサービスとして必要な要素を提供しているからだと思います。
まずは、無償で端末を配ります。
これにより手軽にサービスを体験することが出来ます。
さらに、日々の電池の充電を不要にするなど、使い勝手を追求しています。
手軽に使えることが、高い継続率に繋がっているのだと思います。
地域アセットを活用した「固定見守り力」の向上
また、私たちが一番大事にしていることは、「みんなで、つくる」点です。
その中でも地域の方、特に店舗や街灯などの地域アセットをお持ちの方にご協力いただいています。
認知しやすいその街のランドマークとなっている地域のお店を活用し、「安心の絆」として具現化していきます。
これにより、その店舗がハブとなって、安心の見守りの力がアップしていくと考えています。
タクシーやゴミ収集車も「見守りポイント」として活用
また、モビリティの活用にも力を入れています。
2年前(2017年)の福岡で、ICC スタートアップ・カタパルトに登壇して出会ったJapanTaxi 様と共同開発を行いました。
現在、都内の約6,000台のタクシーが、常時見守りタクシーとして走っています。
これは非常に効果があり、約1年間で約30万回の見守りの実績を残しました。
現在、福岡や大阪など全国7都市に拡大しています。
先ほども紹介した大阪府の箕面市では、ごみ収集車の活用も行っています。
Bluetooth機能を搭載しているスマートデバイスに私たちのアプリをインストールするだけで、見守りをできることが大きな特徴となっています。
ごみ収集車にこのデバイスを搭載することで、「動く見守りポイント」の役割を果たしています。
私たちは、このような形でBluetooth搭載デバイスをどんどん活用しています。
誰もが安心して暮らせる「スマートシティ」の実現を
様々な企業や個人が持っているBluetooth搭載デバイスに、私たちの少しの工夫を足していくことで、「ながら見守り」による社会貢献をさらに進化させていきます。
これにより、安心の絆を作り、スマート見守りシティを実現していきたいと考えています。
ご清聴ありがとうございました。
(終)
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編集チーム:小林 雅/花本 夏貴/尾形 佳靖/戸田 秀成/SNOWLIGHT
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