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ICCサミット FUKUOKA 2020 カタパルト・グランプリに登壇いただいた、一平ホールディングス 村岡 浩司さんのプレゼンテーション動画【国境も、困難も乗り越えて。九州パンケーキは人々を笑顔にできる〜KYUSHU ISLAND】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回250名以上が登壇し、総勢900名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット KYOTO 2020は、2020年8月31日〜9月3日 京都市での開催を予定しております。参加登録などは公式ページをご覧ください。
本セッションは、ICCサミット FUKUOKA 2020 プラチナ・スポンサーのAGSコンサルティング様にサポート頂きました。
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【登壇者情報】
2020年2月18〜20日開催
ICCサミット FUKUOKA 2020
Session 6B
CATAPULT GRAND PRIX (カタパルト・グランプリ)
– 強者が勢揃い –
Sponsored by AGSコンサルティング
(プレゼンター)
村岡 浩司
株式会社一平ホールディングス
代表取締役社長
公式HP | STARTUP DB
“世界があこがれる九州をつくる”を経営理念として、九州産の農業素材だけを集めて作られた九州パンケーキミックスをはじめとする、「KYUSHU ISLAND®︎/九州アイランド」プロダクトシリーズを全国に展開。また、台湾(台北)の「九州パンケーキカフェ」は食による日本の地方創生モデルとして話題を呼び、予約の取れないカフェとしてブームを巻き起こしている。現在では多数の飲食店を経営する一方、九州各地にて様々な地元創生活動や食を通じたコミュニティ活動にも取り組んでいる。メディア出演:カンブリア宮殿、NHKワールド、日経プラス10、日経ビジネス、東洋経済 他多数。ローカルイノベーター55選、日本を元気にする88人(フォーブスJAPAN)に選出。「第1回 九州未来アワード」大賞受賞。ICCサミット KYOTO 2019「CRAFTED カタパルト」優勝。著書に「九州バカ 世界とつながる地元創生起業論」(発行=文屋、発売=サンクチュアリ出版)。
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▶「ICC FUKUOKA 2020 カタパルト・グランプリ」の配信済み記事一覧
村岡 浩司さん 一平ホールディングスの村岡と申します。
みなさん、どうぞよろしくお願いします。
2019年秋のICCサミット KYOTO 2019 CRAFTED カタパルトにおいて、「KYUSHU ISLAND」のものづくりおよびIP戦略(知財戦略)についてお話をさせていただきました。
▶世界があこがれる九州を!農業資源×伝統技術で“KYUSHU”の魅力を伝える一平ホールディングス(ICC KYOTO 2019)【文字起こし版】
僕たちは、九州の豊かな農業資源と伝統的なものづくり工場の技術を掛け合わせ、新しいブランドをつくるという挑戦をしています。
「安く大量に」というこれまでの考え方では、地域は疲弊していきます。
ここ九州にしかない個性的な特徴を持つプロダクトをつくり、理念を共有できる九州各地の工場とともに取り組みを進めています。
日本の食は世界で人気ですが、加工技術は簡単にまねされてしまいます。
そこで、僕たちは地域農業を見つめ直し、原材料にもこだわることにしました。
その代表的な商品が「九州パンケーキ」です。
今日はまず、こうした取り組みの原点についてお話ししたいと思います。
地元宮崎での「口蹄疫」。食品加工業への参入を決意
僕は、宮崎市にある小さなすし屋に生まれました。
そして高校卒業後、地元を飛び出し世界を放浪しました。
海外でスタートした初めての起業に失敗した僕を助けてくれたのは、父でした。
やがて父は他界し、僕はすし屋の後継ぎとなりました。
そしてカフェやレストランなど色々な事業を展開するのですが、10年前にある転機が訪れます。
畜産王国宮崎に家畜伝染病「口蹄疫」が発生し、長期にわたる非常事態宣言で、僕たちの商売は疲弊してしまったのです。
いったんバランスが崩れると、地方の商売は本当にもろいものでした。
「新しい事業を生み出さなければ、このままでは会社がもたない」
そう考えた僕たちは、食品加工業へ参入することを決めました。
九州の素材だけで作る「九州パンケーキミックス」誕生
製造のコンセプトが固まりました。
「九州の素材だけで作りたかった、毎日のおいしさ。」です。
僕たちは、1年半かけて「九州パンケーキミックス」を生み出しました。
恥ずかしながら、会社の資金繰りが底をつくギリギリのタイミングでした。
幸運なことに、九州パンケーキミックスの発売は、ハワイから上陸したパンケーキカフェのブームとも重なり、地方創生の柱でもあった農商工連携、6次産業化(※)といった地方ブランドブーム流れにも乗り、ローカルプロダクトの代名詞として全国各地の小売店から問い合わせが殺到しました。
▶編集注:6次産業化とは、生産者(1次産業者)が加工(2次産業)とサービスや流通・販売(3次産業)も行い、1次産業から3次産業まで一体化した産業として経営の多角化を図ることで、新しい産業を形成しようとする取り組みのこと。(参照:https://www.maff.go.jp/j/shokusan/sanki/6jika.htmlより)
特に地元九州では、ほとんどのスーパーマーケットに九州パンケーキミックスが並び、僕たちの背中を押してくれました。
さらに、メディアへの露出も増え、販売も急速に拡大していきました。
そしてついに、九州パンケーキカフェも出店することになりました。
このままいけば各地への出店も夢ではなく、僕たちは忙しい日々を過ごしていました。
しかし、すべてが順調に思えたまさにそのとき、ある出来事が起こったのです。
熊本地震発生で、パンケーキ製造ラインがストップ
2016年4月のある夜のことでしたでした。
僕たちの製粉工場がある熊本を、大きな地震が襲ったのです。
製造ラインはストップし、やがて物流もストップしました。
現場は混乱を極め、出荷停止を余儀なくされました。
それからは、ただがむしゃらに復興に取り組みました。
やがて全国のファンから、パンケーキに描かれた数々のメッセージプレートの写真が届くようになります。
何度も被災地を訪れ、復興支援活動をしながら、あることに気づいたのです。
苦しいことがあっても、九州パンケーキは人々を笑顔にできる。
この気持ちを世界へ届けたいと思いました。
アジア各国にも、九州パンケーキカフェを出店
僕たちのパンケーキは国境を越え、台湾では瞬く間に3店舗に増え、シンガポールでも2店舗目がオープンします。
本気で地域と向き合えば、国境の壁は溶けていくと信じ、あの時学んだように、僕たちはどこにいてもパンケーキを焼いています。
台湾の小さな小学校を回る無料の食育教室の開催は、既に50回を超えました。
地元九州と合わせれば、数百回、数千人の子どもたちの思い出に、九州パンケーキはそっと溶け込んでいきます。
中国パートナーと、北京に中国1号店オープンを約束
そして、台湾、シンガポール、そして念願の中国でのパートナーも決まりました。
しかし、事業は一筋縄ではいかないものです。
これからという時に、武漢からのニュースが届き始め、愕然としました。
中国が世界から孤立していく中、もちろん私たちの事業もいったん凍結せざるを得ません。
しかし、幾度もの厄災を乗り越えてきた僕たちは、こんな時こそ真の絆が生まれることも知っています。
僕たちはパートナー企業に在籍する70名の社員さんの健康と生活を第一に考え、必要な物資を送ることにしました。
現在は物理的な人の行き来はできませんが、お互いの思いは伝わり、中国の皆さんが、心温まるメッセージをこのような動画にして返してくれました。
国と国、政治のレイヤーは、もはや意味を成しません。
地域と地域、人と人がつながって、ビジネスが発展していくのです。
中国の北京のパートナーとは、九州パンケーキが地域間融和の、そして東アジアの平和の象徴となるように努力しようと誓い合いました。
そして、僕たちは3年で20店舗をオープンする契約を結びました。
明けない夜はありません。
今年中に必ず、中国1号店を北京にオープンします。
カフェから広がる「KYUSHU ISLAND」の体験価値
2023年度には、現在の7店舗から50店舗へと拡大します。
もちろんそれに伴い、農業素材の調達も拡大していきます。
提携工場も九州全域に20社を超えました。
「KYUSHU ISLAND」ブランドは、今後3年間で機能性商品やサプリメントを含む、約100アイテムの商品群を揃えていきます。
カフェは、ブランドの世界観を体験できる最高の顧客体験の場です。
国内でカフェがあるのは九州のみで、九州に来なければ体験できないという付加価値を守ります。
さらに、次々に生まれてくる商品群はすべてカフェを通してメニュー化され、世界の家庭には自社ブランドサイトを通じて国境を越えてお届けしていきます。
仲間の思いを乗せて「世界があこがれる九州をつくる」
19歳で見よう見まねで起業しました。
何度も失敗しました。
そして今年、僕は50歳になります。
その僕には信念があります。
「チャレンジには困難がつきもの。それを超えたところに新しい景色がある」のです。
まだまだ先は長いと思っています。
僕らは仲間である農家さんや工場の思いも乗せて、中小企業としての情熱を持ち、果敢に世界へ挑んでいきます。
「世界があこがれる九州をつくる」
みなさん、ご清聴ありがとうございました。
(終)
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編集チーム:小林 雅/尾形 佳靖/フローゼ 祥子/小林 弘美/戸田 秀成
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