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ICC KYOTO 2023 カタパルト・グランプリに登壇した、Rennovater松本 知之さんのプレゼンテーション動画【住宅確保困難者に、空き家の課題をかけ合わせて解決する「Rennovater」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回ICCサミット FUKUOKA 2024は、2024年2月19日〜 2月22日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページのアップデートをお待ちください。
本セッションのオフィシャルサポーターはAGSコンサルティングです。
▶【速報】3度目の挑戦で悲願のV!衛生データ×AIで農業を儲かる産業にする「サグリ」がカタパルト・グランプリ優勝!(ICC KYOTO 2023)
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【登壇者情報】
2023年9月4〜7日開催
ICC KYOTO 2023
Session 6A
CATAPULT GRAND PRIX (カタパルト・グランプリ)- 強者が勢揃い –
Sponsored by AGSコンサルティング
松本 知之
Rennovater
代表取締役社長
HP | STARTUP DB | X(旧Twitter)
1979年大阪市生まれ。同志社大学工学部卒、京都大学大学院エネルギー科学研究科修了。 国際学会(Bioceramics16)にて、最優秀賞を受賞。2004年から2019年まで日本生命保険相互会社にて、主に投資部門、企画部門に従事。会社勤務の傍ら、新宿区中心に都心の築古マンションを購入して生活保護世帯へ貸し出す活動を2011年から個人事業として開始。個人事業の8年間の経験を経て、2018年5月にRennovater株式会社を設立。現在は、大阪、京都、首都圏にて160室以上を提供。5年以内に1,000室、10年以内に1万室の提供を目指す。ICCサミットKYOTO 2022 ソーシャルグッド・カタパルト入賞、第3回「日経ソーシャルビジネスコンテスト」ファイナリスト、「かわさき起業家賞」「京信起業家アワード優秀賞」受賞。中小企業診断士。座右の銘は、「積小為大」「努力は運を支配する」。
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松本 知之さん 私たちは、家を借りることが難しい方々に住居を提供する社会的な事業を、株式会社という形で行っています。
こちら、何の数字かお分かりでしょうか。
高齢者に家を貸したくない大家の割合です。
外国籍の方に家を貸したくない大家の割合も、同じくらいと言われています。
実際に家を借りようとすると、不動産会社の審査も保証会社の審査もあるので、実際はもっと厳しいのです。
感覚的には、家を借りたい高齢者や外国籍の方の9割くらいが排除されている状態です。
住宅確保困難者がいる一方で空き家問題が深刻化
実は、このような家を借りるのが難しい方々はたくさんいます。
このスライドの上側のゾーンにいる人たちは、まだ不動産屋には行けます。
しかし、下側のゾーンにいる人たちは、不動産屋に行くことすらできない、もっと言うと、社会にすらアクセスできていない方々です。
一方で、空き家は社会問題化しています。
保証人なし、即日入居、初期費用なしで住居を提供
そこでRennovater(リノベーター)では、相続等で発生する空き家を安価で取得し、コストパフォーマンスの高い再生をして、困っている人に住居を賃貸する事業を行っています。
その際、保証人なし、即日入居、初期費用なしという形で住居を提供しています。
ポイントは、誰でも、いつでも、家賃のみで入居できるということです。
「全ての人に心休まる住まいを届けること」を志す理由
2018年に会社を設立しました。
それまでは、保険会社でずっと投資の仕事をしていました。
なぜ僕が今の事業をしているかと言うと、ある女性がきっかけでした。
この写真に写っている女性は、夫が経営する町工場で鉄板が落下してきて左腕を失いました。
写真に写る際はいつも、左腕を隠していました。
そして夫の経営する工場は倒産し、家は差し押さえられ、家族全員で親戚の家を転々とする生活を送ります。
これは、私の母親の話なのです。
私自身が、過去には、今取り組んでいる課題の当事者でありました。
大人になって家を借りて暮らせるようになりましたが、心の奥底にあるのは、当時10歳の頃と何も変わらない気持ちです。
悲しそうな女性を見れば母親のように思いますし、不安げな若者や子どもを見れば当時の自分とすごく重なるのです。
ですから、「全ての人に心休まる住まいを」届けるというのが、僕の人生を懸けたチャレンジであり、僕の人生そのものです。
古い家も大量のゴミが残る家もリフォームと清掃で再生
業務内容ですが、まず物件は、ワンルームではなく戸建てタイプの広いものを取得します。
関西ではよくある、長屋物件も取得します。
このように、天井が抜けている物件や、日本昔ばなしに出てきそうな物件も仕入れ、再生します。
リフォームに際しては、目に見える部分は基本的に全てきれいにします。
キッチンなど使える設備に関しては、極力使い続けることでコストを下げる工夫をしています。
ゴミ屋敷のような物件でも、家はこのように蘇ることができます。
このようなリフォームを施すことで、不動産の賃貸市場から完全に排除されているお客様に住居を提供しています。
物件提供数は着実に増加しており、これまでの入居世帯数も200世帯ほどで、不安定な状況にある方が多い中、着実に住居を提供していっています。
『クローズアップ現代』出演で全国から反響
直近のアップデートです。
昨年、『クローズアップ現代』に特集いただき、それから色々な反響がありました。
▶築50年の空き家に入居者続々 空き家の新たな活用法とは?(NHK)
中でも多かったのが、空き家の活用依頼だったのです。
空き家オーナーの悩みも解決
ここで初めて気づいたのですが、空き家のオーナーの悩みも非常に深刻でした。
相続でもらったけれどどうしたらいいか分からない、というようなものです。
当社で解決した事例を紹介します。
こちらは20年前に、所有者の母親が自殺した物件です。
この物件も長年ずっと放置されていたのですが、当社に無償で譲渡いただく形になりました。
リフォームを施した後、派遣切りにあった外国籍の夫婦に賃貸する形で活用しています。
こちらは、15年間入居者がいないアパートで、活用依頼がありました。
当社がオーナーから借りて転貸する、いわゆるサブリースという形で活用しています。
1棟目はこれまで誰も入居者がいなかったのですが満室になり、現在、2棟目の再生中です。
全国各地からこのような相談が寄せられますが、私たちからすると、空き家は確実に成長のドライバーです。
日々こういった物件をリフォームしていて断言できるのは、全ての空き家は活用可能ということです。
コスト・時間を圧縮できる空き家活用モデル
今後については、これまで自社で購入して物件を再生してきましたが、空き家活用モデルという、サブリースまたは、扱いに困っているオーナーから物件を譲渡いただいて活用するモデルに変更していきます。
そうすることで、低コストかつ迅速に事業展開していくことができると考えています。
これまでは「困っている人に住居を貸す」ことが提供価値でしたが、それに加えて、空き家所有者の課題も解決していくことができると思っています。
そうすることで、これからの日本で必要となる事業に進化していけるという確信を持っています。
10年後には心休まる住まいを10,000室届ける
今後のイメージです。
現在は163室を提供していますが、空き家活用モデルを並行して実施することで、5年後には1,000室に到達します。
そして10年後には10,000室を提供することで、公営住宅の代替のような存在になれると思っています。
応援をよろしくお願いいたします。
(終)
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編集チーム:小林 雅/小林 弘美/浅郷 浩子/正能 由佳/戸田 秀成