▶カタパルトの結果速報、ICCサミットの最新情報は公式Xをぜひご覧ください！
▶新着記事を公式LINEでお知らせしています。友だち申請はこちらから！
▶ICCの動画コンテンツも充実! YouTubeチャンネルの登録はこちらから！
ICC FUKUOKA 2025のセッション「『あたりまえ』の作り方 – 新しいアイデアやサービスを社会に浸透させ、ビジネスを加速するパブリック・リレーションズとは？」、全6回の最終回は、「私なんか」という思い込みから女性を解放し、キャリアの可能性を広げる「あたりまえ」を作るSHEの福田 恵里さんが登場。ゆくゆくは女性に限らず、社会にある不均衡の是正に挑みたいと語ります。最後までぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に学び合い、交流します。次回ICCサミット KYOTO 2025は、2025年9月1日〜9月4日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。
本セッションのオフィシャルサポーターは ココナラ です。
▼
【登壇者情報】
2025年2月17〜20日開催
ICC FUKUOKA 2025
Session 5C
「あたりまえ」の作り方 – 新しいアイデアやサービスを社会に浸透させ、ビジネスを加速するパブリック・リレーションズとは？
Supported by ココナラ
(スピーカー)
井手 直行
ヤッホーブルーイング
代表取締役社長
工藤 萌
スープストックトーキョー
取締役社長
小林 兼
ファイターズ スポーツ＆エンターテイメント
執行役員 開発本部 副本部長
福田 恵里
SHE
代表取締役CEO / CCO
松田 文登
ヘラルボニー
代表取締役Co-CEO
(モデレーター)
嶋 浩一郎
博報堂
執行役員 エグゼクティブ クリエイティブディレクター
▲
▶「『あたりまえ』の作り方 – 新しいアイデアやサービスを社会に浸透させ、ビジネスを加速するパブリック・リレーションズとは？」の配信済み記事一覧
嶋 では、最後に福田さん、SHEのお話をしていただけますか。
福田 はい。ノンストップで我々が話し続けているので、皆さん、大丈夫ですか？ 疲れていないですか？
(会場笑)
トリを務めさせていただきます。
嶋 よろしくお願いします。
女性の新時代の生き方を作る、SHE 福田 恵里さん
福田 女性のキャリアの可能性を広げるところの「あたりまえ」を作っているSHEです。
自己紹介は割愛させていただきますが、滋賀県生まれの田舎育ちで、東京に出てきました。
▼
福田 恵里
SHE
代表取締役CEO / CCO
大学在学中に女性向けWebスクールを立ち上げた後、リクルートホールディングスに入社。2017年にミレニアル女性向けのキャリア支援を行うSHE株式会社を設立し、これまでに約44億円の資金調達を実施。累計会員数は20万人を突破。IVS launchpad2021優勝。forbes起業家ランキングTOP20 3年連続受賞。
▲
日本の女性は非正規雇用比率が半分以上なので、働けるスキルがないと悩んでいる女性が多くいます。
また、日本の女性は自己肯定感が世界で一番低いとも言われていて、「私なんか」と自分ができるという自信が持てない方もすごく多くて、このスキルと自信がないことが、女性の社会進出やキャリアを阻害している一因になっていると思います。
それを解決するのが、私たちが今、ミレニアル女性向けのキャリアスクールと言っている「SHElikes」です。
時間や場所に縛られずに、在宅でも働けるWebスキルを女性たちに身につけていただいて、就労支援まで一気通貫で行っているスクールです。
スクールと言っていますが、先ほど（前Part参照）萌さん（工藤さん）が、自分たちはスープを売っているのではない、居場所を作っている、温度をあげているのだという話をされたのと同じく、私たちも自分たちをスクールだと思っていません。
コミュニティブランドであり、女性たちの新時代の生き方を作っていく変革者、伴走者であると、社内外に伝えています。
その結果、日本全国、世界中で女性のロールモデルが大勢生まれていることが、嬉しいことだなと思っています。
友達の友達が起業したとか、友達がキャリアチェンジしたとなると、私もできるかもと思えるのですよね。
ちょっと斜め上のロールモデルを、日本全国に増やしていくのが私たちのミッションだと思っています。
「私なんか」という思い込みから解放したい
福田 そんな私たちが作っている新しい「あたりまえ」ですが、創業時から大事にしているコンセプトが「SHE is NO ONE. 私たちは何者でもない。だからこそ、何にでもなれる。」で、すごく大事にしています。可能性の開放です。
皆さん、ジャンヌ・ダルクをご存知だと思います。
ジャンヌ・ダルクがフランスのオルレアンを解放したのは、実は16歳の時とかなのですよ。
その当時、軍は男性ばかりの社会でしたよね。
そこに女性、ましてや子どもが軍を率いて世界を変える、革命を起こすなんてことを誰が想像できたでしょうか。
世界の新時代は、いつもその時の「あたりまえ」に違和感や義憤を持った人が、その既成概念を変えようと立ち向かっているところから、作り上げられていると思っています。
女だから男だからとか、私は普通だからとか、あの人は特別だからという、知らず知らず自分に課している呪い、無意識の思い込みみたいなものから女性たちを解き放って、あなたたちは何にでもなれるというスタンスを伝えていくのが、私たちの存在意義です。
女性の起業プログラムやアワードを開催
福田 そのために、どんなアクションをしてきたかというと、もちろんスクール事業はあるのですが、例えば、表参道駅をジャックして、生き方を変えた女性たちを社会に知っていただいたり、女性たちのビフォー・アフターを祝福するようなアワードを開催させていただいたりしています。
▶SHE AWARDS 2025（SHElikes）
女性起業家を輩出するプロジェクト「NEXT FOUNDERS」も、2023年から2年連続で行っています。
▶女性起業家輩出プロジェクト NEXT FOUNDERSとは？ (SHEshares)
女性起業家プロジェクトを、例えばVCや政府が行うと、結構つよつよな女性たちが集まっているかなと思います。
私たちが対象としている女性は、日本の一番マス層の女性で、今までずっと事務職、販売職で、WEBなど触ったことはなかったとか、年収も200万円、300万円で起業なんて考えたことがなかったという方々が、自分のアイデアでルールメイクをする側に回れるように支援しています。
世界観や価値観をユーザーにインストールする
福田 こういったことを実現するために大事だと個人的に思っていることを、色々書いてきました。
一番下の行だけピックアップしますが、「自分たちの世界観・価値観をユーザーにインストールすること」が大事だと思っています。
こちらは、私が尊敬するクラシコムの青木（耕平）さんの言葉です。
統合アートディレクションは、単なるお化粧みたいな感じで捉えられがちですが、ヘラルボニーさんやスープストックトーキョーさん、ここにいらっしゃる皆さんは、自分たちの美学や信じている世界を、クリエイティブやアートディレクション、メッセージなどに乗せて、ユーザーの頭の中に、自分たちの世界観をインストールするということを日々やっていると思います。
そうすると、OS、スマートフォンやアプリのようなレイヤーで勝負するのではなくて、ユーザーの頭の中にインストールできた自分たちの美意識が、ユーザーの価値観になり、全ての判断基準になるということでした。
この、人の脳を制することがすごく重要だと青木さんは話をされていて、まさに、新しい「あたりまえ」を自分たちだけではなく、ユーザーと一緒に作っていくために大事なことだなと思っています。
以上です、ありがとうございます。
嶋 ユーザーの頭の中に世界をインストールしていくというのは、すごく面白い発見ですね。
不均衡の変革にアプローチしていきたい
嶋 ご意見のある方は、いらっしゃいますか？
松田 僕も青木さんから言われて勉強になったなと思ったのは、「ヘラルボニーは、どのカルチャーと接続するのか。それをユーザーは、非常によく見ていますよ」ということでした。
ヘラルボニーは、例えば音楽で言うとヒップホップのカルチャーなのかもしれないし、もしかしたらパンクのバンドなのかもしれないしというように、どこの層で世界観を作るのかによってユーザーの意識が変わるから、意識的に作っていかないといけないと、改めてすごく思ったのですよね。
SHEは、どこにカルチャーを作るのでしょうか？
福田 私たちは格差の是正や不均衡の是正みたいなところをやっていると思っています。
今は女性のキャリアの格差を変えているのですが、本当は女性だけに留めたいわけではなくて、社会にある色々な不均衡、それは教育であったり、政治であったり、経済であったりというところをやっていきたいなと思っています。
一言ではなかなか言えないですが、不均衡の変革みたいなところのカルチャーにずっとアプローチしていきたいなと思っています。
嶋 ありがとうございます。
本セッションのおさらい
嶋 最初に、新しい「あたりまえ」は、みんなが乗り込める船になっていくといいという話（Part.1参照）をしました。
それこそビールを飲むだけではなくて、エンタメに広げていくとか、障害者のタレントを日常の中のデザインに広げていくとか、スープだけではなくて、ほっとする空間に広げていくとか、野球も色々な楽しみで来る人がいるとか、単なるスクールではなくて、女性の生き方や格差の問題に広めていく。
そういう概念を広げていく時に、僕も私も一緒にやりたいという違う価値観を持った人が集まってきますが、皆さん、そこをすごく上手くやられているのではないかということを非常に感じました。
最後に一言ずつ、お願いできますか？
松田 最近すごく嬉しかったことは、実際に作家さんに会いに来てくれる人たちが増えていることです。
知的に障害のある人たちを名前で呼んで、その人たちに会いたいと言われた世界は、多分今まで作れてこられなかったのではないかと思いますが、今はそれが作られて、誰々さんのファンですという方がいらっしゃいます。
知的障害があって、IQ指数は2歳や3歳と診断を受けて、今まで実際に対応できないからちょっと距離を置いていたものが近くなってきて、それを通じて作家さんたちも変わってきているみたいな、今までなかった世界が本人たちにも開かれて、その周りにいる人たちにも開かれてというのを見てきました。
次はどういったことに新たにチャレンジして、新しい「あたりまえ」を作っていけるのか、私はすごくワクワクしていますし、一番はその周りにいる人たちの幸せを強く作っていくことだと思っているので、より頑張っていきたいなと思いました。ありがとうございました。
福田 新しい「あたりまえ」を作るということは文化を作ることだと思っていて、自分が死んだ後も世界を前進させてくれるものになることがいいところだと思うのですよね。
一過性の、今自分が生きている間に、サービスでどうユーザーに届けるかだけを考えると、近視眼的な話になってしまうと思うので、新しい価値観、考え方、思想をどう社会にインストールしていけるかというのが、今後、インパクトの最大化に向けての一つの示唆になると思っています。
小林 弊社では、非連続成長という言葉をよく使います。
毎年何%か成長できるけれども、そのままだったら人口も減るし、子どもも減っているし、野球には未来がないのではないかというところから、我々は非連続成長を目指さなければいけないと思い、新しい球場を作り、ボールパークを作りました。
そういうきっかけがあったので、今日皆さんのお話を聞いていて、自分たちの業界だからという部分と、一方で共通項となるものがあるなと思ったので、共通項は自分なりにもうちょっと消化して言語化してみたいなと改めて思いました。
今日はありがとうございました。
工藤 今日の話は、to社会、toお客様の話がすごく多かったのですが、私が携わっている外食産業では、労働力不足が本当に深刻です。
社会もそうですが、社内やこれから働いてくれるかもしれない人たちにとっても「あたりまえ」を作っていく、巻き込んでいくことがものすごく大事だなと刺激をいただきました。
ありがとうございました。
井手 今回、「あたりまえ」の作り方という日頃あまり意識しないお題を出していただいて、自分の思考も整理でき、皆さんの事例も聞いて、ますます整理が上手くできました。
今後、意図的に、「あたりまえ」を作っていくスピードをもっと早められるなと思って、すごく良い機会だなと思いました。
最後に改めて言いますと、ICCも、私にとっては仲間みたいな感じなのですよね。
ICCの理念とクラフトビールを飲んで幸せになってもらいたいという我々の思いはすごく交わっているので、ICCの参加者に聞くと、クラフトビールや我々のビールの飲用率がすごく高いのです。
そういうことも一つひとつ広げながら、そういう機会を増やしていくのは、本当にテーマ通りだなと思いました。
ちなみに今日皆さん、帰りにローソンに寄ってよなよなエールで乾杯してください、ということで、ありがとうございました。
嶋 では、最後に共感の拍手をしたいと思います。
今日参加していただいた皆さん、ありがとうございました。
チャレンジャーであり、先頭を走っている皆さんに拍手をお願いします。
ありがとうございました。
（終）
▶カタパルトの結果速報、ICCサミットの最新情報は公式Xをぜひご覧ください！
▶新着記事を公式LINEでお知らせしています。友だち申請はこちらから！
▶ICCの動画コンテンツも充実! YouTubeチャンネルの登録はこちらから！
編集チーム：小林 雅／小林 弘美／浅郷 浩子／戸田 秀成