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生食できるサバの完全養殖でサスティナブル、儲かる漁業を創る「フィッシュ・バイオテック」(ICC FUKUOKA 2021)

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ICC FUKUOKA 2021 スタートアップ・カタパルトに登壇いただき、見事優勝に輝いた、フィッシュ・バイオテック 右田 孝宣さんのプレゼンテーション【生食できるサバの完全養殖でサスティナブル、儲かる漁業を創る「フィッシュ・バイオテック」】の文字起こし版をお届けします。動画も合わせて、ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット KYOTO 2021は、2021年9月6日〜9月9日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページのアップデートをお待ちください。

本セッションは、ICCサミット FUKUOKA 2021 ダイヤモンド・スポンサーのノバセル にサポート頂きました。

【速報】スマホ養殖でサバの“生食文化”を創る!「フィッシュ・バイオテック」がスタートアップ・カタパルト優勝!(ICCサミット FUKUOKA 2021)


【登壇者情報】
2021年2月15〜18日開催
ICC FUKUOKA 2021
Session 1A
STARTUP CATAPULT
スタートアップの登竜門
Supported by ノバセル

右田 孝宣
フィッシュ・バイオテック株式会社
代表取締役社長

1974年大阪生まれ。20代でオーストラリアに、料理修行のため現地寿司チェーン店に就職。24歳で工場長、その後スーパーバイザーへ。入社当時2店舗のお店を、2年間で13店舗まで拡大し成功するが、日本での可能性に賭け、26歳に帰国。2004年居酒屋「笑とり」をオープン。居酒屋で大人気だった「鯖寿司」をきっかけに、2007年さば寿司を製造・販売するさば寿司専門店『鯖や』を設立。2014年にクラウドファンディングで、さば料理専門店『SABAR』をオープン。2017年には、さばの海面養殖などを手掛ける『フィッシュ・バイオテック』を設立。
「フードロスを養殖飼料に換え、サバを育て、天然の水産資源を侵さないサステナブル養殖で世界を救う」ことを目指し、R&D(研究開発機関)として、オープンイノベーションにより、他社のノウハウをまとめ、「養殖」という市場で挑戦・商品化をしている。


右田 孝宣さん フィッシュ・バイオテック株式会社サバ博士の右田です。

よろしくお願いいたします。

「サバの完全養殖で世界を変える!」、我々はサバを生で食べる食文化を創っていきます。

今年(2021年)1月1日の日本経済新聞で発表された、総額100億円の「前澤ファンド」に、「サバの養殖事業」で採択されたのは我々です。

サバ料理専門店「SABAR」をオープン

まず、既存のビジネスを説明します。

創業のきっかけは14年前です。

妻と2人で経営していた小さな居酒屋で大人気だったのが、サバ寿司でした。

妻の「あなたの作る料理で唯一美味しいのはサバ寿司だから、サバ一本で頑張ったら?」という一言から、とろサバ専門店「鯖や」を創業しました。

サバ寿司の製造販売から始め、7年前、「SABAR」というサバ料理専門店をオープンしています。

サバにちなんで、38メニュー、席数は38席です。

営業時間は、朝の11時38分にオープン、夜の11時38分にクローズします。

いいサバ(1138)で始まって、いいサバで終わるという徹底的にサバにこだわった居酒屋を、国内に15店舗、海外はシンガポールに3店舗構えています。

「とろサバ」を完全養殖

我々は、「とろサバ」(※) という大きなブランドのサバを扱っています。

▶編集注:SABARの「とろサバ」は、東北近海(主に八戸前沖・三陸沖)で獲れ、脂質含有量が21%以上で魚体550g以上のサバと定義されている。

この大きなサバが年々獲れなくなってきていて、このままではビジネスができないという危機を感じました。

そこで、我々の手で最高のサバを作ろうと、2016年、素人ながらサバの養殖をスタートしました。

和歌山県の串本町で、サバを卵から孵化させる完全養殖を行っています。

そして気づいたのが、養殖については漁師の勘と経験に頼るだけで、ノウハウが一切蓄積されていないということでした。

NTTドコモと養殖をオートメーション化

そこで我々はNTTドコモと業務提携をし、養殖のオートメーション化を進めています。

ICTでサバの養殖効率化 串本町で実証実験(紀伊民報)

例えば、養殖生け簀の中にカメラを入れ、サバの健康状態をチェックしています。

そしてソナーを設置してサバの魚体重や出荷サイズを測っており、将来的にはこれで在庫管理を行います。

水温と塩分濃度、酸素濃度を測ることで、給餌タイミングや高水温による変死リスクを管理しています。

将来的には、サバが食べたい時間に食べたい量を食べられるための最適給餌量を割り出す予定です。

また、衛星観測をし、1週間先までの海流、温度変化、赤潮の予兆を捉えていきます。

ICTを活用しデータを集め、AIで分析することで、スマートフォンで管理するスマートフォン養殖を実現します。

サバを育てながら海外旅行に行ける、そんな未来を作っていきたいと考えています。

養殖のコストの70%はエサ代

大きな課題としては、養殖にかかるコストの約70%がエサ代だということです。

我々は、このエサ代を50%削減していきます。

まず、スマホ養殖による最適給餌量把握で、無駄なエサを省きます。

また、ウェイストマネジメント、つまり捨てられているものをエサに変えます。

天然資源に頼らない人工飼料の開発

サバのエサは、魚粉、穀類、ビタミン、ミネラルで作られており、エサの60%が魚粉と言われています。

この魚粉を作るため、天然のカタクチイワシを、チリやペルーから仕入れています。

魚は魚を食べますから、養殖事業が大きくなればなるほど、天然資源が枯渇していくことになるのです。

そこで我々は、天然資源に頼らない人工飼料を作ります。そして、コストを下げます。

人工魚粉とフードロスのうどんで「エコエサ」を生産

次に目をつけたのが、うどんです。

全国の讃岐うどん店で、湯がきだめして大量に捨てられているうどんを、サバのエサに変えます。

人工魚粉とフードロスのうどんで、エコロジーでリサイクルに貢献するエコエサ、ハイブリッドエコエサを作ります。

エコエサとスマホ養殖で、低コストでサスティナブルな完全養殖を実現します。

サバ市場は、ブルーオーシャンです。

卵から孵化させるアニサキスフリーの完全養殖

現在、日本で養殖されている魚の90%以上がマグロ、タイ、ブリ、サーモンで、サバはまだ1%以下です。

それは、サバは、皆さんご存知のアニサキスのため、生で食べられないからです。

日本で養殖されているサバのうち85%は、天然のものを獲って大きくする、「蓄養」というものです。

蓄養の場合、アニサキスのリスクが非常に高いです。

我々のサバは卵から孵化させる完全養殖なので、アニサキスのリスクがありません。

我々はこの完全養殖で、マーケットシェアナンバー1を目指しています。

サバの生食文化を広げたい

狙うはサバの生食需要です。

先日、前澤(友作)さんにアンケートを実施してもらいました。

回答者の64.5%が「サバを生で食べたことがない」と答えました。

その中のほとんどの方に「食べてみたい」と答えて頂いています。

回転寿司・海鮮居酒屋に大きな潜在需要

ポテンシャルについてお話しします。

大手回転寿司5社は、合計して全国に2,000店舗を構えています。

仮に、1日20皿のサバの握り寿司が売れると、年間で約140万匹のサバが消費されます。

これは現在、日本で養殖されているサバに匹敵する数です。

これ以外にも、回転寿司や海鮮居酒屋はたくさんありますので、ポテンシャルは無限大です。

我々はサバを1匹1,000円で売り、5年後には750万匹のサバを育てて75億円の売上を達成します。

通常、養殖事業の利益率は3%前後です。

我々は卵から育て、安いエサを開発し、スマホ養殖により、20%以上の利益が出る高収益のビジネスモデルを作ります。

そして、儲かる漁業を作ります。

サバの完全養殖で世界を変える!

まとめです。

サバの生食はブルーオーシャンで、完全養殖サバのマーケットリーダーとなり、エサとシステムで50%のコスト削減を行い、サバの完全養殖で世界を変えます!

サバ、サバを生で食べてください。

おつかれサバです!

ありがとうございました、応援よろしくお願いいたします。

▶︎実際のプレゼンテーション動画もぜひご覧ください。

(終)

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編集チーム:小林 雅/小林弘美/浅郷 浩子/大塚 幸

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