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「FullDepth」は、自動運転の小型ドローンで、水中インフラの保守点検を可能にする(ICC FUKUOKA 2021)

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ICC FUKUOKA 2021 REALTECH CATAPULTに登壇いただき、見事2位に入賞した、FullDepth 伊藤 昌平さんのプレゼンテーション動画【「FullDepth」は、自動運転の小型ドローンで、水中インフラの保守点検を可能にする】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット KYOTO 2021は、2021年9月6日〜9月9日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページのアップデートをお待ちください。

本セッションは、ICCサミット FUKUOKA 2021 ゴールド・スポンサーのKOBASHI HOLDINGS様にサポート頂きました。

【速報】眼科医の眼をスマホに装着「Smart Eye Camera」のOUI inc.がリアルテック・カタパルト優勝!(ICCサミット FUKUOKA 2021)


【登壇者情報】
2021年2月15〜18日開催
ICC FUKUOKA 2021
Session 4A
REALTECH CATAPULT
リアルテック・ベンチャーが世界を変える
Supported by KOBASHI HOLDINGS

伊藤 昌平
株式会社FullDepth
代表取締役社長

1987年2月12日生まれ。筑波大学第三学群工学システム学類卒。大学在籍時より ベンチャー企業において、ロボットの試作開発に従事。 2014年6月に独立し、株式会社FullDepth(旧:空間知能化研究所) 設立、代表取締役社長に就任。


産業用水中ドローンとクラウド管理サービスを提供

伊藤 昌平さん FullDepthの伊藤です。

私たちは、小型水中モビリティで、地球上すべての「水中を情報化」する会社です。

現在、産業用水中ドローンの開発、販売、レンタル、そして機材運用支援のクラウド管理サービスの提供を行っています(※) 。

▶編集注:FullDepthのプロダクトの詳細はこちらをご覧ください。

クラウド管理サービスでは、リアルタイムでの水中ドローンからの映像配信や、機材管理の情報を統合しています。

「自分の作ったロボットで深海魚を見に行きたい」

この事業に取り組んだきっかけは、子どもの頃からの夢でした。

小さい頃からずっと好きだった深海魚と、将来仕事にすると決めて取り組んでいたロボット開発をかけ合わせ、「自分の作ったロボットで深海魚を見に行きたい」という思いからスタートしたのです。

最初は個人的な思いから始まりましたが、今では強い要望を頂いて、ダムや洋上風力発電などのインフラの点検、養殖場や沿岸部の漁場、深海の科学調査でも使われています。

わずか数メートルの水中でも「未知の世界」

濁った水の中では何も見えないため、音波を使って水中を可視化しようとしたり、GPSも届かないので水中の位置をどうやって割り出すか、といった課題を克服して製品を作ってきました。

そこで分かってきたのは、わずか数メートルの浅い水中ですら人類は把握できていないということでした。

濁流の川の底、港の下の水中、ダムの中には分からないことがたくさんあります。

水中インフラ点検は喫緊の課題

我々の製品が使われているのは、ダムや発電所の管路(※) などのインフラ点検の現場です。

▶編集注:主に電線や光通信などのケーブルを地下に埋設するための専用の管(weblio)。

こういった場所はこれまで十分にチェックできなかったのが現実です。

これは決して手を抜いていたわけではなく、技術的な問題で本当にできなかったのです。

トンネルの崩落事故があったため、陸上ではインフラ点検が活発に行われるようになりましたが、水中にもインフラはあり、その点検が喫緊の課題となっています。

例えば、建造後100年以上経っているダムの水中が、まだ1度も見られていないこともあるのです。

水中インフラ点検を阻む3つの問題点

点検できなかった理由は、簡単に言えば、水中だからです。

水中は人が簡単に入れる領域ではありません。

呼吸ができないですし、水流、水圧があり、電波や光があまり届かないことが大きな課題です。

従来、潜水士が頑張って潜ってきましたが、安全上の観点から1日に30分間×2回だけという活動時間の制限がかかります。

時には命がけで、時には命を落とされる方もいらっしゃる非常に過酷な現場のため、深刻な人材不足に直面しています。

ロボットを使うというアイデアも昔からありますが、ヒト、モノ、カネの面で難しかったのです。

例えば、これは大げさな事例ですが、軽自動車くらいの大きさのロボットと専用の調査船を使用し、多くの人とお金を使います。

1日1,000万円の費用がかかるような調査です。

しかし雨が降れば中止になり、コストだけかかってしまう状態でした。

これに対し、もっと手軽な手漕ぎボートや漁船で観測ができればインフラ点検を広げられるのではないかとの思いでアプローチをしてきました。

産業用×小型の水中ドローン市場は未開拓

軍事国防の領域や石油市場では大型調査ロボットは使われてきましたし、中国などでは趣味用の水中ドローンが開発されています。

しかし、産業用でアプリケーションを持った水中ドローンはないので、この市場を獲得したいと思っています。

保守運用・操作性・拡張性が強み

当社の強みは、まず、産業用として使うのにあたり重要な「保守運用」です。

確実に動かすことを担保するためには、メンテナンスを簡単にできるようにする必要があり、そのためのサイズ採用やクラウドによる機材管理をして、確実にドローンが動く状態をキープしています。

操作に関しては、電波が届かないために有線でケーブルをつなぎますが、特許取得もした、どこよりも細いケーブルを採用しており、水中でも自由度の高い動きをします。

「操作性」が高く、2~3時間で操作の習得ができます。
こうした安定した機材があるからこそ、精密な測量機器や作業道具を乗せる「拡張性」につながります。

これら3つが我々の持つ優位性です。

水中インフラの機械化は巨大市場

軍事国防や石油資源開発などの市場は従来からあり、特別な市場でした。

最近は操業の効率化、生産性の向上などを目的として漁業や水産業で機械化が進んでいます。

水中インフラも機械化が重要だと考えており、今後、市場開拓に注力していく予定です。

我々が取り組む市場は、水中ドローンの販売のみでは約4,600億円ですが、水中調査市場全体となると4兆円弱となります。

水中を明らかにする、水中で何かを作ることを機械化できれば、この市場を獲得できると考えています。

申し上げた通り、水中のことは現在ほとんど分かっていない状態ですので、機械化が進めば今後市場自体も大きくなっていくはずです。

よって、人に代わって、人と共に水中を調べる道具を今は開発、提供していますが、これが当たり前になった後は、効率化やコストについてクリアにしなければ市場は広がっていきません。

そのために自動化を進めており、ゆくゆくはこれを大量に展開することで、世界中の水中を情報化するための情報プラットフォームを立ち上げる予定です。

3Dマップを自動生成する自動運転の水中ドローン

2つ目のステップの「自動化」については、一定の実現の目処が立っています。

これは、東京大学の生産技術研究所と共同開発のロボットで、船からポンとロボットを投げると、海底の状況を撮影してくれるものです。

電波、GPSが届かない水中でこれを実行するのは難しいことなのですが、このロボットはある程度できています。

画面の右下にあるような地図の作成が可能で、こういったデータを大量に集めることができるようになります。

喫緊の課題となっているインフラ点検や沿岸部の調査以外でも、海中のマイクロプラスチックや温暖化の原因になっている二酸化炭素ガスの情報集約も必要になると思っています。

地球上すべての「水中を情報化」する

「地球は青かった」という有名な言葉がありますが、地球の表面の70%は水です。

その中がほとんど分かっていないのは、非常に大きな課題だと考えています。

例えば、水中の温度分布が分かれば、来年が暖冬なのか冷夏なのか分かるようになり、食糧生産や災害予防に先んじて手を打つことができると考えています。

私たちは、小型水中モビリティで、地球上すべての「水中を情報化」し、人類のこれからに貢献します。

どうもありがとうございました。

▶︎実際のプレゼンテーション動画もぜひご覧ください。

(終)

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編集チーム:小林 雅/小林 弘美/浅郷 浩子/戸田 秀成/大塚 幸

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