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ICC FUKUOKA 2023 リアルテック・カタパルトに登壇いただいた、AMI小川 晋平さんのプレゼンテーション動画【ついに薬事承認取得!心疾患の早期発見や遠隔医療に役立つ”超聴診器”を開発する「AMI」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回ICCサミット KYOTO 2023は、2023年9月4日〜 9月7日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。
本セッションのオフィシャルサポーターはKOBASHI HOLDINGSです。
▶【速報】iPS細胞の分化誘導技術で、不妊治療の成功率を高める「Dioseve(ディオシーヴ)」がリアルテック・カタパルト優勝!(ICC FUKUOKA 2023)
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【登壇者情報】
2023年2月13〜16日開催
ICC FUKUOKA 2023
Session 7A
REALTECH CATAPULT リアルテック・ベンチャーが世界を変える
Sponsored by KOBASHI HOLDINGS
小川 晋平
AMI株式会社
代表取締役CEO
HP | STARTUP DB
AMI株式会社 代表取締役CEO。東京医科歯科大学 特任准教授。加治木温泉病院循環器内科医。 熊本県熊本市出身。熊本大学卒業後、循環器内科医として富良野協会病院・熊本大学病院・済生会熊本病院などに勤務。 2015年11月、AMI株式会社を設立。「聴診DX」を実現するためにAI医療機器や遠隔医療サービスの社会実装を目指して研究開発を進めている。本店は熊本県水俣市、本社は鹿児島県鹿児島市。 厚生労働JHVS ベンチャーアワード 総務省 異能β 経産局 J-Startup KYUSHUに選定。その他受賞歴として、KDDI∞ラボ 最優秀賞、ヘルスケア産業づくり貢献大賞 大賞、Healthcare venture knot 最優秀賞、メドテックグランプリ 最優秀賞、第1回CEJ C-Startup Pitch 最優秀賞 など。
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小川 晋平さん よろしくお願いします。AMI株式会社の小川です。
2000年前に技術のベースができて200年前に発明された医療機器は?
皆さんに質問です。
2000年前に技術のベースができて、200年前にフランスで発明された医療機器は何でしょうか?
答えは「聴診器」です。
聴診という診療行為は、古代ギリシャの医師ヒポクラテスが考えたといわれています。
200年前にはフランスの医師によって医療機器となりました。
そして現在では、世界中で使われています。
「現在も」と言ったほうが正しいかもしれないですが、聴診器は世界中で使われている医療機器です。
近い将来やってくる「○○○パンデミック」とは?
もう1つだけ質問させてください。
「○○○パンデミック」
ここに入る言葉は何でしょう?
私は循環器内科医です。心臓の内科ですね。
その循環器内科において10年前から「心不全パンデミック」が近い将来やってくるといわれています。
▶迫り来る“心不全パンデミック”の危機 その実態は(クローズアップ現代)
高齢者が21%を超えると「超高齢社会」といわれますが、すでに国内では28%が高齢者で、近い将来30%が高齢者になるといわれています。
▶総人口が減少する中で、高齢者人口は3627万人と過去最多 総人口に占める割合は29.1%と過去最高(総務省 統計局)
医療現場がパニックになったとき求められる検査は?
パンデミックが来たらできる検査は限られていて、医療現場がパニックになることは今回のコロナのパンデミックで皆さんお分かりかと思います。
ですので、そういうときに求められる、今後必要とされる検査は、いつでも、どこでも、誰でも、侵襲なくできる検査です。
スマートウォッチで取れるのは「心電」
心疾患の検査といいますと、皆さん一番に思い浮かぶものがあるかと思います。
スマートウォッチです。
最近のスマートウォッチは、心電も取れるものが出てきています。
心電が取れて心疾患が分かれば、もう聴診器はいらないのかと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、そうではありません。
心電で分かるのは電気生理学的なもの、そして心音で分かるのは音響工学的なものです。
電気の流れなので、心房細動や期外収縮などのような不整脈は心電で十分分かるのですが、大動脈弁狭窄症やうっ血性心不全は心音のほうが適しているのです。
▶心音の聴診ってどうすればいいの?その目的と臨床での活用方法を解説します(OGメディック)
そのため、聴診器のイノベーションが必要だと考えました。
次に技術的な課題についてですが、まず「小型化」はもうどんどんセンサーなども小さくなっていますので、できるようになっています。
また、フーリエ変換やウェーブレット変換などの「信号処理」の技術もどんどん高まってきて、すごいスピードで処理ができるようになっています。
そして医療業界においても「AI医療機器」というものが出てきています。
これに心電と心音を加えることで、聴診のイノベーションが技術的にも可能な土壌が出来上がっているといえます。
心不全パンデミックが近い将来やってくるのに備える必要があります。
技術的にも解決可能な技術は今揃ってきています。
そして最後に必要なものは「人」です。
誰がやるのかというところです。
医師でありながら起業したきっかけ
そこで私は起業することにしました。
医師である私が起業したきっかけは大きく3つあります。
1つ目は、2016年に起きた「熊本地震」です。
地震が起きてすぐに震源地の近くに行って、ドクターカーで夜半の避難所をずっと回る医療ボランティアをしていました。
そのときに、こういう災害地医療でも使えるような医療機器というところに貢献できるようなことがしたいと思いました。
2つ目は、「遠隔医療」です。
10年前はドクターカーやドクターヘリに乗っている医師だったのですが、遠隔地への情報伝達において大きな課題があると感じました。
これを解決することで、遠隔医療の質が上がるのではないかと思ったのが2つ目のきっかけです。
そして3つ目は、先ほどからお話ししているように、「心不全パンデミック」が近い将来やってくることです。
心疾患の早期発見につながる”超聴診器”
今治療はどんどん進んでいます。
カテーテルでの治療ができるようになったり治療法が進んでいる一方で、パンデミックになったときにスクリーニングをして、治療に結びつけることができるのかが課題です。
その心疾患の早期発見につながるような医療機器を作りたいと、医療機器の開発を始めました。
私たちが開発している領域は少し正式名称が長いです。
正式名称は「各種バイタルサイン計測機能搭載 大動脈弁狭窄症自動診断アシスト機能付遠隔医療対応聴診器」という名前です。
なかなか覚えてもらえないので「聴診器を超えた聴診器」ということで、”超聴診器”という名前で、このプロジェクトを進めています。
起業後2年間、1人で続けた工作
この聴診器にはいろいろな思いや技術を入れてはいるのですが、1つだけユニークな点を挙げるとしたら、先ほどお話しした心電と心音の両方を取ってくる点です。
私自身は医師で、ものづくりの素養があるわけではありません。
最初は当直室にこもって、はんだごてで工作を始めたのが会社を作ってからの2年間でした。
最初の2年間は1人で工作を続けていて、少しずつメンバー、技術が揃ってきました。
私たちの特徴は、ハードを作って、ソフトを作って、臨床データを取るということです。
それによって少しずつ進めていくのが、私たちの特徴です。
心音と心電を同時取得するプロダクトが薬事承認取得
そして、ついに大きなニュースとして、ファーストプロダクトが薬事承認を取得しました。
医療機器には、認証と承認があり、もちろん認証の医療機器もすごく認証基準が厳しくて難しいのですが、私たちはそもそも認証基準がないものを作っていたので、PMDA(独立行政法人 医薬品医療機器総合機構)の審査を経て厚生労働省に認められて、晴れて薬事承認を取得したのが先日です。
▶研究開発型スタートアップのAMIが『心音図検査装置AMI-SSS01シリーズ』の薬事承認を取得(PR TIMES)
今回、別会場のICCアワードの展示ブースで体験していただけます。
薬事承認された医療機器だけでなく、新たに今研究開発中のものも展示していますので、ぜひ皆さん体験してください。
私たちの一番の特徴、資産はチームメンバーだと考えています。
メディカルとテクノロジーとコーポレート、それぞれの専門家が1つのプロダクト、1つのサービスに向けて一致団結して進んでいるスタートアップです。
教育分野や遠隔医療への活用に期待
「超聴診器プロジェクト」は、「聴診DXプロジェクト」とも言い換えられます。
単純に音をデジタル化するということではなくて、生体音の音質にももちろんこだわっています。
また、人の耳や脳の概念を超えて信号処理という領域でやっていますので、広い周波数帯をしっかり取得するところにもこだわっています。
また、心電と心音を一緒に取ってくるところも、このプロダクトの特徴です。
これで何を成し遂げるかですが、いろいろな応用の方法があります。
1つは「医学教育」です。
すでに大学病院からのお問い合わせや発注がいくつか来ています。
教育にも使えると考えています。
「臨床研究」は、20以上の医療機関でスタートしています。
心音の領域は歴史は長いのですが、まだまだ深いところがありますので、さらにその研究を進めます。
また、このように聴診音をデジタル化して可視化して、心電と一緒に共有できるということは、遠隔医療への応用も期待できると考えています。
すでに熊本県の水俣市では過疎地域のへき地診療所に対して、この遠隔医療を提供しています。
▶水俣市・国保水俣市立総合医療センターとAMI株式会社が取り組むオンライン診療実証事業の対象拡大について(PR TIMES)
言語の壁がない「超聴診器」を世界へ!
私たちは心音以外の領域にも広げようと考えています。
さらに生体音は、言語の壁がないのも特徴です。
ですので、私たちは海を越えて世界にこの技術を提供できる、グローバル展開できると確信しています。
以上です。 ご清聴ありがとうございました。
(終)
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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/小林 弘美/正能 由佳/戸田 秀成