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ICC KYOTO 2022 新企画 カタパルト Xに登壇いただいた、Moloco 坂本 達夫さんのプレゼンテーション動画【「機械学習技術の民主化」でモバイル広告をエンパワーメントする「Moloco」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回ICCサミット FUKUOKA 2023は、2023年2月13日〜2月16日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページのアップデートをお待ちください。
本セッションのオフィシャルサポーターはリブ・コンサルティングです。
▶【速報】ビッグデータ × AIで”勝てる”広告クリエイティブを生み出す「AIR Design」(ガラパゴス)がカタパルト Xの初代王者に輝く!(ICC KYOTO 2022)
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【登壇者情報】
2022年9月5〜8日開催
ICC KYOTO 2022
Session 2A
新企画 カタパルト X
Supported by リブ・コンサルティング
坂本 達夫
Moloco, inc.
日本事業責任者 / エンジェル投資家
楽天、Google、AppLovin、Smartly.ioを経て、2021年9月よりUS発のモバイル広告ソリューションMOLOCOの日本統括に就任。モバイル広告・マーケティングテクノロジーの専門家。国内中心に50社強のスタートアップにエンジェル投資を行う。アプリ・サービスを紹介するTV番組「ええじゃないか!!」MC。東京大学経済学部卒業。福岡出身、関西育ち。2児の父。
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坂本 達夫さん 皆さん、よろしくお願いいたします。
「世界最高峰の機械学習を全てのモバイルマーケターへ」、Molocoの発表をさせていただきます。
さて、いきなり他社の話で恐縮なのですが、僕の後にプレゼンをされるノバセルは、テレビCMを総合代理店やテレビ局といった『帝国』の独占から、民主化させました。
しかし、ここにいらっしゃる皆さん、デジタルマーケティングの民主化はできていますか?
Big Tech企業に依存せずビジネスを成長させるには?
実は、帝国に支配されてしまっているところがほとんどなのではないかと思います。
その帝国とは、GAFAやTikTokなどの、Big Techと呼ばれる企業です。
彼らは広告パフォーマンスを高める機械学習技術に大きな投資をして、Google検索結果やYouTube、Facebook・Instagram・TikTokのタイムラインといった、彼らの『領地』でプロモーションを行う際、広告主が恩恵を受けられるようにしています。
▶ウォールド・ガーデン(シマウマ用語集)
しかし、その外にある広いオープンインターネットの世界では、マーケターは未熟な技術を使わざるを得ません。
つまり、「デジタルマーケティングの民主化」とは「機械学習の民主化」であり、最高レベルの機械学習技術を、全ての広告主が、インターネット上の全ての広告枠で利用できる状態にするということです。
そして「機械学習技術の民主化を通じて、モバイルマーケターをエンパワーメントする」これが、Molocoが行っていることです。
つまり、世界トップクラスの機械学習エンジンをモバイルアプリ企業に提供することで、Big Tech企業に依存しないビジネス成長を後押しするということです。
広告の最適化に機械学習が肝になる理由
さて、ここまでデジタル広告において機械学習が重要だと申し上げてきました。
その理由をご説明します。
皆さん、想像してみてください。
広告主である皆さんは、高い広告効果を得ながら、事業を成長させたいと考えています。
世の中には広告でマネタイズしているアプリ、モバイルアプリが何百万もあって、今この瞬間も、ものすごい数の広告枠が取引されています。
この大量のトラフィックを、リアルタイムで分析して、最高の広告枠と最適な価格を見極めて、ミリセカンド単位で入札することが必要です。
そのために必要なのは、大量のマシンパワーです。
どれくらい大量かと言うと、1秒間に400万回の広告のリクエストをサーバーでさばき、1カ月で350億回を超える広告表示の処理を行う必要があるのです。
ここに対してMolocoは、世界トップクラスの機械学習エンジニアやデータサイエンティスト数百人を投資して、過去何年間にもわたって、このエンジンを磨き続けています。
そして、広告主がこの機械学習エンジンに自社データを投入することで、我々は最適な媒体に広告を配信し、『優良顧客になってくれる確率が最も高いユーザー』にリーチすることができるようになります。
その結果、得られるのが高い広告費用対効果です。
Molocoは、このような機械学習技術を複数の領域で展開しています。
モバイルアプリのユーザー獲得を「Cloud DSP」で支援
まずはDSP、先ほどご紹介したモバイルアプリの広告で使用されるツールです。
▶編集注:DSPとは、Demand-Side Platform(デマインドサイドプラットフォーム)の略で、広告主や代理店が利用する、広告在庫の買い付け、広告配信、オーディエンスのターゲティング等を一括して行うことで、広告効果の最大化を支援するツールのこと(シナジーマーケティング参照)。
アプリのユーザーを増やしたい方向けのサービスです。
MolocoのDSP(Moloco Cloud DSP)を活用することで、他のDSPや広告ネットワークと比較し、獲得コストが下がり、高いROI(投資対効果)が出るという事例がたくさん出ています。
ゲームも、ゲーム以外でも、日本でも世界でも、全てオッケーです。
Eコマースにリスティング広告を実装する「Retail Media Platform」
続いて、Retail Media Platform(Moloco Retail Media Platform)というサービスです。
こちらはAmazon広告のような商品リコメンデーションとリスティング広告を組み合わせたものを、自社のサービスの中に実装することができるサービスです。
例えばこちらは海外のECアプリですが、この黄色い枠の中で、どのユーザーに、どの製品や広告を表示させるかを決めるアルゴリズムを、Molocoが提供しています。
この会社では、以前と比較して収益が数10%増加しました。
人気アプリにも使用されている広告最適化エンジン「Performance Ad Server」
そして最後が、Performance Ad Server(Moloco for Enterprise)というプロダクトです。
これは、皆さんがオリジナルの広告サービスを作るとき、どの広告をどのユーザーに配信するのが最も収益性が高いかのアルゴリズムを提供するものです。
実は日本には、これを活用している先進的なアプリがあります。
TimeTreeという、日本発のカレンダーアプリです。
世界で4,000万回、ダウンロードされています。(2022年9月時点)
彼らは、ユーザーの『予定』というユニークなファーストパーティデータをハッシュ化した上でMolocoの広告サーバーに送り、Moloco側で最適な広告を選択して配信しています。
この広告案件とユーザーとのマッチングのアルゴリズムの裏側で、Molocoのエンジンが動いているのです。
▶未来の行動のきっかけになる広告をユーザーへ届けたい。TimeTree Adsの媒体資料には載っていない魅力とは?(ANAGRAMS)
年間広告取扱高約1,000億円のユニコーン企業
ここまで、機械学習はすごいと申し上げてきましたが、どうすごいのかイマイチ、ピンとこないですよね。
機械学習のすごさを、技術の深いところが分かっていない方に説明するのは非常に難しいので、今回は実績で説明します。
Molocoは、これまで2年以上、営業黒字を維持したまま年間+100%の成長を続けており、現在、年間約1,000億円(2022年第3四半期時点)の取扱高があるユニコーン企業です。
日本では、まだ一部の先進的な企業でしか使われていませんが、グローバルでは、アプリの広告市場では上位シェア群の一角を占めています。
▶MOLOCO、2022年上半期決算…継続的な成長モメンタム可視化(KORIT)
そう遠くない将来、アメリカの市場で上場することを目指しています。
ということで、モバイルアプリのビジネスを伸ばしたい会社や広告代理店、あるいは、広告プロダクトをすでにお持ちだったり、これから作りたいと思ったりしていらっしゃるアプリ事業者はぜひ、お声がけ頂ければと思います。
モバイル広告業界で今起きていること
そして最後に、ここにいらっしゃる日本のリーダーたちにお伝えしたいことが一点あります。
個人的な話で恐縮ですが、私はこれまで10年以上、Googleからスタートアップまで、色々な外資系のモバイル広告企業の日本事業を担って来ました。
その中で気づきましたが、日本のモバイル広告業界には大きな問題があります。
それは何かと言うと、業界や組織の構造、あるいは間違った理解のせいで、間違った手を打ってしまっている、あるいは打つべき手を打てていないのです。
そのせいで、日本の会社は残念ながら、デジタルマーケティングによる事業成長を十分に実現できていないと思っています。
例えば、広告代理店に依存してしまい、広告主の内部に知識がたまっていかない。
そのせいで、自分の成績を良くするために、広告詐欺であるアドフラウドに手を染めてしまうマーケター。あるいは悪いものだと知っていつつも、それを販売する広告代理店。
▶アドフラウドとは?不正広告の手法と対策について解説(PROMETHEUS)
広告主の経営層にも問題があります。
中身を知らないので、表面上の数字でしか評価できない。間違った目標を現場に課してしまう。
正しい知識の裏付けがないマネジメントは、これを是正することが出来ません。
そうして痛い目を見たり、あるいは危険を過度に避けようとしたりして、Google、AppleなどBig Tech企業に依存する。
これは、それ “以外” の武器を使った成長の機会を放棄していることになります。
その結果起きているのが、海外アプリ企業が日本のマーケットにおけるシェアをどんどん奪っているという現実です。
欧米だけでなく、例えば中国企業のゲームの広告を見る機会も、皆さん、最近多いと感じるのではないでしょうか。
この流れは、日本の企業が正しくマーケティングを行うことができて、彼らと並ぶ競争力を得るまで、一層加速します。
この問題は、マーケター個人や、マーケティング部門だけの話ではなく、経営レイヤーにいる皆さんが、個社として、また業界として取り組まないと直りません。
この後F会場で、「業界の闇をあばく」というテーマを掲げて、アドフラウド問題について徹底的に議論します(※開催終了)。
ぜひ1人でも多くの方にご参加いただけると嬉しいです。
以上、機械学習技術の民主化を通じて、モバイルマーケターをエンパワーメントするMolocoより日本事業の責任者として坂本が発表しました。
ありがとうございました。
(終)
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編集チーム:小林 雅/小林 弘美/浅郷 浩子/正能 由佳/戸田 秀成/大塚 幸