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ICC KYOTO 2023 カタパルト・グランプリに登壇いただき、見事優勝に輝いた、サグリ坪井 俊輔さんのプレゼンテーション動画【データの力で、アジア・アフリカの農業課題解決に挑む「サグリ」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回ICCサミット FUKUOKA 2024は、2024年2月19日〜 2月22日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページのアップデートをお待ちください。
本セッションのオフィシャルサポーターはAGSコンサルティングです。
▶【速報】3度目の挑戦で悲願のV!衛生データ×AIで農業を儲かる産業にする「サグリ」がカタパルト・グランプリ優勝!(ICC KYOTO 2023)
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【登壇者情報】
2023年9月4〜7日開催
ICC KYOTO 2023
Session 6A
CATAPULT GRAND PRIX (カタパルト・グランプリ)- 強者が勢揃い –
Sponsored by AGSコンサルティング
坪井 俊輔
サグリ
代表取締役CEO
HP | STARTUP DB | X(旧Twitter)サグリ株式会社/坪井 俊輔(サグリ)
横浜国立大学理工学部機械工学・材料系学科を卒業。2016年民間初、宇宙教育ベンチャーの株式会社うちゅうの創業及び代表取締役CEOを務める。2018年に衛星データやAIなどのデジタル技術を活用し、農業の経営発展と脱炭素社会に貢献することを実現すべく「サグリ」を創業。グローバルな課題である食糧危機や気候変動を解決すべく、営農アプリ「Sagri」というサービスを日本だけでなく、世界中の農業者や農業協同組合に向けてグローバル展開を開始。衛星データから土壌分析を行う技術や衛星データで世界中の農地区画を自動で形成するAIポリゴン技術を確立し特許権利化。農地における肥料削減だけでなく、温室効果ガスの削減およびカーボンクレジットの創出に貢献。2020年世界経済フォーラムが任命するGlobal Shaperとして選出。MIT テクノロジーレビュー 未来を創る35歳未満のイノベーターの1人に選出。農林水産省 「デジタル地図を用いた農地情報の管理に関する検討会」 委員。経済産業省「2050年カーボンニュートラルの実現に向けた若手有識者検討会」委員。情報経営イノベーション専門職大学 客員教授。ソフトバンクアカデミア生。Forbes 「世界を変える30歳未満30人」の1人に日本版およびアジア版で選出。自由民主党デジタル社会推進本部リバースメンター。
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坪井 俊輔さん サグリは、衛星データとAIで農業に革命を起こす、岐阜大学発のインパクトスタートアップ(※) です。
▶編集注:インパクトスタートアップとは、「社会的・環境的課題の解決や新たなビジョンの実現と、持続的な経済成長をともに目指す企業」を指す(経済産業省:官民によるインパクトスタートアップ育成支援プログラム 「J-Startup Impact」を設立より)。
農業はしっかりと儲かる産業になれる
さて皆さん、農業と聞くと、「何だか儲からなさそうだな」と思いませんか?
サグリを創業した時、実際に多くの人からそう言われました。
しかし私は今日、皆さんに伝えたい!
農業は今最も注目すべき分野であり、しっかりと儲かる産業です。
現状は確かに課題が山積み
確かに、農業には解決すべき課題がたくさんあります。
例えば日本では農家の高齢化が進み、日本の農家の平均年齢は68.6歳です。
農家離れは深刻化し、この先10年でさらに半分に減る見込みです。
日本の農地は欧米と比べても小さく、農地が分散しているため、効率的な農業がしづらく、儲かりづらい状況です。
農地をまとめる取り組みが進まない理由
日本の行政は、儲かる農業ができるように、分散した農地をまとめる取り組みを進めています。
▶農業委員会について(農林水産省)
ただ、この作業は2つの観点で鈍化しています。
1つ目は、多くの農地の情報が紙で管理されていること、そして2つ目は農地状況を毎年、目で見て回っているという状況です。
このアナログな状況をまず変えないといけない。
衛星データで農地の状況を明らかに
そこで我々は衛星データに目をつけました。
衛星データは、広範囲を一度に撮影可能で、過去から現在への時間の変化を捉えることができます。
ビッグデータなので、AIとの相性も抜群です。
このデータを使い、サグリは「利用されていない農地」を素早く発見できるほか、「何の作物を育てているのか」一目で分かるサービスを行政に提供しています。
▶アクタバ(サグリ)
▶デタバ(サグリ)
紙台帳と目視調査を大幅削減
これによって、これまで紙で管理されていたものはデジタル化され、目視で行っていた調査は大幅に削減されました。
いち早く導入した岐阜県下呂市は、農林水産大臣賞を受賞しました。
▶「ACTABA(アクタバ)」を全国初導入した下呂市農業委員会が農林水産大臣賞を受賞!(PR TIMES)
当社は、このDXを現場で主導してきたことから、国が定める目視調査のルールを変更し、衛星データを利用可能にしました。
この市場を、サグリが独占しています。
農地面積に応じて行政から年間利用料
ビジネスモデルは、農地面積に応じて行政から年間利用料を頂くサブスクリプションモデルで、原価となる衛星データは無償のものを利用しているので、粗利が非常に高いのが特徴です。
導入・実証市町村数は、千葉市や神戸市をはじめ、全国100自治体を突破。
行政なので、チャーン(解約)は現在ゼロです。
昨年度の売上は3億円、そして2期連続黒字で、累計でも通期黒字化を達成しました。
今期もさらに伸びる見込みです。
新事業として「肥料」に注目
この分野だけでも着実に事業は伸びるのですが、さらに伸ばすために我々は、新たな事業の展開を開始しました。
それが、農業現場における「脱炭素」です。
着目したのは「肥料」です。
肥料は農業には欠かせない資材ですが、価格が高騰しており、コロナ禍前の約2倍になっています。
農家は経費を削減するため、肥料の削減を試みますが、土の状況がわからなければできません。
土の状況を知るためには、化学的な試薬を使った分析が必要です。
これは、お金や手間がかかる大変な作業です。
衛星データ×AIで土壌分析、農地の変化を「見える化」
この状況も、我々は解決できます。
サグリは、衛星データで土壌の状況が分かる技術を開発しました。
高精度で、pHや窒素などを推定可能です。
この土壌分析を、圃場管理アプリを通じて農業現場に届けています。
デモンストレーションです。
使い方はすごく簡単で、農地の区画がXXXており(28:10 聞き取れません)、ワンタッチで農地を登録可能です。
自動で、衛星データからの解析が始まります。
農地の状態を色のグラデーションで分かるようにしており、例えば土壌のpHであれば、アルカリ性に近いのか酸性に近いのか、一目で分かります。
これにより土の状況が分かり、肥料の削減ができるのです。
ある農家はこの土壌分析を通じて、収量を減らさずに2割の肥料を削減しました。
アプリを支える農地の区画は、衛星データをAIで解析して作っています。
その技術は、国内外で特許を取得しています。
▶AIによる農地のポリゴン自動生成技術の特許を取得いたしました。(特許第7053083号)(サグリ)
衛星は地球の上空を周回しており、世界中のどの農地でも解析することができるのです。
カーボンクレジットで農家に新たな収入を創出
市場規模です。
肥料削減のインパクトは、日本で800億円、世界では20兆円存在しています。
そしてこれが、脱炭素につながるのです。
肥料削減を行うことが温室効果ガスの削減につながり、カーボンクレジットを創出することができます。
これが、農家にとって新たな収入につながります。
例えばインドであれば、それが、最大で収入の15%向上につながります。
農家からシステム利用料をもらわなくても事業が成立
我々のカーボンクレジットの売り先は大企業です。
カーボンクレジットのプロジェクトを一緒に進めることで、農家や農協からお金を頂かず、サービスの提供が可能です。
なぜなら、カーボンクレジット発行の仲介手数料でビジネスを成立させることができるからです。
カーボンクレジット市場は年30%で成長しており、農業分野では年35兆円の市場が見込めます。
当社は、国際的な民間認証制度であるVERRAに、アジアで初めて、肥料削減のプロジェクト登録が承認されました。
アジア・アフリカから高評価
サグリの衛星解析は、質が高いカーボンクレジットを生み出すことができると、現場で非常に喜ばれています。
では、なぜサグリがアジア・アフリカで選ばれるのでしょうか?
日本は、小さな農地の管理や農業活動でトップレベルでした。
そのノウハウはアジアやアフリカの農業に適用可能です。
サグリは、小さな農地に特化した農地区画の作成や衛星データによる農地解析技術の開発に注力してきました。
一方、欧米はどうでしょうか。
農地が広く、日本はもとよりアジアやアフリカの市場に参入しづらい状況です。
だからこそサグリが今、アジアやアフリカで選ばれているのです。
アジアやアフリカは、同じ農地面積でも、欧米に比べると農業所得が小さくなります。
一方、同じ面積での脱炭素収入割合は逆転し、大きくなるのです。
なぜなら、同じ面積での温室効果ガスの削減量は変わらないからです。
これが、アジアやアフリカの農家にとってインセンティブになっています。
アジア・アフリカの1億農家にサグリを届ける
世界人口の3分の1である26億人が農家であり、その大多数がアジアやアフリカにいます。
この市場獲得のために、サグリは動いています。
2030年までに1億農家にサービスを届ける計画を立てており、この脱炭素事業によってわれわれはさらに成長をしていくことができます。
4年後には売上60億円を見込む計画です。
グローバルの農業課題に向き合い貢献
もう決して、農業は儲からない産業ではありません。
我々は、バングラデシュなど農地が小さく所得が高くない農家に、新たな収入を生み出すことができます。
サグリは、それをスタンダードにしていきたい。
そして、食糧危機や気候変動など、多くの地球課題が顕在化してきた今だからこそ、サグリは、グローバルの農業に向き合い続け、状況改善に貢献していく必要性を感じています。
その先にある未来で、地球上の子供たちが、不自由なく笑顔で暮らせる状況を実現したいと思っています。
ぜひ、皆さんの中から仲間が見つかれば嬉しいです。
衛星データとAIで農業に革命を起こす、サグリ株式会社でした。
ありがとうございました。
(終)
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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/小林 弘美/戸田 秀成