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美術品保全の技術でコロナ対策! 大切なものを守り、ライフサイクルを楽しむ社会に貢献する「清華堂」(ICC KYOTO 2021)【文字起こし版】

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ICC KYOTO 2021 カタパルト・グランプリに登壇いただいた、清華堂 岡本 諭志さんのプレゼンテーション動画【美術品保全の技術でコロナ対策! 大切なものを守り、ライフサイクルを楽しむ社会に貢献する「清華堂」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回250名以上が登壇し、総勢800名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット FUKUOKA 2022は、2022年2月14日〜2月17日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。

本セッションは、ICCサミット KYOTO 2021 プラチナ・スポンサーのAGSコンサルティング様にサポート頂きました。

【速報】経営管理データを迅速に一元化できるプランニング・クラウド「Loglass」がカタパルト・グランプリ優勝!(ICC KYOTO 2021)


【登壇者情報】
2021年9月6〜9日開催
ICC KYOTO 2021
Session 6A
カタパルト・グランプリ
– 強者が勢揃い –
Sponsored by AGSコンサルティング

岡本 諭志
株式会社清華堂
専務取締役

1986年 大阪市生まれ。2013年 慶応義塾大学大学院 政策メディア研究科修了。同年NPO法人モクチン企画の起業を経た後、組織の内製化に興味を持ち、大工を自社で育成する株式会社平成建設に入社。4年間建築設計に従事し、住宅・店舗・医院など10件を設計担当。2017年、家業である株式会社清華堂に入社。美術品の修理修復の技術を立脚点に、モノのライフサイクルを楽しむ社会をビジョンとして掲げ、新規事業を展開している。2021年7月より代表取締役社長に就任。(1923年創業の4代目)


培ってきた技術を活かして新たな需要をつかむ

清華堂の岡本と申します。

弊社の非常に細かいミストによって仕上げるコーティングは、付着するウイルスを5分間で99.9%不活化させ、その効果は3~5年持続します。

即効性と持続性という高い性能が評価され、これまで近鉄電車の全2,000両、日本航空の全55空港の施工を行いました。

▶参考:伝統産業 コロナ禍の挑戦 – NHK NEWS おはよう日本 – NHK

こんな日々を送る、正社員10名の清華堂の正体は、美術品の修理、修復を手がける会社です。

私で4代目、約100年の歴史がある弊社は、これまで目に見えない保全技術を、ムラなく均一に仕上げる技術を、培ってまいりました。

シミやカビを分解する修復の知見があり、年間2,000点もの作品を扱います。

美術品の保管管理をヒントにした抗ウイルス・抗菌加工

衛生対策に転じたきっかけは、3年前、近畿地方を襲った台風の後、取引先である美術館のお客様から聞かれた質問でした。

「清華堂さん、美術品ではなく収蔵庫がカビてしまったので、何か空間に対する菌の対策はないですか?」という宿題を頂きました。

解決方法を模索する中、コロナ禍に突入、2020年に予定していた美術展は全て中止になりました。

本業の売上は6割減になり、業績悪化を予見し、このままではいけないと決心しました。

目をつけたのは、美術品の保存箱です。

箱の内部の衛生環境を整えるために使っていた液剤を、空間に転用してみました。

さらに、0.05μm径の非常に細かな微粒子の出るミストガンと組み合わせることで、第三者機関の認証をいち早く取得することができました。

抗菌SIAAマークについて(SIAA for KOHKIN)

見えない安心を見えるマークでお伝えすることが、このサービスの強みです。

たかがシールに見えるかもしれません。しかし、私の想いは違います。

安心を届け、こころに拠り所のあるくらしを

かつて奈良時代、天然痘の流行により、当時の人口の約3割が亡くなりました。

社会の混乱を抑えるために、東大寺の大仏が建立されたと知りました。

つまり、見えない不安には拠り所が必要です。

私はこの事業を通して、「こころに拠り所のあるくらし」を取り戻したいと願います。

100年間美術品を守ってきた技術で、従来の豊かな風景が戻ってくることを願い、日々ふさわしい安心をお届けしております。

新たな事業への可能性を感じさせる「掛け軸」

そして今日、私は老舗の存在意義を示したいと思い、ここに立っております。

これまで修理修復を通して、大切なものを「ふさわしく」する仕事をしてまいりました。

そんな中、日頃扱う美術品の中でも、掛け軸に未来の可能性を感じています。

皆さんはご自宅に、掛け軸をお持ちでしょうか?

また、床の間のある和室がありますか?

多くの方の答えはNOだと思います。

見かけるとすれば、料亭で出会う時などでしょうか。

料亭の方にこう聞いてみてください、「この掛け軸の意味は何ですか?」。

掛け軸の本質は、お客様へのコミュニケーション、おもてなしです。

その日、その時、その人に合わせて掛け軸を掛け替えて、コミュニケーションの「きっかけ」を考えています。

例えば、新しい環境を祝うメッセージであったり、

健康を祈るメッセージであったり、

その人の成功を願うメッセージであったり、もしくは、その主人が大切にしている価値観やコンセプト、ビジョンを伝えることもあります。

この「きっかけ」を是非、見逃さないでほしいです。

そして、掛け軸が巻物状であるからこそ、機転を利かせることができます。

オンラインでのコミュニケーションが普及した現代では、リアルな空間の価値がますます問われているのではないでしょうか。

メンテナンスと観光をかけ合わせる構想

ここからは私の描く青写真です。

パンデミックによって白紙に戻ってしまったアイデアを紹介させてください。

寺院の掛け軸メンテナンスを代行し、観光客へ展示する美術館、「虫干しミュージアム」という構想です。

▶参考:【虫干しミュージアム】寺院の掛軸メンテナンスを代行し、観光客へ展示する美術館 | 【公式】スタートアップ・アトツギベンチャーと企業をつなぐ スタ★アトピッチJapan (nikkei.co.jp)

虫干しとは、一年に一度、掛け軸を箱から出して干すことで、湿気や虫を払うメンテナンス処置です。

スモールスタートは、弊社のある大阪市内を予定しています。

実は大阪市は、寺院密度が全国1位です。

▶参考:大阪の寺密度、全国トップ:なぜ大阪にはこんなに寺が多いのか|NIKKEI STYLE

メンテナンスと観光資源をかけ合わせるアイデアが、「虫干しミュージアム」です。

美術館を構え、大阪の寺院から掛け軸を集めて、週ごとに入れ替える、こんな風景を夢見ています。

現在寺院は、高齢化や後継者不足によって管理者が減少しており、檀家離れによって収入も減っています。

これは、ひいては文化財の滅失や散逸につながる恐れがあります。

もののライフサイクルを楽しむ社会を作りたい

私たち人間は、スクラップ&ビルドにあまりにも慣れすぎています。

壊れたおもちゃも直してまた使うような、もののライフサイクルを楽しむ社会を作りたいと私は夢見ています。

衛生対策事業が世の中に貢献できたのも、古来の技術を受け継いできたからこそだと思います。

地域に根付く、この老舗が生き続けることを、応援して頂ければ幸いです。

ご清聴ありがとうございました。

実際のプレゼンテーション動画もぜひご覧ください。

(終)

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編集チーム:小林 雅/星野 由香里/浅郷 浩子/戸田 秀成/大塚 幸

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